科学的な根拠は正しい?
世の中には様々な健康法やダイエット方法がありますが、それらの方法の「科学的な根拠」が、裏付けとして利用されています。
その科学的な根拠が間違っていると言いたいわけではありませんが、必ずしも正しいとは限りません。
特に自分にとって正しいかどうかは、わかりません。
どんな健康食品でも、わざわざリスクになるようなことはアピールしません。いかに優れているかをアピールしてきます。
たくさんの科学的な根拠の中から、都合のいいものだけをアピールしてきます。
もちろん訴訟リスクを避ける為に、裏面や隅の方に「全ての方に効果があるわけではありません」のような事が書いてあるものですが、わざわざ小さく目立たないように書かれています。
この辺は保険の約款を見るとイメージできると思います。
また科学的な根拠の他にも、「80%の人が効果を実感!」といった曖昧なデーターを加えてくることも多いです。
この80%といっても、詳しく見てみると、
すごく効果があった20%
少し効果があった40%
効果があったように感じる20%
何も感じなかった20%
のような結果だったりします。80%の人がもの凄く効果があったとは限りません。
科学的な根拠というデーターが悪いわけではありませんが、それらを何も考えずに鵜吞みにしてしまうことにはリスクがあります。
人は権威に弱い
人は誰でも権威に弱いものです。凄そうな人が言っていると、それだけで説得力が増すものです。
自分が詳しい分野の事であれば、偉そうな人が適当なことを言っても「そんなわけない!」と判断できるものですが、詳しくない分野だと、どうしても偉そうな人の意見を鵜吞みにしてしまうものです。
「アメリカのカリフェルニア州のUCLE大学の分子心理学の権威、ジョン・マクラーレン教授の研究によると・・・」
などと言われると、つい確かな情報のように感じてしまいます。
ちなみにカリフェルニア州もUCLE大学も分子心理学もジョン・マクラーレン教授も存在しません。今私が適当に書いただけです。
ここまで適当な情報を科学的な根拠として利用するのは詐欺ですが、実在する大学だった場合、それなりに権威性を感じるのではないでしょうか。
これが日本で東大や京大の名前を出されると、それなりに信ぴょう性が増すものですが、お金さえ出せば誰でも受け入れる地方の無名の大学の名前だと、少し信ぴょう性が失われると思います。
特定の分野に強い大学が長年研究したデーターであれば、それなりに信用するに値するとは思いますが、海外の大学の名前となると日本人はつい信じてしまうものです。
テレビでもこの権威性を利用している評論家が多いものです。全く聞いたこともないような海外の大学の研究結果を、さも凄い発見のように引用したりします。
地方の無名大学の研究結果が悪いと言いたいわけではありませんが、よくよく聞いていみると
「20人の学生に調査したところ・・・12人の学生に効果が認められた」
といったような曖昧なデーターだったりするものです。それも全く専門分野ではない大学の研究結果ということもあります。
その12人も明らかに効果があったとは限りませんし、「何となく効果があったように感じる」といった曖昧な評価の人も含めての12人かも知れません。
ちなみに私の住んでいる街にある私立大学は、20年ぐらい前から定員割れが目立ち、海外からの留学生を多く受け入れています。現在では学生の半分以上が中国人です。
もしこの大学が心理学の実験を学生を使って行った場合、その結果は日本人よりも中国人に当てはまることになるかも知れません。
これがアメリカの大学となると人種も様々です。食生活や文化も違いますし、宗教上の理由で全く肉を食べない人も含まれているかも知れません。
ハンバーガーとポテトとコーラが中心の白人のアメリカ人に効果が認められた結果だとしても、それが多くの日本人に当てはまるとは限りません。
よくストレスやホルモンの変化をあらわす実験結果が語られていますが、人種や社会環境や生活習慣が全く違うところで調べられたデーターなので、自分に当てはまるとは限りません。
これらの科学的な根拠が悪いわけではありませんが、あくまでも自分で判断することが大切です。これらを参考にするのは構いませんが、鵜吞みにはしないでください。
コーヒーの健康ブーム
数年前からコーヒーによる様々な健康効果が言われるようになりましたが、このブームを強く非難している方もいます。
その方が言うには、それぞれの健康的だという科学的な根拠が間違っているということではなく、その科学的な根拠を掲示している組織に問題があると避難していました。
いわゆるコーヒーに関連する企業や大学ばかりが、コーヒーの有効性をアピールしていることを問題視していました。
直接コーヒー業界と関係がないような研究所でも、コーヒー関連の企業から多額の寄付金を受け取っていたり、政治家が絡んでいたりしているようでした。
当たり前のことですが、これらの組織がコーヒーにとって不利益になる情報が見つかっても、わざわざ開示するわけがありません。良いところだけをアピールするのは当然です。
これはあらゆる業界で行われていることです。
この事を理解した上で、科学的な根拠と上手に付き合っていってほしいと思います。全てを疑えということではなく、妄信しないで参考程度に利用してください。
私もコーヒーが大好きで毎日3杯ぐらい飲んでいるのですが、これらの健康情報を鵜吞みにしているわけではありません。
単純にコーヒーの味が好きなのと、朝にコーヒーを飲まないと頭痛がしてしまうのも理由の一つです。
コーヒーに含まれているカフェインは、血管を収縮させる効果があると言われており、頭痛の原因の一つである脳内の血管の拡張による刺激を抑えると言われています。
ですが、コーヒーを飲まない人が頭痛になるわけでもないですし、全ての頭痛持ちの人がコーヒーを飲むことで頭痛が和らぐとは限りません。
単純に私の頭痛と相性が良いだけです。
カフェインだけなら紅茶や緑茶の方が多く含まれているのですが、どうもコーヒーを飲まないと頭痛になってしまいます。
単なる思い込みのせいなのか、習慣による安心感なのか、それともコーヒーに含まれている他の成分のおかげなのかはわかりませんが、単純に私の身体の相性が良いので毎朝コーヒーを飲んでいます。
そもそもコーヒーのカフェインの効き方にも個人差があるものです。私のように何杯も飲んでも夜ぐっすりと眠れる人もいますし、たった一杯のコーヒーでも眠れなくなる人もいます。
カフェインの覚醒作用の科学的な根拠があるのは間違いないのでしょうが、その覚醒具合には個人差があるのが普通です。
これもあらゆることに当てはまるのではないでしょうか。
血圧を下げるのに効果的な食材だとしても、効果がある人もいれば、全く効果がない人もいます。そもそも血圧が上がった原因が様々なので、何か一つの方法だけが優れているわけではありません。
あくまでも相性の問題です。
より多くの人に効果があったものが、自分にも効く可能性が高いのは間違いありませんが、合わないものは合いません。
結局は自分で判断するしかありません。科学的な根拠を参考にするのは構いませんが、自分の心の反応を無視しないでください。妄信してしまうと余計なリスクを背負うことになってしまいます。
まとめ 科学的根拠との上手な付き合い方
科学的な根拠に基づいたデーターを参考にするのは構いませんが、あくまでも相性を見極められるのは自分だけです。
逆に10%の人にしか効果が認められないものでも、あなたとの相性が良ければ最高の選択肢になります。
そして科学的な根拠そのものも、少し疑うようにしてください。特に(自社調べ)などは、あまり当てにするものではありません。
よく洗濯洗剤などの新商品で「従来品よりも洗浄力が1.5倍アップ!」などとアピールしますが、ライバル製品と比べて優れているとは限りません。
私はわきが体質なもので、白い肌着やTシャツの脇に黄色く汚れが付いてしまうのですが、皮脂汚れに強くなった新発売の液体洗剤を試してみても、何も結果は変わりませんでした。
結局、一番よく落ちるのは昔ながらの粉末タイプの洗濯洗剤です。
この粉末タイプの洗濯洗剤が必ずしも優れているのではなく、あくまでも私の脇の汗を落とすのに優れているということです。
汗や皮脂汚れが少ない方であれば、洗浄力が弱くても「すすぎ一回」で済む液体洗剤の方が便利かも知れません。
結局は自分で判断するしかありません。
80%の人に効果が認められた薬だとしても、残り20%の人にとっては、ただの副作用があるだけの毒薬です。
薬はお医者さんと相談しながら、それこそ検査結果を元に決めていくことができますが、自分だけで選ぶ商品となると、科学的な根拠や権威に影響を受けやすいので気をつけてください。
どんなに有名なもの、売れているもの、みんなが持っているもの、そして科学的な根拠があるものだとしても、自分に合わなければ意味がありません。
これらを参考にするのは構いませんが、しっかりと自分で判断するようにしてください。
当たり前のことですが、意外と多くの方が出来ていないように思います。
全く似合ってもいないのに流行のファッションを身に着けていたり、滅多に料理をしないのにメンテナンスが大変な鋼の包丁を持っていたり、3人家族なのに7人乗りの大きな燃費の悪い車に乗っていたりするものです。
科学的な根拠に限ったことではありませんが、自分と向き合うことなく安易に他人の基準に当てはめてしまうと、余計なリスクを抱えることになるので気をつけてほしいと思います。
しっかりと自分の基準で判断できるようになると、自然と無駄なものが減って節約にもなるものですよ。