無料のリスク
当サイトでは以前に苫米地英人さんの「フリー経済学入門」という本を紹介したことがあるのですが、私はこの本を読んで様々な無料の仕組みを知ることが出来ました。
それからは無料の物や情報に対して一定の距離を保てるようになり、かなり生活が豊かになりました。
生活が豊かになった一番の理由は、時間が膨大に増えたことにあります。
断捨離というと所有している物を手放すことばかりが取り上げられますが、あまたある無料の物や情報からの断捨離も大切だと感じています。
「無料だから」という基準
節約家は無料の物が大好きな傾向がありますが、無料だからこそ必要もない物や情報を多く受け入れてしまいます。
わかりやすいのはテレビでしょうか。
全てのテレビ番組を否定したいわけではありませんが、
「もし有料だったら、その番組を観るのだろうか?」
という基準で判断すると、多くの番組は観ないのではないでしょうか。
もちろん大好きな番組であれば「お金を払ってでも見たい!」というケースがあるでしょうが、そのような番組はそれほど多くないと思います。
天気予報ならスマホで検索すれば好きなタイミングで数秒でわかりますが、テレビだと決まった時間にテレビの前に待機しなければなりません。
娯楽としてテレビ番組を楽しむことが悪いとは言いませんが、お金を支払ってまで見たいという基準で考えると、たいして興味のない番組をダラダラと観つづけることは無くなります。
映画でイメージするとわかりやすいかも知れません。本当に観たい映画であれば映画館にいくなり、レンタルするなりするものです。
映画館で特定の映画だけが割引ということは少ないですが、安いからといって観たくもない映画を観る人はいないはずです。
たいして興味のない無料の情報を避けることで、有意義な時間が膨大に増えます。
時間に余裕が生まれるからこそ、本当に有益な物や情報と触れ合う時間も増えるものです。これが生活が豊かになったと感じる理由です。
テレビを観るなと言いたいのではなく、「無駄(興味のない)なテレビ番組の視聴を断捨離しましょう」ということです。
この無料の断捨離は、ポケットティッシュなどにも当てはまることです。
無料のポケットティッシュのリスク
ポケットティッシュぐらい貰ってもいいような気もしますが、無料のポケットティッシュには必ず広告が挟まれています。
昔はよく駅前でサラ金会社が自社の広告入りのポケットティッシュを配っていましたが、急にお金が必要になったタイミングで手元にサラ金会社の広告入りのポケットティッシュがあると、「渡りに船」とばかりに行動を促されてしまいます。
人は急にお金が必要になったりピンチに陥ると、目の前の解決策に飛びつく傾向があります。少し冷静になれば簡単に解決策が見つかるようなことでも、不安に苛まれると手っ取り早い回避行動を選択してしまいます。
お金がなくて「どうしよう・・・」と不安に襲われている人にとって、サラ金の広告入りポケットティッシュは手っ取り早い解決策として目の前に急浮上してきます。
「そんな広告に影響されない」という方も多いとは思いますが、たかがポケットティッシュでもお金を支払って購入すると扱いが変わるものです。
ポケットティッシュは無料の物だという認識だと、気軽に使い過ぎたり適当に扱うものですが、身銭を切って購入しているものという認識だと、出かける前にポケットティッシュの有無や残りを確認するようになります。
もちろんポケットティッシュの品質も違いますが、扱いが変わることの方がメリットが大きいと思います。
ちなみに私は激安スーパーで12個入りのポケットティッシュを88円(税込み)で購入しているのですが、僅かでも自分の身銭を切っているという感覚があるので、無駄にポケットティッシュを使用することが無くなりました。
感覚的には三倍ぐらい寿命が伸びた(消費量が減った)ような気がします。
また観察眼の鋭い方であれば、何かの拍子でサラ金のポケットティッシュを使っている方をみると、「お金にだらしのない奴かも知れない」と判断するかも知れません。
大事な商談がまとまってサインをする段階に、無料の広告入りの安いボールペンを差し出されると不安になるようなことです。
相手によっては無料であることがリスクと受け取られる可能性もあります。
選択させられる不自由
誰もが選択する自由を持っているはずですが、無料の物となると「選択させられる不自由」が発生します。
帰宅するとすぐにテレビをつけるという方は、テレビのチャンネルの数ぐらいの選択肢はありますが、やはり選択させられています。
録画してまで観たいテレビ番組であれば、自分の好きなタイミングでゆっくりと楽しめますが、「何か面白い番組はないかな~」という基準でチャンネルを変えている状態の人は、選択させられています。
ネットで自分の興味のあるジャンルを検索するのであれば、自分の意思で選択していることになりますが、ヤフーのようなポータルサイトを眺めているだけの人は、選択させられています。
これらはあくまでも程度問題ではありますが、自由に選択しているようで、選択させられている事実に気がついてほしいと思います。
まとめ 選択しよう!
本当に自分の好きな物や情報を手に入れると、時間の経過など気にならないほど楽しめるものですが、誰かの意図によって選択させられた物や情報ばかりでは、滅多に満足感は得られません。
登山が嫌いな人を無理やり山に連れていっても満足してもらえません。本当に好きな人が自分の意思で登るからこそ達成感が得られるものです。
ダラダラとつまらないテレビ番組を見続けて、「時間の無駄だった」と感じたことがない方はいないと思います。
その時に他のテレビ番組に解決策を求めても、自分の興味のあるジャンルのものが放送されているとは限りません。
テレビのチャンネルの数などたかが知れています。
もしこれが有料の物や情報という視点でとらえると、書籍や映画やネット動画など、選択肢は一気に広がります。もちろん趣味の活動なども当てはまります。
本当に自分の興味のある情報に触れられることになるので、満足感は桁違いに上がるはずです。
節約という観点からみると、多少のお金がかかってしまうので損したように感じるかも知れませんが、お金と同じように時間だって大切なはずです。
それほど興味のないテレビを何となく毎日四時間見ていた人が、本当に大好きな映画を毎日一本観るようになると、満足感が上がるだけではなく二時間もの空き時間が生まれることになります。
テレビに限らず、様々な無料の物にもこの視点を当てはめてみてください。
過剰な包装は開封の手間やゴミの量も増やしてしまいます。ゴミを捨てるのだって有料です。
必要のないマグカップを貰っても収納棚のスペースを奪うだけです。
無料のボールペンを貰っても使い切れるものではありません。長年放置されてインクが固まって使えなくなるか、無くしてしまうものです。
一方でお気に入りのボールペンを購入すれば扱い方も変わってきます。好みのグリップの太さを選べば字を上手に書けるようになりますし、適当に扱って無くすこともありません。それなりのボールペンであれば、中のインクの芯だけを買い替えることも可能です。
ちょっとした小物でもお気に入りの物を選択することで、それらを使用する度にちょっとした幸福感が得られます。
高価な物や贅沢品を買え!ということではありません。
生活に密着している物こそ使用頻度が高いので、僅かな機能の差やデザインの影響を日々受けることになります。
それらが無料の物ばかりだと、日々積み重なって結果的に大きな時間の無駄を生み出すことになってしまいます。
耐久性のないホテルの使い捨て歯ブラシをたくさん貰ってくると、何となく節約した気分になるかも知れませんが、すぐに毛先のつぶれる歯ブラシを使い続けて虫歯や歯周病になってしまえば、結果的に高くつくはずです。
使用頻度の高いものこそ選択させられた無料の物ではなく、あなたの基準でしっかりと選んでみてください。日々僅かな幸福感が積み重なっていきますよ。