数ある速読本のテクニック
当ブログ「節約はレジャー」では、以前に簡単な速読法について紹介したことがあるのですが、
ここで紹介した速読のテクニックというのは、過去にいくつかの速読本を読んで実践してみた経験から、私なりの解釈を加えたテクニックでした。
これが間違っているというわけではないのですが、より根本的に速読の本質について書かれている本があったので紹介します。
それは宇都出雅巳さんの「どんな本でも大量の読める『速読』の本」です。
「速読とはこういうことか!」
と凄く納得させられました。この本に書かれているテクニック(考え方)を意識して本を読むようになると、実際に大量の本を素早く読めるようになったのでおすすめしたいと思います。
宇都出雅巳さん流「速読術」
「どんな本でも大量の読める『速読』の本」の著者である宇都出雅巳さんが、数々の速読本を読み、速読セミナーなどにも参加され、それらを実践されることで到達した結論が衝撃的でした。
それはchapter1で語られている「内容を知っているから速く読める」と言うことです。
当たり前のことですが、これは多くの人の盲点になっていることではないでしょうか。
自分の興味のある本、事前に知識が蓄えられているジャンルの本は、誰でも速く読むことができます。
一方で全く知らないジャンルの本を読むとスピードは落ちてしまいます。しかもしっかりと読んだところで理解できるとは限りません。
私は中学時代の同級生が、地元の国立大学の准教授になって論文を発表したというのを聞き、それを取り寄せて読んだことがあるのですが、まったく理解できなかった経験があります。
もちろん日本語なので読むことは出来るのですが、どうやら宇宙に関する内容らしく、初めて見るカタカナ言葉が溢れており、全て読んだところで全く理解できませんでした。
これは一度も厨房に入ったことがないような男性が、料理本を読んでも全く理解ができないようなことです。
文章としては読むことは出来ますが、例えば「短冊切り」という切り方がどのような形になるのかイメージができないと、内容を理解することができないようなことです。塩少々と書いてあっても、どれぐらいの量なのかイメージできません。
これはあらゆるジャンルに当てはまることです。
自分の知らない知識は具体的なイメージをすることが出来ないので、しっかりと丁寧に読んだとしても正しく理解できないということです。
巷に出回っている様々な速読テクニックで速く文字を読むことができたとしても、内容が理解できないので知識として身に付きません。要するに速く読んでも意味がないということです。
この解決策として宇都出雅巳さんが提案している方法がとてもユニークでした。それが「高速大量回転」という速読法です。
高速大量回転とは
宇都出雅巳さんが提唱する「高速大量回転」という速読法は、意味がわからなくても気にせずにどんどん読み進める方法です。
いちいち「短冊切りってどんな形だったかな?」と考えるのではなく、理解できなくても読み進めることでベースとなる知識が蓄えられ、次に読んだときに自然と理解できるようになるようなことです。
なので同じ本を何度も読み返すことをおすすめしています。
ゆっくりと3時間かけて一字一句丁寧に読み進めるよりも、素早く1時間で3回読んだ方が内容が入ってくるようなことです。
実際に私が「高速大量回転」を実践してみると、読み始めたときに理解できなかった単語や文章が、何度も読むことで自然とイメージできるようになっていて驚きました。
ゆっくりと難しい本を読み終えると達成感が得られるものですが、だからといって内容を深く理解できているとは限りません。序盤に読んだ内容など薄れているものです。
一方で「高速大量回転」だと、初めは「短冊切り」がイメージできなくても、その先に「千切り」や「みじん切り」などの少しは知っている知識が出てくることで、少なくても千切りとは違うとイメージできるようになります。
さらに別の料理で「短冊切り」が出てきた時に、そちらの料理のイメージが頭の中にあれば「あ~そういう形か」と、頭の中の知識がつながっていきます。
全く知らない料理や食材の「ひと口大」はイメージしにくいですが、その先のページに知識のあるカレーライスの「野菜のひと口大」が登場すると、頭の中で知識が統合されてイメージしやすくなります。
このように初めて読んだときに内容が理解できなくても、その先のページの内容で自分の知識とイメージが合致することは珍しくありません。
すると二度目に読んだときには序盤に理解できなかった「短冊切り」や「ひと口大」が、すんなりと入ってくるようになります。
これが宇都出雅巳さんの「高速大量回転」の凄さです。一度目の読書で理解する必要はなく、何度も読むことで総合的な理解力が高まるという視点に驚かされました。
ベースの知識を蓄えるための読書
はっきり言ってしまうと、普段読書をしない人は本を速く読むことができません。ベースとなる知識が圧倒的に不足しているからです。
わかりやすく言えば子供のようなことです。一字一句声を出しながら、ゆっくりとしか読むことができません。
これを言ってしまうと元も子もないようですが、速読が出来る人というのは、単純にベースとなる知識が豊富だということです。
だからこそ同じ本を何度も読むことで、総合的な理解力を高めることが速読に効果的なのだと思います。自分の好きなジャンルの本を何度も読めば、誰でも読むスピードは速くなっていきます。
全く本を読まない子供でも自分の好きなゲームの攻略本であればスラスラと読めるものです。これもベースとなる知識が既にあるからです。
また料理で例えますが、料理初心者でも同じ料理を何度も作っていれば、誰でも速くなります。
その人が別の料理を初めて作る時に、慣れた料理と同じような速度にはなりませんが、共通する調理工程に関して言えば速くできるわけです。
当然その別の料理も何度もつくることで、どんどん洗練されて速くなっていきます。
そうなるとさらに別の料理を作ったときに、共通する調理工程がさらに増えているので、初めてでも速くなります。
料理のようなものだと当たり前のことですが、速読も同じだという事です。ベースとなる知識量が豊富な人ほど、新しい本でも速く読めるようになります。
このベースとなる知識、土台を固める作業が宇都出雅巳さんの「高速大量回転」という速読法です。
速く読むことだけを追及した速読テクニックとは根本的に違います。内容を深く理解する為に有効な速読法なので、ぜひ意識してみてください。
手持ち本で実践してみると、この速読の凄さが理解できると思います。実際にスマホのストップウォッチなどで計ってみると、読む度に早くなっていくのを実感できますよ。
まとめ 一生モノの知識
私は宇都出雅巳さんの「どんな本でも大量の読める『速読』の本」を何回読んだかわかりません。おそらく二十回以上読んでいます。もちろん「高速大量回転」なので現在では数分で読み終えられます。
数ある速読本の中でダントツでおすすめしたい素晴らしい本です。
分厚い本を読み終えたときは達成感がありますが、だからと言ってすべて覚えているわけではありません。ベースとなる知識を元に印象に残った(理解できた)箇所だけが、漠然と記憶されているだけです。
一方で「高速大量回転」だと読む度に新しい発見があります。初めの頃に理解できなかった箇所がイメージできるようになり、それがまた別の箇所のイメージをつくることにつながります。
誰でも好きなジャンルのことでは自然と行っているものですが、それを速読のテクニックとして取り入れられるのが「高速大量回転」の凄さです。
大好きな小説を何年かぶりに読むと、当時とは違った印象を受けるものです。それはベースとなる知識量が変化したからでもあります。
映画も2度目となるとオチがわかっているので、序盤の伏線に気がついたりして、より深く楽しめるものです。
小説や映画は娯楽作品なので、わざわざ速読のような事をする必要はありませんが、回数を重ねることでより深い楽しみ方ができるのはイメージできるのではないでしょうか。
また既に所有している大切な本を何度も読み返すことは、理解が深まるだけではなく、節約という意味でも相性が良いと思います。
節約術も考え方やコツをつかむと、あらゆるジャンルに応用が利くものです。ベースとなる知識が豊富だと、今まで気がついていなかった箇所の節約まで見えてきます。
ラーメンの作り方を極めた人は、パスタの作り方を極めるのも速くなります。パスタの知識が少なくても調理の手順や効率がすでに高いからです。
速読も全く興味のないジャンルの本でも、ベースとなる知識が豊富だと確実に理解するスピードは速くなります。
本を読めば読むほど速く読める(理解する)ようになるという事実を、改めて宇都出雅巳さんの速読術が教えてくれました。
世の中には様々な速読テクニックがありますが、速く目を動かして読んだところで理解していなければ、あまり意味はありません。
本を写真のように記憶するテクニックもありますが、それが出来たところで内容を理解していなければ読んでいないのと同じです。
バッチリ記憶できていれば、いつでも頭の中で読み返すことは出来るのかも知れませんが、それならスマホで検索するのと大した違いはありません。
宇都出雅巳さんの速読は、しっかりと内容を理解をする為の速読法です。ここがスピードだけの速読術とは大きな違いです。
「どんな本でも大量の読める速読の本」は本当に一生モノに知識になると思います。時間の節約という意味だけではなく、明らかに本の理解力が高まるのでおすすめですよ。
まずは本棚に保管しているお気に入りの本から試してみてください。一度も読み返す事がないような本を所有していてもスペースの無駄なので、何度も読み返したくなる本だけを精査する意味でも使えるテクニックですよ。
追記 電子書籍版がおすすめ
宇都出雅巳さんの「どんな本でも大量の読める速読の本」は文庫本でも出版されているのですが、個人的には電子書籍版がおすすめです。
節約という意味では文庫化された本の方が安いのですが、電子書籍版には電子書籍ならではのメリットについて内容が追加されています(PDFでダウンロード)。
そもそも「どんな本でも大量の読める速読の本」の中で「速読には電子書籍が向いていない」と言っているのですが、実際に大量の読書を実践されている宇都出雅巳さんならではの、電子書籍に対する考え方が紹介されているのでおすすめです。
私の個人的な考えとしては、電子書籍の方が速読に向いていると思っています。文字を簡単に大きくできるので、少し離して読むことで視線移動が少なくなり、1ページあたりの文章量も少なくなるので、どんどんページをめくっていく快感を味わえます。
電子書籍は好みの問題もあるので、全ての人におすすめできるわけではありませんが、本棚のスペースを奪われないので、個人的には気にいっています。
目の疲れといった問題もありますが、専用のタブレットだとその辺の事も考えられています。一度も経験をした事がない人は、スマホでもアプリをダウンロードすれば体験できるので、ぜひ一度電子書籍を試してみてください。相性が良ければ本棚を手放す事ができるかも知れませんよ。