「がんを克服できる脳」レビュー
今回は苫米地英人さんの「がんを克服できる脳 大切な人が病気になったら、あなたが未来を導こう」という本を紹介します。
本のタイトルにあるように「がん」を克服するための方法について書かれているのですが、この本の素晴らしいところはプラセボ効果についての解説が秀逸であり、ぜひ皆さんに知ってほしいと思いました。
私は著者である苫米地英人さんのファンであり、何十冊もの本を所有しているのですが、中でもこの「がんを克服できる脳」は別格だと感じています。
難しい言葉を極力避けており、初めて読む人にとってもわかりやすい構成になっています。
節約をすすめているブログで紹介する内容の本ではないのですが、健康対策、病気についての考え方として素晴らしいものがあるので紹介させてください。
特に「どうせプラセボ効果だろ!?」と安易に決めつけてしまう人にこそ、知ってほしい内容が満載です。
プラセボ効果とは?
まず初めに「プラセボ効果」について説明します。
プラセボ効果(プラシーボ効果)とは偽薬効果とも言われており、患者に偽の薬(小麦粉を固めただけの錠剤等)を飲ませた時に、実際に狙った効果が出る現象のことです。
偽の薬を飲む患者が素晴らしい特効薬だと心から信じることで、身体の免疫力が高まり、実際に効果が出ると考えられています。
このプラセボ効果は昔から言われていることであり、怪しい健康法などに対して「どうせプラセボだろ」と言う人がいるのですが、このような考え方をしていると、せっかくのプラセボ効果が期待出来なくなってしまいます。
例えプラセボ効果だとしても、本来の目的である治療効果が期待できるのであれば、それはそれで素晴らしい治療法ですし、それを最大限に引き出す方法について詳しく解説されているのが「がんを克服できる脳」の凄さです。
中途半端なプラセボ効果の解釈だともったいないので、しっかりと理解した上で上手くプラセボ効果を上手く引き出せるようになりましょう。
確信による変化
例え偽物の薬だとしても患者が本物だと信じる力が強ければ強いほど、プラセボ効果が働く可能性があります。
例えば、お医者さんがいかにもダメそうな格好や体型をしていると、この信じる力が弱まるようなことです。患者側に不安要素があるとプラセボ効果は弱まってしまいます。
大学病院のような権威ある立派なお医者さんが自信満々に「これを飲めば大丈夫ですよ」と言うのと、どこの誰ともわからない人がすすめる薬では雲泥の差がうまれます。
このような信じる力を弱めてしまう要素を排除し、逆にプラセボ効果だとしても効き目があると確信することで効果に大きな差が出ます。
個人病院よりも最新設備が整っている大学病院に患者が殺到するのも、この信用度の違いによるものです。全く同じ治療を行われても効果に差が出る事は珍しくありません。
印象による違いで分かりやすいのは料理の満足度です。コンビニで売られているプラスチック容器のお弁当を、きちんとした器に入れるだけで美味しさが増すような事です。
器を入れ替えた当人は知っているので効果がありませんが、知らない人からすると「凄く美味しい料理だね」と感じる事は珍しくありません。
数年前のテレビ番組で様々なカレーを同じ器に入れて味比べをする企画があったのですが、名だたる有名カレー店を抑えてあるコンビニのカレーが2位に輝いていました。3位の専門店のカレーの価格がコンビニカレーの4倍もしていた事が印象に残っています。
他にもカキ氷のシロップの味なども分かりやすいでしょうか。昔ながらカキ氷のシロップの味はどれも同じであり、着色料の違いしかありません。目隠しをして何味だか当てられる人はいません。
これぐらい人は正しく物事を判断できていません。ちょっとした疑いや信用が評価を変える事など珍しい事ではありません。
ラーメン屋さんで美味しくラーメンを食べた後の会計の時に、厨房が見えて物凄く汚い事に気がつくと、満足していたはずの気持ち吹き飛んで気持ち悪くなるかも知れません。
ちょっとした印象の違い、確信度の狂いで五感が狂い、身体に何かしらの生体反応が出るのは自然な事です。
大好きな娘さんが父親の為に初めて手料理を作ってくれたのであれば、父親にとっては何よりも美味しい料理になるような事です。確信度が高いと実際の料理の味を簡単に超越してしまう事があります。
プラセボを引き出すポイント
プラセボ効果については理解してもらえたと思いますが、単純にプラセボ効果さえ引き出せればOKという事でもありません。
苫米地英人さんの「がんを克服できる脳」では、一般的ながん治療を否定しているわけではありません。ここが多くの自然療法のがん治療本とは違うところでもあり、おすすめしたい理由でもあります。
現在のがん治療に100%効果があるものはなく、だからこそ効果があるかもしれないプラセボ効果を同時に引き出す重要性について解説されています。
「がんを克服できる脳」の中に乳がんの患者の例があるのですが、その女性は実際に乳がんが皮膚を突き破って目視できる段階になっており、そのままではがんが消えていくイメージをすることが難しい(確信できない)ので、しっかりとがんの摘出手術をしてもらっています。
その上でプラセボ効果を最大限に引き出す方法を取り入れていきました。
しばしば抗がん剤治療を否定する自然派治療の人達がいますが、苫米地さんのスタンスはそれらと同時進行でも全く影響がないといった感じです。
抗がん剤治療や薬の副作用のせいで身体が弱まり、免疫力が発揮できなくなるのは、単純にレベルが低い(確信度が低い)だけであり、しっかりと理解していれば一般的ながん治療と同時進行でも、プラセボ効果を発揮できる方法が解説されています。
また患者本人だけではなく、家族や友達という立場からプラセボ効果を引き出す方法についても詳しく解説されています。これも覚えておいた方が良い知識です。
医者が何かしらの治療を施す時に、患者の家族が不安な表情をしていると、その不安が間接的に患者にも伝わりプラセボ効果が弱まってしまう可能性があります。患者を支える家族は「絶対に良くなるよ!」ぐらいの気持ちを持っておく必要があります。
しばしばドラマなどで患者の家族にだけ真実を伝え、患者には作り笑顔で「ただの胃潰瘍みたいよ」といった演技をする事がありますが、大抵は患者がその違和感を感じ取って不安になってしまうわけです。
患者に真実を伝えない事が良いというわけでもありませんが、「現在の医療なら70%も回復するんだから、あなたなら絶対に大丈夫よ!」といった感じで強気に構えた方が、患者側にとっても希望の光となりやすいかも知れません。
ぜひ皆さんにはこの知識を知っておいてほしいと思います。現在困っていなくても、これから大切な人を守る為にも重要な知識になるはずです。
病気と闘っている本人だけの問題ではありません。知らず知らずのうちに周囲の人が、プラセボ効果を弱めてしまうような態度だったり、看病をしている可能性があります。
著者の苫米地英人さんは、世界一のコーチ(故ルー・タイス)の直属のお弟子さんでもあり、コーチングによって人をより良い未来へ導く技術にも長けている凄い人です。
私もコーチングの本を何冊か所有していますが、コーチングの技術というのは、人を良い方向へ導くとともに、悪い方向へ導かないようにする技術でもあります。
悪い方向というのは、わかりやすい例だと悪口のようなことです。
- おまえにはどうせ無理だよ
- 何をやっても意味ない
- やるだけ無駄
のような、いかにもネガティブな発言を控えるということだけではなく、言葉の助詞や細かいクセについても明確な方法論があります。
言葉尻の僅かな表現方法の違いでも、脳の無意識が認識する情報に差が生まれてしまうことは珍しくありません。
そのような細かな技術に長けている苫米地英人さんだからこそ、プラセボ効果を最大限に引き出す技術、逆に弱めてしまう技術の違いがわかるのだと思います。
ノーセボ効果
「がんを克服できる脳」で紹介されている言葉ではないのですが、プラセボ効果の反対にノーセボ効果というのものがあります。
これは本当に効く薬だとしても、患者本人が毒だと信じてしまうと、本当にそのような反応が出てしまう現象のことです。
本屋さんにいくと「抗がん剤治療」や「放射線治療」について、ネガティブな意見の本がたくさん見つかります。
どの治療法も100%はないのですが、仮に20%の効果があったとしても、本人が否定的な意見を持っているとノーセボ効果で10%に下がってしまう可能性があるわけです。
全ての自然療法が悪いという意味ではありませんが、これは非常にもったいないことですし、恐ろしいことでもあります。もしかしたら抗がん剤で簡単に治るケースだって十分にあるわけです。
また自然療法を行うにしても確信度の高さがポイントになります。そのポイントに特化したのが苫米地英人さんの方法論であり、それは脳の仕組みを利用した技術であり、一般的ながん治療を否定することなく併用することが可能です。
これらの事を治療する側、治療を受ける側、その家族も含めて知っておくことで、的確ながん治療を行いながらも、強いプラセボ効果を引き出して免疫力を高めやすくなるのではないでしょうか。
まとめ 病は気から
「病は気から」という言葉があるように、気持ちの問題は無視するべきではありません。
「がんを克服できる脳」を読むことで、その認識(気持ち)が想像以上に大切なんだと学ぶことが出来ました。
簡単に内容をまとめると、前向きでポジティブな楽観主義が良いということなのですが、苫米地英人さんはそれだけでは不十分であり、より確信度の高い「楽観主義すぎ」にするべき理由を「がんを克服できる脳」で解説してくれています。
出来れば何度もこの本を読んでほしいと思います。聞き慣れない言葉も出てくるので、何度か読んでいくうちに、より理解が深まり、確信度も高くなると思います。
最後に私の実体験を紹介します。
私の身体にも心の持ちようで実際に生体反応が出た事がありました。
私が小さな頃、林の中で蛾の大群に遭遇してしまい、あまりの恐怖と気持ち悪さで泣きながら自宅に戻ると、母親が物凄く驚いた表情で、
「一体どうしたの!!」
と叫んだことを今でも覚えています。あまりにも心配している母親の表情に驚いて泣き止んでしまうほどでした。
母親が驚いた理由は、私の全身にじんましんが出ていたからです。
鏡の前に連れていかれると紫色の斑点が全身に浮き出ていました。それを見てまた驚いたことを覚えています。
それはかなり小さな頃(おそらく小学校の低学年)の記憶であり、その後はしばらく忘れ去られていたのですが、20代の中頃にテレビのニュース番組で、大量発生しているマイマイガの映像を見た途端、また全身にじんましんが出てしまいました。
その瞬間に昔の記憶を鮮明に思い出したのですが、脳は一瞬で物理的に全身の皮膚に影響を与えるほどの力を持っています。
リアルな蛾に触れることもなく、テレビの中の映像を見ただけで身体が変化してしまいました。
私のようにじんましんが出るほどでなくても、何かしらのきっかけでイヤなことを思い出して、震えがきたり気分が悪くなったことがある人も多いのではないでしょうか。
逆に学生の頃に好んで聴いていた音楽が、どこからか流れてきた瞬間に、甘酸っぱい思い出が蘇って心地良くなったこともあると思います。
このような事は珍しいことではありません。
このようなプラスの現象を積極的に引き出す方法が、苫米地英人さんの「がんを克服できる脳」で解説されているプラセボ効果です。
これをしっかりと理解できると、マイナスの現象(私でいう蛾のトラウマ)の対処方法も理解できるようになります。
私の中の蛾に対する評価(認識)を変えてしまえば解決します。
蛾を気持ち悪い存在から所有したいほど好きな昆虫に変えれば、蛾を見た時にじんましんどころか、可愛い猫でも見た時のように興奮するのかも知れません。
同じ現象、同じ対象でも、考え方(認識、評価、捉え方)によって結果が変わるのは当然です。
小さな子供が書いた下手くそな絵でも、自分の子供が書いたと知った途端に評価は変わります。ピカソやラッセンよりも好きになるものです。
何の気なしに食べていた羊羹が「とらやの羊羹」だと知ると、急に美味しく感じられるかもしれません。羊羹の味が変化するわけではありませんが、心構えが変わると満足感は大きく変化します。
がんに対する考え方を上手く変えることができれば、自然と身体は元の健康な状態へ戻ろうとします。それも積極的にです。
苫米地英人さんの「がんを克服できる脳」は、全国民に読んでもらいたいぐらい素晴らしい本です。
ちなみにがん細胞は誰でも毎日のようにつくられているそうです。しかも数千個の規模で発生しては免疫力が働いて排除してくれているそうです。体調や考え方が影響を与えるのは、それほど不思議なことではないと思います。
ネガティブな発想が悪いことは誰もが知っていると思いますが、ポジティブな発想を積極的に強める方法を「がんを克服できる脳」を読んで学んでほしいと思います。
ただし現在では中古か電子書籍でしか手に入れることが出来ません。それでも本当に価値があると思うので、強く強くおすすめしておきます。
このような素晴らしい本こそ、文庫化して誰もが気軽に手に取れるようになってほしいものです。
ちなみに書籍版には特殊音源のCDが付属されています。
私は電子書籍での購入なので手に入れられていないのですが、苫米地英人さんの他の書籍で特殊音源を体験したことがあります。
詳しいメカニズムについて私はよくわからないのですが、脳波をリラックスした状態に促すようなイメージの音楽です。
YouTubeの苫米地英人さんの公式チャンネルのなかで、いくつかの特殊音源が無料で公開されているので、気になる人は聴いてみてください。
音楽を聴いて直ぐにがんを克服できるというわけではありませんが、落ち着いたリラックスした状態になるのであれば、考え方にも好影響を与えてくれるのだと思います。
強いストレスやネガティブな発想は筋肉を緊張させてしまいます。当然血行も悪くなりますし、呼吸も浅くなってしまいます。
「がんを克服できる脳」には身体をリラックスさせる簡単な呼吸法、そして自らの活力をみなぎらせる気功法、さらに瞑想方法まで紹介されています。
本当にすべての人にプレゼントしてあげたいほどの名著です。ちなみに初めて楽天kobo(電子書籍)を利用される場合、かなり割引になるので節約的にはamazonのkindleよりも楽天の電子書籍である楽天koboがおすすめです。
この本が売れて文庫化され、全国のコンビニやキヨスクに並ぶことになれば、日本人の病に対する認識が大きく変わると思います。
あなたの購入が日本を良い方向へ導くことになるかも知れません(笑)。本当におすすめなので「がんを克服できる脳」を是非読んでほしいと思います。節約家とも相性が良いと思いますよ。