あったら便利なモノ?
しばしば節約情報を取り上げている雑誌などで、「あったら便利な物」として様々な最新グッズが紹介されているものです。
それらの便利グッズが悪いわけではないのですが、全ての人に便利な物として機能するとは限りません。
誰もが生活必需品という物は既に所有していますし、なくてはならない物ならさっさと手に入れています。
高価な物だと経済的に我慢しているケースがあるかも知れませんが、それがなくても生活をおくれているということは、なくても平気な物だということです。
あったら便利なモノをわざわざ探す必要は全くありません。
節約家にもお得な価格だからと必要もない便利なモノを、わざわざ探してしまう方がいるものです。
所有しているモノが壊れたり不満を覚えるようになって初めて、より便利な機能があるモノを探すのが正しい順序であり、この順番を間違えてしまうと、それほど必要もないモノで家中が溢れてしまいます。
押し付けられる不満
自ら不満を感じてより良いモノを探すのであればいいのですが、多くの不満は外からやってくる情報によって押し付けられることが多いです。
全く不満に感じていなかったモノでも、テレビや雑誌で「まだそんなモノを使っているの?」と新しい基準を押し付けられると、急に不満に感じるようになってしまいます。
今まで使っていた包丁の切れ味に不満を感じたことなどないのに、わざわざ切れ味の悪い包丁でトマトを切ってグチャグチャに潰れるのを見せつけられると、急に不満を感じて買い替えたくなるようなことです。
このような押し付けられた不満を解消する為に便利なモノを購入してしまうと、そもそも不満に感じていなかったことなので、特別便利に感じることもありません。
毎日包丁を研ぐのに不満を感じていた主婦が、簡単に包丁を研ぐことができる包丁セットの情報を見かけて欲しくなるのはいいのですが、普段から包丁を研ぐようなことがない主婦が購入してしまうと、何も結果が変わらないので便利さなど感じられません。
買ってから後悔するモノの多くが、この押し付けられた不満を解消する為に選んでしまっています。
営業のテクニックで相手の現状を否定して不満を膨らませた上で解決策を提案する手法があります。しかもそれを「教育」などと表現しています。
教育というのは相手の為になることであり、売り手側だけが一方的に儲かる手法など教育ではなく洗脳です。
人は恐怖や不満を感じて不安な気持ちになると、いち早く解決できる方法に飛びつきたくなります。目の前で拳銃を突き付けられて「財布を出せ!」と言われると、誰だって差し出します。
このような時に冷静に判断など出来ません。相手に言われるがままに行動してしまいます。
拳銃ほど分かりやすい恐怖はありませんが、このような手法があらゆるところで仕掛けられています。家中になくても平気なモノが溢れてしまっている人ほど、このようなテクニックに引っかけられています。
このような事にならない為には、何かしらのモノが欲しくなった時に直ぐに解決策に飛びつくのではなく、より良いモノを探す習慣を持つことが有効です。
より良いモノを探す
テレビの通販番組などで、吸引力が落ちた古い掃除機だとカーペットの奥にあるダニやカビを吸い取れなくなるという情報を押し付けられて不満に感じたとすると、直ぐにそこで紹介されている掃除機を購入するのではなく、より良い選択肢がないか考えてみてください。
- その掃除機よりも吸引力が良い掃除機はないかな?
- うちのカーペットはフカフカでもないし吸引力は関係ないかも
- そもそもカーペットが必要かな?
- フローリングなら吸引力が多少落ちていても問題ないかも
- だったらお掃除ワイパーだけでもいいじゃん
- あ、でもキッチンマットは必要かな
- それなら洗濯できるキッチンマットにすればいいや
のように全く別の選択肢が見えてくるかも知れません。古い冷蔵庫の電気代の高さをアピールされて不満に感じて、最新の冷蔵庫が欲しくなった場合だと、
- この冷蔵庫が一番省エネなのかな?
- うちの冷凍庫より大きいかな
- 来年には息子が上京する予定だし、もっと小さい方がいいかな
- だったら買い替えはそこまで待った方がいいかな
のように冷静さを取り戻すことが出来るようになります。恐怖や不満を感じて不安になっている気持ちを落ち着かせる為に効果的なのが、このより良いモノを考えるという習慣です。
全く別の事を考えてもいいのですが、不安を感じている時にそう簡単に気持ちを切り替えることはできないので、より良いモノを探すという習慣が効果を発揮しやすくなります。
営業マンの巧みなトークで「今のままじゃダメなんだな」と不安を感じてしまうと、目の前の提案に飛びつきたくなってしまいますが、それをいったん受け入れた上でより良い選択肢がないかと考えることで、冷静さを取り戻すきっかけとなってくれます。
「エアコンのフィルターがカビていると健康を害してしまいますよ!この最新のエアコンならフィルター掃除も簡単で健康に良いですよ!」
と言われて不安になったのであれば、
- 確かに最近咳き込むことが増えたな
- 最新のエアコンは掃除が楽で良さそうだな
- でもこれよりも楽なのはないかな?
- 20畳用って書いてあるけど、10畳用ならもっと安いかな
- 冬はストーブを使うし暖房機能もいらないかな
- 考えてみるとエアコンを使わない冬場でも咳き込むから別の原因かな?
といった感じで、より良い選択肢を考えることで冷静さを取り戻し、目の前に提案された解決策から距離を取ることが出来るようになります。ただ売る側もそれがわかっているので、
「今から30分以内の特別価格ですよ」
「今回限りで交換フィルターを二つプレゼント」
のように決断を迫ってきます。不安なうちに判断させようとしてきます。まさに拳銃を突きつけるようなことです。
これを逆に考えると、冷静に判断されると選んでもらえない商品ということでもあります。ネットでちょっと調べると、もっと安い価格でフィルターが三つセットで売られているかも知れませんし、取り付け工賃が安いところがあるかも知れません。
本当に魅力的な素晴らしい商品なら、わざわざ割引しなくても売れていきます。製品の良さだけをアピールすれば良いことです。
そのような魅力的な要素が少ないからこそ、わざわざ不安な気持ちにさせて決断を迫ってきます。必要以上に不安を煽ってくるモノが優れている可能性はかなり低いです。
これらのようなモノを購入してしまうと、元々不満に感じていないモノなので後悔することになってしまいます。
だからこそ何かしらのモノが欲しくなった時に、より良い選択肢がないか考える習慣をもってください。考えるという行為そのものが冷静さを取り戻すことになり、よりベストな選択をすることができるようになります。
まとめ なくても平気なモノ
便利なモノというのは不満が先にあった上で当てはまるものです。お店でたまたまそのようなモノを見つけると、
「わぁ~!ちょうどこんなモノが欲しかったんだー」
と不満を解消できる喜びを感じられるので、実際に便利なモノとして活躍する可能性が高いですが、わざわざ押し付けられた不満で購入していまうと、特に求めていないものなので後悔してしまいます。
いくら研いでも切れ味が復活しなくなってきた包丁を使っている人であれば、自らの意思で切れ味の良い包丁を探すので、大きさや持ち手や重さなども含めて最適なモノを見つけられる可能性が高いです。
一方で不安になって冷静さを失っている状態で購入してしまうと、大きさや持ち手や重さが合わずに使いにくい包丁ということになってしまいます。
どんなに世間で話題になっている便利なモノだとしても、不満を感じていない人にとっては便利でもなんでもありません。なくても平気なモノばかりです。
様々な誘惑や情報に惑わされないことが一番大切ですが、心が揺さぶられてしまった(欲しくなった)時は、より良いモノがないか考えるようにしてみてください。これだけで大抵の衝動買いを抑えることができますよ。
そもそも今しか買えないモノなど滅多にありません。
売れているモノなら企業は増産しますし、ライバルメーカーも似たような商品を開発してくれます。
高級ブランドだとあえて生産量を抑えて希少価値を高めるような戦略をとってきますが、それこそ便利なモノや生活に必要なモノには当てはまりません。今買わないと価格が上がるモノというのは、なくても平気なモノばかりです。
あったら便利なモノをわざわざ探す必要はないですし、既に不満を感じているモノがあれば無意識に探し出すものです。見事に不満を解消できるものと出会えると「コレだ!」と嬉しくなるものです。
食品のような消耗品であればセールに合わせてお得なものを探すのも良いとは思いますが、今の生活に全く必要としてこなかった家電製品などを、セール期間中だからとわざわざ探してしまうと、全く便利ではない余計な買いものになってしまうので気をつけてください。
私自身も楽天スーパーセールでポイントが倍増するからと、お得なモノを探してしまったことがあるのですが、そのような基準で選んだモノの多くが役に立たずに後悔してしまいました。
先に不満があって欲しいモノが決まっているのであれば、上手くセールと組み合わせることで節約することが可能ですが、セールや価格に引っ張られてしまうと、なくても平気なモノばかりを選んでしまうので気をつけてください。
どんなにお得な価格でも不満に感じていないモノを購入してしまうと、全く節約にならないどころか部屋のスペースを圧迫してしまうだけの無駄なモノになってしまうので、冷静に判断するようにしましょう。