お金持ちの定義
そもそも「お金持ち」に決まった定義などありません。誰もが羨むような生活を送っていたとしても、本人がお金持ちと感じているかは別です。
大豪邸で生まれ育った人にとっては、高級マンションの最上階でもむなしいと感じるかも知れません。
一方で極貧生活で育った人にとっては、平均的な生活でもお金持ちだと感じるものです。
貯金が一億円あればお金持ち、年収が一千万円超えればお金持ちという定義は当てはまりません。
一億円の貯金があっても金持ちの親の豪邸の相続税が払えずに、泣く泣く豪邸を手放す方もいます。年収が一千万超えていても月々の支払いが収入を上回っている方もいます。
お金持ちというのは、どこかに到達点があるのではなく心の持ちようということです。まずはこれを理解してください。逆に言えば心の持ちようを変えた途端にお金持ちになることが可能です。
本当のお金持ち
いわゆるテレビで紹介されるようなお金持ちは、本当のお金持ちとは限りません。
彼らはお金持ちの中の異端児です。ここを忘れないでください。
「最近の若者は~」という常套句がありますが、多くの若者が当てはまるとは限りません。
一部の変わったことをして目立っている若者がメディアで取り上げられるだけです。大多数の普通の若者をわざわざ取り上げたりしません。
これは食堂やレストランでも同様です。至って普通の美味しい料理だけではメディアは取り上げません。何かしら新しいアイディアや工夫があるから紹介する意味があります。
これらと同様に王道のお金持ちはあまり取り上げられません。目立つお金持ちばかりが取り上げられるわけです。
それに本当のお金持ちはテレビで顔や名前が出ることを嫌がります。お金に困っている親戚や知り合いから「お金を貸してほしい」という連絡が山ほどくることになります。
そして様々な売り込みをかけられます。有能な営業マンやら悪徳な業者や強盗や詐欺師のターゲットになります。わざわざお金持ちをアピールして良いことなどありません。
テレビに出演して「俺はセレブだぜ!」とアピールしているお金持ちは、お金持ちの中でも少数派の変わり者だということを理解してください。
彼らもバカではないので、テレビに出演することで知名度が飛躍的に向上することを狙っています。広告費と自らが被るデメリットを天秤にかけて判断しています。
知名度があまりないベンチャー企業や、経営者の知名度が直結する仕事など、あくまでもテレビ出演によるデメリットよりもメリットが上回る場合に出演しています。
またそういった自称(?)お金持ちは派手な生活をアピールしたがります。本心ではそうではなくても取り上げる側の期待に応える形で、「節約するより投資をします」と言ったりします。
このような一部の目立つお金持ちの意見を鵜吞みにしないでください。お金持ちは節約をしないと声高に言う人は、お金持ちの大多数の意見ではありません。
ちなみに親が金持ちだけの自称セレブは別です。あれは甘やかされた育った世間知らずのおぼっちゃま、おじょうちゃまです。何一つ参考にすることはありません。
アメリカの調査
アメリカで所得の上位5%に当たる富裕層に対して行ったアンケート調査があります。全ての方に回答が得られたわけではありませんが、かなり興味深い内容になっていました。
アメリカは日本よりも所得の格差が大きく、金持ちのスケールもバカでかい国です。にもかかわらず、残りの層よりも節約意識が非常に高いという結果がありました。
100ドル以上の腕時計を所有している率が低かったり、車はコストパフォーマンスに優れた日本車が人気だったり、ファーストクラスよりエコノミークラスを好んでいたり、借家の割合も一般のアメリカ人の層と割合は変わりませんでした。
メディアは面白がって一部のセレブの目立った行動ばかりが取り上げられているだけで、大多数のアメリカ人の富裕層は節約、倹約家だったということです。
上位1%ぐらいの超金持ち層だと別の結果になるかも知れませんが、彼らを加えた上位5%の平均でも節約意識が高いということは、上位1%を除いた4%の裕福層の節約意識は、相当高いということになります。
おそらくの日本の裕福層も同等か、アメリカ以上に質素倹約に励む節約意識の高いお金持ちがいると思われます。
金持ち脳
以前別のところで苫米地英人さんの「金持ち脳、貧乏脳」という本をおすすめしたのですが、
金持ち脳とは、お金に対する不安がない人のことを指します。より正確には「不安がないことに気づいている人」を指す言葉です。
一方で貧乏脳とは、常にお金に対する不安がつきまとっている方のことです。どんなに収入が増えても認識(心の持ちよう)を変えない限り、お金への不安は消えません。
節約や倹約ばかりが正しいとは言いませんが、質素倹約に努める方にも二種類存在します。
貧乏脳のまま節約に励むと、常に不満を抱えたまま節約をすることになります。本当は必要なモノ、欲しいモノまで我慢しなければならないという認識になってしまいます。
一方で金持ち脳の方の節約は、「今は必要ないから買わない、必要になればいつでも買える」といった認識なので、いつも心が穏やかでいられます。
この「いつでも買える」という認識が重要です。これは貯金の額だけを指すのではありません。時間や空間の余裕も含まれています。
「本当は欲しい・・・」という貧乏脳だと、セールで割引された途端に飛びついてしまいます。「好きなカラーではないけど安いからいいや」となります。
一方で金持ち脳だとセールに惑わされません。本当に必要なタイミングで必要な機能や好みを見極めて購入します。それらを自由に選択できない福袋など購入しません。
大抵のモノは時間の経過と共に劣化します。中には維持費がかかるモノもあります。セールで安いからとそれほど必要でもないタイミングで購入したモノは、いざ本当に必要なタイミングが訪れた時に使えなくなっているかも知れません。
これが洋服だとサイズが変わっていたり、流行が変わっていることもあります。食品だと賞味期限が切れて廃棄するかも知れません。いわゆる「安物買いの銭失い」になってしまいます。
アメリカの目立たないお金持ちのように、必要十分なモノだけで生活をしていると、余計な維持費が発生しません。当然余計なモノも購入しないので、自然とお金がたまっていきます。
この状態は間違いなくお金持ちです。
収入の額や貯金額は関係ありません。お金が足りなくなる、目減りするという不安がない状態が、お金持ちということです。
一方で様々な物に囲まれている方は、収入が多くても貧乏な可能性があります。大きな家は固定資産税やメンテナンス費用も大きくなりますし、光熱費や火災保険も高くなります。
高級車を何台も所有していると、それだけ税金や維持費がかかります。必要以上に大きな車に乗ってしまうと運転もしずらいですし、見得のために高級車や人気車種を選んでしまうと、盗難のリスク(保険料が高くなる)も増えてしまいます。
高級腕時計も定期的にプロが分解整備をしなければなりません。車の車検のように数年に一度、万単位の維持費が必要です。さらにそれらのような高級なモノが増えるほど、自宅のセキュリティーにもお金をかけるようになります。
本当に必要なモノの為に維持費を発生するのは構いませんが、滅多に使わないモノ、必要のないモノ、見得で購入したモノに対して毎月維持費を支払っていると、お金が貯まる速度が遅くなるのは当然です。
またモノが多いと災害時に受ける被害も大きくなります。一方で銀行の預金額は天災の被害を受けません。どちらが心穏やかでいられるのかわかると思います。
節約ではお金持ちになれない?
よく「節約してもお金持ちになれない」という意見があるのですが、確かに節約の延長線上に大富豪は待っていません。
ですが、節約でお金への不安を和らげたり失くすことは可能です。固定費を見直して月々の支払いを少なくし、少額でもお金が貯まっていく状況にすると心が穏やかになります。
お金持ちの考え方や行動を身につける為に、お金がない時からでも高級な洋服や物に囲まれることを推進する意見もあるのですが、これの本当の目的は自己評価を上げる為です。
「私にはこのような洋服がふさわしい」と自分を洗脳する為に行うということです。
これが悪いこととは言いませんが、その為に借金をしている方が非常に多いのが残念です。いわゆる見栄っ張りです。
借金してまで自分を追い込んで成功した方もいるのでしょうが、アメリカの大多数のお金持ちのように、このような自己洗脳しなくてもお金持ちになることは可能です。
そもそも金持ちになった経緯や方法を公開しているお金持ちは少数派です。借金をしてまで追い込んでそのまま消えていった人の意見は公開されません。
あくまでもその人がたまたま上手くいった体験談という程度だと認識してください。奇抜な格好をしている若者と同じで、一部の限られた珍しい例です。
これは「最近の若者は~」と嘆く人と同じです。最近の若者ではなく一部の目立つ若者なだけです。
声が大きいだけでお金持ちの意見に耳を傾ける必要はありません。投資や収入アップの道は別の話であり、高級な洋服を着たから投資が上手くなるわけではありません。成功者やお金持ちの言うことだから正しいと混同しないでください。
ちなみに「最近の若者はなっとらん!」という言葉は世界各国で言われています。どの時代の人も若い世代をそのように揶揄する傾向があります。
自分の立場を脅かされたくない保守的な年配者が言うセリフです。気にする必要は全くありません。
何とピラミッドの象形文字にもそのような文面が刻まれているそうです。あまり「最近の若者・・・」という言葉は使わない方が良いかと思います。
お手軽なお金持ち体験
偉そうなことを長々と書いてしまったのですが、私もいわゆる「金持ち本」を読みふけって金持ちの方の習慣を真似していたことがあります。
5000円の高級バスタオルも購入して、一週間でイヤな匂いを発生させてしまったこともあります。
高級なモノや好きなモノを購入することが悪いのではありませんが、見栄の為に必要のないモノを購入してしまうと生活は苦しくなる一方です。それがモチベーションとなっていくパターンもあるのでしょうが、大多数のお金持ちの意見ではないということを覚えておいてください。
カローラをベンツにするとガソリン代も車検代も税金も保険も上がります。会社の経営者でベンツぐらいに乗っていないと銀行になめられる(それが本当かは別ですが)など、何かしらの意味があるのであればいいのですが、そうではないのであれば全くの無意味です。
購入金額や維持費だけではなく生活の空間も奪われます。そこにあるだけで心躍るほど好きなモノであれば意味はありますが、世間やセレブの常識だからと、誰かの基準(主にテレビ)で不必要なモノが増えほど生活を圧迫します。
本を出版する成功者や金持ちというのは、基本的に目立ちたがり屋です。出版社も無名のお金持ちよりも、知名度のあるお金持ちの本を出版したいものです。
彼らの意見が間違いだとは言いませんが、大多数の目立っていないお金持ちの意見ではないということを忘れないでください。
アメリカのようなとんでもない格差社会ですら、質素倹約を心がけている金持ちが多いという事実を覚えておいてください。おそらく日本のお金持ちの多くも、日本車に乗りながらユニクロの服を着ています。
一部の目立つお金持ちは節税対策として会社の経費で様々なモノを購入します。はたからみると羽振りが良いように見えますが、少しでも業績が傾けばそれらの維持費が負担になってしまうものです。
極端な節税をすることなく、きちんと税金を払った後に残った現金を手元に残しておけば、維持費が増えることもありません。たとえ業績が傾いたとしてもテコ入れする資金があります。多くの全うなお金持ちはこちら側にいるので、羽振りが良いようには見えません。
ちなみにお金持ちの習慣や視点をマネしたいのであれば、高級なモノを購入するよりも、体験を経験することをおすすめです。実際にお金持ちの人にあちこち連れていってもらうのが理想ですが、一人でも高級ホテルのラウンジでコーヒーを飲むことでお金持ちの体験が得られます。
一般的な喫茶店のコーヒーよりは割高ですが、高額な宿泊費は必要ありません。コーヒーだけなら毎月の固定費も設置スペースも取らないので気軽にお金持ち体験が可能です。
その高級ホテルの空間、イスの座り心地や質感、コーヒーの器や味や香り、そしてBGM、またそこを日常的に利用している人達を観察してみてください。それらを五感をフルに使って感じてください。
そして、その場に相応しい自分をイメージしてください。始めは遠慮がちに縮こまってしまうかも知れませんが、この空間が当然だと思えるようになると、いわゆるお金持ちの視点に近づくことになります。
高級車や高級腕時計を購入しても、ずっと金持ち気分でいられるわけではありません。お店で購入した時だけ素晴らしい接客を受けられるだけかも知れません。一方で高級ホテルのコーヒーであれば、2千円でも素晴らしい接客が受けられます。
まとめ 大声の意見
先日もヤフーニュースで「節約してもお金持ちにならない理由」というものが取り上げられていたのですが、その記事の内容を要約すると「節約しないで投資に回しなさい」ということでした。
その記事元は「○○経済」という雑誌でした。何てことはありません。投資してもらいたい側の意見だということです。
投資会社は経済学部のトップが集まっているようなところです。そんな彼らが最新のコンピューターを駆使して参入しているところに、素人が投資して勝負になるものでしょうか。
年金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、2015年に5兆3098億円の赤字を出しています。
国の年金を運用するぐらいですから、相当優秀な方が集まっていると思うのですが、この散々な結果です。
もし私に任せて頂ければ、年金の運用に関わっている方を全員クビにして人件費を削減し、定期貯金の金利か国債の金利で僅かでも年金を増やします。彼らよりもずっと良い結果を残せたでしょう(笑)。
そもそも必ず投資で勝てるのであれば、経済学部卒の彼らが投資会社に就職する必要などありません。自分で投資して暮らせばいいだけです。それが出来ない人が集まっているのが投資会社ということです。
雑誌やテレビで仕事をしてる投資家は、本業の個人投資で上手くいっていない可能性が大です。大多数のお金持ちがメディアに出演しないように、自分なりに投資手法を駆使して成功している人は、わざわざテレビの出演料や雑誌の原稿料など必要ありません。
全ての投資家が失敗しているわけではありませんし、中には凄い方もいると思うのですが、そのような方の意見が表に出てくることは稀です。そして自分の首を絞めるような情報の公開などしません。
投資は親の取り分がない(少ない)ので、ギャンブルよりは有効だと思いますが、それでも手数料は発生します。素人が簡単に勝てることはありません。安易に参入するべきではありません。
投資やギャンブルにはビキナーズラックがありますが、運だけで継続することはできません。たまにパチンコだけで生活をしているという方がいますが、毎日朝からパチンコ店に並んで良い台をキープして深夜まで打ち続けています。
パチンコ店の店員は夕方に交代しますが、彼らは従業員よりも長い時間パチンコ店で頑張っています。しかも休日や有休はありません。病気でダウンしてしまうと終わりです。
きちんと税金や保険や年金を支払っているパチンコ店の従業員の方が、より少ない時間で高額を稼いでいるのではないでしょうか。
ちなみに「競馬の神様」と呼ばれていた競馬の予想師、故大川慶次郎さんは生涯で3億円ほどの赤字だったそうです。神様と呼ばれるほどの方でもプラスになっていません。
ギャンブルと投資は同じではありませんが、プロと呼ばれる方でも勝ち続けられるわけではありません。
「お金持ちになる為に投資が絶対に必要だ!」という意見には賛同しかねます。それは投資でたまたま成功した人の意見というだけです。投資なしでも質素倹約に努めて心穏やかに生活しているお金持ちが、たくさんいることを忘れないでください。
普段はカローラに乗り、子供や孫が来た時だけ大型のレンタカーを借りればいいだけです。お金に余裕があれば必要な時に必要な分だけ使うことができます。
孫が来て家が狭ければホテルや旅館に泊まればいいだけです。またレンタルの布団もあります。食事も外食や出前を取ればいいだけです。年に一度の見栄の為に残りの364日を犠牲にすることはありません。
本当に自分にとって必要なモノを見極める習慣を身につけてください。誰か(主に珍しいモノを放送するテレビ)に押し付けられた基準を当てはめてしまうと、不幸(貧乏脳)になってしまいます。
まずは必要のないモノを手放すことから始めてみてください。余計な荷物を手放して身軽になってください。生活を質を下げずにできる節約がたくさん見つかると思います。