不安な気持ちを解消する方法?
世の中には様々な「不安な気持ちを解消する方法」があるものですが、それらの多くは不安を紛らわせる方法です。
不安の正体と向き合うのではなく、何か違うことに気を逸らせることで、不安感を和らげようとしています。
お守りを握りしめたり、手のひらに人という字を3回書いて飲み込んだり、最近だと瞑想をするのも不安な気持ちを解消させると言われています。
これらが悪いとは言いませんが、不安な気持ちを他の事で紛らわせているだけでは、不安な気持ちは無くなりません。思い出した途端に不安が襲ってきます。
深く物事を考えられない子供が、大好きなぬいぐるみを抱きしめて不安な気持ちを抑えられるようなこともありますが、それなりの大人が同じような方法で不安な気持ちを解消したとしても、不安な状況は変化しません。
これらの「不安な気持ちを解消する方法」というのは、極端なことを言うとお酒に酔って不安を紛らわせるようなことです。不安な状況は何も解決しません。
本当に不安な気持ちを解消する為には、不安の正体と向き合うしかありません。
これにはちょっとしたコツ、段階があります。
不安な気持ちは損!
まず初めに理解しておいてほしいのは、不安な気持ちでいると損するということです。
不安な気持ちになって心臓をバクバクとさせていると、あらゆるパフォーマンスが下がります。
不安で身体が緊張していると、いつもなら簡単にできることまで出来なくなってしまいます。
声が上ずったり、手が震えたり、手と足を同時に出して歩いてしまったり、そして冷静に物事を考えられなくなります。
この状態で不安と向き合っても的確な解決策など思いつきません。運よく思いついても身体が緊張していると実行すらできません。
飛行機の最終便に乗り遅れて不安でパニックになっていると、その後の最適な解決作を見つけられなくなります。
このパニック状態を和らげる為に、よくある「不安な気持ちを解消する方法」を行うのであれば、それなりに意味がありますが、不安になってしまった状況そのものは何も変化していません。
その不安になってしまった状況と向き合い、解決策を導きだすことこそが、不安と向き合うということです。
わざわざ不安な気持ちを解消する方法を行わなくても、不安な状況になった瞬間に「あ、不安なままだと損だな」と思えると、直ぐに解決策を導き出す段階にすすめます。
飛行機の最終便を逃したのであれば、他の移動手段を探し、見つかれなければ、その後に迷惑のかかるところに連絡し、次の日の移動手段を予約し、その予約時間に見合った宿泊方法を探すだけです。
「あの人に迷惑がかかるなー」
と不安になっていても仕方がありません。しっかりと状況を伝えたのであれば、それ以上にできることはありません。直接会った時に謝罪するしかないので、その時まで不安な気持ちを抱えていても意味がありません。
「どうしよう・・・」
と不安な気持ちを引きずりながら長時間の瞑想をしたところで、状況は何も解決しません。
わざわざ「不安な気持ちを解消する方法」を実践するよりも、「このままだと損だな」と、パッと切り替えることこそが、不安の正体と向き合うコツです。
「損だな」でも「もったいない」でも「バカバカしい」でもいいのですが、不安な気持ちのままでいても何も解決しないことを理解しておくことがポイントです。
これを理解できていると、大勢の人の目の前でスピーチすることになって不安で緊張していても、「不安なままだと上手くいくわけないじゃん!バカバカしい」と簡単に切り替えられるようになります。
すると、
「失敗したところで死ぬわけじゃないし、別に凄い人だと思ってもらえなくてもいいじゃん」
と開き直れるので、スピーチの内容を見直したりなどの解決策を取ることができます。
一方で手のひらに人という文字を何度も書いて飲み込んでいても、
「ふぅ~、これで大丈夫、私は緊張していない!」
と「不安な気持ちを解消する方法」の段階のまま本番を迎えることになってしまいます。不安な気持ちの正体と向き合えません。
これが損だということです。
「不安な気持ちを解消する方法」にこだわっていると、不安な気持ちになった正体と向き合えないので、何も解決しないということです。
だからこそ、「不安な気持ちのままだと損だ!」と理解しておいてください。このままだと何も良いことがないからバカバカしいぐらいに思えると、スッと緊張がほぐれるものですよ。
リラックスのコツ
不安な気持ちでいると損だと考えられると、身体は一瞬でリラックスさせることができます。
実はリラックスのコツというのは、自分が緊張していることを自覚することです。
「あ、今かなり緊張しているな」
と気づいた時点で、一気に緊張はほぐれるものです。
なかなか緊張が解けない人というのは、緊張している事にすら気づいていません。周囲の人から、
「肩に力が入っているよ」
と言われた途端に、ハッと気づいて肩を回したりするものです。お年寄りが自ら、
「もうあちこちボケてきたわー」
と言っているうちはボケていません。本当にボケてしまった方はそんな冗談は言えません。
自分で自分の身体の状況を自覚するのは、意外と難しいことです。
この自分の身体の状況を自覚するコツは、不安な気持ちになっていない日頃からでも、自分の身体の状況を常に観察することです。
「あれ?なんか左肩が少し重いなぁ・・・あ、今日は荷物が多くて肩掛けカバンが左肩に食い込んでいたのかな」
といった具合に、状況が変化した原因を突き止めることができるようになります。
緊張してトイレに行きたく立った時にでも、この自己観察の習慣があると簡単に抑えることができます。
「あれ?さっきトイレに行ったばかりだよな、利尿作用のあるカフェインでも飲んだっけ?いやしばらく飲んでいないな、あ、緊張しているのか、はは、バカバカしい」
といった感じで心を落ち着けられると、尿意も簡単に収まります。他にも、
「尿意なんて睡眠時には8時間ぐらい平気でもつんだから、漏らすわけがない!」
と確信できると、昼間でも長時間我慢できるものです。
私も実際にこの状況を経験しているのですが、出産時の陣痛で苦しんでいる嫁(元)の横に、朝の8時ぐらいから子供が生まれた16時頃まで付き添っていました。
途中で何度も尿意に襲われたのですが、ずっと手を握っていたので離れるわけもいかなかったのですが、漏らさずに耐えきることができました。
さらに出産した後の疲労しきっている嫁(元)の横を離れるわけにもいかず、一時間後ぐらいに嫁の家族が到着したタイミングで、ようやくトイレに駆け込みました。
出産時の状況は様々な条件が絡まっているので、一般的ではないかも知れませんが、考え方次第で身体の生理現象ですら、それなりの抑えることは難しくありません。
誰だって電車の中で尿意や便意が襲ってきたとしても、次の駅まで我慢できるものです。
これぐらいの身体のコントロールなど、出来て当然だと確信していると、緊張やリラックスも簡単にコントロールできるようになるものです。
不安な気持ちに解消する方法というのも同じです。不安な気持ちのままだと損だ!と確信することで、スッと次の段階(不安の正体と向き合う)へすすむことができるようになります。
まとめ 不安と気持ちは別物
不安な気持ちをワンセットに捉えるのではなく、不安と気持ちは別物なのだと理解してください。
気持ちは簡単にコントロールできます。ただ確信すればいいだけです。
今月の支払いが足りなくて不安な気持ちになった時に、ただ怯えていても何も解決はしません。
瞑想で心を落ち着けることが悪いとは言いませんが、何時間瞑想をしたところで支払い額は変化しません。
さっさと気持ちを落ち着けて、不安の正体と向き合うことでしか、その不安は解消されません。
「このまま不安な気持ちでいても意味がないな」
と確信して気持ちを落ち着かせることが出来れば、支払いを先延ばしにする方法がないか、手っ取り早く現金に変えられる物がないか、お金を貸してくれそうな人がいないか、といった風に様々な選択肢を考えることが出来ます。
明日までに入金しないと不渡りになってしまう会社であれば、銀行を説得するなり、未入金の回収を促したり、その時にできる何かしらの解決策を取ることができます。
それでも上手くいかなければ、不渡りが出た後の最善の方法を模索することが出来ます。
これらは節約でも同じです。漠然とした将来の不安で節約をしていると、どんなにお金が貯まっても不安は解消されません。不安の正体(老後に必要な資金や目標金額)としっかりと向き合うことで、日々の些細な節約からでも達成感が得られるようになり、最適な節約方法も見つかりやすくなります。
不安な気持ちのままで頭を抱えていると、これらのような可能性のある解決策まで見落としてしまうことになります。
これが不安な気持ちのままでいると損だということです。
「あの人を怒らせてしまったのかも知れない・・・」
といった人間関係の不安な気持ちでも同じです。怯えていても何も解決しません。
自分に被があるのであれば、少しでも早く誠意をもって謝罪することが最善ですし、誤解があるのであれば、その誤解を解く最善策を考えられます。間に誰か入ってもらうなど、より良い解決策が考えられます。
よくある「不安な気持ちを解消する方法」だと、不安な気持ちを紛らわせることは出来ますが、不安な状況そのものは何も改善しません。
不安な気持ちは、さっさと「損だ」「意味がない」「バカバカしい」と確信して、不安な状況と向き合うことでしか改善できません。
不安な気持ちを整えるのに時間をかけていると、不安な状況がどんどん悪くなっていくかも知れないので、本当に「損」ですよ。
追記
今回紹介した「気持ちは簡単にコントロールできる」と確信できると、あらゆるパフォーマンスが向上する可能性が高まります。
何事もリラックスして行えるようになるので、その時々の最善策を選択できるようになります。
ちなみに超一流のアスリートの中には、「全く緊張しない」と言う方がいます。
前人未踏の世界大会6連覇の体操の内村航平選手や、サッカー日本代表の歴代出場記録を持つ遠藤保仁選手は、平然と「全く緊張しない」と言います。
これが事実かどうかよりも、本人達がそう確信していることがポイントです。
大観衆の前でプレッシャーがかかるような場面でも、「緊張って何?」ぐらいに確信することで練習通りのベストなパフォーマンスを引き出しやすくなります。
初めて東京に訪れた田舎出身の若者が、駅で切符の買い方がわからなくて不安な気持ちになっていると、他の人の切符の買い方を観察したり、必至でスマホで検索して調べて時間がかかってしまいますが、さっさと不安な気持ちを切り替えて、「切符の買い方がわからないけど、それが何?間違えると死ぬの?東京の人だってほとんど田舎者じゃん」と考えられると、駅員さんや隣の人に聞くことができます。
それが恥ずかしいことだと考えていると、余計な遠回りをしてしまうものです。
その恥ずかしいという気持ちですら、さっさと切り替えることが出来ます。
「もう2度と会う人でもないし」「あの人に笑いのネタを提供できたかもな」「田舎者ならではの自虐ネタが一つ増えた」など、どうとでも解釈できるものです。
以前、ある女性と駅で待ち合わせをした時に、その女性のスカートが自分の肩掛けバッグに引っかかってパンツ丸出しで登場してきたことがあるのですが、その事を教えてあげると真っ赤な顔をして恥ずかしがってしまいました。
「いつからだろ?ずっとこんなのだったのかな・・・」
と落ち込んでしまったので、私が、
「大丈夫だよ、誰も○○さんの事なんて知らないし」
「たくさんの男の人を喜ばせてきたんだから、むしろ善い行いじゃない?」
「結構セクシー系だよね、もしかして勝負パンツ?え?オレと勝負する気なの?」
などと冗談を言うと、「そんなわけないじゃん!」と笑いながら立ち直ってくれました。
気持ちは解釈次第で簡単にコントロールできるものです。不安になってしまった原因と気持ちは別物なので、しっかりと分けて考えるようにしてください。
この事実を知っておくことこそが、気持ちをコントロールするコツなので、不安な気持ちを解消したい方は、日頃からさっさと気持ちを落ち着かせる習慣を身につけてください。
- このままだと損だ
- 意味がない
- バカバカしい
- ベストパフォーマンスが発揮できない
の他にも、自分にとって都合の良い解釈をすればOKです。
ちなみに楽しいのようなポジティブな気持ちは、無理に切り替える必要はないですよ。