疲労と回復は別物
しばしば疲労回復の方法として、
- 栄養価の高い食品を取る
- 温泉やお風呂に入る
- マッサージに行く
といった方法が紹介されていますが、これらには一時的な疲労回復効果しか望めません。疲労のタイプによってはこれらの効果がないばかりか、むしろ疲労を貯めてしまう要因となってしまう事もあります。
分かりやすい例だとお風呂に入るような事です。長時間お風呂に入って汗をかくという行為は軽い運動をしたような事なので、心地よい疲労感が得られて眠りやすくなるというメリットはありますが、疲労そのものが回復したのではなく、むしろ疲労を貯めてしまう行為です。
栄養価の高い健康的な食品を食べる事だって、身体が疲れている時には疲労を貯め込む要因となる事があります。時間をかけて外食をしたり手間をかけて手作りの健康的な料理を作るより、素早くカップラーメンで済ませてさっさと寝た方が身体の疲労を回復させる睡眠時間を確保できるかもしれません。
下手に元気が出る食品や栄養ドリンクに頼ってしまうと、ますます疲労が回復する時間が少なくなってしまうケースだってあります。
疲労回復のポイントというのは、疲労と回復を分けて考える事です。
どんなに回復力を高めても疲労の原因がそのままではいたちごっこになってしまいます。
お風呂に入ってリラックスるのが悪いとは言いませんし、人によってはそれで精神的なストレスが和らぐ事もあるとは思いますが、その精神的なストレスを減らす事を考えた方が、根本的な解決につながるものです。
疲労の原因
疲労の原因といっても様々ですが、足が疲れたからといってマッサージに通うようになっても、足が疲れてしまう原因は何も変わりません。
足が疲れにくい靴に替えたり、フィットした中敷きにしたり、正しい歩き方や姿勢を意識したり、そもそもの歩く機会(通勤方法を変える)を減らすといった方法の方が、根本的な足の疲労を減らす事につながります。
身体の元気がない時に、栄養価が高そうなうなぎを食べるといったものも同じです。身体に不足していた栄養が補給できた事で疲労回復につながる可能性もありますが、必ずしもうなぎの栄養価が当てはまるとは限りません。
過剰な栄養は内臓の負担になるだけですし、胃もたれや食べ疲れを引き起こす事もあります。
栄養ドリンクといったものも同じです。疲労回復の為と思って良かれと思って飲んだせいで、睡眠が浅くなって回復力が損なわれるかも知れません。
寝不足でパフォーマンスが低下している時に、カフェインに頼ってしまうと身体をより酷使する事になってしまうように、一時的な回復(正しくは回復ではなく覚醒)によって益々状態が悪化してしまうケースは珍しくありません。
これらのように疲労の原因と向き合う事なく回復だけで対処しても、期待しているほどの結果は得られないものです。
どうしても徹夜をしなければならないような特別な事情であれば、一時的に栄養ドリンクなどに頼って乗り切るのは悪くないと思いますが、日常的に疲労回復の方法ばかりに頼ってしまう事にはリスクがあるという事です。
これを勘違いしている人が多いので、やたらと癒しグッズなどがもてはやされているのですが、疲労の原因を減らさない事には自転車操業のように、いつまで経っても状況を変える事はできません。
回復のポイント
回復のポイントはシンプルです。基本的に疲労が回復するのは睡眠中なので、睡眠時間を確保する事が何よりも大切なポイントになります。
仕事帰りに温泉やマッサージにいくより、その分の時間を睡眠に当てた方がずっと疲労の回復に役立ちます。
疲労で身体が疲れているのに、栄養価のある物を食べに外食に行って時間が取られてしまったり、消化吸収する為に内臓が働く事になると、回復する為に費やされるエネルギーや時間まで失われてしまいます。
もちろん栄養失調のような状態であれば栄養価の高い食事を取る事で回復するケースもあるのですが、よほど偏った食生活でもしていない限り、飽食の現代人には当てはまるものでもありません。
ベストな睡眠時間も人それぞれ違いますが、「6時間寝れば十分」といった決めつけも危険です。しばしば医者や科学者などがそのような目安を紹介していますが、疲労が溜まっている時には8時間ぐらい必要かも知れません。
休日の寝だめを否定しているような学者もいますが、平日の疲労が残っているなら寝だめをしてでも回復させた方が良いに決まっています。
寝だめをしなければならない生活習慣改める事が重要なのであり、寝だめが必要な身体にとって寝だめが悪いわけではありません。
統計学的に7時間の睡眠が良いといった情報も怪しいです。誰もが同じような活動量でもないですし、回復力があるわけでもありません。年代も性別も身長も体重も違うのに、一概に正しい睡眠時間など決められるわけがありません。
国が違えば食文化も人種も職種も気候も違います。日本とはまるで日照時間が違う国の統計など、そのまま日本人に当てはまると考える方が不自然です。
日本国内だけで考えたって北海道と沖縄では随分と気候が違いますし、睡眠時の環境だって違います。24時間理想的な空調が管理されている高層マンションとアパートでも環境は違いますし、寝具の質や相性だって人それぞれ違います。
もちろん目安として専門家の意見を参考にするのは構いませんが、自分の体感を無視してまで真に受けてしまうと、明らかに寝不足な時に無理やり起きて行動してしまうような事になり、回復しきれずに益々疲労を貯め込む事になってしまいます。
このような当たり前の事と向き合う事なく、疲労回復グッズなどに頼ってばかりいると、いつまで経っても疲労の原因を減らす事ができません。
元気や活力が出るサプリメントなどのせいで、疲労を貯め込む生活習慣を改める事なく乗り切ってしまうと、疲労はどんどん蓄積していってしまいます。
もちろん仕事の都合などで疲労の原因を減らす事が難しい事もありますが、身体の負担にならない洋服選びなどでも随分と変わる事がありますし、たった1%でも疲労の原因を減らす事ができると、それが毎日積み重なっていくので大きな結果となるかも知れません。
疲労を減らす工夫
回復力を高める為の工夫だけでなく、根本的な疲労の原因を減らす工夫を自分なりに取り入れる事が大切です。
よほど苦手な上司や同僚がいる会社なのであれば、配属先を変えてもらったり、転職を考えてみるのも良いですし、逆にそのような人を味方に付ける戦略を練るのが功を奏するかも知れません。
私自身の例でいうとデスクワークが中心の仕事なので、パソコン用の視力を弱めた眼鏡を作ると随分と眼精疲労が減りました。以前は爽快感のある目薬で誤魔化していたのですが、よくよく考えると目に刺激物を入れる事が良いわけがありません。
肩や首の痛みもあったので、正しい椅子の座り方を取り入れたり、キーボードやマウスも使いやすいものに変えましたし、モニターの高さもあっていあかったので、モニターの下に物を置いて高さを変えています。
会社の備品となると自由に買い替える事は出来ませんが、ちょっとした工夫を取り入れるぐらいであれば可能なものです。
また革靴による足の疲れも気になるようになったので、スニーカーのような履き心地の革靴に買い替えました。
革靴が必要のない職場であれば普通のスニーカーでも良いですし、通勤時だけでもスニーカーに履き替えるような選択肢もあると思います。
これらのように自分なりに疲労の原因と向き合い、少しでも軽減できる工夫がないかと考える事が大切です。回復ばかりに囚われていると疲労を減らす事ができません。
掃除が苦手で強いストレスを感じる主婦であれば、自動お掃除ロボットを購入するのが良いかも知れませんし、掃除のしやすい住宅環境に整える事が良いかも知れません。
料理が苦手な人なら外食を増やしたり、経済的に難しいなら定期宅配のお弁当サービスなどを活用する事で費用を抑えられるかも知れません。
車が大好きな若者であれば、休日をまるまる潰してでも車を磨く事でストレス解消になるかも知れませんが、それほど車好きではない人なら、ガソリンスタンドの自動洗車機に任せた方が良いように、誰かの基準を鵜吞みにする必要はありません。
人それぞれストレスや疲労を感じるポイントが違うので一概に正解などないのですが、だからこそ自分で考える必要があります。
この視点が欠けている人ほど、世間の常識や話題になっている癒しなどを求めてしまうのですが、それらは根本的な解決にはならないので気をつけてほしいと思います。
もちろん睡眠の質を高める事も回復にとっては大切なポイントです。全く同じ6時間という睡眠時間でも、一度も目を覚ますことなくグッスリと眠れるのと、頻繁に目が覚めてしまう環境だと回復具合に大きく差が出てしまいます。
旅行で疲れる原因の多くは寝具との相性の悪さです。慣れない睡眠環境では疲労は回復しきれません。
一時的な効果しかない疲労回復グッズにお金を掛けるより、毎日の疲労軽減や回復に影響がある物(寝具など)にお金をかけた方が、ずっと疲労回復に役立つものです。
これが根本的に疲労を回復させる為に重要なポイントです。
まとめ 疲労を減らして回復力を高める
疲労回復のポイントは、疲労の原因を減らして回復時間を増やす事です。回復ばかりを取り入れても、疲労の原因がそのままでは根本的な解決にはなりません。
栄養のある物を食べるといった方法が悪いわけではないのですが、それが本当に身体が求めている栄養なのかというと、必ずしも一致するわけではありません。
身体に良さそうだと無理やり肉を食べたせいで胃がもたれたり、ニンニクなどで興奮して活動的になってしまうと、益々疲れを貯め込んでしまいます。
多くの栄養ドリンクにはカフェインが含まれているので、一時的な高揚感が得られて効果があったように感じるものですが、それによって睡眠時間が削られてしまうと回復力が失われてしまいます。
私自身も少し前に職場で栄養ドリンクを差し入れられて久しぶりに飲んでみると、その日に眠れなくなって参ってしまった事があります。
手荒れが酷いからとハンドクリームをつけても、手が荒れる原因は何も変わりません。ゴム手袋をしたり、手に優しい洗剤を選ぶといった事の方が長い目でみると効果的なはずです。
もちろん手荒れが酷くて痛みが出てしまっているのであれば、適切な治療薬やハンドクリームで保護するのが悪いわけでもありません。
ここも間違えてほしくないのですが、簡単に治療できてしまうだけに問題をスルーしてしまう人が多いので、しっかりと分けて考えてください。
高血圧で薬を飲む事になっても生活習慣を改めていく事で、薬の量を減らしたり手放せるようになるかも知れませんが、薬を飲んでいるからと安心してしまうと、血圧が上がってしまった要因は何も変わらないので、ずっと飲み続けてしまう事になってしまいます。
疲労を減らす工夫も職場環境によっては難しい事もありますが、せめて自宅の中だけでも減らす事は可能なので、自分なりに向き合ってみてください。
頻繁にアルコール消毒をしなければならない看護師や、たくさんの人の髪をシャンプーしなければならない美容師でも、せめて自宅の中だけでも手荒れの原因となる負担を減らす事はできるはずです。
高価なハンドクリームを購入するよりも、ゴム手袋でも取り入れた方が根本的な原因を減らす事ができます。
回復を促すような方法が悪いわけではありませんが、基本的に疲労が回復するのは睡眠中なので、そこも勘違いしないでください。十分な睡眠時間を確保できる物(時短につながる自動掃除機や食洗器など)にお金をかけた方が、結果的に疲労回復に役立つかも知れません。
忙しくて深夜に帰宅した後であれば、時間をかけて身体に良い食事を一から作るより、片付けも簡単なカップラーメンでも食べてさっさと寝た方が、ずっと疲労が回復するケースも珍しくないような事です。
健康の為にスポーツジムに通って運動するような事だって、それで時間が失われて忙しくなってしまうと回復する為の時間が減ってしまうかも知れません。
せっかく会員費を支払っているからと疲れている時に行ってしまうと、ただただ疲労を貯め込む事になってしまいます。
忙しい時間の合間を縫ってマッサージに行くより、昼寝でもした方がずっと回復するかも知れませんし、後の用事を先に済ませて早く帰宅した方が睡眠時間を確保できるかもしれません。
しっかりと疲労の原因と向き合い、疲労を貯めない工夫を取り入れ、それとは別にしっかりと回復するための時間(睡眠)を確保する事が疲労回復のポイントです。
安易に回復ばかりにお金や時間を掛けてしまうと、取り返しのつかないぐらい疲労を貯め込んでしまうかも知れないので気をつけてほしいと思います。
一時的な効果しかない疲労回復グッズにお金をかけるより、ずっと効果的で節約にもなるはずですよ。
コメント
ホントこれ!スッポンサプリをやめてからの方がよく眠れるようになった。元気が出過ぎるのも問題ですよね!
by 匿名