上手い話には裏がある?
よく「上手い話には裏がある」と言いますが、あまりにもこれを受け入れ過ぎてしまっている方がいるものです。
先日、ある知り合いと観光地に訪れた時のことです。
その方は、
- 観光名物に上手いものはない!
- おすすめ商品は全部ウソ!
- 俺は騙されない!
といったことを、度々口にしながら、結局コンビニのお弁当を購入していました。
「上手い話しには裏がある」と警戒するのが悪いわけではありませんが、あまり極端に傾いてしまうと、せっかくの上手い話も見逃してしまうように感じます。
上手い話には何かしらの裏があるものですが、その裏を見極めることが出来れば、上手に受け取れるようになります。
上手い話の裏を理解しよう
例えばスーパーの入り口で野菜がセールで格安になっていたとします。
ここで「上手い話には裏がある」と疑い、「どうせ粗悪品だろ」と決めつけてしまうと購入することが出来ません。
一方で野菜の旬を理解している人であれば、「ちょうどこの野菜の旬の時期だから安くて美味しいんだろうな」と判断できるものです。
旬でもない時期に安売りをしていたのであれば、産地を確認することで納得できるかも知れません。同じ野菜でも北海道と九州では旬の時期が2ヶ月ぐらいずれる事があるものです。
外国産の野菜だとしても、「中国は不安だけど、オーストラリアなら大丈夫かな」といった判断が出来るかも知れません。
多くの主婦が旬をイメージできる野菜のようなものであれば、上手い話の裏を見抜くことは難しくありません。
これが観光地の名物となると少し知識が必要になります。その土地の名産品で安いこともあれば、名産品だからこそ高いということもあります。
鮮度が重要な魚のようなものであれば、その土地で食べる方が安くて上手い可能性が高いですが、お菓子のような加工食品だと高い可能性があります。
イカの名産地の食堂で「イカソーメン定食」を頼むと、1000円未満で食べられるものですが、同じレベルのイカソーメンを東京で食べるとなると3000円ぐらいになるかも知れません。
東京は人件費が高いのでイカの仕入れ価格が同じだとしても高くなります。実際には運搬費があるので仕入れ価格も高く、立地代も高いので、商品価格が何倍にも膨れ上がってしまいます。
このような事は様々なものに当てはまります。
上手い話の裏(理由)がわかった上で、その話に乗るのであれば失敗ではありません。
「今すぐ美味しいイカソーメンが食べたい!」
というのであれば、割高なところで食べても問題ありません。最近はイカに負担をかけない漁や運搬方法が確立されているので、東京の一等地でも新鮮な活イカを食べられるものです。
一方で、
「美味しいイカは現地にしかない!」
と決めつけていると、余計な交通費や宿泊費が嵩んで、かえって割高になるかも知れません。
「上手い話には裏がある」と決めつけていると、この裏(理由)が見つけられなくなってしまいます。
上手くない話にも裏がある!
「上手い話には裏がある」があるのは当然ですが、実は上手くない話にも裏があります。
どんな商売でも利益を出すことが目的なので、仕入れ価格よりも高く商品価格を設定するのは普通のことです。
どんなモノでも裏がないなんてありえません。
例えば缶ジュースの一本あたりの原価は数円です。自動販売機で売られている350mlの缶ジュースは130円ぐらいですが、同じ銘柄のジュースでも激安スーパーなら1.5リットルのペットボトルが130円ぐらいで売られているものです。
原価の何十倍もの価格で販売している350ml缶のジュースを詐欺だという人はいません。
「ジュースの原価なんて数円なんだから自動販売機で定価で買うのはバカバカしい!」
といった意見が間違いではありませんが、これだけだと「上手い話には裏がある」の裏を読み違えていることになります。
自動販売機で販売されているジュースは、手軽さや冷たい、温かいなどのメリットを感じられるので、多くの方が納得して購入しています。
節約という意味だけで考えれば、激安スーパーで大きなペットボトルを購入した方がお得ですが、自宅のコップで飲む時でもなければ持て余してしまうものです。
外出時に大きなペットボトルを持ちあるくのは大変ですし、温度も変わってしまいますし、炭酸飲料なら炭酸が抜けて美味しくなくなってしまいます。
ジュースのような飲み物であれば、多くの方がこれらの裏を理解しているので、その時々にふさわしいサイズや形状(蓋のあるペットボトル)を優先して選んでいます。
定価で販売している自動販売機の缶ジュースには、特別な「上手い話がある」わけではありませんが、大きなペットボトルが安く売られている裏(常温で大量に陳列できる)がないことが、メリットになるケースがあるということです。
これが「上手くない話にも裏がある」ということです。割引されていなくても購入する側の条件と一致していれば問題ありません。
ジュースのようなものであれば誰もが理解できているような事ですが、価格が高くなったり、慣れない買い物だと判断基準がブレてしまいます。
常に「上手い話には裏がある」と決めつけていると、この上手い話の裏を読む能力が磨かれません。
すると自分の条件と適している上手い話まで見逃すことになってしまうので、気をつけてほしいと思います。
win-winを目指そう
上手い話の裏が読めるようになると、お互いにメリットを受け取れる可能性が高まります。
自動車を購入する時に販売する側の裏が読めないと、見せかけだけの割引に引っかかってしまいます。
必要もないオプション装備を付けられて、
「これは20万円相当でお得ですよ!」
と言いくるめられてしまいます。
「そんなものいらないから、もう少し安くならない?」
と言って車の本体価格を5万円でも割引してもらう方が、ずっと適しているかも知れません。
20万円相当と言っても不人気な売れ残り商品かも知れませんし、似たようなモノがカー用品店やホームセンターで格安で売られているかも知れません。
自動車を販売する営業マンは、数多の値段交渉を乗り越えている猛者なので、相手の要求をのみながらも、別の所(保険や保証パックの契約など)で利益を出すものです。
交渉が長引くほど相手の手のひらで転がされる時間も増えるので、結果的に高くついてしまうものです。
一方で車を販売する側の裏を知っている方というのは、むやみやたらに交渉しません。
「この車にコレとコレのオプションをつけたらいくら?見積書をもらえる?他の店と比較したいから」
と伝え、
「この後に何店舗か回って、今日中に決めるので」
と追い込みます。するとかなり安めの見積もりをしてもらえた上で、
「もし他のお店がこれ以上の見積もりを出しましたら、何とか上司を説得してみますので、ぜひご連絡ください」
といった感じで食いついてくるものです。
車を販売する側からすると、なるべくなら高く売りたいものですが、時間をかけずにポンと売れるのであれば、それほど利益が出なくても成績として評価されることになるので、メリットがあるものです。
実際に私もこの方法で自動車を購入したのですが、最初に訪れたディーラーの見積書を次の店に持ち込み、そこでさらに安い見積書を手に入れ、その次の店で同じぐらいの価格でサービスパック(定期検査やオイル交換)をつけてもらえました。
そして最初のディーラーで担当してくれた方に電話し、三店舗目の価格とサービスパックの内容を伝えると、そこからさらに2万円安い価格でサービスパックもつけてくれることになり、そこで契約すると伝えました。
実はその最初のディーラーは家の近所ということもあり、できればそこで購入したいと考えていたので、全てが理想通りにすすみました。
自動車を販売する営業マンは大変な仕事でしょうから、フラっと訪れたお客さんが、その日のうちに購入してくれることなど滅多にないはずです。
その後にハンコと手付金をもってディーラーを尋ねると、担当してくれた営業マンから深く感謝され、さらにあるオプション装備を一つプレゼントすると提案してくれました。
ただそのオプション装備は私には必要なかったので丁重に断ると、
「そうですか・・・では、僅かばかりではありますが、あと5千円引かさせていただきます」
と、おまけまでつきました。
営業マン側からすると大変な値段交渉のやり取りもなく、いきなり成績になってくれるので嬉しい結果だったはずです。もちろん私も欲しい車を想定していた以上に安く購入することができ、お互いにとってwin-winの関係になりました。
もちろん時間をかけながら事細かに交渉して条件を詰めることが悪いわけではありませんが、追い詰められた営業マンが泣く泣く折れる形となると、その後に遺恨が残るかも知れません。
散々時間をかけたうえに、たいして売り上げにもならないとなると、その後の整備費用などでしっぺ返しがあるかも知れません。
一方でお互いに気持ちのいい関係を構築できると、その後に何かと優遇してくれるものです。車ならリコールがあった時に真っ先に連絡してくれるかも知れません。私が営業マンなら感じのいいお客さんから選びます。
この車の買い方は、予め購入する車種が決まっており、事前にオプション装備なども含めて決めていたからこそできることですが、この辺が曖昧なままだと、
- この車は今大人気ですよ~
- 今なら特別に○○がつきます!
- ちょうどキャンペーン中でお得ですよ
といった感じで、車を販売する側に都合の良い条件に左右されてしまいます。まんまと上手い話にのせられてしまいます。
まとめ 上手い話の裏を活かそう
車に限ったことではありませんが、しっかりと自分が求めているモノ、基準を明確にしておくことで、相手側の上手い話の裏側との相性を検証することができます。
一方で自分の基準が曖昧なままだと、検証のしようがありません。
すると、
「今なら二つ購入すると、もう一つプレゼント!」
といったような情報に影響されてしまいます。一つしか必要ないモノを、二つ分の料金を支払って三つ手に入れても、全く意味がないどころか大損してしまいます。
上手い話の裏を理解するためにも、しっかりと自分が求めている物が何なのか理解してください。
何となく、「Tシャツでも買おうかなぁ~」といった曖昧な状態だと、
- 今大人気!
- 再入荷未定、残り一つ!
- 今日だけの特別価格
といった情報に影響を受けてしまいます。
一方で「ウォーキング中に着るTシャツを購入しよう」といった明確な基準があると、セールで惑わされるようなことがなくなります。
汗の吸水性や襟元の縫製など、しっかりと品質を見極められますし、ウォーキング中に履くズボンやスニーカーとの相性も考えられます。
職場で着るTシャツであれば、清潔感のあるデザインや透けにくい素材など、様々な判断基準があるものです。
そのような自分が求めている条件に当てはまっているTシャツが、たまたまセールだった場合はお得な買い物になりますが、この基準が曖昧なままだと、着ていくとこも合わせる服もないTシャツを購入してしまうかも知れません。
この判断基準こそが「表」になります。表側があるからこそ、裏側との一致を確かめることが出来ます。
上手い話の裏側を上手に見極めるには、この「表」を意識することがポイントです。表側のイメージが明確になることで、自然と裏側のイメージも見えてくるようになります。
表のイメージが曖昧だと、裏のイメージもぼやけてしまうので気をつけてください。