大は小を兼ねる?
先日、知り合いの買い物に付き合っていると、「迷ったら高い方を選ぶ!」と自信満々に言っていたことに驚きました。その理由を尋ねると、
「大は小を兼ねるって言うだろ?安物買いの銭失いはしたくない」
と言われました。確かに一理あるのですが、必ずしも高い方が良いとは限らないのではないでしょうか。
「大は小を兼ねる」という諺の意味を調べてみると、
小さいものより大きいもののほうが、幅広く役に立つということ。
とありました。
確かに大は小を兼ねることもあるのですが、節約という観点からみると大き過ぎることや十分すぎる機能や高価なことがリスクになる事があります。
そこで今回は「必要以上に大きいことのリスク」について、いくつか例をあげて紹介していきます。不必要な小を兼ねてしまったばっかりに、扱いづらくなったり、手間が増えてしまう事があるものですよ。
物の大きさ
大きな車ほどたくさんの人や荷物を積むことができます。当たり前ですね。家族が多い家庭では6人乗り、7人乗りなどの大きな車が必要になります。
一方で3人家族でもそのような大きな車に乗っている事がありますが、こちら側はメリットよりもデメリットが大きくなる可能性が高くなります。
たまに祖父母や親戚を乗せることがあるのかもしれませんが、その頻度が年に一度ぐらいであれば、レンタカーを借りた方がずっと節約になるかもしれません。
大きな車は重量があるので燃費がよくありません。またエンジンのパワーもそれなりに要求されるので排気量が大きくなり、維持費(税金)も高くなってしまいます。
車の使い方は人それぞれですが、通勤や買い物で運転するだけなら大きい車は扱いずらくなりますし、駐車場の問題も出てくるかも知れません。
もちろん大きな車が好きで所有欲が満たされるのであれば、これらのデメリットがあっても選ぶ意味がありますが、そのような趣味、趣向がない人にとっては大き過ぎる車はリスクばかりを背負う事になってしまいます。
大きな旅行鞄は機内に持ち込めません。航空会社によっては別料金がかかることもあります。一泊二日の小旅行に大きすぎる鞄は不要なはずです。
当然旅行中も大きな鞄はフットワークを重くします。バスや電車に乗るのも一苦労ですし、周りの人に迷惑を掛ける事もありますし、身体に余計な疲れを蓄積することにもつながります。
住宅だって必要以上に大きくなると掃除の手間が増えたり、冷暖房費が増えてしまいます。もちろん土地が広くなれば固定資産税も高くなりますし、外壁塗装のようなメンテナンス費用も跳ね上がってしまいます。
大は小を兼ねますが、必要以上に大き過ぎることには維持費や手間が増えてしまうようなリスクがあるといことです。
大きな収納
様々な物を収納する家具やグッズにも、大き過ぎることにはリスクがあります。
本棚をスカスカな状態で維持できる人は多くありません。スペースがあれば埋めたくなるのが人間の性です。
収納スペースに余裕があり過ぎると、二度と読むことがないようなつまらない本でも、とりあえず置いておくことになってしまいます。
これは本棚に限った話ではありません。倉庫やクローゼットなどでも同じです。
物を処分するにはエネルギー(決断する力、手間)が必要です。小まめの決断をする分にはそれほど大きなエネルギーは必要としませんが、スペースに余裕があると大掃除の時などに一気に決断を迫られるので膨大なエネルギーが必要になり、判断を誤ってしまうリスクも増えてしまいます。
販売されて間もない本を古本屋に売ると数百円になりますが、本棚で何年間も放置されて色あせた本は二束三文にしかなりません。
流行遅れの洋服も同様です。まだ流行が残っているぐらいで売ればお金になりますが、数年経つと100円未満です。
また読みたくなったり、再び洋服の流行がくることがないとは言いませんが、おそらくとっておいた物の中の極一部だけです。
そのために部屋の中の大きなスペースを取られていることになります。それらの物がなければ部屋は広々としているかも知れませんし、部屋数の少ないところに引っ越して家賃や冷暖房費を無理なく節約できるかもしれません。
スペースに余裕があるがゆえに、余計な物をため込んでしまいやすくなるリスクがあります。
スマホやパソコンの容量だって余裕があると不要なファイルを削除が先延ばしになり、動作を遅延させる原因となってしまいます。
冷蔵庫だって収納スペースに余裕があるほど賞味期限の管理が難しくなり、忘れ去られてしまったり、その物の為に電気代を支払い続ける事になってしまいます。
本当に必要な物を探す手間が増えたり、掃除の手間も増えるかも知れません。部屋や収納スペースが大き過ぎることにも大きなリスクがあります。
同じような値段ならスペースや容量に余裕がある物を選びたくなってしまうものですが、少し高価になったとしても自分に相応しい容量の物を選んだ方が、その後に余計な手間が増えることもありません。
高品質の罠
冒頭で紹介した彼のように安易に高機能な物や高品質な物を選ぶ事にもリスクがあります。
品質の良い物ほど長く使えることも多いので、結果的に節約にとって有効なことも多いのですが、品質が高過ぎるが故に生まれてしまうリスクがあります。
高過ぎる品質というのは、使いこなせないほどの品質ということです。
例えば切れ味抜群の包丁です。その素晴らしい切れ味を維持するために、定期的にプロに研いでもらう必要があります。そのたびにお金が掛かってしまいます。
料理が大好きで包丁の切れ味にもこだわりがあり、プロに研いでもらうことに価値を感じる人であればいいのですが、簡単な料理しかしない人にとっては、メンテナンスが簡単な格安包丁で十分どころか、余計な手間がない分、扱いやすくなります。
包丁の切れ味が求められる刺身を切る機会が多い家庭であれば、高品質な包丁を選ぶ価値もありますが、そうでもない家庭だと重たくて扱いにくい包丁になってしまうかも知れません。
これは鍋やフライパンでも同様です。プロ仕様の高品質な物ほどメンテナンスが大変です。しっかりと火を入れないと焦げ付きやすいですし、数日放置するだけで錆びてしまったり、分厚い金属で重たいだけに一般的な主婦にとっては使いにくい事もあります。
一般家庭なら軽くて錆びないテフロン加工のフライパンや鍋の方が、ずっと扱いやすくて調理が簡単になるような事です。
他にもハサミの品質で考えると分かりやすいかも知れません。もの凄く切れ味のいいハサミが必要な人など滅多にいないはずです。
100円ショップで売られているハサミでも、切れ味に困ることなどまずありません。
このような物に必要以上に高品質を求める意味はありません。中途半端に高機能な鋼のハサミを購入してしまうと、重たくて使いずらくなったり、落とした時に刃が欠けてしまうかも知れません。
また機械に弱い人に多機能なテレビが必要だとは限りません。使いもしない機能の為にリモコンのスイッチが多くなると使いにくくなるだけです。
録画機能も衛星放送も必要ないのであれば、シンプルなテレビの方が価格が安くて使いやすくなるだけでなく、余計な機能が故障して使えなくなるリスクも避けられます。
人によってはスマホのらくらくホンのように、あえて機能を少なくすることで利便性が上がることは珍しくありません。
この辺のバランスは節約家にとっても失敗しやすいポイントなので注意してほしいのですが、予定していたシンプルな物と同じぐらいの価格で、より多機能な物が割引されていると、そちらを選んだ方がお得なように感じてしまうのですが、結局は使いもしない機能で手間だけが増えてしまう事があります。
オシャレな要素などもそうなのですが、インテリアとして活用するような物でなければ、オシャレだからといって大した意味がありませんし、オシャレなデザインのせいで掃除がしにくくなってしまったり、余分なスペースが奪われてしまう事もあります。
高品質、高機能過ぎるがゆえに、使いにくくなるリスクがあるものです。大は小を兼ねますが、安易に選んでしまった大のせいで、余計な手間が増えてしまっているケースは珍しくないので、しっかりと必要十分な機能を見極めるようにしてください。
最近はコップ一杯分ぐらいの飲み物しか入らない小さなマグボドルが人気になっているのですが、まさにこのようなサイズが人気になるのは、自分に相応しい量を見極められる人が増えているからなのではないでしょうか。
一般的な500mlぐらい入るマグボトルの方が種類も多くて価格も安い事が多いのですが、あえて高価になっても必要十分なサイズを選ぶ事で、持ち運びが格段に楽になるものです。
ただマグボトルだと小さ過ぎることで洗いにくくなるようなデメリットもあるので、その辺の事も含めて見極める必要があります。
まとめ 必要十分な中
大は小を兼ねますが、必要以上に大き過ぎる者は、使いにくかったり、使いこなせなかったり、メンテナンスの手間が増えてしまうリスクもあるので、安易に大を選ぶのではなく、しっかりと必要十分な大きさを見極めるように意識してみてください。
節約家も価格の安さにつられてお得そうな大を選んでしまう事もあるので、気をつけてほしいと思います。
必ずしも大きい事や高品質な事が悪いわけではありませんが、あくまでも用途次第です。
用途が十分に満たされる以上の品質や機能は、必要以上にお金が掛かるだけではなく、使いにくさという意味でもリスクになります。
セールで安かったからと必要以上に高品質な物を選んでしまうと、上手くメンテナンス出来ずに安物よりも寿命が短くなってしまう事もあります。
もちろんこだわりのある物、趣味、趣向と一致しているのであれば問題ありません。それらは楽しみになるので決して無駄な物とは言いません。
ただ冒頭で紹介した彼のように、何にでも必要以上に機能や容量を求める必要はありません。
私自身の例で言うと、昔は自動販売機で飲み物を買う時に、250mlのスリム缶を選ぶ事ができませんでした。どうしても同じ価格ならたくさん入っている350ml缶を選びたくなってしまうので、その時に一番飲みたいと思っていたジュースでも250mlしかないと、他のものを選んでしまっていました。
スーパーに行くと缶コーヒーの缶ぐらいの小さなサイズのビールが売られているものですが、昔は「あんな量が少なくて高いビールを誰が買うんだろう?」と不思議だったのですが、現在はむしろ自分の適量を見極めて小さな缶を選べる人を尊敬しています。
価格だけで考えると一般的な350ml缶をまとめ買いすれば、さらに安くなったりするので、残りを捨ててしまった方がお得になるのですが、そのような選択をしてしまったせいで飲み過ぎを助長する事になってしまうかも知れません。
あと私が高品質になった事できになったのは、テレビが地デジ化されたタイミングで一気に画質が良くなった事です。
私はテレビに画質など求めていなかったので、それまでは古いブラウン管テレビを使い続けていたのですが、地デジ化に伴って液晶テレビに買い替えると、一気に画質が良くなってしまっただけに、出演者の肌荒れや髪型の崩れが目に付くようになり、特に印象深かったのが時代劇を見た時でした。
役者のおでこのカツラの境目まではっきりと見えてしまい、高画質になってしまった事で、かえって時代劇のリアルさが失われてしまいました。
現代のCG映画よりも白黒だった黒澤映画の方が、かえって臨場感が伝わってくるとかあるものです。アニメの世界には「リアルの壁」というものがあり、リアルさを追求してリアルなアニメや動作に近づいていくと、急に違和感が際立って気持ち悪くなってしまう事があります。
映画館でも最近は4dxといったものがあり、座席が映画の中とリンクして傾いたり振動があったり、匂いや風や水しぶきといったものまで再現するものがあるのですが、私にはかえって映画への没入感が薄れてしまう結果となってしまいました。
この辺の感じ方にも個人差があり、人によって許容範囲は違うものですが、自分が期待していなかった高品質や高機能のせいで、かえって満足度が下がってしまうような事は珍しくありません。
数年前までの家電量販店のテレビの販売コーナーには、やたらと3Dテレビが売られていたものですが、立体的に映像が見えたからといって誰もが満足する結果とならなかったので、数年でブームは消え去ってしまいました。
「大は小を兼ねる」というのも同じで、それが間違いだとは言いませんが、しっかりと自分の基準で中を選ぶ事が大切です。
大き過ぎるがゆえに、
高品質だからこそ、
機能が充実しているだけに、
抱え込む事になってしまう余計なリスクがあることを覚えておいてください。
太っても問題なく着られるからと大きなサイズの洋服を選んでしまうと、皺が増えて似合わなくなるだけでなく、生地の量も増えて身体にまとわりついて動きにくくなってしまいます。洗濯物の容量も増えてしまいますし、タンスやクローゼットのスペースだって奪われてしまいます。
子供がお下がりの洋服を着ているのであれば可愛らしいものですが、大の大人がそのような恰好だとメリットは何もありません。
必要最低限の物しか所有しないというと、一部のミニマリストのような極端な印象に映ってしまうかも知れませんが、必要十分な量を上手に見極めると考えるのであれば、それほど寂しい印象にはならないはずです。
どうしても節約を意識していると、食品などでもコスパの良い大きなサイズを選びたくなってしまうものですが、大き過ぎるせいで賞味期限に追われて食べ過ぎになってしまうと、健康面といった別のリスクが発生してしまうので気をつけてほしいと思います。
もちろん何でもかんでも最低限の小が良いという意味でもないので、しっかりと自分の生活に相応しい「中」を見極めてください。価格の高い小さな缶ビールを2本飲むような事が良いと言っているわけではありません。
この自分に相応しい「中」を見極めるコツは、世間の常識や周りの人の評価といったものに惑わされないことです。「普通はこれぐらいの物を持っている」など全く関係ありません。あくまでも自分の物差しを参考にして選ぶことが大切です。
求めている機能がしっかりと満たされている「中」の物を安く購入するのが上手な節約であり、コスパが良いからと「大」を選んでしまったり、価格ばかりに囚われて求めている機能が満たされていない「小」を選んでしまうと、全く節約にならないので、しっかりと自分の物差しに当てはめて判断してほしいと思います。
コメント
大きい電気ケトル買ったら重くて使いにくかった
滅多にたくさんのお湯を沸かさないから
小さいやつで十分だっと後悔した
これもリスクかな
by 黒野
うちは主人の乗る軽ワゴン車一台ですが、家族4人それで十分事足りるし、荷物が多くてもたくさん運べるし、
軽キャンプ(の真似事)も楽しんでいます。
たまに知人の車や別の車に乗ると、かえってそれ自体レジャーになりますw
デメリットがあるとすれば、マナーの悪いドライバーに絡まれやすいような気がする…ぐらいでしょうか(^o^;)
by いつも楽しみに拝見しています
お金も必要以上にあり過ぎると失った時の不安が増してしまいますね
老後の為の資金を老後になっても貯め続けて結局使わずに亡くなってしまうのは悲しいです
必要十分なお金の量を見極められれば必要以上に貯め込む事も不安に感じる事もなくなります
by 匿名
大でも小でもなく、自分にとって必要十分な中を選ぶのが大切なんですね。勉強になりました。
思い返してみるとコスパの良い大ばかりを選んできていたので、これからは中を意識したいと思いました。
by 匿名