手入れの時間
人は様々な物を使用して生活をしていますが、どのような物でも手入れ次第で寿命が大きく左右されるものです。
メンテナンスフリーの物も増えてきましたが、そのような物でも、やはり扱い方や手入れによって違いがあるものです。
物を大切に扱うことは素晴らしいことではありますが、大切に扱うことばかりに意識が向いてしまうと、その物によって得られる本来の目的から遠ざかってしまうことが珍しくありません。
高級な洋服だったからと大切に扱うあまり、季節外れになったり、流行遅れになったり、身体のサイズが変わってしまうと、結局どこにも着ていけなくなるようなことです。これでは本末転倒です。
そのような品質は高いけれど手入れが大変な物を、品質はそこそこだけど手入れがしやすい物に意識的に変えることで、その物を使用することで得られる目的を達成しながらも、手入れの時間も短縮させることが出来ます。
そこで今回は、手入れのしやすさという基準から時間短縮テクニックを紹介します。あくまでもその物によって得られる目的を第一に考え、中途半端にそれ以外の目的を求めないことで、無駄な時間を短縮できるものです。
1 包丁
例えばプロの料理人が使用しているような高級な包丁を、一般の主婦が使用していると時間の無駄になっていると考えられます。
あまりにも切れ味の悪い包丁は調理が遅くなりますが、プロの料理人ほどの切れ味を求める必要はありません。
プロが求めるほどの切れ味をキープするには定期的に研ぐ必要があります。また食材によって様々なサイズを使い分ける必要もあります。
必ずしも一般人がこれほどの品質を求める必要はありません。むしろ使いきれない品質の為に、余計な時間(手入れの時間)が奪われてしまいます。
一方で通販番組で売られているようなお手頃価格の包丁には、プロが求めるほどの品質はありません。ですが、一般人が求める包丁の切れ味は十分に確保しています。
簡単な手入れでもそれなりの切れ味をキープすることが出来るので、調理の手間を犠牲にする事なく、手入れの時間を短縮させることになります
またそれらの包丁は良く考えられており、重さや握る太さも主婦向けに作らており、調理がしやすくなる可能性も高くなります。
2 フライパン
一般的にプロが使うような高級なフライパンや鍋というのは、コーティングがされていません。きちんと熱を入れることによって機能を引き出すことになるのですが、その為に余計な時間や光熱費が必要になります。
そのようなことを怠ると簡単に焦げ付いてしまいます。また洗剤を使うと表面の油が落ちて錆びてしまうこともあります。
一方でテフロン加工などがされているフライパンや鍋は、焦げ付きにくいので油の量を抑えることも出来ます。
また手入れも簡単なので、時間の節約に繋がります。
ただし、長期間使用するとコーティングが剥がれてくることがあるのですが、これらは日ごろの扱い方によっても寿命が左右されます。
金属のヘラを使わずにキズを付けない工夫や、フライパンや鍋を重ねて保存しないことで長持ちさせることが出来ます。中途半端に取っ手が取れて収納しやすいものを選ぶと、コーティングが剥がれやすくなってしまうかも知れません。
3 高級生地
洋服の生地も高級な天然素材ほど手入れが大変になります。
カシミヤのセーターは普通の洗濯機で洗うことは出来ません。すぐに風合いが損なわれてしまいます。
日頃から洋服ブラシで繊維の隙間に入り込んだホコリを取り除き、また繊維の向きを整える必要があります。
これを怠るとワンシーズンで毛玉だらけになり、風合いが損なわれてしまいます。
一方で手入れのしやすいアクリルのような素材のセーターを選べば、自宅の洗濯機でも簡単に洗うことが出来ます。
また高級生地の中には汗をかくことを前提としていないケースもあります。全て召使任せにする貴族のような人達が好んでいたような高級繊維というのは、安易に一般の人が選んでしまうと、ちょっとした行動で台無しにしてしまうかも知れません。
あえて手入れのしやすい生地を選ぶ事で、日々のメンテナンスが楽になって清潔感のある状態を保ちやすくなります。
4 合成皮革
様々な革製品は手入れを怠ると、すぐにひび割れてしまいます。
たまにしか使わない冠婚葬祭用の靴や鞄の素材を、手入れが簡単な合成皮革にすることで時間を短縮させることが出来ます。
合成皮革であれば、軽く絞った濡れタオルで拭くだけでOKです。丁寧に油分を足したり、磨く必要はありません。
新品の段階であれば、合成皮革よりも天然の革の方が美しいものですが、手入れを怠った合成皮革と天然の革では、合成皮革の方が圧倒的に劣化しません。これも人によっては相性が良いのではないでしょうか。
5 掃除機
サイクロン式の掃除機の多くは、手入れをしないと吸引力が落ちてしまいます。
紙パック式のように簡単な交換ではなく、細かく部品を外して洗わなければならない掃除機もあります。
これらを最新式の掃除機に変えることや、あえて紙パック式の掃除機に変えることで、手入れの時間を大幅に短縮することができます。
サイクロン式の大家であるダイソンの最新式の掃除機であれば、そのような手入れも簡単になっていますが、騒音問題やバッテリーの劣化などの問題もあるので、必ずしもベストな選択とは限りません。
家庭によってはお掃除ワイパーの方がずっと楽に掃除を済ませられるかも知れませんし、手入れも必要なくなります。
絨毯などが多い家庭であれば掃除機の方が効率が良いですが、そもそも絨毯が本当に必要なのかと考えてみてください。絨毯が無くなるだけで掃除の手間はグッと楽になるものです。
6 収納の工夫
部屋のインテリアとして様々なモノを飾っている場合は別ですが、そうではない物をきちんと収納することで、掃除の手間を大幅に短縮することが出来ます。
収納ボックスの上のホコリだけであれば簡単に掃除出来ますが、細かな造形の物の掃除は簡単ではありません。
掃除のしやすさを考えた収納を意識すると、大幅に時間を短縮させることになります。
これは綺麗好きな友人から教わった事なのですが、彼は部屋に置く物を掃除のしやすさを基準に選んでいました。
余計な装飾やデザインのせいで掃除の手間が増えてしまっている事は珍しくありません。安易にオシャレな要素を取り入れてしまった事で、手入れが必要になるかも知れないので気をつけてください。
7 観葉植物
葉っぱの多い観葉植物の手入れは簡単ではありません。一枚一枚拭きあげると時間がかかってしまいます。
これを葉っぱの少ない観葉植物に変えることで大幅な時間を短縮させることが出来ます。また造花にすれば水やりや日光や虫の発生等の問題も無くなります。
ちなみに病室にある観葉植物は、夜間に二酸化炭素を排出してしまうので、こだわりの強い病院では、豪華な個室の病室にある観葉植物を夜間は部屋の外に持ち出すそうです。
良かれと思って取り入れていた観葉植物のせいで、余計な手間や不利益を被っているケースは珍しくないのかも知れません。
もちろん観葉植物が大好きな人であれば、それらのデメリットを上回るメリットを感じられるのかも知れませんが、それほどこだわりがない場合は処分するのも一つの選択肢です。
まとめ 手入れの手間
料理好きの人であれば本格的な調理器具を使うことに抵抗はないと思いますが、家事が忙しくて少しでも時間を短縮したい主婦にとっては、あえて手入れが簡単な調理器具を選んだ方が便利なものです。
洋服や革の素材もファッション好きであれば、手入れを楽しみながら行えるとは思いますが、それほど興味のない人であれば、手入れのしやすさで選んだ方が結果的に綺麗に長く使えるものです。
手入れのしやすさを意識した物選びのポイントというのは、こだわりがない箇所に中途半端な品質やオシャレを求め過ぎないということです。
車好きでもない人がスポーツカーに乗っても良いことはありません。乗り降りしにくく、荷物も積めず、燃費も悪く、スピードが出過ぎて運転が難しくなります。
車ぐらい高額なものだと、よほどの金持ちでもない限り、そのような選び方はしませんが、ちょっとした雑貨や道具となると、意外と多くの人が中途半端な選び方をしてしまい、余計な手間が増えてしまっています。
他にもたくさん考えられると思います。ロングヘアーにこだわりがないのであれば、ショートヘアーにすることで髪を洗う手間やセットをする時間、シャンプーやコンディショナーの節約にもなるかも知れません。
カーテン選びも中途半端にこだわってしまうと、自宅での洗濯が難しくなったり、遮断性が下がったり、保温性が犠牲になるかも知れません。
食器なども中途半端にオシャレな要素を取り入れてしまうと、凹凸があって洗う手間が増えたり、重ねて収納できなかったり、食洗器が使えないなどの制約もあるかも知れません。
自分が求めている役割を満たせた上で同じぐらいの価格であれば、デザインやカラーを好みで選ぶのは良いと思いますが、好みの方に引っ張られ過ぎてしまうと、無駄に高くつくだけでなく、日々の手入れといった手間まで増えてしまう事になってしまいます。
お金の節約も大切ですが、僅かな金額の差で毎日数分余計な時間が増えてしまうのだとすれば、長い目でみると大きな損をしてしまいます。
物を大切に扱うことも素晴らしいのですが、自分の時間も大切です。扱いの難しい焦げ付きやすい鍋を無理して使い続けるより、さっさと手放した方がその後との人生の時間を生み出す事になるかも知れません。
もちろんこだわりのある物や趣味は別です。それらは退屈な日常を色鮮やかにしてくれるので、たっぷり時間をかけながら楽しんでください。
そのような大切な時間を確保するためにも、そうではない日常のこだわりのない行動や物を見直してみてください。手入れのしやすさや掃除のしやすさを意識した物選びを出来るようになりましょう!
コメント
昔の私はなんでもカワイイという基準で選んでいました。
子供が生まれて忙しくなってそんな事をいってられなくなり、効率重視で選ぶようになると、あらゆる家事が楽になりました。
本当に大切な子供の都の時間を確保するという意味でも、そうではない箇所にこだわらない方が良いという視点には同意します。
by 匿名