節約は太る?
世の中には「節約をすると太る」といった意見を言う方がいます。
この論理について調べてみると「先進国の貧困層の肥満率が高い」ということのようです。
節約そのものが太る原因になるのではなく、使えるお金が少ない貧困層が、欲求を手っ取り早く満たすために、比較的カロリーが高く、価格も手頃な炭水化物に偏ることが太る原因だと考えられています。
これは論点が少しズレています。
節約をしたから太るのではなく、上手に欲求を満たせていない方が太りやすいということです。イヤイヤ行っている節約でストレスを感じてしまうと、手っ取り早く欲求を満たせる食欲に走りやすくなるのかもしれません。
ですが、そもそも節約をすることに気持ちよさを感じている人は、わざわざ食欲で過剰な欲求を満たそうとはしないものです。このような節約家は決して太ることはありません。節約をすると太るというのは間違いです。
行動する理由
あらゆる行為は、何かしらの欲求に当てはめることができます。
そこに正解も不正解もないのですが、基本的に欲求を満たすために人は行動をします。
だからといって本能丸出しで好きなことだけをしている人はいません。電車の中で便意をもよおしても理性が働いて次の駅まで我慢します。
自分が満たしたい欲求と、その欲求を満たすことで被る損害を天秤にかけて判断しています。
損害と言っても金銭的な損害もあれば、人間関係など色々あります。可愛い女の子に笑顔で接客してもらえることに価値を感じる方は、高級キャバクラでも足を運ぶものです。
合理的に考えていなくても無意識に判断します。そうでなければ世の中が犯罪だらけになるはずです。
一方で自分の欲求が満たされ、さらに相手(周囲)の欲求も満たされるのであれば、行動しない理由はなくなります。
人が何かしらの行動をするときは天秤のバランスが偏っている時です。心地悪さを解消するために何かしらの行動します。
太る理由
太りやすい方というのは、太るということの損害のレベルを低く見積もっている傾向があります。
小さな頃から太っている人が身近にいると、太ることによるデメリットをあまり感じません。
お相撲さんの家庭で育てば、むしろ太っていることこそ良いことだと思いこみます。
また太っていることでモテた経験がある方は、その状態をキープしようとします。それが心地よい状態なのだと感じています。
痩せたいのに痩せられないという方は、本心ではそれほど今の状態に不満を感じていないということです。
要するに、それほど痩せたいと思っていないということです。
痩せられる理由
一方でダイエットに成功する方というのは、様々なダイエットに挑戦する前に、太っていることに対するデメリットを理解し、さらに痩せた後に訪れるであろうメリットを既に感じられた方です。
具体的なダイエット方法が重要なのではなく、天秤の重り(太っていることに対する考え方)が変わると、イヤでも痩せていきます。
考え方(天秤の重り)が変わると釣り合いが取れなくなり、現在の状態が不満になります。すると自然と日常の行動が変わります。わかりやすいダイエットを行うということではなく、無意識レベルで変わります。
たとえば食事の好みが変わります。今まで高カロリーのモノが好きだった方が、低カロリーのモノに美味しさを感じるようになるようなことです。
「本当は脂肪たっぷりの揚げ物が食べたいのにサラダで我慢する」ということではありません。実際にサラダが美味しく感じられるようになり、揚げ物を目の前にすると胸やけするようになります。
また姿勢や行動まで変わります。太っている現状が不満なので、エスカレーターが階段になったり、きびきびと歩くことに心地よさを感じるようになります。
考え方(天秤の重り)が変わっていない状態で階段を登っても、ただ辛いだけですが、その行為が天秤のバランスを取る(理想へ近づく)ことにつながっていると感じると、人は心地よさを感じます。
要するに太っていることに対する考え方を変えない限り、どんなに辛いダイエットを行っても一時的な効果しかありません。すぐに無意識が心地よく感じている元の体重に戻してしまいます。
太っていたい現状
太っていることが必ずしも悪いことではありませんが、太り過ぎている状態というのは、やはり病気へのリスクが高まります。
多くの方は食べ過ぎると体に悪いと頭で理解していても、本心ではそれほど悪いことだと感じていません。簡単に言うと危機感が薄いということです。
健康診断などで「このままでは危ないですよ!」と申告されて危機感が高まれば、多くの方がダイエットに成功するものです。
太っていることに対する危機感が薄い方は様々なダイエット方法を試すよりも、まずは天秤の重さ(太っていることに対する考え方)を変えることを意識してください。結果的に近道になります。
そもそも痩せる方法は誰もが知っています。食べ過ぎないで運動をすればいいだけです。
天秤の重さを変えるポイントは、太っていることに対するリスクを学ぶことです。
身近な人や親が太っていて健康な場合だと、太っていても大丈夫なんだと考えてしまうものですが、その考え方のままだと痩せることは難しいです。
太っていることによるリスクにも個人差があり、正解があるわけではありませんが、自分に都合のいい理由をみつけることがポイントです。自分が心地よく感じる重さを見つけることです。
節約家の場合だと、
- 食費がかかる
- 食事の時間が長くなる
- 医療費がかかる
- 洋服代がかかる
など考えられると思います。他にも「介護されるときに迷惑になる」など、太っていることに対するデメリットは探せば色々見つかるものです。自分にとって特に重要なデメリットを感じてください。
そして次にダイエットに成功した後をイメージしてください。痩せた後のメリットを想像しましょう。
- 食費の節約
- 健康
- オシャレ
- 魅力アップ
など何でも構いませんが、それらを具体的にイメージできればできるほど、痩せた後の体形に心地よさを感じられるようになり、現状の体形が不満になります。
これが「天秤の重さを変える」ということです。
具体的なダイエットを行う前に太っていることに対する認識を改めてください。そして痩せた後の気持ちよさを先に感じてください。
「痩せたい」と思っている現状というのは、逆に言えば「痩せていない」ということでもあります。これでは認識は変わりません。
一方で「痩せているのが当然だ」と思えるようになると、痩せていない現状に不満を感じ、日々の行動が勝手に変化していきます。
まとめ 行動の前に考え方のシフト
実は節約も同じです。節約をしたことで訪れるであろう世界を鮮明にイメージできればできるほど、傍から見て辛そうな節約でも、本人は楽しく行っているものです。気持ちよさすら感じています。
極端なことを言えば、太っている方は太っていたいから太っています。
痩せたいと思っていたとしても、痩せる為の努力と現状の幸せを天秤にかけると、あっさりと痩せたいという欲求は、現状維持の前に負けてしまいます。
辛いダイエットでは痩せられません。これだけでも覚えておいてください。一時的な効果があっても、考え方が変わっていないので、あっさりと元に戻ってしまいます。
一方で考え方を変え、理想とする体型に近づいていることを実感している方は、ダイエットそのものに楽しさを感じています。階段を登って息が上がっている状態に心地よさを感じます。筋肉が気持ちよくなります。それらで日々達成感が得られます。
何かしら行為に対して辛いと感じるということは、本心では求めていないということです。辛い行為をして成功することなどありません。
マラソンランナーは苦しくなることに快感を得ているものです。
心から野球が上手くなりたい人は、地味な練習である素振りをしている最中から楽しさを感じています。命令されてイヤイヤ素振りをしても上手くなりません。
別のところで努力不要論という本を紹介しましたが、
「イヤイヤ努力を行っている時点で間違いだ」ということです。その状態で続けても身にならないどころか、ストレスが増してリバウンドという形で返ってきてしまいます。
イヤイヤ辛いダイエットをするのではなく、楽しくて仕方がない状態で自然とダイエットが行えるように、天秤の重さを変えることを意識してください。