物事の本質を見抜く方法などない?
誰でも興味がある分野の事については多くの知識があるので、薄っぺらい情報には惑わされないものですが、それほど知らない分野の事となると、自分で判断する基準がないだけに、様々な情報に振り回されてしまうものです。
私自身もそうですが、初めて購入するような物だと、購入者のレビューや専門家の意見などを参考にします。
それである程度わかったつもりになり、それなりに精査して選んだとしても、実際に使ってみると「想像と違った!」という事は珍しくありません。
ネット通販で購入したこのセーターの裏側には、装飾が全くありませんでした(苦笑)。
着用しているモデルの様々な写真や身長や体型を調べたり、購入者のレビューも読みましたが、このような見落としをしてしまったわけです。
どんなにその分野の専門家や権威と呼ばれるような人の意見を参考にしても、自分の体感や感性と一致するとは限りません。
料理などが分かりやすいでしょうか。ガイドブックや評価サイトで高評価されていても、合わないものは合いません。
料理であれば多くの人が自分の味覚で判断し直す事が出来るので、騙され続けるような事は少ないのですが、高額な買い物となると簡単には買い替えたり比較できないので、イマイチだったとしても受け入れてしまうものです。
購入する前にしっかりと調べて、自分の感性(想像や期待)とのズレを失くす事が、物事の本質を見抜く行為になるとも考えられるのですが、事前に調べている過程で感性が狂わされてしまう事も珍しくありません。
2万円ぐらいの予算でシンプルな小型のテレビの購入を考えていた人が、調べていくうちに2万円でも録画機能がついたものや、予定したいたものよりも大きなテレビが手に入るといった情報を知る事で、当初のプランに狂いが生じてしまうような事です。
無駄に大きなテレビのせいで電気代が高くなったり、ろくに使いもしない余計な機能のせいでリモコンのボタンが増えて使いづらくなったり、それらの機能が故障するリスクを抱えてしまいます。
初めに予定していたシンプルな小型のテレビが1万円で売られていたのであれば、それを選ぶだけで求めていた機能が満たされますし、余計なお金を支払わずに済んだわけです。
物事の本質を見抜こうとしたが故に、本質から遠ざかってしまうような事が珍しくありません。
毎月1000円ぐらいのシンプルな掛け捨ての保険を考えていた人が、専門家に相談したばっかりに高額な保険に入ってしまうような事です。
保険を掛けたいポイントが明確で1000円のものでも十分だったのに、保険外交員に様々なリスクを植え付けられた事で、求めていたはずの保険内容からズレてしまいます。
特に保険商品は契約したからといって直ぐに役立つものではないですし、そうそう体感など得られないので、曖昧なまま受け入れてしまう傾向があります。
これらのように物事の本質を見抜く行為によって、盲目になってしまう事があると理解する事こそが、物事の本質を見抜くためのポイントになると感じています。
他者依存のリスク
自分の体感を無視して他者の評価ばかりを基準にしてしまうと、それこそ世間の評価や専門家の意見こそが正しいのだと信じ込むようになり、本当に満足がいく物と出会えなくなってしまいます。
美味しい物を食べる事よりも、話題になっている有名店に行く事に価値を感じるようになったり、インスタ映えする事が判断基準になるような事です。
そのような優越感を満たす事に価値を置いてしまうと、本当に自分が好きな食べ物に出合えないような事です。
優越感を満たす事が何よりも快感なのであれば、それはそれで一つの選択肢なのかも知れませんが、それこそ他者の反応次第なので、自分でコントロールできない要素が含まれてしまいます。
300円の牛丼を食べると大満足していた人が、他者からアドバイスや世間の常識といったものを受け入れ過ぎたせいで、全く同じ物を食べても満足出来なくなってしまうような事です。
さらに物を売る側にもコントロールされやすくなります。中身は全く変わっていないのに、パッケージを変えただけでヒットするような商品がたくさんありますが、その物の中身(質)を求めて選ぶような人にとっては、関係ないどころか価格が上がって迷惑なだけです。
ある芳香剤は中身はそのままにオシャレなパッケージにしてデザインを一新すると、値上げをしたのにも関わらず多くの主婦に受け入れられるようになりました。
これも芳香剤をオシャレなインテリアとして機能させたい主婦にとっては嬉しい役割なのでしょうが、単純に芳香剤の機能として求めていた人にとっては無意味な値上げなので、価格の安いライバル商品の方が選ぶ価値が高くなります。
洗濯洗剤なども分かりやすいでしょうか。洗剤の洗浄力といった要素よりも、使い勝手やオシャレなボトルや香りを重視して選ぶ人がたくさんいるものです。
それらの基準が必ずしも悪いわけではないですし、家族が多くて頻繁に洗濯をするような家庭であれば、使い勝手といった事も重要なポイントになると思いますが、洗浄力を求めて選んでいるつもりの人が、それらのような洗剤を使っている事は珍しくありません。
その辺については別のところで紹介した事があるのですが、
洗剤の洗浄力は最新の高価な液体洗剤よりも、価格の安い粉末洗剤の方が高いと言われています。
私は腋臭体質な事もあり、シャツの脇染みや匂いが気になるタイプなので、昔はよく新発売で洗浄力が進化した強力そうな洗剤を選び、さらに液体漂白剤を加えて付け置きをし、消臭効果のある柔軟剤を組み合わせて洗濯していたのですが、価格の安い粉末洗剤に替えてからは、それだけで十分になりました。
柔軟剤がないと余計なコーティングがされないので汚れ落ちが良くなり、洗浄力の高い昔ながら粉末洗剤だけで、脇染みを洗濯板で手洗いする必要がなくなりました。
テレビのCMでは新発売の液体洗剤の洗浄力が「1.2倍にアップ!」といった感じのアピールが毎年のように繰り返されていますが、スポンサーがない雑誌(忖度しない雑誌)の洗剤の洗浄力比較テストでは、粉末洗剤が昔から上位を独占しているものです。
だからといって全ての人に粉末洗剤が適しているわけでもありません。私のような腋臭体質でなければ、すすぎが一回の洗浄力が弱い洗剤でも十分なのかも知れません。
数年前はすすぎ一回の液体洗剤が人気となり、「すすぎ一回でも洗浄力は落ちません!」といった感じのアピールがされていましたが、実際にはそんな事がなかったようで、現在の高価な洗剤の多くはすすぎ一回ではなくなりました。
洗剤のように自分の体感が得られやすく、買い替え金額もそれほど大きくない物であれば、自分の体感を元に求めている機能が満たされている洗剤を選び直す事ができますが、それらですら盲目的になっている人が実際には多いものです。
自分の体感と向き合う
自分の体感と向き合う事で差が出やすいのは「洋服選び」です。
当ブログでは以前に、節約上手な人ほどオシャレな人が多いと紹介した事があるのですが、
新しい洋服を選ぶ時に、試着するという行為こそが、自分の体感と向き合う行為で分かりやすい例です。
少し前に私がユニクロで試着をしようとすると、試着室が込んでいて少し待たされたのですが、驚いた事に9割以上が女性でした。
店内の男女比は3:7ぐらいでそれなり男性客もいたのですが、試着となると圧倒的に少なくなっていました。
男性よりも女性の方がオシャレなものですが、まさにこの自分の体感と向き合って選んでいるかどうかの違いなのではないでしょうか。
展示されている洋服でもデザインや生地の質感といったものは分かりますが、自分の体型とのフィット感や袖を通した時の見え方などは、実際に着てみないと分かりません。
ズボンの裾上げといった事でも随分と印象は変わりますし、メーカー側がサイズやシルエットを微妙に変更している事も珍しくありません。生地の厚みや伸縮性といった要素でもフィット感は変わります。
このような自分の体感と向き合う事なく洋服を選んでしまう男性が多いからこそ、女性と比べてオシャレな人が圧倒的に少ないのではないでしょうか。
節約上手な人というのは、その物に対する役割や求めている機能が明確なので、それらとしっかりと向き合う事になり、洋服選びといった事でも上手に選べます。
セールで安売りしていても、求めている機能と一致していないと購入しませんし、福袋のような曖昧な物も購入しません。
求めている機能と一致した物を安く購入する事は上手な節約ですが、安い物を購入する事が節約なのではありません。サイズ感がイマイチだったり、デザインが古かったり、好きなカラーや柄でなかったものをセールで安かったからと購入してしまうと、結局は着る機会がなくて無駄になってしまいます。
さらにタンスやクローゼットのスペースを圧迫し、本当に必要な洋服やお気に入りの洋服の扱いまで悪影響を及ぼしてしまいます。断捨離をするとスッキリするのは、不要な物が無くなったからだけでなく、本当に必要な物を活かしやすくなるからでもあります。
誰にでも予算の都合はありますが、予算ありきで選んでしまうと、求めていた機能とズレやすくなってしまいます。求めていた機能が満たされている物が予算オーバーなら、お金が貯まるまで待てば良いだけです。
人生経験の少ない子供は遠足に持っていくお菓子選びで、予算の500円ギリギリまで細かなお菓子を選んでしまいますが、登山好きの大人が持っていくお菓子となると、重量やエネルギー量や消化効率といった別の要素で選ぶのではないでしょうか。
登山の素人だと判断基準がないので、登山の経験者や専門家のアドバイスを参考にするのは良いと思いますが、それだって二度目の登山となると、自分なりに相性の良い基準が出来てくるのではないでしょうか。
喉が渇くような甘じょっぱいお菓子は向いていないかも知れませんし、食べた後の容器のゴミの大きさなども重要かも知れません。飴を丸ごと一袋持っていくよりも、3個で十分といった自分なりの基準が生まれるような事です。
この自分の体感で生まれた基準と向き合う事なく、専門家が言っているからと鵜吞みにしてしまうと、いつまで経っても自分に最適なお菓子が選べないような事です。
物事の本質を見抜く方法というのは、専門家や経験者のアドバイスだけでなく、しっかりと自分の体感をふまえて判断する事です。他者依存のままだと、いつまで経っても満足できないばかりか、余計なリスクを抱え続ける事になってしまいます。
まとめ 合う水を探す
美味しい水の定義などありません。誰がいつ飲んでも美味しい水など世界中を探しても見つかりません。
地域によって水に含まれている成分は違いますし、硬質や軟質といった相性もあります。季節によって最適な温度も違いますし、喉の渇きによっても美味しさは変わります。
美味しい水の定義は人によって違いますし、その時々の身体の状態によっても変わります。こんな事は当たり前の事ですが、自分の体感がなかなか得られにくい分野の物となると、多くの人が自分の体感を無視して選んでしまいます。
- 売れているから
- 流行っているから
- 専門家が言っているから
のような感じで、たいして満足できなかった物でも納得しようとしてしまいます。
食べ物のような体感が得られやすいものだと、多くの人が一度体感を得た上で判断するので、ブームは直ぐに終わるものですが、保険のような物だと多くの人が曖昧なまま継続している傾向があります。
格安スマホなども分かりやすいでしょうか。圧倒的に安くなる事が分かっていても、誰もが変えるものではありません。
どうしてもメールアドレスを変更したくないとか、最新のiPhoneでないとイヤだとか、何かしらの明確なこだわりがあるのであれば良いのですが、多く人は何となく「よくわからないし・・・」といった感じで通信費が高い大手キャリアのスマホを使い続けています。
自宅のネット環境やパソコンの性能などもそうかも知れません。高スペックなパソコンや高速通信というのは、後負荷の掛かるネットゲームをする人や、仕事で大容量のデーターをやり取りする人でもない限り、ほとんど必要のない機能です。
これらのように自分の体感を無視していると、無駄に高い物をつかまされる事になってしまうものです。逆に言えば、日頃から自分の体感を向き合い、物事の本質を見抜くように心掛けていると、満足感が得られない余計な買い物をせずに済むので、自然と節約になるのではないでしょうか。
私自身も感じる事なのですが、節約をしているという意識すら薄れていきます。必要のない物を手にしない事で、結果的に節約になっているような感じです。
ちなみに当ブログで何度も紹介している純セレブスピーカー(自作のダンボールスピーカー、安価なのに物凄く音が良い)に関するの情報で、少し前に凄く興味が惹かれる内容が話題になっていました。
ああ、やはりそうだよね。 https://t.co/GJZMIwfzP5
— 安冨歩(やすとみ あゆみ) (@anmintei) August 30, 2019
純セレブスピーカーの発案者である安冨歩さんと、音響メーカーの内部に精通していると思われる方のやり取りなのですが、メーカー側が分かっていてもビジネスにならないという理由で、隠されていた情報は他にも色々とあるのかも知れません。
当ブログで以前に紹介した宇津木龍一さんの「シャンプーをやめると髪が増える」といった本も同様です。
著者で医師でもある宇津木龍一さんは、実際に大手化粧品メーカーの研究者としても活動していた事もあり、様々な研究に取り組んだ結果、「肌に最も良いのは石鹸や化粧水を使う事ではなく水で洗い流す事だ」という結論に達しました。
もちろんそれでは化粧品メーカーはビジネスにならないので、それらの研究結果が大々的にアピールされる事はありませんでした。もしテレビや雑誌でそんなことをしてしまうと、スポンサーが下りて大変な事になってしまいます。
洗濯洗剤といった世界にも、合成洗剤を使わなければ柔軟剤など無くてもふんわりと洗濯できるといった情報がありますし、マグネシウムの化学反応を利用した洗濯だけで綺麗になるといった情報もあります。
これは私もまだ体感していない事なので、偉そうな事は言えないのですが、それほど洋服が汚れないような環境や体質の人であれば、十分なのかも知れません。
物を売りたい側は様々な付加価値をつけて少しでも高く売りたいわけです。腕時計などが分かりやすいですが、時刻を知るという機能だけであればスマホで事足りますし、気軽に確認する機能であれば、100円ショップで売られている腕時計でも事足ります。
わざわざ昔ながらのゼンマイ仕掛けの複雑機構で職人が組み上げ、高価な金属や宝石をあしらって高価な腕時計として売り出します。
高価である事に価値を感じる人が購入するのは自由ですし、それはそれでお互いに納得できた関係なので問題ありませんが、ただ気軽に時間が知りたい人にとっては、物凄く無意味な付加価値となってしまいます。
もちろん腕時計をファッションとして取り入れたり、ビジネスマンのマナーとして身につけるといった役割もあるので、それを否定したいわけではありませんが、それらの役割といったものでも、本当に自分が求めていた役割とズレてしまうと、無駄な役割に高額なお金を支払ってしまう事になってしまいます。
高価な腕時計で優越感に浸りたいのか、オシャレに役立てたいのかは自由ですが、正確な時刻を知りたい人にとってはスマホの方がずっと正確ですし、そこに腕時計の気軽さを求めるのであれば、数千円の電波時計が最適かも知れません。
これらのように自分が求めている役割を明確にする事で、最適な物を見つけやすくなります。安易に専門家や世間の常識といったものを参考にしてしまうと、求めていないどうでも良い役割の為に、余計なお金を使う事になってしまいます。
ちなみに私の地元にはミシュランガイドに掲載されたのに、発売される前に潰れてしまったお店があります。ミシュランガイドの審査員の口に合ったのかも知れませんが、地元民からは評判が良くないお店でした。
モンドセレクションも内訳を知ると面白いです。参加企業の大半が日本企業であり、高額な参加費を支払えば簡単にエントリー出来てしまい、かなりの確率で金賞を受賞しています。むしろ銀賞ぐらいだと相当酷い物なのかも知れません。
誰にでも合う水はありません。その時々の自分に合う水があるだけであり、その判断を他者に委ねてしまうと、相手の思うツボになってしまうかも知れないので気をつけてください。
もちろん参考にするのは構いませんが、自分が求めていた役割や機能といったものを見失わないように気をつけてください。
物事の本質を見抜こうとしたが故に、泥沼にハマってしまう事が意外と多いので、日頃から自分の体感を大切にしながら、何事も自分の物差しで測るようになりましょう!