お金をかけずに外国語を学ぶ方法
一般的に英会話を学ぶ方法というと、駅前の英会話教室に通うようなことなのだと思いますが、お金をかけずとも英会話を習得してしまう人が世の中にはいるものです。
例えば親の都合で外国に住むことになった子供は、割と短期間で現地の言葉を覚えてしまいます。
この理由は頭が柔らかいということもあるのですが、そうしなければならない状況に追い込まれているので、必然的に脳が活性化して言葉を習得していきます。
これは日本語を話せる外国人のケースで考えると分かりやすくなります。
日本語がペラペラだったベトナム人
先日、仕事の付き合いで知り合った方がベトナム人だったのですが、見事なぐらい日本語がペラペラで驚きました。
しかも日本に来てまだ3年目とのことで、あまりのスムーズな日本語に驚愕してしまいました。
てっきり日本に来る前に日本語を学んでいたのかと思ったのですが、話を聞いてみると一切勉強しておらず、日本に来てから僅か3年で全く日常会話に困らないレベルの日本語を身につけていました。
この時に私は以前に読んでいたある本を思い出しました。それは苫米地英人さんの「バイリンガルは二重人格」という本です。
この本の内容を簡単に説明すると、学校の英語の授業のような英単語の意味や文脈を理解するのではなく、徹底的に英語に慣れることで脳に英語を話せる別人格を作るような方法論が解説されています。
頭の中で母国語を外国語に変換するのではなく、外国語のまま理解できる脳を構築するようなことです。
これは赤ちゃんが会話を覚えていく過程と同じもので、その効率を上げる為の様々なテクニックが紹介されています。要するに英語に慣れることこそが、最も効率が良いといった内容でした。
日本語が一切分からない外国人がペラペラに話せるようになるのも、同じような理屈なのだと感じました。外国語を学ぶのに必ずしもお金が必要なわけではないようです。
外国人力士のイントネーション
日本の相撲界は外国人力士が増えてきましたが、彼らの多くが見事なイントネーションの日本語を話せるものです。
これが野球やサッカーの外国人選手となると事情が違います。野球やサッカーの専門用語には英語の言葉が溢れているので、全く理解できないということはありません。それなりに日本語が話せるようになっても、カタカナ言葉となると英語の発音になってしまいます。
一方で相撲界の言葉は全て日本語なので、英語で理解する機会がありません。徹底的に日本語の空間に浸ることになります。
だからこそ日本語の会話をマスターするのが早く、イントネーションも自然なものになる傾向があるのではないでしょうか。
もちろん日本語の日常会話ができるようになっても、漢字を操れるようになるわけではありません。これは英会話でも同じです。どんなに駅前留学で外国人との英会話に浸っても、英単語のスペルを覚えるのは別の問題のようなことです。
日本人でも漢字の習得率には差があるものですが、当然英語圏の人も同様であり、長い英単語や専門用語となると正しくスペルを書けない人は珍しくありません。
それでも何となく意味は理解できてしまいます。日本人が読めない漢字でも形から何となく意味を理解できるようなことです。
日本語がペラペラだったベトナム人も日本語の読み書きは出来ませんでした。おそらく多くの外国人力士も出来ません。このレベルの会話をマスターするには別で学ぶ必要がありますし、小学校から中学卒業までの国語の授業ぐらいの時間が必要なのかも知れません。
なので英会話を学ぶといっても、どれぐらいのレベルを目指すかにもよるのですが、日常会話で困らないぐらいのレベルであれば、それほどお金をかけずとも英語の空間に浸るだけで良いのだと思います。
もちろん通訳を目指すようなレベルであれば、かなり細かなところまで勉強しなければなりませんが、日常会話レベルであれば細かな文法やスペルを学ぶより、英語漬けになった方が効率的なのだと思います。
「バイリンガルは二重人格」でおすすめしているトレーニングというのも、英語の海外ドラマをひたすら見続けるといったものです。
ドラマであればその場の状況や役者の表情や仕草などから、ある程度は意味を推察できるので、現地で学ぶのと同じような効果が期待できます。
英会話教室や海外に留学するとなると、それなりの費用が必要になりますが、インターネットを利用して英語漬けになるのであれば、それほどお金は必要ないはずです。
まとめ 金額は関係ないのかも知れない
月謝が高い英会話教室に通うのが悪いわけではありませんが、人は英会話が必要な状況になれば、自然と脳が活性化して学んでいくのだと思います。
「もしかしたら仕事に役立つかも知れない」といった動機で、英会話教室に通うのも悪くはないですが、職場に英語しか通用しない上司が配属されると、否が応でも理解するようになるものです。
せっかくお金をかけたのに英会話がマスター出来ないという人は、そもそも英語が必要な状況でないのかも知れません。
日本語がペラペラになる外国人を見るとよくわかるのですが、彼らは日本語をマスターする為に日本に来たのではなく、仕事で成果を出して稼ぐことが目的です。
日本語をマスターすることが目的なのではなく、目的達成の為に日本語を学ぶ必要があったのであり、あくまでも手段です。必要性があるので自然と短期間で学ぶことが出来たのだと思います。
日本人が外国語を学ぶのも同様なのではないでしょうか。旅行で空港の人やホテルマンとちょっとした会話をするだけなら、ガイドブックの知識だけで事足りますし、必ずしもお金をかけて英会話教室に通わなければならないわけではありません。
そもそも海外旅行などは生きていく為に必要な事ではないので、必然性は高くありません。英会話をマスターしなければならないという動機としては弱すぎます。
もちろん現地の人と楽しく会話をしたいといった目的があるのであれば別ですが、日本では見られない景色を楽しみたいという目的であれば、海外旅行ツアーに参加すればいいだけです。
外国語を学びたいという方は、何の為に学びたいのかを明確にすることこそが、一番の解決策なのかも知れません。月謝の高い英会話教室や教材を購入するのがベストなのではありません。
サッカー選手になって海外で活躍したい学生というのは、クラブ活動や英語の授業だけは自然と力が入るものです。それが目的を達成する為に役に立つ行為だと理解しているので、辛いとも努力とも感じていません。
お金に余裕がなくてもYouTubeやNHKの英会話講座で学ぶことも出来ますし、それがストレスになるようなこともありません。
お金の額に比例して効率が良くなるのではなく、英語の必要性に応じて学ぶ速度が変わっていくので、英会話を学びたいという方は、この必要性を高めることこそが、最も効率の良い方法なのだと思います。
何の為に英会話を学ぶのか、よくよく考えてみてください。その理由が明確になるほど、お金をかけずとも学べる方法が見つかると思いますよ。
おまけ 必要性
「バイリンガルは二重人格」の中でも紹介されているのですが、どんなに流暢な英語を話せても、そもそも相手側に感心を持たれないとコミュニケーションは成り立ちません。
YouTubeで「出川イングリッシュ」と検索してみるとよくわかるのですが、中学生以下の英会話力でも相手に気持ちが伝わると、意味が伝わることは珍しくありません。相手側も必死になって意味を汲み取ろうとしてくれるので、想像以上にコミュニケーションが成り立っているものです。
逆に本物のバイリンガルである女性タレントが流暢な英語で質問をすると、足を止めてもらう事すら出来ないシーンがあり、とても印象的でした。
日本でも自分の目の前で外国人の子供が一人で泣いていると、英語が分からなくても身振り手振りで意思の疎通を試みようとするのではないでしょうか。
英語を話せる人を探したり、つたない英語で名前を聞いたり、スマホを駆使して翻訳したり、自動販売機でジュースを買って落ち着かせたりなど、何かしらを試みるはずです。
英会話ができるのは素晴らしい事ですが、それよりも大事なことがあるのではないでしょうか。
仕事のスキルアップの為に英会話を学ぶのは素晴らしいことだとは思いますが、その肝心の仕事内容が悪いと相手にされないようなことです。
日本語がペラペラに話せるようになる外国人のように、必要であれば誰もが外国語でも効率的に学べるのだと思います。お金を言い訳にしているうちというのは、単純に必要性がなくて学ぶ気がないだけなのかも知れません。
ちなみに私自身も生活に英語を必要としていないので、学ぶ気すらないのですが、サッカーやバスケットを見るのが好きでYouTubeで海外の動画をよく見ているせいか、そこで使われている言葉の意味は何となく理解できるようになりました。
わざわざ頭の中で日本語に訳して理解するのではなく、その言葉のまま理解するような感じです。興味のある分野であれば、誰もが自然とこうなるのではないでしょうか。
日本のアニメが大好きで日本語が話せるようになった外国人も珍しくありませんし、必要性があれば学ぶのはそれほど難しくない(難しく感じない)のだと思います。
勉強が苦手な子供でも大好きなゲームの用語なら簡単に記憶してしまいますし、歴史マンガが大好きな学生は戦国時代の成績だけは抜群に良いものです。
親の都合で無理やり子供に英会話教室に通わせるより、その子供が興味のある分野で英語に慣れさせた方が、ストレスなく学んでいくものです。
お金をかけずとも外国語を学ぶ方法というのは、これらのように興味をもつことだったり、必要性を高めることなのだと思います。英会話教室に通うお金がないから学べないというのは、論点がズレているのかも知れません。