早歩きの効果とは?
普通に歩くよりも早歩きをすると、消費カロリーが増えると言われています。
この理由は普段の歩き方が自然と効率の良い歩き方になっているからであり、いわゆる省エネの歩き方を選択しています。無意識はわざわざ疲れるような歩き方をしません。
科学的には普通に歩く速度を1.5倍に上げると、約2.4倍もの運動の強度になると言われており、難しい計算式もあるのですが、簡単に説明すると、早歩きをすると慣性が強く働くのでバランスを取る為に全身の力を使う事になり、同じ距離を歩いても消費カロリーが増えてくれます。
なので単純に早歩きをする事には「ダイエット効果」が期待できます。これだけでも素晴らしいメリットではあるのですが、当然早歩きをすると時間の短縮にもなってくれます。
もちろん早歩きにはデメリットもあります。転倒のリスクや人とぶつかる可能性も高くなりますし、消費カロリーが増えるという事はそれだけ疲労するという事でもあるので、仕事の前だと支障が出てしまうかも知れません。
一般的な早歩きの効果というと、この消費カロリーアップと時間短縮という事になるのですが、意識的に早歩きをする事は他にも様々なメリットがあります。
1 シェイプアップ効果
早歩きのシェイプアップ効果とは、消費カロリーが増えるダイエットとは別に、体型を引き締める効果があります。
早歩きをすると普通の歩き方に比べて、自然と上半身の筋肉を多く(正しく)使う事になります。
そうしないとバランスが取れないので、自然と良い姿勢を保つ為の筋肉に刺激が与えられるので、シェイプアップ効果が期待できます。
たとえばスマホを見ながらダラダラと狭い歩幅で歩いたり、猫背のような前傾姿勢で歩いていると、上半身の筋肉はほとんど使われません。
極端なことをいうとゾンビが歩くような事です。上半身の力が抜けて太ももの筋肉だけを使ってベタベタと歩くようになってしまいます。
他にも大きな荷物を抱えながら歩くのをイメージしても良いかも知れません。上半身の動きが制限されるので大きな歩幅になりません。
歩きスマホや荷物をもっていなくても、日頃からこのようなトボトボとした歩き方をしていると、上半身の筋肉を使うことがほとんどありません。
一方で意識的に早歩きを行うと、どうしてもバランスを取る必要があるので自然と上半身の細かな筋肉が使われます。
猫背のままだと早歩きはできないので、自然と骨盤が起き上がって良い姿勢になってくれます。すると身体の内側の体幹の筋肉を使って歩くようになり、肩甲骨も広がって腕も降られるようになります。
ゆっくりとした歩き方でもこのような正しい歩き方が出来れば問題ないのですが、どうしても無意識は手抜きをしてしまうので、自然と省エネのダラダラとした歩き方になってしまいます。
この無意識にアプローチできるのが早歩きの凄さです。日頃から歩くスピードを早める事で、下半身を中心とした省エネの歩き方よりも消費カロリーが増えるだけではなく、上半身をスマートに引き締めるシェイプアップ効果が期待できます。
これといった運動をしなくてもスタイルが良い人というのは、歩き方が綺麗な傾向があるものです。
2 歩き方の改善
意識的に早歩きを行うと、自然と良い姿勢に近づいてくれるという事は、歩き方も「正しい歩き方」に近づいてくれます。
これも意外と大きなメリットです。正しい歩き方というのはモデルさんでもない限り、誰かに習うものでもないので、多くの人が自分なりの適当な歩き方をしています。
内股やガニ股では力が真っ直ぐ地面に伝わりません。地面をとらえる時に膝が曲がっていると力が伝わりません。引きずるような歩き方だと適切に力が伝わりません。
意識的に早歩きを行うことは、これらの悪い歩き方が自然と正しい歩き方に補正されていきます。
わかりやすいのは目線の高さや向きの変化です。しっかりと骨盤が起き上がって胸の張った歩き方が出来ると視界も変わります。
猫背で歩いていると常に足元が視線に入るものですが、正しい歩き方をすると自然と胸を張った良い姿勢になるので、視界に靴がほとんど見えなくなります。足を最も前に出した時に靴の先端が視界の外れをかすれる程度になります。
これは試してみると直ぐに分かります。
常に視線の中に靴が見えている歩き方というのは、腰が九の字に曲がって肩がすぼまって首が前に出て下を向いているからです。
周囲の人の歩き方を観察してみてください。
意識して他人の歩き方を見てみると、意外なほどクセがあるものです。ガニ股だったり、内股だったり、肩をすぼめて重心が前のめりになっていたりします。
お相撲さんのように太っていると胸を張った姿勢になるのですが、あれはお腹が重たくて前に倒れないようにのけぞっているだけなので、極端なガニ股になっているものです。
さらに人によっては左右の歩幅の違いや足の向きもバラバラだったりします。意識して足音を聴いてみると、左右で足音が同じという人が、いかに少ないか分かると思います。
自分の足音にも注目しながら早歩きをしてみてください。正しい歩き方になるとリズムよく心地の良い足音が響いてくれます。
ファッションモデルのように歩き方を指導してもらう機会は一般の人にはありませんが、早歩きを意識する事で自然と身体が効率の良い歩き方になっていくので、つま先が前を向いて骨盤が起き上がった正しい歩き方に近づいていきます。
これも早歩きの素晴らしい効果の一つです。姿勢が良くなると見た目の印象もグッと良くなりますし、健康面でもメリットしかありません。ファッションモデルにでもなったつもりで、スッと胸を張った姿勢で早歩きをしてみてください。
3 長寿、健康
早歩きは消費カロリーがアップするだけでなく、良い姿勢を保つのに必要な筋力も鍛えられるので健康面でのメリットも膨大です。
筋トレのように特定の筋肉を鍛えるのが悪いわけではないのですが、そもそも生活に必要のないほどの筋肉を鍛えても健康面でのメリットは少ないですし、息が切れるほど(心拍数が上がる)の運動は、健康や長寿にとってマイナスに働くことがあるのですが、早歩きにはそのようなリスクがありません。
姿勢が良くなると内臓の機能も向上(元に戻る)します。猫背でいると肋骨の動きが妨げられて肺が大きく膨らめないので、自然と呼吸も浅くなってしまうのですが、姿勢が良くなると同じ呼吸でもスムーズに肺が大きく膨らむようになるので効率が良くなります。
誰もが深呼吸をする時は自然と胸を張った良い姿勢になるものですが、早歩きをして姿勢が良くなると、この差が日常的に積み重なっていきます。
他にも早歩きに適した良い姿勢になると自然と腕が振られるので、肩こりといったものも軽減されます。
猫背で肩が前に入っていると常に背中や首の筋肉に力が入ってしまうのですが、姿勢が良くなるとそれらの負担が減るだけでなく、適度に運動(筋肉の収縮)も加わるので血液やリンパの流れといった要素も改善されていきます。
肩こりや首の痛みに悩んでいる人ほど普段の姿勢や歩き方が悪いので、なかなかそれらの筋肉の収縮する機会がないのですが、早歩きに相応しい姿勢になると自然と肩が開いて腕が振られるので、身体の内側から凝り固まった筋肉をほぐしてくれます。
ちなみに70歳以上の女性を対象として海外の調査では、歩く速度に比例して健康だという結果が出ています。
「卵が先か、鶏が先か」といった言葉がありますが、健康な体だからこそ歩く速度が早いのかもしれませんし、歩く速度を早める事で健康な身体になっていくのかも知れません。
自然と良い姿勢になってくれる早歩きというのは、全身の健康にとっても大きな効果が期待できます。これといった運動をしていなくても健康な人というのは、歩き方が綺麗なだけでなく早い傾向があります。
効果的な早歩きの方法
早歩きといっても難しく考える必要はないのですが、早歩きの効果を引き出すにはいくつかのポイントがあります。
まず初めに意識してほしいのは靴の重要性です。
これはウォーキングに適した高機能な靴という意味ではなく、フィット感の事です。サイズの合っていない靴で正しく歩くことなど出来ません。
これは逆に考えてみると分かりやすいのですが、病院などでフィット感がまるでないツルツルのスリッパを履くと、誰もが自然と歩き方が変わってしまうように、まともに走る事が出来ないような靴では早歩きなど出来ません。
どうしても日本だと靴を脱ぐ機会が多いだけに、緩いフィット感の靴を履いてしまっている人が多いのですが、これは重たいスリッパのような事なので、正しく歩く事ができません。
目安としては全力で走っても不安がないぐらいのフィット感の靴を履く事が大切です。革靴でもフィットしているものだと走る事ができますが、適当に靴紐を緩めていたり、靴紐がないスリッポンタイプだと難しいです。
靴のフィット感は早歩きの効果を引き出す上で凄く重要なポイントなので、しっかりと向き合ってみてください。脱ぎ履きしやすいように大きめのサイズの靴を選んでいる人ほど、ダラダラとした歩き方になって姿勢まで崩れてしまっています。
フィット感抜群の高機能なスポーツシューズが必要だという意味ではなく、サイズが合っている靴をきちんと履く事が大切です。これすらも意識できていない人が多いだけに、多くの人は綺麗にに歩く事が出来ていません。
介護用の靴の中にはマジックテープのものが多いのですが、まさに靴のフィット感が歩き方に影響が大きい事を示しています。ブカブカの靴では正しく歩く事など不可能なので、しっかりと向き合ってみてください。
早歩きによる消費カロリーアップを狙うのであれば、バランスが保ちにくい大股にする事が有効ではあるのですが、姿勢や改善や健康といった効果を期待するのであれば、歩幅を広げるよりも足の回転を速くする方を優先した方が効果的です。
足の回転を速くするのに慣れていくと、自然と歩幅も広がってベストな間隔になるので、初めの頃は大股を意識しなくても大丈夫です。
またウォーキングなどに見られる「腕を上げる動作」も早歩きには必要ありません。肘を直角に曲げて拳を目線の近くまで上げる人がいますが、これは早歩きとはあまり関係ありません。むしろ遅くなる可能性があります。
消費カロリーという意味では腕を積極的に振っても良いのですが、腕に力が入ってしまうと、腕が惰性で後ろに振られる事もなくなってしまいます。ここがもったいないです。
自然と腕が振られる正しい歩き方をしていると、勝手に肘が身体の後ろ側まで動きます。
これが歩くだけで肩甲骨周りのストレッチになってくれるのですが、極端なウォーキングのように身体の前だけで腕を振ってしまうと、一部の筋肉ばかりが使われる事になってしまいます。
消費カロリーという意味では悪くはないのかも知れませんが、全身の筋肉をバランスよく使うという意味では自然とに任せた方が効果的です。
たまに手を後ろに組んで歩いている人がいますが、トボトボとしか歩けないのはイメージできるのではないでしょうか。腕は自然に任せた方がバランスの良い歩き方になるので意識してみてください。
もう一つ早歩きのポイントを紹介すると、足の付け根の位置のイメージを上げることも効果的です。股下から足が出ているのではなく、おへそや胸から足を前に出すようにイメージしてみてください。
腰に手を当てて歩いたり、それこそ手を後ろに組んで早歩きをしてみると分かりやすいのですが、骨盤周りの動きが悪くなるので、足の筋肉だけを使って狭い歩幅でしか歩けなくなってしまいます。
だからこそ腕の動きは自然に任せた方が良いのですが、この時に足の付け根をおへそよりも上にあるようにイメージして歩くと、骨盤周りがしなやかに動くようになり、足を出す度に骨盤がひねる動作を出来るようになります。
たったこれだけの事で、歩く時の上半身の筋肉の使い方が劇的に上手くなります。自然と腹筋や背筋を使うことになり、歩幅も広くなります。
フィットした靴を履いている事が前提ですが、足の付け根の位置を少し高めに意識しながら、足の回転を少し上げるの早歩きの効果を引き出すポイントです。
全身の筋肉をバランスよく使った歩き方といいうのは美しいものです。単純に消費カロリーがアップするだけではなく、姿勢も良くなって見た目の魅力もアップします。
もちろん身体も健康になっていくので、美しい歩き方になるということは、人としての総合的な魅力が上がる効果があります。
早歩きに慣れるまでは疲れるかも知れませんが、短い時間だけでも早歩きをする事で、正しい姿勢や歩き方に必要な筋力が鍛えられていくので頑張る価値があるのではないでしょうか。
まとめ 本当の早歩きの効果
歩き方というのは多くの人が無意識に行っているだけに、あえて意識にあげないと変えられません。
芸能人やモデルのようにカメラで録画してチェックでもしない限り、客観的に自分の歩き方を意識する機会はないものです。
何かの拍子で自分の声が録音された音声を聞くと、「え?これ私の声?」と違和感があるものですが、歩き方も同じです。自分が思っている以上にスマートではないかも知れません。
だからこそ早歩きを取り入れてみてほしいと思います。日頃の歩く速度を少し上げるだけで、自然と正しい歩き方や姿勢を取り戻す事になり、健康になって見た目の印象も良くなってくれます。
私は早歩きを意識するようになってから様々な効果を実感したのですが、早歩きの本当の効果というのは、これらの本質的な事に気がつくきっかけになった事だと感じています。
肩がこるからとマッサージに通っても一時的に症状が和らぐ効果しかありませんが、普段の身体の使い方を改める事で肩がこる原因そのものを減らす事ができるように、問題の本質と向き合えるようになった事が一番の効果だと感じています。
もしかしたら靴紐を結ぶだけでも肩こりが治る人がいるかも知れません。フィットした靴で正しい歩き方ができるようになると、通勤やトイレ休憩で少し歩いただけでも、全身の筋肉をバランスよく刺激できるので血流が良くなります。
どんなにオシャレをしていても姿勢や歩き方が悪いと、洋服がシワだらけになって魅力的ではありませんし、オシャレで魅力的な人ほど姿勢や歩き方も美しいといった本質的な気づきが得られました。
早歩きを意識するようになると、自分の姿勢や歩き方も意識に上がるようになり、周りの人の姿勢や歩き方の違いにも気がつけるようになり、魅力的な人ほどそれらも優れている事がわかり、より本質にアプローチする事ができるようになりました。
一流の役者さんほど役柄の年代やキャラクターに合わせて姿勢や歩き方を変えていた事に気づいたり、それらの僅かな違いによる印象の差にも気がつけるようになりました。
ガニ股や内股で歩いていると外反母趾になってしまったり、膝に負担が掛かるような事があるように、毎日の運動でもある歩き方を改める事は、健康の為に週末に運動をするような事より、ずっと大切な事なのではないでしょうか。
早歩きには消費カロリーアップやシェイプアップ効果や健康や時短といった、たくさんのメリットがあるわけですが、それらと向き合う事で人間力そのものがアップしていくきっかけとなってくれたと感じているので、ぜひ皆さんも早歩きを意識してみてください。
意識に上げる事で様々な気づきや違いが分かるようになり、歩きやすい靴の基準が分かったり、疲れやすい靴底の材質といった事にも気がつくようになります。
サンダルのようなものでは、まともに走る事ができませんが、サンダルですらクロックスのようなフィット感が良いものがある事にも気がつくようになりました。
日常生活で走るような機会は多くありませんが、いつでも走り出せるようなフィット感がある靴でないと歩き方も崩れてしまう事がわかり、普段からしっかりと靴紐を結び直すようになりました。
靴の中敷きを替えるだけでもグッと歩きやすくなったり、靴底のすり減りの偏りといった事にも意識が向くようになり、どんどん歩き方が洗練されていきました。
こういった気づきを得る為にも、自然と正しい歩き方に導かれる早歩きを取り入れてみてください。年代によっては転倒のリスクもあるので気をつけてほしいのですが、いつもよりも少し早歩きを意識するだけでも様々な気づきが得られると思うので、ぜひ今日から早歩きを意識してみてください。
正しい身体の使い方や歩き方が意識できるようになると、洋服選びや鞄選びといった物の基準も変わっていくので、どんどん健康的な身体を取り戻す事が出来ますよ。
コメント
いつも私より食べるのに痩せている友人は歩くのが早いです。ちょっとしたことで体型にまで影響があるのですね。これからは早歩きを意識するようにします。
by さな
おかげさまで早歩きを意識するようになってからスタイルが良くなりました。
便秘も解消されて良い事ずくめです。ありがとうございました。
by 匿名
最近の若者はスマホのせいか猫背で俯いて歩く人が多い
デスクワークが増えている現代こそ、日頃の歩き方を正す必要性を感じる
by 匿名
靴のフィット感が一番でしょ!その意味を知る為にも早歩きをするのに意味があるかも知れんけど
by 匿名