鉄たまごがブーム?
数年前にヒジキにたくさん含まれているといわれていた鉄分が、実は鉄鍋からにじみ出たものだったという事が分かり、南部鉄器を代表とする鉄鍋が話題になるようになりました。
昔ながら鉄鍋で調理すると自然と鉄分がにじみ出てくれるので、昔の日本人は現代人ほど鉄分不足に悩まされる事が少なかったのだそうです。
最近の便利な鍋やフライパンというのは、軽くて錆びないアルミだったり、焦げ付きにくいコーティングがされているものが多いので、昔のように鉄鍋から自然とにじみ出ていた鉄分を摂取する事がなくなってしまいました。
そのような事が分かってきた事もあり、昔ながらの伝統的な製法で作られてる南部鉄器の鍋などが人気になっているのですが、やはり一般的な鍋よりは価格が高く、重たくて使い勝手が良いわけでもなく、メンテナンスも気をつける必要があるので、誰にでも相性が良いものではありません。
そこで最近人気になっているのが、「鉄たまご」というものです。
これは単純に鉄の塊で出来ており、普通の鍋やヤカンにポンと入れておくだけで鉄分がにじみ出てくれる優れものです。
私は健康診断の数値で鉄分不足を指摘された事がないので、鉄たまごの存在は知っていましたが、わざわざ取り入れてはいませんでした。
ただ少し前に実家に行くと高齢の母親が使用していた事を知り、興味が沸いて色々と観察していると、いくつか気になる点が見つかりました。
鉄たまごの注意点
実家では半年ぐらい前から使用していたらしく、前から私が訪れた時に出してくれた料理やお茶なども、全て鉄たまごを経由しているとの事でした。
特に味や風味の変化があったわけでもないので、「本当に便利なものなんだなぁ」と感心し、さっそく実物を見せてもらって鍋で煮だす様子を眺めていると、あからさまにお湯の色が変わって驚いてしまいました。
「使い始めの頃はそうでもなかったんだけど、最近は色が変わるのよ」
と笑っており、そのお湯をなめてみると、しっかりと鉄っぽい味がして不思議になり、スマホで鉄たまごについて色々と調べていると、錆びの問題を指摘している情報がたくさん見つかりました。
鉄鍋のようなものは毎日のように料理に使っていると、自然と油でコーティングされるので錆びる事も少ないのですが、数日放置してしまうと錆びが発生する事があり、鉄たまごも使用後にしっかりと洗ってから乾燥させないと、錆びてしまう事があるようでした。
そこでさっそく母親が使っている鉄たまごをよくよく見てみると、ところどころに小さな赤錆びが見つかりました。母親は老眼なので気がついていないようでした。
この解決策を調べてみると、金タワシや紙やすりで錆びを落とすだけで良いとの事だったのですが、細かな装飾の隙間の錆びがなかなか落ちなく、結構大変な作業になってしまいました。
おそらく王道の鉄たまごであれば余計な装飾もないので、錆び落としにここまで苦労する事もないのですが、母親は中途半端にデザインにこだわっているタイプ(なすびの形)を選んでいた事もあり、ヘタの辺りの隙間が錆びだらけになっていました。
またネットの情報だとお酢やクエン酸などに付けて置く事で錆びを落とす方法が見つかったのですが、酸は鉄を溶かしてくれるので錆びも落ちてくれるのですが、しっかりとすすがないと酸そのものが錆びを誘発する事にもなり、内部に染み込んで内側から錆びてしまうリスクもあるのだそうです。
鉄たまごを販売しているメーカーもこの方法を推奨しておらず、金タワシで落とせとありました。
他にも注意点として、鉄たまごそのものが重たいものなので、雑に入れると鍋を傷つけてしまったり、取り出す時に落としてIHのガラス版にヒビが入ったというものまでありました。
また調理によっては鍋や入れっぱなしにしてしまうと、鍋に錆が映ってしまうようなケースもあるようでした。錆びないはずのステンレスのキッチンでも、缶詰のような鉄を置いておくと錆びる事があるように、扱い方にも気をつけなければならないのかも知れません。
この辺を気にする人の中には、タッパーのような容器に水と鉄たまごを入れて放置し、それを鍋やケトルに使う人もいました。ここまですると結構な手間が増えて大変そうです。
高価な南部鉄器の鍋やヤカンを購入する事なく、手持ちの鍋でも気軽の鉄分を摂取できる鉄たまごは素晴らしいものではありますが、試してみたいと考えている人は、このようなリスクがある事も頭に入れておいてほしいと思います。
テフロン加工の鍋やフライパンが傷ついてしまうと寿命を縮めてしまうだけでなく、別の意味でのリスクが増してしまうので気をつけてほしいと思います。
まとめ シンプルイズベスト
母親が使用していた鉄たまごはなすびの形をしたものでしたが、ネット調べてみると様々なキャラクターデザインのものが見つかりました。
もしかしたらシンプルな鉄たまごよりも表面積が大きい分、鉄分がにじみ出る量も増えて効率的なのかも知れませんが、隙間に汚れが残ったり乾燥が遅くなってしまうかも知れないので、鉄分を手軽に摂取したい人にとっては、シンプルな鉄たまごの方が価格が安いだけでなく、使い勝手も良いのではないでしょうか。
他にも穴をあけてお湯の対流を促して多くの鉄分が溶け出るものもあったのですが、これも内部が錆びてしまうと微妙なものになってしまうかも知れません。
販売ページを見てみると、錆びにくいような加工がされているとの事なので、お湯を沸かす時にだけ入れるのであれば、それほど問題ないのかも知れませんが、味噌汁の中に入れっぱなしにするような使い方だと向いていないかも知れません。
鉄たまごのような調理器具に限った事ではありませんが、ついついオシャレな要素やデザインに引っ張られて選んでしまうと、扱いずらくなったり掃除の手間が増えてしまうものです。
そのオシャレな要素によって気分が高揚するメリットがないとは言いませんが、そのせいで本来の目的であったはずの効果が弱まったあり、扱いにくくて使わなくなると本末転倒です。
木のスプーンやボウルは厚みがあって凄く使いにくいですし、収納スペースも奪われてしまいます。
私自身もオシャレな見た目に惹かれて焼き物のカップを購入した事があるのですが、大きな地震の時に割れてしまいました。
このカップは持ちにくくて洗いにくかったので、インテリアとして飾っていたのですが、それだけに震災時に落下してしまいました。
インテリアとして選ぶのも個人の自由ではありますが、少なくても私はこのカップに一目惚れして普段使い用に買ったのですが、結局は使いどころがなくてインテリアになってしまいました。
インテリアとして同じ予算(4000円もしました)を掛けるのであれば、もっと別の選択肢がありますし、私にとっては良い教訓となりました。
鉄たまごといったものもシンプルな卵型であれば、錆びを落とすのも簡単ですし、使用後のすすぎや拭き取りもしやすく、何よりも価格もそれほど高くありません。
もちろん目的や用途に合致しているのであれば、こだわりのあるデザインの物の方が適しているかも知れませんが、手軽に鉄分を摂取したいという目的なのであれば、余計な基準を取り入れてしまうと手軽さが失われてしまうものです。
鉄たまごについて調べていて驚いたのですが、本当に様々なタイプが売られていました。
シンプルな卵型なのに「令和」という文字があるだけで洗いにくくなりそうですし、その為に余計なお金を掛ける必要もないのではないでしょうか。
「令和」に子供が生まれた家庭であれば、良い記念になるのかも知れませんが、安易に選んでしまうとデメリットばかりになってしまうので気をつけてほしいと思います。
この辺のバランスは節約にとって凄く重要なポイントになるので、しっかりと見極めてほしいと思います。余計なお金を掛けただけでなく、使い勝手まで悪くなってしまうと大損です。
ちなみに私が色々な鉄たまごを見ていて良さそうだと思ったのは、この薄型のタイプです。
購入もしていないので偉そうな事は言えないのですが、普通の卵型よりも表面が綺麗で、平面で転がりにくそうなので良い気がしました。
ちなみにこの商品のレビューの中に「珪藻土のコースターの上に乗せると乾燥しやすい」とありました。鉄たまごの錆びを防ぐ為には置き場所重要だと思うので、とても相性の良い方法だと思います。
球状の鉄たまごだと転がってしまうかも知れませんが、これから購入を考えている人は、置き場所や使い勝手も含めて選ぶのが良いかと思います。
鉄たまごを所有していない私が偉そうに言う事ではありませんが、どんな物にもメリット、デメリットがあるので、きちんと見極めて選んでほしいと思います。
追記
その後に鉄分摂取用補助グッズを購入しました。本家の鉄たまごとは違うのですが、錆びの落としやすさや使い勝手が良かったので参考にしてみてください。