節約はレジャー!

中野信子のブラックマーケティングは節約家に超おすすめ!

脳からマーケティング解説

今回紹介する本は中野信子さんの「ブラックマーケティング 賢い人でも、脳は簡単にだまされる」です。

この本はマーケティング学者の鳥山正博さんとの議論で構成された本なのですが、脳科学者の中野信子さんならではの視点が、一般的なマーケティング本とは一線を画す内容になっていました。

消費者心理を利用してモノを売るマーケティング技術が紹介されているだけでなく、「なぜに人はそのような反応をしてしまうのか?」といった事が脳科学的に紹介されており、「ブラックマーケティング」の副題でもある「賢い人でも、脳は簡単にだまされる」事がよく分かる内容になっています。

なぜにマーケティングの本が節約家におすすめなのかというと、「合理的な判断をして選んでいるつもりでも、実際にはそうでもない事がよくある」という事が理解できるからです。

モノを売りたい企業側からすると、様々なマーケティング技術は有効ではあるのですが、それは裏を返すと消費者側にとっては不利益な事が多く、まさに「ブラックマーケティング」に当てはまってしまいます。

買ってから後悔した経験は誰にでもあると思いますが、まさにその後悔こそがブラックな手法によって導き足された可能性が高いです。

「俺は騙されないぞ!」

と思っている人でも、実際には想像以上に影響を受けており、そのような人向けのマーケティング手法も確立されています。

自分の意志だけで脳をコントロールする事が難しいと理解する事こそが、ブラックな手法を回避する方法であり、冷静さを取り戻すきっかけを見つけやすくなるので、節約家のみなさんにも学びが多いと思います。

考えたくない脳

ブラックマーケティングで解説されている内容の中で私が最も感銘を受けたのが、「脳は省エネ状態を好む」というものです。

基本的に脳はなるべくなら考えたくないので、判断基準を他者に委ねる傾向があります。

「ヒット商品でみんなが使っているから良いものなのだろう」

のような感じで、自ら必要性を感じて解決策を見つけ出すのではなく、誰かの評価を基準に選択する傾向があります。

その方が自ら考える事や調べる事にエネルギーを使わずに済むので楽なわけです。

これは流行のファッションばかりを追う人で考えると分かりやすいのですが、自分に似合うファッションや求めている機能が満たされている洋服を選ぶのではなく、流行という他者から評価されるであろう基準だけで選択しています。

その流行も本当に多くの人から評価された結果であれば、まだ良いのですが、ファッションの流行というのはファッション業界が誘導するものであり、未来であるはずの「来春の流行は○○カラー」といった感じで、実際には流行する前から決められています

そうしないと来春の新しい洋服の製造に間に合いません。繊維メーカーに発注して洋服を仕立てるとなると、それなりの期間が必要なので全て事前に決められ、その通りにファッション誌が誘導していきます。

自分の体型や肌の色や年代に全く合わないカラーの洋服でも、流行を抑えておけば一定の評価が得られるので、脳は楽そうなその道筋を選択してしまいます。

またその誘導にも様々なテクニックが用いられています。いかに消費者に冷静に考えさせないで購入させるかが勝負であり、それこそがマーケティング技術でもあるので、消費者側にとってはブラックな方法になってしまいます。

逃れられない脳

「私は自分なりにしっかりと考えてから選んでいるよ」

と思う人も多いかも知れませんが、これも実はかなり怪しいと解説されています。

嗅覚や聴覚というのは脳の無意識に簡単に介入できるので、冷静な判断を司る新しい脳(前頭葉)ではなく、欲求を司る古い脳に影響があります。

例えば高級なお店にはポップミュージックではなく、クラシック音楽が流れている事が多いのですが、これもマーケティング技術として当たり前のように取り入れられている事です。

歌詞のあるポップミュージックだと、その歌詞の意味に反論もしやすいのですが、クラシック音楽の世界観のようなものは、よほど相性が悪いものでもない限り、無意識が影響を受けてしまいます。

香りも同じです。よほど苦手な匂いでもない限り、脳は無意識に引っ張られてしまうので、欲求を司る古い脳が優位になり、冷静な判断を下す前頭葉の活性化が抑えられてしまいます。

当ブログでは以前に衝動買いを抑えるテクニックを紹介した事があるのですが、

参考衝動買いがやめられない人へ

ここで紹介したテクニックというのも、まさに高ぶった感情を抑える為の方法でした。

もちろん嗅覚や聴覚だけでなく、「期間限定」や「今だけの特別価格」や「数量限定!」のような視覚情報から訴えてくるケースもあるのですが、多くの節約家であれば、このような文字情報からの誘導は避けられるのですが、本能に訴えてくる嗅覚や聴覚からの誘導からは逃れられません。

このような事があると知っておくだけで、気づいたら高ぶっていた感情の変化に気がつく事ができるようになります

本当に探し求めていたモノを見つけたから感情が高ぶっているのではなく、何かしらの仕掛けて感情が高ぶらされてるから、欲しくなっているのだと気がつけるようになります。

男性なら美人の店員に接客されると、ついつい乗せられてしまうものですが、この時に「俺はこの人にドキドキしているだけで、このモノには関係ないよな」と気づくと、スッと感情を鎮める事ができます。

この感情の変化に気が付けないと目的がすり替わってしまい、購入してから後悔してしまいます。

ちょっとしたウィンドウショッピングのつもりで覗いたはずが、いつの間にか商品を手に取ってしまうのは、何かしらの仕掛けで脳が冷静な判断を出来なくなってしまった可能性が高いです。

コーヒーの試飲を積極的に勧めているお店がありますが、あれも凄く良くできたシステムであり、人は何かしらのサービスを受けると、それ相応のお返しをしたくなるので、これといって欲しいものがなくても「何か良いものはないかしら?」と店内に入る事になります。

香り高いコーヒーで気分を高め、熱々なので直ぐに飲み干す事もできず、こぼさないようにゆっくりと店内を眺める事になり、馴染みにスーパーで売られているものよりも価格が高いのにも関わらず、あっさりと手に取ってしまいます。

これらのように本能に訴えかけて目的をすり替えてしまうのがマーケティング技術であり、脳を冷静な判断ができない状態へ導いていきます。

高ぶった感情を抑える為にも脳は楽な方を選ぶので、多くの人が自分で判断する事なく、その場で提案された解決策を選択してしまいます。

自分で選んでいるつもりでも、実際には売る側の都合によって選ばされる事は珍しくありません。

これがブラックマーケティングの副題でもある「賢い人でも、脳は簡単にだまされる」という事です。

うな重のランクの松竹梅などで考えると分かりやすいのですが、多くの人が平均的な竹を選ぼうとするとするので、竹が最も利益率が高く設定されています。

梅のうな重を頼んでも全く同じ鰻が使われている事は珍しくありません。器を安っぽくしたり、付け合わせの漬物や味噌汁が違う程度なのに、500円ぐらいの価格差があります。

酷いところだと松ですら同じ鰻を出しています。せいぜい見栄えが良い鰻を選ぶ程度で、豪華な器や付け合わせを豪華にするだけという事もあります。

松竹梅に合わせて鰻を用意するより、全て統一した方がコストが抑えられて利益率が高くなります。

鰻は贅沢品でたまにしか食べられないからこそ、多少の価格差を気にしないという消費者心理を上手くついています。商品の質に見合った価格設定にするよりも、感情に訴えかける事で利益率を引き上げています。

2000円ぐらいで販売するのが妥当な洋服だとしても、あえて定価を1万円にして7割引きで3000円と表示した方が、手に取る側の感情を揺さぶる事が出来てしまいます。

冷静に洋服の品質を確かめられると騙される事もないのですが、それこそマーケティングの腕の見せ所であり、「期間限定の特別セール」といった情報をアピールする事で、冷静に判断させないように仕掛けてきます。

私自身は節約家という事もあり、普段からそれなりに冷静に判断をしているつもりでしが、「ブラックマーケティング」を読むと、想像以上に様々な要因で無意識が影響を受けているのだと勉強になりました。

美人局のような分かりやすい例であれば、多くの人が対処できるとは思いますが、香りや聴覚のように逃れられないものもあるわけです。

ただそれも感情の変化に気がつく事ができると、冷静さを取り戻すきっかけとして機能してくれるので、予め知って置く事が大切です。

本当に優れているモノや必要としているモノを手にする事は構いませんが、マーケティングの技術によって目的がすり替えられているケースが珍しくないという事だけでも、覚えておいてください。

まとめ 広告業界の躍進

大手広告代理店のサイトによると、広告費は2011年から2018年にかけて右肩上がりで伸びていました。

それだけ効果がある事の裏返しでもあるのですが、商品の開発費用や原材料費に予算を掛けるよりも、広告費を掛けた方が企業にとって利益につながるわけです。

特に近年はスポーツ業界への広告費が伸びているそうで、興奮している人へのアピールが効果的なんだそうです。

本当に優れている商品を開発するより、上手な売り方をする方が儲かりやすいという事であり、これは消費者にとっては必ずしも喜ばしい事ではないはずです。

自分で判断しない人ほど、それらの広告によって無意識に選択させられてしまいます。

人は知らないジャンルのモノほど不安になり、知っているモノを選びたくなるので、やたらと商品名を叫ぶCMなどが放送されるわけです。

音声だけのラジオのCMなどは特にそうなのですが、商品の良さや機能をアピールするのではなく、耳障りの良いポップな商品名ばかりをアピールする傾向があります。

少し冷静になって自分の頭で判断できれば、同じような価格のモノであれば、広告費をかけていないモノの方が、より開発費や原材料費を掛けていて質が高いかもと考えられますし、同じような質のモノなら広告費を掛けていないモノの方が安く売られていると分かります。

判断基準を持ち合わせていないジャンルのものほど、莫大な広告費を投入している有名メーカーが選ばれます。

自分が仕事で関わっている分野のものだと、多く人が裏側を知っているだけに冷静に判断できるものですが、その感覚をあらゆる分野に広げる事で、本質を見極められるようになるのではないでしょうか。

考える事にエネルギーを費やしたくない脳は、手っ取り早く解決できそうな情報に触れると、サッとそちらを選択してしまいます。

飲料水に不安のある外国に行くと、現地の飲料よりもコカ・コーラを選びたくなるように、知識がないものは上手く選ぶ事ができません。

旅行中だけであれば、それでも良いとは思いますが、日常的にそのような選択ばかりをしていると、必要以上に高いものばかりを選んでしまう事になってしまいます。

年々広告費が伸びているという事は、それだけ自分の頭で考える人が少なくなっている証でもあり、必要でもないモノを手にしては後悔する人が増えています。

商品を売りたい側にとってのマーケティングは間違っていませんが、消費者側にとっては判断を狂わされるブラックな技術でもあるので、中野信子さんの「ブラックマーケティング」は節約家こそ知っておくべき情報が満載だと思いました。

この本を読んだからといって、具体的な節約テクニックが学べるわけではありませんが、より本質的な理解につながると思うので、機会があればぜひ読んでみてください。

 

私は読書好きでもあるので、中野信子さんの本はたくさん読んでおり、当ブログでも紹介した事があるのですが、

参考中野信子の努力不要論が秀逸!

人間の脳というのは自分でコントロールできているつもりでも、想像以上に些細なことから影響を受け、他人の手のひらの上で踊ってしまっているものです。

その事にすら気がつけない人も多いので、ずっと踊らされ続けるのもある意味では幸せな事なのかも知れませんが、その状態だといつまで経っても本当に自分が求めているモノと出会えないので、心から満足する事もありません。

「あ、踊ってしまっているな」

と気がついた途端に踊りは止める事ができるので、気持ちの良い音楽から距離を保つ事が出来るようになります。

これらのように影響を受けてしまう事を前提として理解していると、感情の変化によって気がつく事も出来るのですが、「俺は絶対に影響を受けないぜ!」と頑なに信じている人ほど、自分の感情の変化に気がつく事ができません。

マーケティング技術は物凄く洗練されており、そのような人向けのマニュアルも確立されているので、頑固おやじのような人でも、あっさりと高額な商品を買ってしまう事があるものです。

あえて売りたい側の都合を知る事で様々な気づきが得られるので、消費者側の視点から取り上げている「ブラックマーケティング」は、多くの節約家の役に立ってくれると思います。

自分の仕事に関する事や知識が豊富な趣味の世界のものであれば、多くの人が騙される事がないように、裏側の仕組みを知っておく事で、あらゆるジャンルのモノでも的確に見極められるようになりますよ。

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節約はレジャーを書いている人

光司

光司

離婚を経て人生のどん底を味わってから節約に目覚めたアラフォー男子の光司(コウジ)です。 実際に役に立った節約情報やオリジナルの節約方法を紹介します。 お金のかからない健康法や節約が上手くいく人の考え方など、様々な観点から節約について紹介するブログを目指しています。 より詳しいプロフィールはこちら⇒ [詳細]