嗅覚の重要性
まずは嗅覚を取り戻すことの重要性について説明していきます。少し長い前置きになりますが、嗅覚が衰えたままだと勿体ないということを、しっかりと理解してほしいと思います。
視力の衰えは眼鏡やコンタクトレンズで矯正することが出来ますし、聴覚の衰えも補聴器などで補うことが出来ますが、嗅覚の衰えは補うことができません。
現代は視覚から得られる情報量が膨大であり、当ブログも含めて文字情報を視覚で認識するのですが、だからこそ現代人は嗅覚が鈍感になっていると言われています。
匂いは視覚情報だけでは伝わらない情報をたくさん含んでいます。わかりやすいのは食べ物の腐敗です。見た目では腐っていなくても、匂いの変化(酸っぱい匂いなど)で見極めることができます。
この食べ物の見極めも現代人は賞味期限に頼り切りなので、ますます嗅覚の出番が少なくなっています。
嗅覚は食べ物の腐敗だけを判断するわけではありません。料理の満足度は匂いによって大きく左右されます。
昔あるテレビ番組で目隠しをして鼻をつまみながら、何を食べたのか当てるクイズがあったのですが、驚くほど正解率が低かったものです。トリュフや松茸などの高級食材は香りに価値があります。
また嗅覚は過去の記憶と結びつきやすいという特徴もあります。
嗅覚を司る脳の部位と記憶を司る部位(海馬)が非常に接近しており、五感の中で最も記憶(情動)を呼び戻すと言われています。
過去の経験(腐敗臭の記憶など)を元に、安全なのか判断することが出来ます。これは初めて食べる食材に対しても同様です。匂いで過去の記憶と照らし合わせて、一瞬で判断することができるのが嗅覚の鋭さです。
そして嗅覚は食べ物以外でも同様の判断を下します。畳みのある家庭で育つと「畳み匂いは心地よい」と認識されますが、そうではない家庭で育つと「畳みは臭い」と判断するかも知れません。
三世代同居で育った人であれば、知らない人の加齢臭でも安心感を感じるかも知れませんが、核家族だと慣れないイヤな匂いとして認識されるかも知れません。
嗅覚による判断、認識は過去の記憶、経験を元に振り分けられます。過去にある匂いを感じた時に、気持ちの良い体験(記憶)が出来上がると、その匂いに対する認識が良いものになります。
大好きな人とのデートでラベンダー畑を訪れると、ラベンダーの匂いが良い記憶として残るようなことです。
嗅覚による振り分けは自分の人生経験そのものです。本能レベルで好き嫌いを振り分けています。
多くの人が自分の好みは自分で判断していると思っていますが、実は様々な文化や教育や考え方に影響されています。
異性の好みは人生経験の少ない若者ほどわかりやすい見た目に惹かれるものですが、一方で様々な経験を積むと見た目だけでは判断しなくなります。
精神的な要素や社会的なポジション、価値観の近い人を魅力的な異性だと感じるようになるものです。
これは本能で選んでいません。言い方が悪いですが、経験をもとに「損得」で選ぶようになります。これが悪いことではないのですが、この「損得の基準」を自分で判断しているとは限りません。
世間の常識に影響されている可能性がとても高いのです。これが結婚相手となると、さらに年収や世間体や親の希望などが加わり、本能レベルから惹かれる相手とは遠ざかってしまいます。
これは現代社会で生きていくには、ある程度仕方がないことではあるのですが、一方で嗅覚は世間の常識や教育の影響を受けにくいという特徴があります。
より本能に近いレベルで判断することができるのが、「嗅覚の凄さ」です。
「どこが好きななのかわからないけど何となく大好き」のような印象になります。これはフェロモンのようなことではなく、過去の自分の記憶(経験)を元に、優しかった人の匂い、良い人の匂い、素敵だった人の匂いなど感じ取って判断しています。ただ言葉にできないだけです。
逆に年収や容姿などは完璧でも「何となく好きになれない」ということがあります。よく「なんか匂うんだよな~」という表現がありますが、これがまさに過去の記憶(経験)を元に、悪かった人の匂い、騙す人の匂い、苦手だった人の匂いを感じ取って、危険信号として判断するようなことです。
しばしば女性が「生理的に無理!」といったことを言いますが、まさにこれが本能レベルで感じ取った状態です。
もう一度いいます。嗅覚には教育や世間体が入り込むことがほとんどありません。自分の過去の経験を元に潜在意識が良し悪しを判断します。
自分が心から気持ちのいいと感じる匂いは、誰かに押し付けられた基準ではないので、選択をした時に満足度がとても高くなります。
一方で視覚情報は騙されたり、ごまかされる可能性があります。詐欺師や泥棒がいかにもそれっぽい格好をしているわけがありません。
嗅覚が衰えてしまうと、様々な情報を判断する時に上辺だけの情報に惑わされてしまいます。
だからこそ、現代人が衰えがちな嗅覚を積極的に取り戻してほしいと思います。嗅覚を取り戻すということは、本能(潜在意識)を呼び覚ますことになり、本当に自分が求めている人生を選択しやすくなります。
大変長い前置きになりましたが、それだけ嗅覚が大事だということです。
ここからは具体的に「嗅覚を取り戻す方法」を紹介していきます。
嗅覚を取り戻す3つのステップ
1 鼻の健康
嗅覚を取り戻す為には、鼻の健康状態を整えることが先決です。
単純に鼻が詰まっていると匂いを感じることはできません。鼻炎や花粉症の治療をすることは、嗅覚を取り戻す為にも大切なことです。
必要があれば病院で適切な治療を受けてください。
もちろ風邪をひいていたり、身体の調子が悪いのも同様です。日頃から健康的な生活を心がけるようにしてください。
また口の中の健康も大切です。口臭が酷いとその他の匂いを感じ取りにくくなります。鼻の健康も含めて清潔を心がけることが大切です。
2 鼻呼吸
次は口呼吸の改善です。日頃から口で呼吸をしていると、そもそも匂いを感じる機会が激減しています。
鼻呼吸はウイルスや細菌の侵入を防ぐだけではなく、様々な匂いを感じ取ることになります。
口呼吸は見た目の印象も悪いので、日頃から鼻呼吸を心がけるようにしてください。
また睡眠時にいびきをかく人は口呼吸になっているので、睡眠環境や生活習慣を見直して鼻呼吸になるようにしてください。
ちなみに鼻の通りを良くするためには、片方の鼻の穴をふさいで、一つの鼻の穴だけで深呼吸することがおすすめです。最初は左右の鼻の穴で差があるものですが、片方ずつ交互に深呼吸を繰り返すことで鼻の通りが良くなっていきます。
3 匂いを意識に上げる
嗅覚は無意識に感じるものですが、あえて意識に上げることで積極的に鍛えることができます。
これは単純にあらゆるモノの匂いを嗅ぐことです。
特に食べ物を口に入れるときに、匂いも同時に感じるように意識してください。
実は嗅覚は衰えているというよりも、認識しなくなっていることがほとんどです。自宅の匂いをあまり感じないように、慣れた匂いを脳は認識しません。
いつもと違う匂いは何かしらのサインなので、脳は積極的に認識してくれるのですが、その為にも日常的に溢れている匂いはスルーしてしまいます。
そんな日常的な匂いでも意識して嗅ぐことで感じることができます。普段自分の体臭を感じなくても枕に鼻をつければ感じるものです。久しぶりに実家に戻ると、懐かしい匂いがするものです。
このようにあらゆるモノに匂いがあることを再認識してください。これが匂いを意識に上げるということです。
今あなたの目の前にあるモノの匂いを嗅いでください。スマホでもスマホケースでも独特の匂いがあるものです。
これは聴覚も同様です。モスキート音のように聴覚が衰えると聴こえない音も、実際には脳に聴こえています。聴こえた上で必要ない音と判断して除外しています。
モスキート音をギリギリ聞き取れる周波数まで下げ、そのギリギリの周波数の音を意識して感じ取るようにすることで、徐々に限界は引き上がる可能性があります。
嗅覚を取り戻す為には、あまり難しく考えなくていいのですが、様々なモノに匂いがあるということを改めて意識してください。匂いは食材以外にも溢れています。紙や木材、洋服の繊維、洗剤、柔軟剤、何でも構いませんが、日頃からスルーされている匂いを積極的に感じるようにしましょう。
まとめ 嗅覚は潜在意識センサー
衰えた嗅覚を取り戻す為には、
- 鼻の健康
- 口呼吸の改善
- 身の回りの匂いを意識
これらを心がけてください。あらゆる匂いが溢れていることに気がつくと思います。
嗅覚は人生経験を元に本能レベルで良し悪しを判断することができます。嗅覚は潜在意識を利用した優れたセンサーということです。
匂いに鈍感だと「食べ物の味がわからなくなる」だけではありません。無意識に受け取る情報量まで少なくなってしまいます。
よく「第六感」と呼ばれるものがありますが、これは言葉に表現しにくい嗅覚や聴覚から得られた情報から沸き起こる情動とも言われています。
「何となく匂う」「何となく気持ち悪い」と潜在意識が判断し、その時の情動を感じとります。
女のカンは鋭いというイメージがありますが、旦那さんのシャツから漂う別の女性の僅かな匂いで、何となく不愉快な情動を呼び起こされているわけです。奥さん自身が匂いだと気がついていなくても、イヤな情動としてあらわれるほど強烈なものです。
過去に浮気された経験のある女性ほど、このセンサーが鋭くなります。
嗅覚が衰えていると料理の満足度が下がるだけではなく、あらゆる物事の判断基準が鈍くなるということです。トイレの排泄物の匂いの変化で体調の悪化を判断できなくなるかも知れません。
また嗅覚は危険察知能力だけではなく、相性の良い物を感じ取る能力でもあります。新しく出合った人を、過去の経験をもとに信頼できるタイプの人だと一瞬で感じ取られるようになると、人生はより豊かになるのではないでしょうか。
見た目だけで判断してしまうと、容姿の良い詐欺師にあっさりと騙されてしまうかも知れません。洋服をブランドだけで判断してしまうのは危険です。
一方で視覚だけではなく五感をフル稼働して判断できれば、外見だけに惑わされることなく、「何となく匂う」と感じられるものです。
また匂いに鈍感な人というのは、単純に自ら悪臭を発している可能性が高いです。周りの人へ迷惑をかけていることに気がつかないのは、やはり素晴らしい人とは言えません。あなた自身の魅力を引き上げる為にも、嗅覚を取り戻してください。
匂いは相手の無意識に訴えかけるので、どんなに素晴らしい提案やプレゼンをしても、不潔な人の匂いだと判断されると難しくなります。
もちろん匂いだけで良し悪しを判断するわけではありませんが、横並びの状態であるならば、匂いは大きなアドバンテージになると思います。清潔感を心がけることはすごく大切です。
自分の匂いを整える為にも、相手の匂いを感じ取る為にも、嗅覚を取り戻す必要があります。鼻の健康、口呼吸の改善、そしてあらゆるモノの匂いを意識に上げて、嗅覚を取り戻してください。
また嗅覚のトレーニングは素晴らしい脳トレになるとも言われています。普段から匂いを意識してこなかった人ほど脳が活性化するのでおすすめです。
匂いを意識するようになると、水道水の塩素の匂いや缶ジュースの金属の匂いも感じ取れるようになります。あらゆるモノを判断する基準が研ぎ澄まされるので、より良いものに出合える(判断できる)ようになります。
私自身も昔から嗅覚が鋭い方なのですが、初対面の男性から消毒液のような匂いがしたので「お医者さんですか?」と聞くと、「なんでわかったんですか?」と驚かれるような事が良くあります。
床屋さんの人の匂いも独特なものがありますし、ペットを飼っているのも分かりやすいです。
誰でも初めて入ったお店の匂い、初めて出会った人の匂い、初めて食べる料理の匂いを無意識に感じ取っているものです。そして何かしらの判断をしています。言葉にならなくても情動(機嫌や気分)に表れるているという事を覚えておいてください。
慣れてしまっている日常の匂いを改めて意識に上げることで、本当に自分が心地よいと感じる匂いを選べるようになるので、正常な嗅覚を取り戻しましょう。イヤな気持ちになる匂いにまで慣れてしまっていると、何をしても幸せになれません。
寝室の掃除や洗濯を徹底してイヤな匂いの元を取り除くことができると、睡眠の質は間違いなく上がります。睡眠中ですら嗅覚は危険な匂いを察知する為に活動しているので、汚い部屋に慣れてしまっているとガス漏れに気がつくのが遅くなるかも知れません。
人生を豊かにする為には、何か新しい物を購入することばかりではありません。同じ出来事からでも、より良く感じられる感性を身につけられると、あらゆるモノの満足度が上がるものです、
一粒のチョコレートでも、香りを楽しむことが出来る人と、そうではない人では満足度が違います。
もちろん視覚で楽しんだり、味覚や食感で楽しめる感性も重要です。同じ物でも受け取る側の能力次第で満足度は大きく左右します。
どうしても人間は慣れてしまう生き物なので、より良いモノ(高級チョコレートなど)を求めてしまいますが、それではお金が際限なくかかってしまいます。ミシュランの三ツ星レストランでないと満足できない人は、そこ以外の食事で満足できずにむしろ不幸なのかも知れません。
今まで匂いを意識してこなかった人、嗅覚が衰えている人というのは、実は凄いチャンスです。嗅覚を取り戻すことを意識するだけで、あらゆるモノの満足度があがる可能性があります。
視覚や聴覚と比べて見落とされてしまう嗅覚ですが、だからこそ意識して取り戻してください。きっとあなたの人生を豊かにしてくれます。
まずは目の前にあらゆるモノの匂いを感じてください。それらの経験値が今後の人生の潜在意識センサーのレベルを引き上げてくれますよ。
コメント
上手く説明できない違和感の正体が嗅覚ということか
確かにクサイとかニオウって使うかも
by 匿名
この人なんか匂う・・・っていうのも潜在意識が察知しているんだね
取りあえず鼻炎体質をなんとかしなきゃな
by 匿名