引っ越しは断捨離に最適
つい最近知り合って意気投合した方が、転勤で私の住んでいる街に引っ越してきた方でした。
引っ越してきて間もないらしく、まだ生活用品を揃えていないということで、私の車で地元のホームセンターや家具屋、家電量販店に連れていってあげました。
彼の買い物に付き合っていると、ビックリするぐらいモノを購入せず、大方のモノは持ってきていたのだろうと思っていたのですが、いくつかの買い物を済ませてから彼の家に入ると、これまたビックリするぐらい簡素な荷物しかありませんでした。
家電備え付けのアパートだったのですが、なんとパソコン以外の家電は所有していないのだそうです。
私も相当モノをもたない主義ですが、彼はずっとその上をいっていました。
彼曰く、
「引っ越しばかりしていると、本当に必要なモノなんてそんなにないってわかるよ」
とのことでした。
その後、彼がお礼にと出前(蕎麦ではなくピザでした笑)を取ってくれ、しばらく談笑して彼の考え方を深く知ることになりました。
そこで私が学んだことが、
「引っ越しは断捨離に最適!」
ということです。
引っ越しは自己観察
当たり前のことですが、誰でも引っ越しをするタイミングで無駄なモノを処分します。
生活に必要なモノや、よほどこだわりがあるモノでなければ、大抵は処分することになるわけです。
「いつか使うかも知れない」
と思って取っておいたモノでも引っ越しをすることになれば、そこで改めて処分するかどうかの判断を下すことになるわけです。
多くの方は、その「いつか」に期待して判断を先送りにしてしまうものですが、引っ越しをするとこになると、強制的に「いつか」と向き合うことになります。
またそれなりに必要なモノだとしても、かさばるモノであれば送料や引っ越し費用の負担にもなってしまいます。引っ越した先で再購入した方が節約になるケースもあるわけです。
これらのように引っ越しをするタイミングというのは、誰もが自然と断捨離と向き合うことになります。
そして引っ越し先にまで持っていくモノというのは、自分が購入してきたモノに対する合格発表のようなことです。
長年引っ越しをしていない方だと、モノを処分する決断をする機会がなかなか訪れません。せいぜい大掃除のタイミングぐらいでしょうか。
引っ越しは自己観察の素晴らしい機会になってくれます。
仮想引っ越しをしよう
引っ越しをする必要がない方や持ち家の方でも、頭の中で引っ越しをイメージすることはできます。
「もし引っ越しをするのであれば、処分するモノは何だろう?」
と日頃から考えることで、自然と断捨離をすることにつながります。
極端なまとめ買いをしなくなりますし、現在所有しているモノを改めて確認するようになります。
倉庫の中に長年眠っているモノ、逆に言えば頭の中では忘れられているモノを、頭の中(記憶)に取り戻す機会になります。
頭の中で仮想的に引っ越しをイメージすることは、断捨離のコツでもあります。
これは物理的な物だけに限りません。住所変更の手続きが必要な様々なモノ(保険や銀行口座など)も対象になります。
冒頭で紹介した彼は銀行口座を一つにまとめていました。全国のコンビニでいつでも使えるネット銀行だけなんだそうです。
たくさんの銀行口座やクレジットカードを所有していると、管理が大変になるばかりではなく、紛失した際のリスク(紛失手続き)も増してしまいます。
思い出のアルバムや写真も同様です。それらをネット上にデジタル情報で保管していれば、わざわざ引っ越しで持ち運ぶ必要もありませんし、火事になったとしても紛失しません。
CDや書籍をデジタルで保管するのも同様です。引っ越し費用が安くなるだけではなく、部屋のスペースも各段に広がります。
全てのモノをデジタルで保管できるわけではありませんが、日頃から引っ越しを頭の中で想定していると、何かしら新しいモノを購入するときにデジタルの選択肢が目に入ってくるようになるものです。
現在ではお金さえあれば、大抵のモノがすぐに手に入るので、必要になったタイミングで購入しても遅いモノは、それほどないはずです。
喪服のようなモノは急に必要になることがあるので、一式揃えておいた方が良いとは思いますが、そのようなモノは意外と少ないのではないでしょうか。
最近では様々なモノがレンタル可能です。予めそれらの知識を頭に入れ置くことで、いざ必要になったタイミングでも、衝動買いをしなくて済むようになります。
まとめ イメージでOK
引っ越しを経験したばかりの方であれば実感しているとは思いますが、引っ越しをするタイミングというのは、自然と断捨離の機会になってくれます。
慌ただしく引っ越しをしてしまった方でも、引っ越し先でダンボールを開けたタイミングで、
「これ、いらなかったなぁ」
と感じることがあると思います。
引っ越し日というタイムリミットが設定されると、今まで見てみないふりをしていたモノと、自然と向き合うことになります。
冒頭で紹介した彼は職場の都合で何度も引っ越しをすることになり、自然と断捨離が身についていったのだと思います。
引っ越しをする機会がない方でも、ぜひ頭の中で「仮想引っ越し」をイメージしてみてください。
本当に必要なモノが見えてくることで、その後の買い物の失敗も少なくなっていくと思います。
また実際に「仮想引っ越し」で断捨離が進展すると、現在の家に不満が出てくるかも知れません。不満というより必要以上に大きかったと気がつくかも知れません。
本当に自分に必要なモノが収まる大きさに気がつけば、実際に引っ越しをしたくなるかも知れません。
そのタイミングで引っ越し先を検討することになれば、それまでの引っ越しの基準とは大きく変わっているはずです。
少しせまい住宅を選んで家賃を下げることでもいいですし、同じような家賃でも部屋数を一つ減らせるのであれば、より新しい住宅や職場の近くなども選択肢に入ってきます。
家賃が同じでも交通費や通勤時間が大きく節約できます。年配の方であれば通院している病院の近くという選択肢もあると思います。
引っ越しに慣れていない方は、ここまで考えて住宅を選ぶことは難しいと思います。冒頭の彼のように引っ越しに慣れている方であればいいのですが、数十年ぶりの引っ越しとなると難しいと思います。引っ越してから後悔したことがある方も多いのではないでしょうか。
だからこそ、日頃から頭の中で「仮想引っ越し」をイメージしておくと効果的です。既に断捨離が行われている状態だからこそ、最適な引っ越し先が見えてきます。
もちろん実際に引っ越しをしなくてもメリットはあります。モノを選ぶ時の判断基準が洗練されていき、本当に必要なモノ(機能)を理解してから選択できるので、失敗が少なくなります。
想像以上に無駄なモノが見つかると思います。
いつでも引っ越しが出来る状態というのは、背負うモノが少なくなっているということです。物理的にモノが少ないだけではなく、精神的にも身軽になって楽になってくれます。
役所などから送られてくる書類などは、必要な情報は紙一枚だけだったりします。封筒やチラシのようなモノでかさばっていることも多いので、それらを処分することで本当に必要な情報だけが整理されることになり、頭の中もスッキリとしていくものです。
また「仮想生前整理」を行うのも良いかも知れません。自分が亡くなってしまった後に、残っていると困るモノ、迷惑になるモノを日頃から整理、処分しておくようなことです。
こだわりを持って収集したモノでも、そのジャンルに興味のない人にとってはゴミ同然です。たとえ貴重なモノでも、それを適正に取り扱ってくれる業者に引き取ってもらえなければ、二束三文になってしまいます。
せっかくこだわって手に入れたモノだからこそ、そのこだわりが分かる人に伝えた(譲る、売る)方が嬉しいのではないでしょうか。
残された人にとっても、わけのわからないモノより少しのお金の方が嬉しいはずです。
趣味やこだわりを全て捨てろとは言いませんが、ある程度整理することは出来ると思います。本当に自分にとって大切なモノと、それほどでもないモノをきちんと分けて判断してほしいと思います。
日頃から仮想的に引っ越しや生前整理を行ってみてください。モノが少なくなるだけではなく、心も軽くなります。身軽になれば健康的に行動力も増していくので、より本当に欲しいモノ、必要なモノを手にすることにつながると思います。