思い出の品
誰もが多かれ少なかれ、過去の思い出を抱えて生きています。
それが心の中だけの思い出であれば、部屋のスペースは取らないのですが、実在する物であれば少し困りものです。
特に物持ちの良い方は、なかなか思い出の品を処分することが出来ません。
そこで今回は思い出の品を捨てられない時に出来る三つの方法を紹介します。節約という意味でも効果が高いと思います。
1 混同しない
初めにするべきことは、本当に思い出の品かどうかを、改めて確認することです。
どうしても捨てられない品とセットになって、そうでもないモノまで捨てずにいる場合があります。
付属するものや無駄なケースなどは、思い出の本質とは関係ありません。
引き出物を捨てられないとしても、入れ物や袋に思い入れはないはずです。
これらの混同を無くすだけで、かなりの物を捨てることが出来ます。様々な書類なども封筒事保存していればかさばりますが、本当に必要な書類だけであれば、厚みを薄くすることは簡単です。
まずは思い出の品の付属品の整理からはじめてください。付属品だけと割り切ってしまえば、いちいち悩む必要もありません。簡単に捨てられるモノがたくさん見つかります。
2 モノから想いへ
思い出の品の本質はモノそのものではなく、そのモノから思い出される記憶です。脳の中の記憶の再構築によって、感情が揺さぶられます。
その当時の記憶を思い出すための引き金(トリガー)になることこそが、思い出の品の本質です。
一方でモノがなくても思い出すことが出来る素敵な思い出は、誰もがもっていると思います。
これを理解できれば、そのモノを捨てることで、当時の思い出まで捨てることにはならないはずです。
頂いたモノでも同じです。その人への裏切り行為ではありません。モノを頂いたという記憶が残っているだけで、役割をはたしています。
また捨てられずにいる状態というのは、そのモノを送った人にとっても迷惑だと考えてみてください。良かれと思って送ったモノに相手が縛られていると感じたら、モノを送ったことを後悔するのではないでしょうか。
そのモノを頂いた時に、しっかりとそのモノの役割を果たしています。今のあなたに必要がなければ、やはり手放すべきです。だからといって記憶まで失われるわけではありません。
どんなモノにも役割があります。洋服、食器、絵画、壺、どれも倉庫にしまっておくためのモノなどありません。
モノを送ってくれた方は、使って欲しくて送ったはずです。その役割を終えているのであれば、そのモノは立派に役割を果たしたことになります。
そこが理解出来れば、感謝してモノを手放すことが出来ます。
ただし、大切な方からの手紙や亡くなった親族の品なども、思い出の品で捨てられないものです。
そのような思い出の品には、そもそもモノとしての役割がありませんので、割り切って捨てにくいという特徴があります。
このような思い出の品は、あえて日頃から目に見えるところに飾って役割を与えるという方法があります。
すると次第に慣れていくことになり、視界に入っても当時を思い出すこともなくなります。
この段階になれば完全に頭の中の記憶に刷り込まれているので、思い出の品を捨てても記憶が薄まることにはなりません。
3 情報の電子化
それでも捨てられない場合は、思い出の品を電子化する方法があります。写真やスキャナー、ビデオで撮影するようなことです。
思い出はモノそのものに宿っているわけではなく、そのモノが引き金となって思い出される記憶です。
文字だけの小説でも情景を感じて涙を流すことがあるように、思い出の品の写真という情報だけでも同じ効果があります。
どうしても捨てられない思い出の品や形見は、電子化がおすすめです。着物のようなかさばるモノでも写真に収めてしまえばOKです。
まとめ
思い出が悪いことではありませんが、思い出に縛られ過ぎるのもよくありません。昔の良かった時の思い出と現在を比較しても、まず勝ち目はありません。
人が生きてきた証というのは、誰かの記憶の中に残るものです。
有名人や著名人であれば歴史に残ることもあるのでしょうが、多くの方には関係がありません。
時々、大好きだった方を思い出してあげるだけで、その方が確かに生きてきた証になるのではないでしょうか。
思い出の品は思い入れのない人にとっては何てことのないモノです。これは当たり前のことです。
大切なのはモノそのものではなく、そのモノから引き出される個人の心の中の思い出です。
そのモノを捨てることで薄まってしまうような記憶というのは、そもそも大切な記憶ではないということでもあります。
本当に大切な記憶というのは、似たようなモノを見かけただけでもワーっと思いだされるものです。モノを捨てることで思い出まで捨てることにはなりません。
モノそのものではなく、その想いを大切にしてください。そのことが理解出来れば、思い出の品に感謝しながら、上手に手放すことが出来ると思います。