節約のリスク?
今回は私が当ブログで何度も「節約を楽しもう」「レジャーにしましょう」と口を酸っぱくしている理由を、改めて説明しようかと思います。
なぜなら節約にはリスクが伴うからです。
節約によるリスクをしっかりと理解した上で、一つ上の節約を目指してほしいと思います。今回は「お金を節約する」という行為を、角度を変えて紹介します。
時間貯金箱
昔々、あるところに時間を貯めておくことが出来る不思議な貯金箱がありました。
その時間貯金箱を手に入れたある男は、せっせと時間を貯めるようになりました。
仕事のない休日は丸ごと時間貯金をし、日々の休憩時間や隙間時間も徹底的に時間貯金をしました。
遊ぶ時間を削り、睡眠時間まで削って必死で時間を貯めました。
そしてある時、別の男が尋ねました。
「何の為に時間を貯めているんだい?」
「そりゃあ将来のためさ、ゆっくりと安心して暮らしたいからね」
そして誰よりも早く定年を迎えたその男性は、ついに時間を貯めることをやめます。
「これからはたっぷりの時間を使って何をしようか」
そう考えた男の頭には何も思い浮かびませんでした。家庭や趣味を全く持たずに過ごした男は何をしていいかわかりません。仕事以外の知識はまるでありませんでした。
仕事の仲間はまだ仕事を続けており、誰も時間を持て余してなどいません。
男はその時に気づきました。若い頃の時間と老後の時間は同じではないということを。
この話の正体がわかりますかね。
そうです。お金です。お金の本質は時間ということです。
危険な節約
時間の貯金箱は現実的ではありませんが、仕事人間なら想像できると思います。ひたすら仕事だけに没頭してきた人生というのは、老後にぽっかりと穴が開いてしまうことがあります。
仕事以外の人付き合いをせず、家族を大切にしてこなかった仕事人間は熟年離婚ということもあります。
もちろん仕事を頑張ることは悪いことではありませんし、楽しんで仕事をしていた人はたくさんの知り合い、友達がいるでしょう。
節約も少し似ています。
節約だけが目的になってしまうと極端なことになってしまい、身なりを気にせず人目を気にせず節約ばかりになってしまいます。
確かにお金は残りますが、周りの人は残っていません。
節約の先を考えておかないと、節約だけが目的になってしまいます。
節約をする目的は人それぞれ違うので何でも構いませんが、節約そのものを目的にはしないでください。時間貯金箱のようになってしまいます。これが節約のリスクだという意味です。
節約をレジャーに
節約をする目的が明確になると、節約はそれほど苦しいものではなくなります。
目的が曖昧だと我慢しながら節約、仕方がなく節約、貧乏だから節約とネガティブになるのですが、目的があると「○○のために節約」とポジティブに捉えられるようになります。
ポジティブな節約は苦しくありません。むしろ楽しみになります。
旅行費用でもマイカー購入でも養育費でも何でも構いません。目的が明確になると自動的に期間が設定されるのでゴールまでの道筋が明確になります。
いつまでなのか、毎月どれくらい節約をすればいいのか、具体的な数字も見えてきます。節約すべきポイントとそうではないポイントが、上手に見極められるようになります。
大切な家族を労う為の家族旅行の費用を貯める為の節約であれば、日ごろから家族をないがしろにして関係が悪くなってしまえば、誰も旅行についてこないかも知れないので、家族サービスの時間やお金を削ってまで節約しようとは考えないはずです。
一方で節約そのものが目的になってしまうと、見境が無くなってしまいます。
極端な例だと人目も憚らず試食をしたり、公園の水で洗車をしたり、トイレットペーパーを持ち帰ったりするようなことです。
下手をすれば犯罪になることもあります。目的のない節約にはリスクがあります。
節約の目的
何のために節約をしているのかを改めて意識することで、節約をする意味を見極められるようになります。
ゴールが見えると楽しくなるものです。
マラソンランナーはゴールまでの距離を初めから意識すると続かないそうです。辛くなってきたら「次の電柱まで頑張ろう、あの曲がり角までは走ろう」と目の前に目標を定めるそうです。
もしこれが「まだ半分も来てないのか~」と考えてしまうと、モチベーションが低下してリタイアしてしまうかも知れません。
収入は人それぞれなので具体的な数字を定めるのは難しいですが、意味もなく漠然と「一億円貯める」ようなことではなく、「○○のために○○円貯める」と目標を設定すると、行動(日々の節約)につながりやすくなります。
これといった目標を持たずに節約をしていると、缶コーヒーを我慢して節約しても「120円貯まった」としか感じられませんが、しっかりとした目標がある人は缶コーヒーを我慢するたびに、目標金額に近づいていることを実感することができるので、その喜びを感じやすくなります。
目標を達成した時にだけ喜びが感じられるのではなく、日々の小さな節約をする度に喜びを感じられるようになるということです。
これは凄く大事な事なのですが、例えば大好きな男性の好きなタイプの女性がスレンダーな人だとすると、その彼を好きな女性はダイエットをしたくなるわけです。
スレンダーといっても曖昧な情報ですが、具体的な女優名などを知る事ができると、目指すべき体型というものが見えてきます。
その彼の事が大好きな女性ほど、日々の間食を我慢してダイエットをする度に、彼に近づいているという時間が得られるような事です。
なんとなくダイエットを始めた人の多くが失敗してしまうのは、この目標が曖昧なだけに、日々のダイエットから喜びを感じられないからです。
節約を楽しく続けられる人も同じです。日々の些細な節約をする度に、目標に近づいている喜びを感じられるので、目標金額が貯まる前から喜びを感じています。この差は凄く大きいです。これこそがモチベーションの正体でもあります。
若い女の子が初めて出来た大好きな彼氏との初デートの前というのは、洋服を選んでいる時からドキドキ感を味わっています。
デートで彼と直接触れ合っている時にだけ、ドキドキするのではありません。
デートの日取りが決まった(目標が設定された)時から、心地の良いドキドキ感を味わっています。
デートが一週間後であればダイエットやストレッチをするかも知れませんし、美容室の予約を入れるかも知れません。
これといった目標がないダイエットは辛いだけですが、デート前の彼女のダイエットの辛さは、むしろ心地よさすら感じています。痛くて辛いはずの筋肉痛ですら気持ちよく感じられます。
また濃い味付けの高カロリーの太りやすい料理よりも、薄味でヘルシーな料理を好むようになります。今までは苦痛でしかなかった苦味や酸味が、ダイエットにつながっていると感じられるようになると、美味しく感じられるようになります。
健康が生きがいになっている年配の人ほど、苦そうな青汁を喜んで飲んでおり、その苦さを感じる度に健康に近づいている実感が得られるので、周りの人が思っている以上に辛い事ではなくなっています。
これが目標を設定することの大切さです。
節約も目標が曖昧なままだと、ただの辛いダイエットのようになってしまいますが、しっかりとした目標が設定されていると、筋肉痛が気持ちよく感じるように、節約した自分が誇らしく感じられるようになります。
日々の小さな節約をする度に達成感が得られるので、目標に到達する前から楽しさを感じています。
一方で節約そのものが目的になってしまっている人というのは、彼氏に気に行ってもらえる為のダイエットではなく、ダイエットそのものに取りつかれているような状態です。
健康を害してまでダイエットをしている人が、魅力的にうつるわけがありません。
しばしばガリガリの女性を見かけることがありますが、そのようなスタイルの女性を好きな男性はホントに少数派です。一方でぽっちゃりしている女性の方がいいという男性は少なくありません。
目的を見失うと明確なルートも到達点も失ってしまうので、誰も得しない結果になってしまいます。
まとめ あくまでも節約は手段
老後の生活に不安があるからと節約をする時に、自分の老後にどれぐらいの貯金がないとダメなのか分からないと、いつまで経っても不安は和らぎません。
しばしばとんでもない貯金を貯めながら亡くなってしまう人がいますが、おそらくその人はずっと将来の不安を抱えたまま生きていました。既に当初の目的だった将来に到達している事にすら気がつかず、不安なまま亡くなってしまったわけです。
これは凄く悲しい事ではないでしょうか。
老後はお金を稼ぐ事が難しいので、なるべく節約をしたくなる気持ちも分かりますが、意外と国民年金だけで生活している人もいますし、財産が無くても生活保護を受けている人もたくさんいます。
医療費といったものも高額医療制度がある日本では一定額以上は戻ってきますし、よくよく考えてみると、それほど大金が必要ではないのかも知れません。
都会の一等地の住宅を維持したいのであれば、それなりに大きな蓄えが必要ですが、家賃の安い地域に引っ越して年金だけで十分に生活している人も珍しくありません。
これらのように目標が曖昧なままだと、いつまで経っても不安は和らぎませんし、目標達成に近づいている実感も沸かないので苦しくなってしまいます。
節約にだけ取りつかれてしまっている人の多くが、このような状態になってしまっているので気をつけてほしいと思います。改めて何の為に節約をしているのかを明確にする事で、その道筋が見えてくるようになり、少しずつ近づいていく度に喜びを感じられるようになるので、しっかりと目的を整理してみてください。
節約のリスクというのは時間が奪われるような分かりやすいリスクだけでなく、目的を見失ってしまう事が一番のリスクなので、しっかりと理解してほしいと思います。