様々なリラックス方法
世の中には様々なリラックスをする方法があります。
パッと思いつくだけでも、
- 水を飲む
- 音楽を聴く
- マッサージを受ける
- 目をつぶる
- ストレッチをする
- 良い香りを嗅ぐ
- 深呼吸をする
などでしょうか。もちろん他にも様々なリラックス方法がありますが、どれが正しいかというよりも、あくまでも相性の問題なのだと思います。
これらのリラックス方法にはある共通点があります。それは五感からの入力(体感)に意識を向け、現状の身体が緊張してしまっている状態に気づく事で緩和するというものです。
身体が緊張してリラックスできていない状態というのは、何故に緊張しているのかが分からないからこそ、引き起こされてしまうので、そこに気がつきさえすればスーッと身体はリラックスしていきます。
例えば肩こりや首こりというのは、崩れた姿勢によって肩や首の筋肉に知らず知らずのうちに力が入っているからこそ引き起こされるのであり、限界に近くなるとコリといった痛みで自覚する事になり、背伸びをしたり肩を回すなどをして緊張状態を緩和します。
この痛みが出る前に認識する事ができれば、リラックスした状態にするのはそれほど難しい事ではありません。
ただこの認識が難しいからこそ、身体に意識を向けるリラックス方法を取り入れる事が効果的なわけです。
この自分の身体の緊張状態を認識することがリラックスの本質です。どの方法でもいいのですが、自分が今緊張していると気がつくことこそがリラックスのポイントです。
これが分かると自分なりに相性の良いリラックスできる「ご機嫌スイッチ」を見つける事が出来るようになります。
緊張を止める方法
そもそも緊張している状態というのは、なかなか自分では認識できません。
傍から見るとガチガチに緊張しているとわかるものですが、本人は気がついていないものです。
手と足が同時に出てしまうほどの緊張状態になる前に、自分が緊張していると気がつくとその瞬間に緊張は和らぎます。
「あ、いま少し緊張しているな」
と気がついた時点で身体はリラックスします。認識するだけです。これが最も簡単なリラックス方法でもあります。特別な道具もお金もいりません。気がついた時点で身体の緊張状態は和らいでいきます。
この自ら身体が緊張している状態に気がつくポイントは、日頃から自分の身体の状態の変化に目を向けることです。
まるで鏡に映った自分を観察するかのように、身体へ意識を向けます。特別な場面や慣れない場面に遭遇した時だけではなく、何気ない日頃の行動の緊張状態にも目を向けてください。
ほとんど無意識に行っている何気ない行動でも、実は緊張していることがあります。
電車の中で目の前に美人やイケメンがいるだけでも身体は緊張するものです。恐い見た目人がいても身体は緊張します。冷や汗をかいたりドキドキしたりするように、何かしらの反応があるものです。
これらのような無意識に反応してしまった条件を知る事で、最適な対処法が見えてきます。
なかなか緊張状態をほぐせないのは、気がついていないからなので、日頃から些細な事で緊張して身体が変化した様子を知っておく事がポイントです。
分かりやすい例だと、男の人がセクシーな女性を見かけた時に鼻の下が伸びるような変化です。女性でもイケメンが近くにいるとやたらと髪型が気になったり、ソワソワしてしまうような事があると思います。
このようなちょっとした緊張による身体の変化に気がつけるようになると、その瞬間に身体はリラックスに向かいます。
まるで他人ごとのように自分の身体の緊張状態を観る習慣を身につけてください。
「あ、こんな事でドキドキするんだ」
と気がついた途端に、ドキドキが収まっていきます。
相性の良いリラックス方法の見つけ方
自分で緊張していること気がつくと、それ以上に緊張することはありません。緩やかに緊張がほぐれていきます。
そのタイミングで過去に体験したリラックスした出来事などを思い浮かべると、さらに緊張がほぐれるスピードが加速していきます。
これが自分だけの「ご機嫌スイッチ」という意味です。自分の体感と相性が良い基準を知っておくと、積極的に身体をリラックス状態へ導きやすくなります。
ふいに昔好きだった音楽が流れてくると、当時の思い出が蘇ってきて心地よくなるように、ちょっとしたきっかけで身体の状態は変化します。
ただこれには相性があります。五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)というのは誰もが同じようなレベルがあるわけではなく、人それぞれ得意なものがあります。
これは美味しい料理を感じるポイントや言葉にする時の表現方法で考えると分かりやすいのですが、視覚が優位な人は料理の見た目を重視します。
聴覚が優位の人は鉄板焼きのジュワ―という音や炭酸のシュワシュワの音に惹かれますし、触覚優位の人は噛んだ時の食感や舌触りに反応しますし、味覚が優位な人は味を最も重視し、嗅覚優位な人は料理の香りを重視します。
もちろんどれか一つだけが突出しているとは限らないのですが、ワインのソムリエが表現する時に「豊かな土壌の香りがする」といったり、「柔らかい風に包まれている」といったりするように、コンピューターの成分分析のように味だけで感じ取っているわけではありません。
テレビ番組で目隠しをして鼻をつまんだ状態で食べさせると、全く料理の味が分からなくなる人がいるように、味覚だけで料理の良しあしを判断している人は多くありません。
もちろん細かく分けていけば、お店の雰囲気や接客サービスによっても満足感が変わりますし、料理人による食材の説明を受ける事でありがたみが増す人もいます。
これらも五感の影響を受けている事になるのですが、人それぞれ得意なジャンルがあるので、自分なりに美味しかった料理を言葉に書き起こしてみてください。どの五感の表現をしているか分かると、自分と相性の良いジャンルが分かります。
他にも温泉に浸かった時の気持ちよさを思い浮かべた時に、温かさを思い浮かべるのか、温泉の香りを思い浮かべるのか、露天風呂の風景を思い浮かべるのか、ドボドボと温泉が流れてくる蛇口を思い浮かべるのか、といった事でも特異なジャンル(温泉で味覚は難しいですが)が分かるようになります。
楽しかった事や心地よかった事を思い出というのは、大抵は自分の得意な五感と関係しているので、傾向が分かると相性の良いリラックス方法というのも見つけやすくなります。
ヨガによってリラックスできるといっても、視覚情報が優位な人にとっては自宅の中で1人でヨガをしても効果が薄いかも知れません。嗅覚優位の人ならホットヨガスタジオのアロマの香りが良かったのかも知れませんし、聴覚優位な人なら講師の説明の声やヒーリング音楽によって影響を受けていたかも知れません。
もちろん触覚優位の人であれば、自宅で1人で行ってもリラックスできるかも知れません。
このような相性が人それぞれ違うので、ダイエットや筋トレといったものでも自宅で1人で出来る人もいれば、お気に入りのジムに通わないと継続出来ない人がいるわけです。
私の例でいうと、あまり視覚は得意ではないせいか、料理の見た目にはこだわらない事が多く、自宅で作るとなると鍋やフライパンのまま食べてしまう事が多いのですが、嗅覚は鋭いので仕上げのスパイスなどには結構こだわってしまいます。
胡椒の味が好きというよりも香りの影響を受けるので、風味豊かな砕きたての胡椒が楽しめるミルに惹かれました。
視覚が優位な人であれば、同じ料理をするにしても盛り付けや器にこだわった方が心地よくなるので、自分なりに相性の良いご機嫌スイッチとして機能してくれます。
聴覚優位な人ならホットプレートのような調理法でジュウジュウと焼ける音が良いのかも知れません。私はバーベキューは片付けるのが面倒なので興味が薄いのですが、やたらとバーベキューのような料理が好きな人がいるように、人それぞれ心地よさを感じるポイントは違います。
これらのような自分にとって相性の良い五感が理解できると、リラックスできる方法も見つけやすくなるので意識してみてください。
これの凄いところは、実際に体験しなくても思い浮かべるだけでもリラックス効果が得られるところです。脳は今現在に体験していない事でも上手く想像する事ができると、実際に体型している時と同じような生体反応(リラックス)が得られます。
妄想の効果
妄想するだけで実際に体験した時と同じような効果が得られるというと、少し大げさな表現に聞こえるかも知れませんが、自分の五感と相性が良い対象ほど想像もしやすくなるので、脳はまるで体験しているかのような生体反応を引き起こしてくれます。
これこそが究極の「ご機嫌スイッチ」です。思い浮かべるだけでいつでも押す事ができます。
「過去の経験を思い浮かべるだけで緊張がほぐれるわけがない」と思う人もいるかも知れませんが、ちょっとした考え方が身体へ及ぼす影響は珍しくありません。真っ赤な梅干しを思い浮かべると口の中に唾液が出てくる人は多いと思います。
梅干しを一度も食べたことがない外国人に梅干しの写真を見せても唾液は分泌されませんが、多くの日本人であれば体感があるので身体に反応が出ます。
日本人の多くは風鈴の音が聞こえてくると、風が吹いてきたのだと感じて体温が下がる事が科学的にも証明されています。
体温を下げるほどの風でなくても、日本人であれば多くの人が風鈴の音のおかげで、些細な風でも積極的に感じ取りやすくなって体温を下げる事になるわけです。
それこそ風鈴の意味を知らない外国人にとっては、全く身体に変化は訪れません。単純に風鈴の音が聞こえただけです。
他にも頭の中の想像だけで生体反応が出るようなケースはいくらでもあるはずです。
分かりやすい例だと睡眠中の「夢」の中の出来事です。夢の中で好きな人と結ばれると、実際に行為を行わずともオーガズムに達する事すらあるわけです。
大嫌いな人を思い浮かべるとイライラして心拍数や血圧が上がりますし、大好きな人を思い浮かべると表情がニヤニヤするだけでなく、身体も副交感神経系が優位になってリラックスしていきます。
これらのように想像しただけで身体の緊張状態は影響を受ける事は珍しくないので、自分と相性が良い五感が分かると、実際に体型する事でも相性の良い選択をしやすくなり、楽しい記憶も残っていきやすくなります。
緊張しやすい人は、過去に心地よかった経験を明確にし、いつでも思い浮かべられるようにしてください。何度も思い浮かべることでどんどん上手になっていきます。一瞬で当時の心地よさを再体験できるようになると、その瞬間に身体がリラックスモードへ突入していきますよ。
まとめ ご機嫌スイッチの構築
「あ、私いま緊張しているかも、なんだか身体が硬いし」
と気がついた時点で、それ以上に緊張することはありません。そこでさらに他人事のように認識できると、徐々に緊張状態はほぐれていきます。
そのタイミングで過去のリラックスした体感を加えることで、身体は一気にリラックス状態へ向かっていきます。
ぜひ自分なりのこの工程をスムーズに行えるようになってください。「ご機嫌スイッチ」を押せるようになると、人生のあらゆる場面で役に立ってくれますよ。
もちろんリラックスする方法というのは、人それぞれ相性がありますし、方法そのものに正解があるわけではありません。
自分の気持ちよかった体験、心地よかった体験、リラックスしたと感じた体験を、いつでも思い出せるようにしてください。
似たような状況に遭遇した時にたまたま思い出すのではなく、いつでも簡単に取り出せるようにしておくと、緊張している時にサッとご機嫌スイッチを押す事ができるようになりますよ。
これで分かりやすいのは、スマホ待ち受け画面を大好きな人にするようなことです。
忙しい仕事に追われて緊張しっぱなしの時に、たまたまスマホを開いた時に大好きな子供の写真があるとスッと緊張がほぐれてくれるように、ちょっとしたきっかけでリラックス状態へ導く事は難しくありません。これもご機嫌スイッチの一つです。
他にも自宅に好きなアイドルのポスターを貼ったり、大好きな音楽を聴いたり、好きなモノを食べたりと、何かしらの自リラックスできる方法があると思います。
ただし、それらはいつでもどこでもというわけにはいきません。スマホだって重要な仕事の最中に取り出すわけにはいきませんし、万能ではありません。
この心地よかった体験を利用してリラックスする方法を、頭の中の想像だけ構築する事こそが「ご機嫌スイッチ」の正体です。
これを積極的に構築する方法というのが、自分の得意な五感を知る事でもあるのですが、さらに簡単に引き出す方法も合わせて紹介しておきます。
それは身体のパーツにリラックスできる記憶を結びつける方法です。リラックスした記憶はいくつあってもいいのですが、目をつぶった時に、
- 鼻の頭は最高の香り
- 左ほっぺたは子供の笑顔
- 右ほっぺたは恋人とのハグ
- おでこは気持ちいい温泉
- 唇は美味しかった料理
など、特定の顔のパーツとリラックスした体感の記憶を結びつけておくと、直ぐにそれらの記憶が取り出しやすくなります。この結びつけをしておくと、そこに意識をもっていくだけでご機嫌スイッチを押す事ができます。
これは逆に不機嫌スイッチで考えてみると分かりやすいのですが、何かしらのイヤな体験と結びついている物を見かけると、一気にイヤな気持ちになる事があると思います。
大嫌いになって別れた恋人と同じ香水をしている人とすれ違うと、途端にイヤな気持ちになってしまったり、学生時代にいじめてきた人と同じような髪型をしているだけでイヤな人物に見えてしまったりと、誰にでもイヤな記憶を呼び起こしてしまう対象があるのではないでしょうか。
私の例でいうと、小さな頃に蛾の大群の襲われて全身に蕁麻疹が出てしまった事があるのですが、大人になってからテレビで蛾が大量発生しているというニュースを見ただけで、当時と同じように全身に蕁麻疹が出てしまった事があります。
蛾に触れて鱗粉が付着したわけでもないのに、記憶だけで全身に生体反応が出てしまわったわけです。これらのように記憶と結びつきやすい対象がハッキリとしていると、その時の体感を引き出しやすくなります。
だからこそ身体がリラックスできる楽しい記憶を、身体のパーツと組み合わせてしまう事で、いつでも引き出しやすくなります。
過去のリラックスできた楽しい記憶を思い浮かべながら、何度も鼻の頭に意識を持っていくようにすると、その内に鼻に意識を持っていくだけでリラックスした時に体感も得られるようになります。
沖縄旅行が楽しかった人であれば、沖縄に関連する情報に触れるとその時に記憶が沸き起こってきて楽しい気持ちになるものですが、そのような偶然によって沸き起こるリラックスを、ちょっと目をつぶって意識をもっていくだけで、いつでも再体験できるようにする事が、「ご機嫌スイッチ」の作り方です。
大ヒットした音楽の歌詞に「目をつぶった時にまぶたの裏に愛する人がいたおかげで勇気づけられた」といった感じのものがあるのですが、これも「ご機嫌スイッチ」として機能していた良い例です。
よほど長く愛した人でもない限り、自然にまぶたの裏に焼き付く事はありませんが、自分なりにリラックスできる気持ちの良い体感を、何度も結び付けていく事で焼き付けさせる事が出来るような事です。
もちろん過去のリラックスした体感だけではなく、新たに体験した気持ちのいい体感も加えていってください。耳でもまぶたでもオデコでもOKです。
この自分なりの「ご機嫌スイッチ」を頭の中に構築することが、いつでもどこでも「簡単にリラックスできる方法」です。
ぜひ自分なりの「ご機嫌スイッチ」を構築してみてください。
いつでもどこでも簡単にリラックスできるテクニックを身につけられると、人生のあらゆる場面で落ち着いて対処できるようになります。
体操やストレッチといった物理的な刺激で身体の緊張をほぐすのも悪くはないのですが、身体の内側からスイッチを押すと一瞬で身体の状態が変化してくれるので、本当に便利なテクニックになりますよ。
コメント
この方は仏教徒かな?いわゆる止観のテクニックの応用ですね!
by 禅
なるほどね。トラウマを思い出すきっかけが不機嫌スイッチと考えると分かりやすいね。ご機嫌スイッチも自然発生的にたまたま引き起こされるのではなく、あえて自分で作ってしまえばいつでも押す事ができると。ただ緊張している時にそれができるかといえば微妙な気もするな。
by 匿名