儲け話は全て怪しい?
節約家に限ったことではありませんが、美味しい儲け話を持ちかけられると、ついつい色めき立つものです。
- 絶対に儲かります!
- みなさんやっていますよ
- 今だけの特別価格!
- 特別にお客様だけに
のような様々な誘惑がありますが、当然これらの中には偽の情報が含まれていることがあります。
そもそも絶対に儲かる条件なら、わざわざ他人に教えずに自分で行えばよいだけであり、絶対に儲かると証明できるなら銀行が融資してくれます。
だからといって全ての儲け話がウソや詐欺だとも限りません。本当に自分にとって有益な情報ということもあります。
そこで今回は儲け話を見極めるポイントを紹介します。それは相手側が儲かるポイントを把握することです。
キャッシュバックキャンペーンの裏側
最近だと新しい電子マネーのアプリをダウンロードして使用すると、一定額がキャッシュバックされるというキャンペーンが大々的に行われました。
何故に電子マネーを運営している側が損をするような事をするのかというと、世間で話題になることで知名度を上げ、様々な店舗がその電子マネーの決済するための機器を導入するようになるからです。
営業マンが店舗を一つずつ回って営業したり、膨大な広告費をかけて徐々に知名度を上げていくより、トータルでコストが安くて即効性があるので、このような高額なキャッシュバックキャンペーンを行いました。
相手側は知名度を上げて利用者を増やすことで、長期的に手数料で儲かる仕組みになっており、決済をする機器を導入する店舗にとってもキャッシュバックを狙った客が高額な商品を購入してくれるメリットがあります。
このような儲け話であれば、必ずしもこちら側が損をするわけではありません。
もちろんキャッシュバックだからといって、必要もない高額な商品を購入してしまうと損をしてしまいます。
実際にキャッシュバックキャンペーンで普段なら買わないような高価な家電を購入する人が続出したのですが、本当に必要なものでなければ大した意味はありません。
髪が短い男性がパワフルなドライヤーを購入しても、何も意味がないようなことです。
ちょうど欲しい商品があった人が利用するのであれば、とてもお得な儲け話になりますが、儲けることだけにフォーカスしてしまうと、結果的に無駄な物を購入して損をしてしまいます。
たまたまタイミングが良くて儲かることはありますが、積極的に儲けようとしてしまうと、相手側の思惑にまんまとハマってしまうことになります。
私は特に必要なものがなかったので、このキャンペーンには乗りませんでした。
来店ポイントなどの仕組み
スマホの大手キャリアが格安スマホの勢いに押されていることもあり、しばしば店舗に来店してプランの見直しを行うと、ポイントをプレゼンするようなキャンペーンを行うことがあります。
プランの見直しだけならスマホ上で済むことなのですが、わざわざ店舗に呼び寄せることに裏の目的が隠されています。
スマホの支払いシステムには様々な制約があり、とても分かりにくいものですが、しっかりと理解出来ている人はそもそも割高なプランには加入していません。
言葉が悪いかも知れませんが、情報弱者ほどプランの見直しや格安スマホなどに移行せずに大手キャリアのスマホを使い続けています。
そのような人達を店舗に呼び寄せて割安なプランを勧めるだけなら、客側にとってもありがたいことなのですが、それだけだとお店側にはデメリットしかありません。
そこで仕掛けられるのが新たなプランに合わせた新しいスマホへの買い替えだったり、クレジットカードの加入を促してきます。
始めはきちんと客側の要望を聞き、安くなる仕組みを説明してくるのですが、
「実はそれよりもお得になる方法があるんですよ」
と誘惑を仕掛けてきます。
「この新しいシリーズのスマホに買い替えると、今なら毎月の支払い額が割引されるキャンペーンを行っています」
のような感じで新たなスマホを購入させ、新たに2年縛りの制約を結びます。大抵のお得な割引やキャンペーンの裏には、2年縛りを破ると割引された額も含めて全額負担しなければならないような仕組みになっているので、格安スマホへの移行を難しくさせます。
他にもクレジットカードを勧めてくるケースもあります。
「このカードで支払いを行うようになるとポイントが貯まりやすくなり、年会費を支払ってでも十分に元が取れますよ」
といった感じで年会費が発生するゴールドカードへの入会を勧めてきます。
「このカードにはスマホ保証が付帯しており、万が一故障しても安心ですよ」
とアピールしてきます。自社でクレジットカードを発行していると、スマホの使用料金の支払いだけでなく、他の支払いをした額からも一定の手数料が入る仕組みになっているので、利用者が増えるほどに儲かる仕組みになっています。
もちろんこれらの儲け話も条件にあえば、こちら側にとってもお得になります。大手キャリアしか使いたくないという方もいますし、ちょうどスマホの買い替えを検討していた人にとっては、お得なタイミングということになります。
今まで特定のクレジットカードを使用していなかった人であれば、様々な支払いを集中させることでポイントがどんどん貯まり、実際にお得になる可能性もあります。ゴールドカードもよく空港を利用する方であれば、ラウンジを利用できるなどのメリットがあります。
ただこれらの条件に当てはまらない人にとっては、全くお得なキャンペーンではありません。プランの見直しだけを行って月々の支払額を抑えることだけが、最もお得な選択です。
これらのように相手側が儲かるポイントを見極めることが出来ると、自分にとって本当にお得なのか判断しやすくなります。これは節約家にとっても大事な視点です。
定額料金の使い放題
他にも定額料金で使い放題になる価格設定も増えてきました。毎月〇〇以上使う人にとっては確かにお得になるのですが、これらもしっかりと相手が儲かる仕組みになっています。
これは食べ放題で考えると分かりやすくなります。バイキングやビュッフェスタイルのお店で「2000円で90分食べ放題」のようなものがよくありますが、お店側にとって損になるようなことは決してしません。
そもそも料理の原価というのは、かなり安いです。1000円のステーキの原価が300円未満ということは珍しくありません。
食べ放題で2000円支払ってステーキを三枚食べると、客側にとってはお得になりますが、お店側も十分に利益を出すことができます。
一枚のステーキが売れても700円の利益ですが、食べ放題で三枚食べられても1100円の利益が出ます。
さらに一般的なお店のように接客をする人も少ないので、人件費なども抑えられます。注文が入ってから作るわけでもなく、まとめて作ることが出来るので効率も良くなります。
それに全ての客が大食漢とは限りません。ステーキ一枚だけでお腹がいっぱいになるという人もいるので、平均すると提供する食事量が1.5倍ぐらいにも関わらず、客単価が2倍になるようなことです。
もちろん大食漢の人にとっては食べ放題はお得なシステムですが、小食の人にとっては高額になっただけです。
そもそも小食の人が食べ放題を選ぶようなことは少ないですが、たいしてスマホを使っていないのに高額な定額料金に加入してしまうと、元を取ろうと無駄に使用するようになってしまいます。
使わないと損だからと余計に動画を見るようになったり、スマホゲームをやるようになるかも知れません。
それらが本当にやりたいことなら構いませんが、損をしたくないという気持ちが働いて、それほどやりたくもないことまでやってしまう可能性があります。
単純に支払額が増えただけでなく無駄な時間まで増えてしまいます。これは食べ放題で元を取ろうと必死になって食べ物を詰め込むようなことです。
単品でステーキを頼むだけなら1000円で40分で済んだことが、余計に1000円支払った上に90分拘束され、必要以上にお腹が膨れて苦しくなってしまいます。
レジャー施設の一日パスポートのようなものも同様です。大好きな人にとってはありがたい仕組みですが、それほどでもない人にとってはその都度支払いをしたり、回数券の方がお得なケースは珍しくありません。
混雑しているところなら、ほとんどが待ち時間で消化されてしまうかも知れません。
元を取ったという満足感を得る為に、様々なリスクを背負うことになっている方が多いものです。
相手側はこの心理を巧みに利用して、より多くの支払いをさせるように促してくるので、冷静になって判断する必要があります。
自分だけが儲かるという視点だけでなく、相手側が儲かる仕組みを見極められると、より最適な選択肢が見つけやすくなります。
まとめ win-winなのか確認しよう
あからさまに怪しい儲け話であれば、誰もが簡単に見極めることが出来ますが、多くの儲け話というのは、こちら側のメリットが多いように見せかけています。
わざわざ相手側が損をするような提案をするわけがありません。まずはこのことをしっかりと理解してください。そして相手側が儲かる仕組みを見極められると、お互いにとってメリットがあるケースというものも見えてきます。
これであれば本当に素晴らしい儲け話ということになります。これが全ての儲け話がウソではない理由です。
一方で相手方のメリットが見受けられず、こちら側にしかメリットがないような儲け話には気をつけてください。巧妙に罠が仕掛けられている可能性が高いです。
だからこそ儲け話と遭遇した時には、相手側にどのようなメリットがあるのか見極める習慣を持つようにしてください。見極められない場合は避けた方が無難です。
きちんと見極められた上で、お互いにwin‐winの関係であれば、その後も良い関係を保つことが出来ますが、どちらか側だけが儲かるような話には気をつけてください。
スーパーのチラシなどでも原価割れするほど安い目玉商品が紹介されていることがありますが、全ての客がそれしか購入してくれないと、お店側にメリットがありません。
実際には目玉商品に釣られてきた客がその他の商品も購入していくので、上手く関係が成り立っているのですが、私はそのような時はどこで購入しても価格が変わらないようなものを抱き合わせるようにしています。
多少は相手側にも利益を還元したいので、地元であれば地域の有料のゴミ袋を購入することが多いです。どんなに激安スーパーでも価格が変わらないからです。
自分だけがお得になるのが悪いわけではありませんが、相手側が不利益になるようなことばかりをしてしまうと、関係が悪化してしまったり、お店ならつぶれてしまうかも知れないので、このような視点を持つことも大切だと思います。
もちろん相手側だけが儲かるような仕掛けには、引っかからないように気をつけてください。
ちなみに知り合いに居酒屋の店主がいるのですが、彼曰く宴会メニューや飲み放題はとても儲かるのだそうです。
単品で頼まれるより一人当たりの単価が高くなり、用意するのも楽なのでとてもありがたいと言っていました。
ただ大学生のような集団がくると気をつけるそうです。とんでもないペースでお酒を注文するので、あえて運ぶペースを落とすそうです。あまりにも酷い客だと後半はビールを発泡酒にこっそり替えたり、酎ハイを水で薄めたり、氷を増やしたりするそうです。
お店側にとって不利益な客というのは決して歓迎されないので、このような報いを受ける可能性があります。同じ人が再び予約をしてくると、「その日は予約がいっぱいでして・・・」と断るそうです。
これはこれでどうかとは思いますが、どちらか側だけが儲かる、得になるようなケースは長続きしないので、相手側のメリットも考えたうえで、自分にとってお得になるケースを上手に見極めてほしいと思います。
節約家の中にも自分だけがお得になる事に執着してしまっている方がいるのですが、あまり極端だと周りの人との関係が悪化するので、上手くバランスを取るようにしてみてください。
自分だけでなく相手にもメリットがある節約であれば、相手も喜んで受け入れてくれますよ。