片足立ちの効果とは
片足立ちとは言葉の通りに片足で立つことなのですが、これが意外とバカにならない運動量になると言われています。
足の筋力だけしか関係ないように思うかも知れませんが、片足立ちをしている時というのは、全身の筋肉を使ってバランスをコントロールすることになります。
この時の脳には様々な信号が行きかうことになり、ウォーキングのような同じ動作を繰り返すよりも刺激が多くなります。
運動神経が良い悪いという言葉がありますが、これは脳がその時々の状態に合わせて筋肉を最適にコントロールする能力の事であり、片足立ちのようなバランスをとる行為というのは、とんでもない複雑な計算を脳が行っています。これこそがまさに運動神経を刺激する事につながります。
この運動量の複雑さというのは、二足歩行のロボットで考えると分かりやすいかも知れません。工場などで特定の動きだけを繰り返す産業用のロボットというのは、かなり昔から活躍していましたが、二足歩行ロボットはその時々の体勢に合わせて重力加速度を計算しながら修正し続ける必要があるので、センサーやコンピューターの性能が飛躍的に向上した21世紀になってからやっと実現されました。
それでも出始めの頃は階段を登るような動作すら難しく、片足立ちでもバランスが取れるようになったのは、わりと最近の事です。
このような複雑な事を人間の身体はいとも簡単に行っています。わざわざ考える事もなく無意識に行っています。
とはいえ、ある程度の年齢になると筋力やコントロール能力が衰えてくるので、転倒しやすくなってしまいます。
日頃から適度に運動をして全身の筋肉やコントロール能力を刺激する事が理想ではありますが、日常生活にちょっとした片足立ちを取り入れるだけでも、脳に複雑な刺激を与えて活性化してくれる可能性があります。
片足立ちで大きく筋肉が発達するほどの負荷が掛かるわけではないのですが、主に体幹(インナーマッスル)を刺激する効果があり、最近はプロのアスリートが積極的に取り入れたり、リハビリ目的で片足立ちを取り入れているところも増えてきました。
実際に全身の筋力の衰えを調べる指針として、「片足立ちテスト」なるものがあるぐらいです。10代の若者だと平均で1分以上片足立ちができるのですが、
- 20代・44秒
- 30代・32秒
- 40代・22秒
- 50代・16秒
- 60代・11秒
といった感じで片足立ちをキープする時間が短くなり、身体の衰えを如実に表しています。
さらに片足立ちをすると骨盤周りの筋肉が柔軟に動くようになり、腸を動かす体幹の筋肉も刺激する事になるので、姿勢や便通も良くなると言われています。
私はこのような片足立ちの効果を知る事ができたので、さっそく実践してみました。
そしてちょうど一ヶ月が経ったので、今回は私が感じた片足立ちの効果を紹介します。全くお金も掛からないので節約家にとっても相性バッチリの運動ですよ。
片足立ちをして一ヶ月
私は日常生活の様々なタイミングで意識的に片足立ちを取り入れてきたのですが、一番感じている効果は歩いても疲れなくなったことです。
これはびっくりするぐらい違います。
歩き方の専門家ではないので、どのように変化したのか上手く説明できないのですが、歩幅も少し広くなり歩くスピードも増しました。
私は北海道に住んでおり、この記事を書いている今は真冬なのですが、雪道で転ぶこともありませんでしたし、何度か靴が滑っても平気で立ち直らることが出来ました。
前は靴が滑るとヒヤッとしたものですが、それが平然としてられるようになりました。
以前は滑りそうな雪道(氷道)だと慎重になって歩く速度を落としていたのですが、まるで子供の頃のように気にしなくなったとでもいいましょうか、仮に滑っても大丈夫かのような安心感が今はあります。
おそらく片足立ちをしていると、足の裏や指先の細かな筋肉のコントロールが上手くなるので、靴底の設置具合が無意識にわかるのだと思います。
もちろんバランス感覚の向上で転倒しにくくもなっているとは思いますが、滑った後の対応だけでなく、滑る前の心構えが随分と楽になった感じです。
わざわざ雪道を意識して歩き方を変えなくても、脳が自然と対応してくれているような感じで、自信を持ってぐんぐんと歩けるようになりました。
実際に滑ることもほとんどなく、見切りも良くなったのかも知れません。
さらに駅や建物の中を歩くスピードも明らかに早くなりましたし、それでいて疲れることもありません。
また姿勢も良くなったのか、目線の高さというか、向きも変わったように感じます。
どうしても雪国の人は、足元を見て歩いてしまう癖が身体に染み付いているのですが、あまり足元を見なくても路面の状況が分かるようになったせいか、堂々とした姿勢で前を向いて歩けるようになりました。
すると周囲の人がいかに足元ばかりを見ているのかと知ることになりました。雪道は猫背でチョコチョコと歩いている人ばかりです。
体幹の筋肉が衰えているお年寄りほど、足元を見ながら小さな歩幅で歩くものですが、その逆の事が片足立ちをすることで起こったような感じです。
加齢に伴って片足立ちテストの数値が悪化していくように、この逆転現象が起こってくれました。それもたった一ヶ月だけです。
他にも足の冷え性が改善されてきました。
よく足の冷え性対策として足指のマッサージやストレッチなどがありますが、おそらく片足立ちをすることで同様の効果があったのだと思います。
実際に片足立ちをやってみるとわかりますが、バランスをとる為にかなり足の指や裏側の筋肉を使います。
普通に歩いている分には足の指先を意識することなどありませんが、片足立ちをすると足裏の皮膚感覚が研ぎ澄まされていきます。
おそらく片足立ちのおかげで、足の裏の筋肉の活動量が増え、血行も良くなったのだと思います。これが冷え性改善に役立ったのではないでしょうか。
他にも偏平足の改善にも役立つかも知れません。歩き方が変わるので当然ですが、日頃から足の裏の筋肉を上手に使えるようになると、歩き方や姿勢まで良くなって疲労が少なくなってくれます。
たった一ヶ月の片足立ちだけなのに、自分でもびっくりするぐらいの効果を実感する事になりました。
これらはあくまでも私が実感したことなのですが、ネットで調べてみると基礎代謝が上がってダイエット効果があったり、激しい運動を制限されている人でも気軽に取り入れられる運動として紹介されていました。
スクワットのようなハードな筋トレだと、人によってはリスクになってしまいますが、高負荷が掛からない片足立ちだからこそのメリットがたくさんあるようでした。
おすすめの片足立ちのタイミング
一般的な片足立ちのやり方というと、ヨガやストレッチのようにしっかりとした方法を思い浮かべるかも知れませんが、このような本格的な片足立ちというのは、やる場所も選びますし、慣れないと転倒のリスクもあるので、意外と継続するのが簡単ではありません。
日頃から筋トレや運動を行っている人であれば問題ないのですが、誰でも気軽に日常生活に取り入れられる片足立ちではありません。
私がおすすめする片足立ちというのは、トレーニングのような特別なタイミングを意識せずとも行える軽い片足立ちをすることです。
軽い片足立ちというのは、片方の足を完全に浮かせるのではなく、靴底が少しだけ触れているような感じで、片足立ちをする方法です。
これならバランスが崩れても直ぐに戻せるので、人前でもよろけることがありません。
いわゆる本格的な片足立ちが悪いのではないのですが、それだと場所を選ぶので習慣として取り入れるのが難しいという意味です。
この軽く浮かせるだけの片足立ちを意識するようになってから、いつでもどこでも片足立ちを取り入れることが出来るようになり、一ヶ月という短期間でも効果が出たのだと感じています。
エレベーターやバスを待っている時など、ちょっとしたタイミングで片足立ちをすることが出来ますし、完全に靴を浮かせてはいないので、転倒した事も一度もありません。
この軽い片足立ちを意識することで、いつでもどこでも出来るようになるので、ぜひ試してみてください。
多くの人は普通に立っている時でも片足に体重をかけて休んでいるものですが、その姿勢のまま片足にギュッと力を込めると、膝が伸びて足が真っすぐになって骨盤が起き上がり、自然と胸を張った良い姿勢になると思います。
もちろん自宅ではより本格的な片足立ちをしていました。慣れてくると本を読んだり、スマホを操作することも出来ます。
テレビを見ていると、気づいたら5分以上片足の足だけで立っていたということも珍しくありません。
他にも歯を磨くタイミングもおすすめです。手が揺れているので難易度が上がります。
本格的な片足立ちは慣れるまで少し大変かも知れませんが、軽い片足立ちであれば難易度が低いので、気軽に日常生活に取り入れられるはずです。
片足立ちの種類
ちなみに本格的な片足立ちには種類があります。
ヨガのように浮かさない方の足を固定してビシっと立つ方法もありますし、あえて膝や腰を緩めてゆらゆらとバランスを取るのも良いですし、全身をピンと伸ばしながらバランスを取ってもOKです。
どの片足立ちが正しいということではなく、色々なパターンの片足立ちを行った方が、体幹やバランス感覚を鍛えるのに効果的です。
歯を磨く時に片足立ちをすると難易度が上がると言いましたが、他にも難易度を上げる方法はいくらでもあります。
一番難しいのは目をつぶる事(閉眼片足立ち)です。
これは一ヶ月経ってもかなり難しいです。目からの情報がシャットアウトされると、平均感覚を保つのが一気に難しくなります。
片目だけでも結構難しいので、ある程度慣れてきた人は試してみてください。
他にもスリッパを履きながら片足立ちをすると、またいつもと違ったバランス感覚が必要になりますし、素足でもつま先立ちをしてみたり、あえて指先を浮かして踵側に重心をもっていくと、また別のバランス感覚が必要になります。
歯を磨く動作のように片足立ちをしている最中に、あえて肩をゆすってみたり、腕を回してみたり、腰を回してみるのもおすすめです。想像以上に難しいと思います。身体が柔らかい人なら体操選手やバレリーナ―のようにポーズを取ってみるのも良いかも知れません。
自宅で行う片足立ちは、やり方次第でいくらでも難易度を上げることが出来るので、どんどん上達していくと思います。
ヨガの片足立ちのポーズだけでも様々なパターンがあるので、YouTubeなどの動画を参考にしながら色々試してみてください。
片足立ちの注意点
いつでもどこでも行える片足立ちとして、片方の靴底少し浮かせるだけの軽い片足立ちを紹介しましたが、駅のホームや横断歩道の先頭では絶対に行わないでください。
軽く浮かせるだけなら、よろけて転倒しにくいと言いましたが、それでも可能性は0ではないので危険な場所では絶対に行わないでください。
また電車やバスの車内で立っている時も気をつけてください。つり革を握っていれば大丈夫だとは思いますが、どうしても電車が大きく揺れると転倒する可能性が高まってしまいます。
軽い片足立ちはいつでもどこでも行えるとは言いましたが、流石に周りの人に迷惑になる場所や危険な場所では避けてください。
あと自宅で片足立ちを行う場合も、部屋を片付けてから行ってください。
どうしても難易度を上げていくと、大きくバランスを崩してしまうことがあります。ある本に足を絡める片足立ちが紹介されていたのですが、私は派手に転倒してしまいました。
片足立ちはスクワットのような強い負荷が掛からないトレーニングなので、ケガのリスクは圧倒的に少ないのですが、流石に転倒した時には多少なりともリスクがあるので気をつけてください。あくまでも自己責任でお願いします。
まとめ 片足立ちは全身運動
片足立ちは気軽にどこでも行えるトレーニングなので、ぜひ日常生活に取り入れてみてください。
軽い片足立ちが出来るようになると、ホントにどこでも出来るようになりますよ。今日もスーパーのレジで待っている間にやっていました。
この軽い片足立ちを覚えると、普通に立っているのがもったいなくなります。いつでもどこでも取り入れられる運動なので覚えておいてください。お金も一切必要のない運動なので節約家にもおすすめですよ。
ちなみに片足立ちをするようになってから思い出したことなのですが、私は学生時代にスケボーにハマっていた事があります。
スケボーは片方の足でボードに乗り、もう片方の足で地面を蹴って前に進むので、基本的に不安定なボードの上で片足立ちをすることになります。
なので、当時の私は自然とバランス感覚が磨かれていたのだと思います。
その当時に私が通っていた高校で、スノーボードの授業が取り入れられることになったのですが、未経験者の中で私だけがいきなりスイスイと滑ることが出来てしまいました。
北海道の雪深い地域の高校なので、全員がスキー経験者ではあるのですが、やはりスノーボードとなると勝手が違うので、初めての人は転んでばかりいたのですが、私だけがスノーボード経験者と同じ組みに入れられた事を思い出しました。
スケボーとスノーボードは姿勢が似ているので、片足立ちの効果だけとは言いませんが、おそらく当時の私はかなりのバランス感覚を持ち合わせていたのだと思われます。
昔の子供は野山を駆け回って遊んでいましたし、道路も今ほど整備されておらず、さらに竹馬や一輪車で遊んでいたので、バランス感覚が自然と磨かれる機会が多かったのかも知れません。
一方で現代の公園は安全性の事も考えられて整備されているので、遊びながらバランス感覚が磨かれるような機会が減っているのだと思います。
運動不足の人が多い現代こそ、片足立ちの効果が求められているのではないでしょうか。
スマホやデスクワークの影響で姿勢が崩れている人も多いですし、綺麗に歩けている人も本当に少ないです。
片足立ちを行うと姿勢や歩き方といったものも改善する可能性が高いので、運動不足でない人もぜひ試してみてください。初めは想像以上に出来ないかも知れませんが、どんどん上達していくので楽しみながら日常生活に取り入れてみてほしいと思います。
追記 足の形も良くなるかも?
この記事を書いて半年ぐらい経ってから気づいたのですが、爪を切る時に足の指を見ていると、なんだか前よりもスラーと綺麗になっているように感じました。
前はもっと指全体が縮こまっており、指同士がくっついていたのですが、より自然な状態になっていました。
もしかしたら片足立ちで足裏や指の筋肉を使うようになったことで、正常な形に戻ってきたのかも知れません。
浮指の人は足の爪に刺激な少なくて形が変形することもあるそうなので、歩き方や筋肉の使い方も関係しているのかも知れません。
私は過去に利き手の人差し指と中指をケガしてしまい、一ヶ月以上固定して使えなかった事があるのですが、全く指先に刺激がなかったせいか、爪の形が随分と平べったくなってしまった事があります。
ケガは一ヶ月ぐらいで良くなったのですが、爪の形が元に戻るには半年以上かかってしまった経験があります。
おそらく足の爪といったものも、普段の刺激によって形が変わるような事があるのだと思います。
足裏の筋肉や指の使い方によって設置する刺激や加わる力も変わるので、当然の流れなのかも知れません。
既に綺麗な歩き方をしている人だと、足の指の形が綺麗になるような効果はないかも知れませんが、片足立ちの効果によって歩き方が改善されると、様々な良い影響があるのだと思います。
外反母趾といったものもサイズが合っていない靴や歩き方のクセが原因ですし、巻き爪といったものも影響しています。
足裏に出来る魚の目やタコといったものも、特定の箇所ばかりに刺激が集中する事で出来てしまうので、それらも改善する可能性があるのかも知れません。
ピアニストの指が綺麗なように、日頃から繊細な動作を行っていると縮こまっていた足の指が綺麗になるような効果もあるのかも知れません。
足の指など誰かに見られるものでもないので、それほど見た目は気にしなくても良いかも知れませんが、おそらく歩き方や姿勢が綺麗になったからでもあるので、足指の状態というのも一つの目安になるのではないでしょうか。
姿勢が良くなると肋骨が広がって呼吸の質といったものもあがり、様々な臓器も正常な位置に戻って機能が回復します。単純に見た目の印象が良くなるだけでなく、健康という意味でも効果が期待できるので、運動不足の人ほど日常生活に片足立ちを取り入れてみてください。
左右で差が出ないように両足をバランスよく刺激して、日常的に全身の筋肉を刺激してあげましょう。軽い片足立ちであれば、いつでもどこでも行える運動なので、継続しやすく効果も実感しやすいと思いますよ。
コメント
ブログ主さま、初めましてパーソナルトレーナーのタケシタと申します。
こちらで紹介されているように片足立ちのトレーニングというのは、プロのアスリートから高齢者のリハビリまで取り入れられるほど効果的なトレーニングです。
こちらで提案されている「軽い片足立ち」という発想には感心いたしました。
本格的な片足立ちとなると、やはりジムなどで管理しながら行わいと継続が難しいのですが、気軽に日常生活に取り入れられる方法は素晴らしいです。
実体験から思いついたとの事で大変勉強になりました。参考にさせていただきます。
by タケシタ マコト