使いにくい物の方がいい事もある!?
当ブログでは、しばしば
「安易にオシャレな要素を優先し過ぎると使いにくくなる」
といった感じで、本来の目的から遠ざかってしまうと元も子もないといった情報を紹介してきたのですが、
あくまでも目的に合致している事が重要なのであり、その目的も人それぞれ違うので、洗濯が大変なデリケートな生地の衣類でも価値を感じる人もいれば、実用性を優先する人もいます。
キャラクターデザインがあしらわれた使いにくい形状のハサミだとしても、小さな子供を相手にする場(保育園など)であれば、最高の選択肢かも知れませんし、たまにしかハサミを使わない人には最高の切れ味や使いやすさが必要なわけでもないので、100均のハサミで十分かも知れません。
もちろん仕事で頻繁にハサミを使うような人であれば、切れ味や手の大きさとの相性を意識して選んだ方が使い勝手が良くなるのですが、人それぞれ目的が違うだけに正解の物などありません。
ただ中途半端にオシャレさを意識したり、価格の安さに引っ張られてしまうと、本来の目的から逸れてしまう事があるので気をつけてほしいのですが、少し前に雑誌で紹介されていた「お金が貯まる財布」を見た時に、目的がブレブレになっている良い例だなと感じました。
お金が貯まらない財布の特徴
一般的な「お金が貯まる財布」の特徴というと、風水を意識した黄色やゴールドといった感じの物が多いですが、その雑誌で紹介されていた財布は渋い深緑であり、その理由が「昔の金庫に使われていた色だから」との事でした。
「緑色は気持ちを落ち着ける」といった感じで、それっぽい理屈も紹介されていたのですが、その財布は機能面でもよく考えられており、カードが16枚も収納できるとか、薄くて軽い頑丈な革を厳選しているとか、その革にエンボス加工を施して耐久性を上げて高級感を出しているとか、L字ファスナーのおかげで一般的な長財布よりもコンパクトなのに大きく開いて使いやすいとか、財布の機能としては素晴らしいものがありました。
ただ「お金が貯まる」という目的からすると、どこも合致しているようには思えませんでした。むしろ「お金が貯まらない財布」のように思えました。
使いやすい財布はそれだけお金も使いやすくなってしまいます。薄くて軽くてコンパクトで大きく開いて使い勝手の良い財布というのは、鞄やポケットからサッと取り出せて会計もスマートになります。
当ブログでは以前にキャッシュレス決済が節約になる人とそうではない人の違いを紹介した事があるのですが、
お店側からすると現金よりも使い勝手の良いキャッシュレス決済を導入すると、客単価が上がるメリットがあります。余計な物まで購入する人が増える傾向があります。
もちろんそのような要素に惑わされない人にとっては、ポイントバックなどでお得になるケースも多いのですが、国によっては経済政策としてキャッシュレス決済を取り入れているほどなので、多くの人が現金よりも多く使う傾向があります。
大手ショッピングサイトなどもそうなのですが、会員登録でクレジットカードなどの決済方法を紐づける事で、「ん?これいいかも?」と思った瞬間にワンクリックで購入できる仕組みにしています。
毎回個人情報を入力するとなると、その間に冷静になって気持ちが冷めてしまう人もいるので、本当に欲しい物や必要な物でないと諦めてしまう事もあるのですが、決済の効率を良くする事で冷静な判断をさせないようになっています。
テレビショッピングなどでもそうですが、「今から30分だけの特別価格!」や「数量限定!」といった感じでその場で判断しなければならない状態にする事で、少し冷静になって考えると不要だと思える物まで上手く購入させています。
よく堅実な人に対して「財布の紐が固い」と言ったりしますが、売る側はいかに財布の紐を緩めるかがポイントなので、使い勝手の良い財布はお金が貯まる財布には当てはまりません。
お金が貯まる理由を風水的な事だけに求めている人であれば、目的と合致しているとも言えるのですが、あまり合理的な判断ではないのでお金が貯まるとも思えません。
お金が貯まる財布とは?
財布の紐が固い人ほどお金を使わないので、単純に貯まりやすくなります。
お金が貯まる財布というのは使い勝手の良い財布ではなく、むしろ使いにくい財布や人目に出すのが恥ずかしい財布なのではないでしょうか。
鞄の内ポケットにサッと収まる薄い財布より、重たくて鞄の奥底に埋もれてしまう財布の方が取り出すのが面倒なので、ちょっと喉が渇いたからと自動販売機でジュースを買うような事を諦めるかも知れません。
人目に出すのが恥ずかしい財布だと、周りの人に合わせて買い物をするような事が少なくなります。逆に自慢したくなるような素敵な財布だと、積極的に見せびらかしたくなって「ここは私が!」などと見栄を張って余計なお金が出ていくかも知れません。
休日でノーメイクだったり、無精ひげが生えていると、ちょっとした用事の為に整えるのが面倒で諦めてしまう事があるように、手間取る事のおかげで我慢できるケースがあるものです。
お金が貯まる財布という目的なのであれば、むしろ使いにくい財布の方が目的と合致しています。
たまにスーパーのレジなどで、老眼の人が小銭を取り出すのに手間取っている事がありますが、その事にストレスを感じている人がキャッシュレス決済にすると、どんどん買い物に出かけるようになるかも知れません。
スーパーのレジの人からすると素早く済ませてくれた方がありがたいとは思いますが、お金は使いやすくなるほど出ていきやすくなります。
財布の紐が緩い人がクレジットカードをもつと散財してしまうように、使いやすさや利便性の良さは人によってはデメリットになってしまう事があります。
財布の使い勝手の差などそれほど大きなものではありませんし、節約家であれば自制心が働いて無駄な買い物につながるとは思いませんが、使いにくい物やシステムの方が目的と合致しているケースがあるかも知れません。
あくまでも目的次第ではありますが、お金が貯まる財布という観点で考えると、世の中で売られているそれらの財布のほとんどが当てはまりません。
まとめ 目的から逆算しよう
私は冷蔵庫を手放しているので調理をしないで食べられる食品のストックがほとんどなく、多少お腹が空いたぐらいだと調理する手間や買い物に行く手間の方が上回るので、わりと簡単に空腹を我慢する事ができます。
私が冷蔵庫を持っていないのは、体型維持の為に食べ過ぎを抑制する目的があるからではなく、食品を管理するストレスから解放されたいからなのですが、その目的が得られたばかりでなく、結果的に様々なメリットがありました。その事については別のところで詳しく紹介しているのですが、
使い勝手の良さや便利になってしまった事で、抑制が効きにくくなる事もあるのではないでしょうか。大きな冷蔵庫に買い替えてしまったばっかりに、必要以上に食品をストックして無駄にしてしまったり、車通勤にした事で運動不足になってスポーツジムに通うようになるかも知れません。
エレベーターのない住宅の方が、知らず知らずのうちに階段を昇り降りしていて健康が保たれているかも知れませんし、電動アシスト自転車のせいで筋力が衰えたり、盗難のリスクも増してしまうかも知れません。
便利な物が少なかった昔の人が、わざわざ健康の為に運動をする必要がなかったように、便利になり過ぎてしまったばかりに、やらなければならない事も増えてきました。
あくまでも目的次第ではありますが、しっかりと目的から逆算して考えないと失われてしまう事もあるので気をつけてほしいと思います。
雑誌で紹介されていた緑色の財布は、黄色い財布ほど風水っぽさが強くなくて汚れも目立たちにくく、ちょっとだけ風水的な事が気になる人にとっては、機能面も含めて凄くマッチした素晴らしい財布だとは思うのですが、お金を貯めたいという目的から考えると、何も当てはまっていません。
風水を気にする人にとっては精神面でのメリットがあるのだとは思いますが、本当にお金を貯めたいのであれば、今の財布を使い続けた方が確実にその分のお金が貯まります。
ハンマーで割らないと取り出せない貯金箱のように、手間のおかげで自制心が働く事があるように、利便性や使いやすさによって失われてしまう事もあるので上手く見極めてください。
利便性を追求するあまりに運動不足になってダイエット器具を購入していると、どんどん物は増えてしまいます。ダイエットをする時間で身体を動かす掃除でもすれば、高価な掃除機も必要なくなって一石二鳥になるかも知れません。
もちろん便利な物のおかげで生活が楽になる事も多いのですが、その事で失われてしまった要素に再びお金を掛けて対処していると、いつまで経ってもそのサイクルから逃れられません。
血圧が高い人が一切生活習慣を見直さずに降圧剤に頼っていると、どんどん薬の量が増えて副作用に悩まされたり、その副作用を抑える為の別の薬が必要になったり、さらにその薬の副作用といった感じで、どんどん薬の量が増えてしまいます。
たくさんの荷物を積む事もないのに、燃費の悪い大きな車に乗って燃費向上グッズを取り付けるような、おかしなバランスになってしまっている人もいます。
何が何でも大きな車に乗りたい人であれば、維持費が増えても納得できるのだとは思いますが、何となくで選んでしまったばかりに余計な手間や維持費が増えてしまい、その対策にさらにお金が掛かってしまうかも知れません。
生活用品や家電製品のような物でもこのような悪循環に陥ってるケースがあるので、目的を見失わないように逆算して考えてみてください。価格が安くて低品質な使いにくい物の方が、実は目的と合致していたというケースがあるかも知れませんよ。