肌着の着用率が増加傾向!?
少し前にネットニュースで「肌着の着用率がじわじわと上昇している」と紹介されていました。この理由は機能性インナーの登場により、肌着のメリットを感じる人が増えてきているからなんだそうです。
最近の機能性インナーは消臭効果や速乾性や肌触りが良く、価格もこなれているのでメリットが多いのですが、私はわきが体質なので相性が良くありません。機能性インナーは化学繊維が中心なので、私のようなわきが体質の人でなくても、敏感肌だと相性が良くないケースがあります。
あくまでも相性の問題ではあるのですが、それほど機能性の事を考えられていない昔ながらの綿の肌着でも着用するメリットが色々とあります。
肌着を着ない派の人も多いとは思いますが、単純に保温性が高くなるようなメリットだけでなく、人によっては肌着を着た方が快適性が増したり、節約につながるケースもあります。
そこで今回は肌着を着る意味、様々なメリットについて紹介します。
裏方に徹している肌着
洋服の着心地を左右する要素というのは、フィット感や生地の硬さや肌触りと色々とあるのですが、肌着は見た目の良さ(デザイン)よりも裏方に徹しているタイプの衣類です。
Tシャツだとデザインやシルエットや生地の質感なども重要なポイントになるので、着心地や快適性に適した構造にはなっているとは限りません。
Tシャツ一枚だけで様になるファッションというのは、伸縮性が少ない厚手の上質な生地が用いられています。
たまに肌着替わりにTシャツを着ている人もいますが、Tシャツは生地に張りがあって全体的にボリュームもあるので、上に着る洋服のシルエットに影響が出てしまいます。
Tシャツのように襟が丸首だと上に着るシャツの襟元から見えてしまいますが、肌着はU首やVネックが多いので見えません。袖の長さもはみ出ないように短めにつくられています。
色も透けにくいベージュやライトグレーを用いる事が多く、女性なら下着の透け防止や肌に張りつくのを抑えられる効果も嬉しいのではないでしょうか。
徹底的に裏方に徹して機能性が高いのが肌着の特徴です。
最近の機能性インナーは耐久性や質感を良くする為に化学繊維が用いられていますが、昔ながらの綿100%の肌着にも構造上のメリットがあり、天然素材なので肌の負担にもならない傾向があります。
敏感肌の人向けの肌着や赤ちゃん用の肌着にオーガニックコットン(無農薬栽培の綿)が用いられるように、洋服の生地の繊維は肌にとって負担になる事もあるので、肌に張り付く面積が多い上着こそ、綿100%の昔ながらの肌着を一枚挟む価値があるのではないでしょうか。
アウターの寿命を延ばす
肌着は上に着る洋服への皮脂汚れや汗の付着を抑えるメリットがあります。
そもそも洋服の汚れというのは外側からの付着する汚れよりも、内側から付着する汚れの方が頑固で落としにくい傾向があります。
食べこぼしや泥汚れなどは別ですが、普通に生活をしている分には洋服の外側の汚れはそれほど多くなく、ホコリや花粉は生地の表面に乗っているだけなので、普通に洗濯するだけで簡単に落ちてくれるのですが、身体の内側から付着する汗や皮脂汚れは何度も擦り合わされてしまうので、生地の繊維の奥深くにまで入り込んでしまいます。
肌着を着ると落としにくい汚れを一手に引き受けてくれるので、アウターへの汚れを防止して寿命を延ばすメリットがあります。
洋服の傷みというのは着用時の擦れだけでなく、洗濯機の中で他の衣類と擦れ合う際にも発生してしまうので、高価な洋服の洗濯の回数を減らせられる肌着には、節約という意味でも大きな効果が期待できます。
ちなみに肌着を洗濯する時は裏返して洗った方が皮脂汚れも落ちやすくなります。他の衣類でもそうなのですが、裏返すと洗濯機の中で表側の生地が擦れて色褪せや毛羽立ちが起こるのを防ぐ事ができます。
綿100%でも安価な肌着
価格の安いワイシャツやTシャツだと綿100%という事が少なく、化学繊維を混ぜて生地の強度を上げたり、厚みや光沢をもたせて質感を良くしているのですが、綿100%で質感を良くするには繊維の量を増やして厚みをもたせなければならないので、それなりの価格になってしまいます。
一方で肌着の生地は見た目の事を考えずに薄く作られているので、価格が安くても綿100%の物が珍しくありません(機能性インナーは別)。
厚手で上質な綿100%の生地のワイシャツをTシャツを着ている人にとっては、わざわざ肌着を着なくても快適性が保たれるのですが、私のようにそれほど高価な洋服を着ていない人にとっては、肌着を着た方が快適性が増すメリットがあります。
紳士服の世界では「ワイシャツの下に肌着を着るのはけしからん」といった意見もあり、そもそもワイシャツは下着扱いだから必要ないとも言えるのですが、これはポリエステルなどの化学繊維の生地が用いられる前の欧米で言われていた事であり、高温多湿の日本だと条件が変わってきます。
現在でも綿100%のワイシャツを着ている人なら肌着を着なくても良いのだとは思いますが、最近は少し高価なワイシャツでもシワを抑える為に化学繊維が混ぜてある事もあるので、肌着を着た方が快適性が増す可能性があります。
特にポリエステルという繊維は石油ベースなので親油性が高く、皮脂のような油汚れが落ちにくい傾向があります。ポリエステルは吸水しないだけに毛細管現象で汗の水分を外に放出しやすいのですが、汗の汚れや皮脂汚れは繊維の隙間に蓄積していってしまいます。
洗濯機の中で他の衣類の皮脂汚れも吸着してしまったり、それも酷くなると洗濯の度に他の衣類に汚れや匂いを移してしまう事もあります。
機能性インナーが悪いわけではないのですが、汗や皮脂汚れが多い人にとっては相性が悪い事もあるので、むしろ価格の安い昔ながら綿100%の肌着の方が清潔な状態を保ちやすい傾向があります。
ポリエステルほど速乾性が高いわけではないのですが、洗濯による汚れが落ちが良いだけにメンテナンスが簡単です。
肌着を着る意味というのは単純に防寒性だけでなく、快適性を増してくれたり、他の衣類の寿命を延ばしてくれたり、清潔感を保つのに役立ってくれるので、多くの節約家と相性が良いのではないでしょうか。
機能性インナーも汗や皮脂が多くない人であれば相性が良いのだとは思いますが、昔ながらの安価な肌着にも十分なメリットがあるので、ぜひ一度試してみてください。
最近は環境汚染の一つとしてマイクロプラスチックの問題が叫ばれるようになってきましたが、化学繊維の衣類は洗濯する度に膨大な量のプラスチック繊維が放出されてしまうので、肌着のようにガンガンに洗濯して汚れを落とす必要がある衣類ほど、綿100%と相性が良いのではないでしょうか。
まとめ 肌着はコスパ抜群!
お金持ちの人なら厚みのある上質な生地を用いたアウターを着られるので、わざわざ肌着で補う必要はないのかも知れませんが、そうではない人にとっては機能性が不十分なアウターの機能を肌着が補ってくれます。
高価な洋服を頻繁に買い替えられる人にとっては、今回紹介した肌着のメリットはそれほど多くないかも知れませんが、節約家の多くはなるべくなら洋服を長く着用したいと思うので、あえて肌着を着る意味、メリットがあるのではないでしょうか。
温かいコートを購入するとなると万単位のお金が必要になるかも知れませんが、肌着だけなら1000円未満で済むかも知れません。
日頃から肌着だけでも徹底的に洗濯をしていれば、クリーニングが必要な洋服の費用を抑えられたり、高価な洋服の寿命も延びて節約になってくれます。
なんとなく「肌着なんてダサい!」と決めつけていた人は、改めて今回紹介した肌着を着る意味やメリットを理解してから判断してみてください。
私自身も20代中頃ぐらいまでは何となく「肌着なんておじさんっぽい」と決めつけて避けていたのですが、現在では手放す事など考えられません。夏場でもワイシャツの下には肌着を着ています。
思い返してみると、ここ数年ぐらいTシャツを購入していませんでした。Tシャツはシンプルな洋服だけに生地の質感が価格なりに出てしまうので、節約を意識するようになってからコスパが悪い洋服のように感じています。
特に白いTシャツは安いものだと薄手で透けてしまったり、数回の洗濯で襟がヨレたり毛羽立ってしまったり、色移りも気にしなければならないので、自然と避けるようになりました。
一方で肌着であれば多少の色移りやヨレは気にならないので、ガンガンに洗濯をして清潔な状態を保つ事ができます。価格が安いだけに買い替えもしやすく、脇の匂い残りが気になった時はお湯で漬け置き洗いをすればスッキリとしてくれます。
肌着は私のようなわきが体質の人だけでなく、多くの節約家にとってもメリットがあると思うので、何となく毛嫌いしていた人こそ肌着を試してみてください。価格が安くても機能性が高いのでコスパ抜群ですよ。
しかも昔ながらの肌着はホームセンターや大型スーパーなどでも扱っているだけに、価格競争が働いて安く手に入ります。最近の高機能インナーだと一部のメーカーに限られますが、昔ながらの綿100%の肌着はそこら中で売られているので、在庫処分コーナーなどで激安価格で見つかる事もあります。
機能性インナーも相性が良い人であれば良いかと思いますが、昔ながらの安価な肌着でも様々なメリットがあるので、コスパ的には優れているのではないでしょうか。
最後に肌着選びのポイントを紹介すると、夏用と冬用で分けて選んでください。保温性や快適性が全然違います。あとあまり大きなサイズは選ばないでください。多くの肌着は伸縮性が高いので、ちょっと小さめぐらいの方が肌にフィットしてくれて機能性が高まります。
肌着とはいえブカブカ過ぎると、上に着る洋服のシルエットに影響が出てしまったり、脇に空間が出来て汗を吸収しにくくなってしまいます。
肌着の襟の形は上に着る洋服の形状や着方(ボタンの開け閉め)に合わせて選んでください。私は冬用の肌着は防寒性を優先して丸首を選んでいるのですが、薄着になる夏用の肌着はU首かVネックで透けにくいカラーを選んでいます。
ランニングタイプの肌着は脇汗をガードできずに透けも目立ちやすいので、私は一枚も持っていないのですが、上に着る洋服の形状によっては相性が良いのかも知れません。
肌着は人前でさらけ出すとダサいといったデメリットがないとは言いませんが、思春期のような多感な時期でもなければメリットの方が大きいと思うので、節約家こそ上手く肌着の機能を活かしてほしいと思います。