糖質制限で低血糖になった母親
少し前に久しぶりに実家を訪ねると、いつになく母親が元気なかったので理由を聞くと、「健康診断に引っかかった」との事でした。
60代後半の母親は昔から健康が自慢の人で、日頃から食生活に気をつかっており、三階の集合住宅に住んでいてもエレベーターを一切使わず、毎日何度も三階までの往復を苦にしないほど元気な人で、体型も同年代の人と比べてスマートです。
年齢から考えると、どこかしら悪くなる箇所が出てきても不思議ではないのですが、それまで健康診断に引っかかった事がほとんどなかったらしく、かなりショックを受けていました。
そして私が「何が悪かったの?」と聞くと、「血糖値が低かった」と答えました。
糖質制限ブームのリスク
母はテレビの健康番組を良くチェックしているタイプなので、数年前から話題になっていた糖質制限を意識しており、お茶椀を子供が使いそうな小さな物にして減らしていました。
糖質を一切取らないようなストイックなものではなかっただけに、
「テレビの情報は当てにならないわよ」
と言って驚きました。昔はお昼に放送されていたみのもんたの「おもいっきりテレビ」の情報を直ぐに取り入れるようなタイプだったので、その変化に驚きました。
糖質制限のおかげで健康になる人もいるとは思いますが、母は元々太っていたわけでもなく、適度に身体を動かしているタイプだったので、必要量を満たせなくなったのかも知れません。
これは糖質制限に限った事ではなく、あらゆる健康法に当てはまる事ですが、どんなに医学的な見地から証明されている方法でも、相性が悪ければ健康に良くありません。
そもそも科学的な根拠といっても、大抵は統計的に効果が認められたというものであり、万人に有効だとは限りません。
コーヒーに含まれているカフェインの覚醒効果などが分かりやすいと思います。誰もが同じような効果が出るわけではなありません。
一日3杯ぐらい飲むのが良いという情報があっても、コーヒーの種類や抽出方法によってもカフェイン量は違いますし、1杯の量も違うかも知れません。体型だって人それぞれ違いますし、内臓の機能にも差があります。
科学的な根拠を元にした数値を目安にするのが悪いわけではありませんが、自分の体感を無視してそちらを優先してしまうと、思わぬリスクに巻き込まれてしまう(眠れなくなる等)かも知れません。
糖質制限も運動量が落ちて脂肪が増えてしまっている人には有効なのかも知れませんが、母親はそこに当てはまっていませんでした。
自分の体感も大切にしよう
お茶椀一杯に含まれている糖質は「角砂糖14個分」といった情報を目にすると不安になるものですが、少し冷静になって考えると角砂糖を14個なめるのとは全然違いますし、血糖値の上昇のスピードも違います。
私の例で言うと、以前に普段はあまり食べないソフトクリームを二つも食べた時の身体の変化を紹介した事があるのですが、
一般的なソフトクリームに含まれている糖分の量を調べてみると、おおよそ20gとありました。角砂糖でいうと5個相当なので、二つで10個という事になります。
10個分の角砂糖で体臭が悪化するのであれば、ご飯を食べた時にも同様の効果どころか、さらに悪化してもおかしくないのですが、そんな事は全くありません。
私の食生活というのは炭水化物中心であり、糖質の塊(らしい?)であるご飯やパスタや麺類がほとんどなのですが、体臭が悪化するような事はありません。
糖質だけで考えると取り過ぎになるのですが、やはり甘み成分だけを抽出した砂糖のような物とは違い、ご飯やパスタはゆっくりと消化吸収されていくので、身体にとっても負担にならないのではないでしょうか。
最新の健康常識といったものばかりに頼っていると、自分の体感を無視してしまう事になるかも知れないので気をつけてほしいと思います。
もちろんお医者さんの管理を元に糖質制限が必要な人は別ですが、素人判断で安易に取り入れてしまうと、思わぬリスクに見舞われてしまうかも知れません。
ちなみに私の父親はわりと好き勝手な食生活をするタイプであり、健康診断によく引っかかっているのですが、昨年にかなり悪い結果が出たらしく、スポーツジムに通うようになったのですが、そこで頑張り過ぎてじん帯を痛めてしまいました。
これも同じです。運動が身体に良いといっても、やり過ぎはリスクになります。健康の為に良かれと思って取り入れた事でも、自分の身体の状態と向き合う事なく、自分の年代の平均値のような目安を求めてしまうと、思わぬリスクに巻き込まれてしまいます。
何事もほどほどに取り入れるぐらいが良いのではないでしょうか。
まとめ 食べたいものと向き合おう
当ブログでは以前に「好きなモノではなく食べたいモノを食べた方が健康に良い」といった内容を紹介した事があるのですが、
特別好きなモノでもないのに、時々無性に食べたくなるモノというのは、脳が身体に不足してきた栄養素を吸収する為に、過去に食べたモノの中から最適なモノを食べさせるように促らすからだと紹介しました。
何年か前に車の助手席に乗せていた知り合いが急に震えだし、「大丈夫か?病院行くか?」と言うと、「缶コーヒー買ってきてくれ、甘いやつの」と言われ、不思議に思いながらも言われた通りに買ってきて手渡すと、勢いよく飲み干して震えが止まりました。
彼は糖尿病だったらしく、治療薬のせいで低血糖になり過ぎると身体が震えてしまうのだそうです。
だからといって彼が頻繁に甘い缶コーヒーを飲むのが良いわけではありませんが、その時々の身体の状態によって、欲する栄養素が違うのはイメージできるのではないでしょうか。
理想的な栄養バランスの食事といったものでも、人によって体型も違えば求められる栄養素や量も違うので、一概にベストだとは限りません。
人によっては過剰な栄養かも知れませんし、その日の運動量や前日の食事内容でも変わってくるかも知れません。
医者が勧める健康食といったものも、新しい研究結果が出る度に移り変わっていきますし、最近はどんどん昔の日本食ばかりが取り上げられていますが、それが本当なら田舎に行けばいくほど健康寿命が長くなるはずですが、実際にはそんな事ありません。
魚に含まれているEPAやDHAが血液をサラサラにする効果があるらしいのですが、それも本当なら魚の消費量が多い地域や漁港がある街ほど健康寿命が長いはずですが、そのような情報も目にした事がありません。
長寿である長野県は山に囲まれていますし、おそらく現在元気なお年寄りたちが若かった頃は、ほとんど魚を食べていなかったはずです。
最新の研究結果や魚が悪いと言いたいわけではありませんが、もし身体がそれらを受け付けない状態なのに無理して食べてしまうと、健康に役立たないばかりでなく、ストレスを溜める結果になってしまいます。
もちろん好きなものを好きなだけ食べる自堕落な食生活を勧めているわけでもないのですが、いつもよりも身体を動かした時というのは、いつもよりも多く食べたくなるのは自然な事なので、本心から湧き出た食欲といったものは、無理に抑える必要もないのではないでしょうか。
自分の身体の状態と日々向き合う事なく、健康に良さそうな事を取り入れてしまうと、私の母親のように思わぬリスクに見舞われてしまうかも知れないので、ほどほどにした方が良いと思います。
それこそ母親も極端な糖質制限をしていたわけでもなく、ご飯の量を半分ぐらいに減らすだけだったようですが、いかに糖質が悪いという情報をたくさん目にしていた事もあり、ちょっとした間食の甘いおやつなども避けていたようでした。
健康の為に良かれと思って我慢していた事のせいで、低血糖になった上にストレスも溜まっていたので、踏んだり蹴ったりの結果となってしまいました。
糖質制限そのものが悪いのではなく、素人判断で安易に取り入れてしまう事がリスクになるかも知れないので、テレビの健康情報といったものも、あまり極端に偏るのではなく、ほどほどに取り入れるぐらいが良いのではないでしょうか。
当ブログでもあまり健康に良くない食べ物などを紹介してきましたが、それらだって無性に食べたくなったタイミングで食べるのであれば、それほどリスクにならないはずです。
糖質が含まれている物は全て身体に悪いと決めつけてしまうのではなく、自分の身体の調子と向き合いながら、ほどほどに調節するぐらいの方が身体の負担にもならず、余計なストレスを抱える事にもならないので、上手くバランスを取ってほしいと思います。
もちろんお医者さんの管理の元に制限する必要があるのであれば別です。そこはしっかりと分けて考えてください。素人判断で必要もない健康法まで取り入れ過ぎてしまうと、ろくにメリットが得られないばかりか、デメリットばかりになってしまうかも知れないので気をつけてほしいと思います。