ブランド物は意味がない!?
私は節約家ということもあり、いわゆるブランド物とはあまり縁のない生活をおくっています。
私は何かしらの物を購入する際には、あくまでもその物の機能を求めているので、その機能が満たされている物の中から、価格の安いものを選ぶことが多いです。
例えば洋服を購入するのであれば、着ていく場所に適した物を選びます。自宅の中で着る洋服であれば、快適な着心地や防寒(または冷感)が重要なので、デザインや色はあまり意識しません。
一方でコートのような外出着であれば、防寒機能だけでなくデザインや重さなども考慮して選ぶようなことです。
そのような機能が満たされている物の中から、価格の安い物を選んで節約するので、結果的にブランド物を購入することが少ないのですが、だからといって高価なブランド物に意味がないとは思っていません。
節約に限ったことではありませんが、世の中にはブランド物というだけで毛嫌いしてしまう人がいるのですが、浪費家のような極端な印象を決めつけてしてしまう事にはリスクがあります。
ブランド物の意味には大きくわけて二つあります。
ブランド物を持つ意味
まず一つ目の意味は、他人からの評価です。
誰もが知っているブランド物を身につけていると、周囲の人が気がつくので何かしらの評価(印象)をされます。
- わ~○○のバッグだ、素敵!
- 儲かっているんだな~
- 無駄金使ってバカじゃないの?
など、良くも悪くも何かしらの評価をしてもらいやすくなります。
特に初対面だと相手の情報が少ないので、外見から伝わる情報を参考に評価するものです。
高級品を扱う職種でみすぼらしい恰好をしていると、相手は騙されるのではないかと不安になってしまうので、それなりにブランド物を取り入れて高級感を演出した方が有利に働きます。
婚活パーティーで女性にモテたい男性であれば、誰もが知っているブランド物を身に着けることで、経済力をアピールすることが出来ます。
このような他人から自分への評価を演出するという意味では、誰もが知っている有名なブランド物を身に着けることに意味があります。
逆にどんなに高価な物(例・高級車のマセラッティ)でも有名でないと伝わりにくいので、いかにも有名なブランド(ベンツ、BMW)の方が、他人からの評価という意味では効果があります。
他人からの評価が求められる場であれば、その場に適したブランド物には意味があるということです。
もう一つのブランド物を持つ意味は、自分自身への評価です。
憧れのブランド物を身に着けることで、気分が高揚するという効果、意味があります。
この場合は周囲の人が知らないブランド物でも効果があります。分かりやすいブランドロゴが無くても、それを身につけている自分に対して満足することが出来ます。
これは絵画で例えるとわかりやすいのですが、有名ではない画家の絵画でも自分が感動できるならOKというようなことです。
他人からの評価を求めるのであれば、誰もが知っている有名な画家の絵画の方が効果的ですが、あくまでも自分が本当に好きな絵画を飾るようなことです。
ポルシェやフェラーリに乗っているというと、車に詳しくない人にも高級スポーツカーということが伝わりますが、アストンマーティンといっても車好きにしか伝わらないようなことです。
他人からの評価を上げたいのか、自分の満足度を上げたいのか、どちらが正しいものではありませんが、ブランド物にはこのような意味があります。
これらの意味に価値を感じない人にとっては、ブランド物には意味がないという判断が正しいのですが、それを人に押し付けてしまうとリスクになることがあります。
「ブランド物=悪」は危険
節約家の中には、ブランド物を身につけていることをバカにする風潮もあるのですが、これは少し危険です。相手を正しく判断できないかも知れません。
職場の環境に合わせて有名ブランド物を身につけているけど、普段はそうでもないという人は珍しくありません。
特に女性は周囲の人と同調して良好な人間関係を構築しようとするので、目立つ財布やバッグぐらいはブランド物という人が珍しくありません。
そこだけを見て、
「金遣いの荒い女だ!」
と判断してしまうと、本音を見誤ってしまう可能性があります。
知り合いの男性が数年前に起業し、久しぶりに会うとベンツに乗っていたので、
「儲かっているんだね~」
と言うと、
「いやいや、まだ起動にすら乗っていないよ」
と言われ、詳しく話を聞いてみると、取引先や銀行に出向くときに軽自動車だと事業が上手くいっていないと判断されることがあるそうで、無理して中古ベンツを購入したということでした。
事業内容ではなく見た目で判断するのはどうかと思いますが、そのような見た目で判断する人が世の中にはいるので、そこに合わせてブランド物で演出するケースがあるということです。
また別の知り合いの女性で全身シャネルを着ている人がいるのですが、その人は自立した女性の代表格であるココシャネルの本を読んで感銘を受けたのだそうです。
普段の彼女は割と堅実的なタイプで金遣いが荒いタイプではないのですが、シャネルに身を包むことで自分らしく生きられるようでした。
ただ似合っているかというと、そうでもありませんが(苦笑)。
でも本人が満足しているのであれば 外野がとやかく言う事ではありません。
これらのようにブランド物を持っているからと言って、必ずしも金遣いが荒いわけでもなく、見栄っ張りでもない可能性があります。
もちろん金遣いが荒くて見栄っ張りというだけの人もいるので、節約家はそのような人とは距離を置いて付き合った方が良いかと思いますが、見た目だけで判断してしまうと見誤ってしまうことがあるということです。
まとめ ブランド物と節約の関係
多くの節約家は私と同じようにブランド物とは縁のない生活をおくっていると思うのですが、「ブランド物=悪」のような決めつけはしない方が良いかと思います。
相手がブランド物にどのような意味をもたせているのか、といった視点を持つことで、より正しい評価が出来るようになると思います。
節約家でも趣味の物にはお金を掛ける人が珍しくありませんし、どこに価値を感じるかは人それぞれです。
ブランド物欲しさに節約を頑張る人もいるでしょうし、最新のブランド物を身につけてチヤホヤされることが生きがいになっている人もいます。
自分に自信をもてない人が、ブランド物を身に着けることで自信をもつきっかけになることもありますし、有名なブランドだからこそ発揮できる意味があるということも覚えておいてください。
これは一重まぶたがコンプレックスの人が整形手術で二重にして自信を取り戻し、行動的になるようなことです。見た目が良くなったことでモテるようになったのではなく、行動的になるきっかけとして効果があったということです。
もちろんその意味に価値を感じないのであれば、無理に自分に取り入れる必要はありませんが、本心から素晴らしいと感動したものであれば、それがブランド物だったとしても手に入れる価値、意味があるはずです。
ブランド物だからという理由だけで避けてしまうのは、相手の本心を見誤る可能性がありますし、自分の本音に蓋をする行為になってしまいます。
逆に相手にブランド物を求め過ぎるのもリスクになります。婚活パーティーで金持ちの男を見つけようと躍起になり過ぎていると、偽物ロレックスの結婚詐欺師に騙されてしまうかも知れません。
ロレックスといっても中古なら安く手に入りますし、最近はレンタルだって出来ます。中古ベンツだって100万未満で購入できます。
ブランド物に意味がないと決めつけるのもリスクがありますが、必要以上に意味をもたせることにもリスクがあるので気をつけてください。
自分の考え方だけでなく、相手がブランド物に対してどのような意味をもたせているのかという視点をもつようにしましょう。
おまけ 私のブランド物
実は私も財布だけはブランド物を所有しています。購入してから10年ぐらい経つので細かなキズがありますが、今でもしっかりと財布として機能してくれています。
財布の機能という意味では1000円の財布でも十分なのですが、ある時に友達に連れられてあるブランドのお店に入ると、思わぬ感銘を受けました。
ソメスサドルという革製品を扱っている北海道のブランドなのですが、ブランドの歴史が紹介されているコーナーを眺めていると、なんだか胸が熱くなりました。
簡単に歴史を紹介すると、炭鉱が中心だった町が時代の流れで廃れていき、北海道の開拓時に使用されていた馬の道具作りをはじめ、そして馬も少なくなっていくなかで、競走馬や乗馬用の馬具や革製品に活路を求めていくうちに、品質を高めてブランドとしての価値を構築していったような感じです。
私は北海道民ということもあり、元炭鉱マンという人と出会ったり、炭鉱の町が廃れていくのを肌で感じる機会が多かったので、そこで踏ん張って活路を見出したソメスサドルというブランドに感銘を受けました。
ブランドといっても銀座の一等地にあるような客層を選ぶ感じもなく、大らかな印象だったのにも好感をもちました。
このブランドの物を一つ欲しいなと思った私は、ちょうど財布がボロボロになっていたこともあり、ガラスケースの中の財布を眺めていると、店員さんが財布を取り出して、
「ぜひ近くでご覧になってください」
と手渡してくれました。
私には財布の品質を見極める眼力などないので、今まで使っていた財布と同じような物を指さし、
「じゃあ、この財布をください」
と言うと、
「ちょっと待ってください。革製品は一つ一つ違うので、こちらもご覧になってみてください」
と同じ財布の在庫をガラスケースの上にたくさん広げてくれました。
「この中でお客様好みのものをお選びになってはいかがでしょうか」
と言われ、一つ一つ革の色味や硬さなどをいっしょにチェックしてくれ、「これだ!」という財布を選ぶことが出来ました。
店内には他にもたくさんのお客さんがいるのに、比較的価格の安い財布選びにここまで時間をかけてくれたことにも感動しました。
ネットでも同じ財布を購入できますし、少し割引されているショップもあったので、節約という意味ではそちらで購入した方がお得なのですが、それだとここまでの満足感は得られなかったはずです。
この財布には大きなブランドロゴがあるわけでもなく、内側に小さな刻印があるだけなので、誰かに気がつかれたことなど一度もないのですが、私にとっては最高の財布になってくれました。
外側がブライドルレザーという堅牢な革で作られており、縫製もしっかりとしているので、10年使っている今でも型崩れやほつれもなく使えています。
機能的には問題のない1000円の財布を数年置きに買い替えた方が節約という意味ではお得ですが、私は全く後悔はしていません。
わざわざブランドの歴史を調べたり、ココシャネルの本を読んだりする必要はありませんが、たまたま自分の感性に触れるものと出会えることがあれば、それがブランド物だったとしても手に入れる価値があると思います。
昔の私が財布に求めていた機能は、お金を安全に保管できることだけでしたが、現在は自分の気持ちを高めてくれるお守りのような機能を果たしてくれています。
ブランド物に対してどのような意味をもたせるかは自由ですが、ブランド物ということだけで避けてしまうと、相手の本心を見誤ってしまったり、自分の本音に蓋をすることになってしまうかもしれないので、気をつけてほしいと思います。
節約も価格が安いことだけにこだわってしまうと、求めていた機能が十分に満たされていなかったり、必要もないものまで購入してしまうかも知れません。
本当に必要な物だけを購入することこそ上手な節約なので、本音に蓋をして「安物買いの銭失い」にならないように気をつけてほしいと思います。
見栄だけでブランド物を購入するのはおすすめしませんが、何かしらのきっかけで惚れてしまったブランド物を所有するということは、それほど悪いことではないと思います。
もちろん他人からの評価という意味を、ブランド物に求めるのも悪いわけではありません。その場合の選び方は多くの人に伝わりやすいデザインを選び、なるべく安いお店で購入するのがおすすめです。極端なことを言えば偽物でも良いかも知れません。
ブランド物がもつ意味が理解できるようになると、他人への評価を見誤ることも、自分を誤魔化すこともなくなりますよ。