諦めるとは?
諦めるという言葉の意味を調べてみると、
望んでもかなわないことがわかって、望むのをやめる意
とありました。
目標に向かって頑張る事が悪いわけではないですし、諦めずに頑張り続ける事で達成できる事もあるのですが、さっさと諦めた方が結果的に目標に近づくケースもあります。
元々「諦める」という言葉は「明らかにする」という言葉から派生したという説もあり、冷静に状況を見極める意味もあります。
仕事でも恋愛でも諦めるというとネガティブなイメージがあるかも知れませんが、状況を明らかにする事で無駄な努力をせずに済んだり、別の選択肢といった軌道修正をするきっかけとなる事もあります。
諦めるという事は必ずしもネガティブな事ではなく、むしろより良い未来を引き寄せるポジティブな発想だと考えられるようになると、諦めるタイミングを逃さずに済むようになります。
諦めないは執着
諦めるという言葉を英語にすると「give up」になるのですが、ギブアップという概念で考えると、あえて諦めた方が良くなるケースが思いつきやすいのではないでしょうか。
ボクシングで拳を突き合せた瞬間に、明らかに敵わない相手だと分かった場合、さっさと諦めてギブアップした方がダメージが残りません。
諦めずに戦う事で学べる事もあるかも知れませんが、再起不能なまでに追い込まれたり、最悪の場合は亡くなってしまうリスクもあります。
世界チャンピオンになる事が目標なのであれば、あえて諦めて階級を変えるなり、所属団体をWBAからWBCに変えるなどの選択肢が残ります。
今から20年以上前の話ですが、私の知り合いが大学時代までスキーのアルペン選手で、たまに日本代表に選ばれるほどの実力の持ち主だったのですが、トップとの圧倒的な差を感じてスキーを諦め、当時競技人口が少なかったスノーボードのアルペン競技に転向し、長年日本代表のトップとして活躍していました。
私自身の例でいうと、形ある物への執着を諦めた事で生活が劇的に楽になりました。学生時代からずっと好きだったアーティストのCDを全て所有していたのですが、それらをデジタルデーターで保管して手放してみると、何もアーティストへの気持ちが変わる事もなく、CDそのものには全く執着していない事に気が付けました。
本も昔は紙の書籍で所有したい派だったのですが、現在は電子書籍で購入する事が多いですし、その方が著者への印税が多いケースもあるようなので、むしろ良かったと感じています。
大きな本棚に本が埋まっている様子が誇らしかったと感じていたのですが、いざ手放してみると勘違いだったと気がつけました。掃除をする手間から解放され、部屋のスペースにも余裕が生まれたので、むしろ快適なぐらいです。
引っ越すにしても楽ですし、震災時の転倒や紛失のリスクも下げられたので、紙の本は電子書籍化されていない時しか選ばなくなりました。
諦められない状況というのは何かしらの執着が絡んでいるものですが、意外と本質から逸れてしまっている事があるものです。
アイドルになりたい若者がレッスンして努力するのが悪いとは言いませんが、異性にチヤホヤされたいだけなら他にも色々と選択肢がありますし、もっと簡単に目的を達成できるかも知れません。
容姿やスタイルがそれほど良くない若者がアイドルになる為の努力をしても報われるとは限りませんし、30過ぎても諦めずにいると取り返すのが難しくなります。
全国から美人が集まっている銀座でホステスさんとして活躍するのは難しい容姿でも、地方にいけばトップになって稼げるかも知れません。
諦めるといっても全てを諦めるのではなく、執着していたポイントを少しずらすだけで良い方向に行く事もあるので、頭の中だけでも諦めてみると新たな選択肢が見えやすくなります。
諦めた場合を考えてみよう
何でもかんでも諦めろと言いたいわけではないのですが、あえて諦めた場合の事を想像してみると、新たな発想が生まれやすくなります。
趣味で何かしらのコレクションをしている人もいると思いますが、当初はその物を手に入れる事で喜びがあったのに、コレクションする事自体に目的がすり替わってしまうと、むしろ喜びよりも揃えなければならない義務感に苛まれてしまいます。
諦められない理由などなかったはずなのに、いつしかそのようなものが生まれ、目的がすり替わってしまう事が珍しくありません。
幸せな家庭を築きたいという目標だったのが、結婚する事自体に目的がすり替わってしまうと、結婚できたとしても辛い生活になってしまうかも知れませんし、結婚詐欺師のような人物に騙されてしまうかも知れません。
あえて幸せな家庭を築きたいという目標を諦めてみると、金目当てで近づいてくる結婚詐欺師を冷静に見極められるようになりますし、結婚相手に期待するハードルも下がっていくので、意外と身近なところにいた人物が選択肢に入ってくる事もあります。
何をもって幸せな家庭だと定義するのかにもよりますが、容姿端麗でスタイルが良くて高収入で家柄も良いといった世間一般の基準にこだわってしまうと、自分が求めたいたはずの幸せな家庭の要素とズレが生じて本質を見誤ってしまいます。
一切の遊びや浮気をしないで真っすぐ家に帰ってくる旦那さんが理想なら、モテなさそうな男性の方が向いていますし、お酒を飲まない人や残業がない仕事といった自分なりに相性が良い選択基準が見えてきます。
これは節約テクニックなどにも当てはまるのですが、家庭の電気使用量の大部分を占める冷蔵庫の電気代を節約しようと考えると、初めは「扉の開閉時間を短くする」や「中に物を詰め込み過ぎない」や「設定温度を下げる」といったテクニックしか見えてきません。
今まで冷蔵庫の扉を開けっぱなしにしていたような人でもない限り、それらを実践しても僅かな節約にしかならないので、期待していたほどの電気代は安くなりません。
ちょっとした節約テクニックで冷蔵庫の電気代を抑えるのは無理なのだと諦めると、省エネタイプの冷蔵庫に買い替えるといった選択肢が見えてきます。
ただよほど古い冷蔵庫でもない限り劇的に電気代が安くなるわけでもなく、省エネ性能が高い最新モデルほど高価なので買い替えても節約にならないかも知れません。これも諦めると冷蔵庫のサイズダウンといった新たな選択肢が見えてきます。
今までの冷蔵庫よりも電気代が安い小さな冷蔵庫で暮らせないかと考えるようになり、冷蔵庫の中のストックを改めて考え直すきっかけとなってくれます。
大きな冷蔵庫ほど食品の価格が安い時にまとめ買いが出来るので、節約に有効だと考えている人も多いのですが、どんなに優秀な冷蔵庫でも食品の鮮度を完璧に保てるわけではないので、保存期間が長くなるほど食品の質が下がってしまいます。
今日買ってきたお肉を調理すれば新鮮で美味しいのに、わざわざ冷凍して1週間前に購入して冷凍していたお肉を解凍して使うとなると、品質を落とす為だけに余計な電気代を使用していた事になります。
普段は100g200円で売られているお肉がセールで150円で購入できたとしても、冷凍して1週間も放置してしまうと、いつでも売られている100g100円のお肉よりも不味くなってしまうかも知れません。
だったらセールでなくても必要なタイミングに100g100円のお肉を購入した方が、余計な電気代も収納スペースもいらなくなります。
これが分かると現在の冷蔵庫よりも小さな物で十分だと判断できるかも知れませんし、省エネ性能が優れている高価な最新モデル以外の選択肢が見えてくるようになります。
私はこの発想がさらに進んで冷蔵庫そのものを手放す事になったのですが、
あえて諦めて考えてみる事で、今まで考えた事もない選択肢が生まれやすくなりました。
食品のストックが多いほど賞味期限を管理する手間も増えますし、食べたくもないタイミングで食べなければならないといった状況にもなるので、食事の満足度も下がってしまいます。
魚が食べたい気分なのにお肉の賞味期限が切れるからと選択させられてしまうと、高価なお肉を食べても満足にはつながりません。
全く節約の事を考えず、平気で食品を捨てられる人であれば関係ないのかも知れませんが、そのような人はそもそも冷蔵庫の電気代に悩む事もないので諦める必要もありません。
もちろん誰もが冷蔵庫を手放す必要はありませんし、私の選択が正しいと言いたいわけではないのですが、あえてそのような選択肢を考えてみる事で、自分のライフスタイルに最適な冷蔵庫の大きさやタイプといったものが見つかりやすくなります。
何事でもあえて理想やこだわりを諦めて考えてみると、今まで執着していた考え方から解放されて、盲点だった新たな選択肢が見えやすくなります。
頭の中で考えてみた結果「やっぱり諦められない」となったとしても、諦められない理由が明確になるので選択基準が洗練されていき、妥協できるポイントも見えてくるので、より最短ルートの道のりが見えて目標達成に近づきやすくなりますよ。
まとめ 諦め上手になろう
恋愛でも仕事でも諦めないで頑張った事で実を結ぶ事もありますが、諦めた方が新たな選択肢が見えてくる事も多いので、さっさと頭の中だけでも諦めてみるのも良いのではないでしょうか。
諦めなければならない状況は辛いものですが、あえて自分から諦めてみると意外と大した事がなさそうだなと考えられるかも知れません。
あらゆる事でこの考え方ができるようになると、上手くいかなかった時のダメージも軽減されるので、回復までの道のりも格段に楽になります。ボクシングのような物理的なダメージだけでなく、精神的なダメージにも当てはまります。
待ち合わせの時間に遅れそうになった時でも、事前に連絡しておけば大きな問題になる事は滅多にありませんし、問題になったとしても自分に非があって遅れた場合は謝るしかありません。
変に言い訳をして相手の怒りを膨らませる事もありませんし、相当長く怒られる事が想定できるのであれば、その後の予定をキャンセルするなり、事前にトイレに行っておくような準備もできます。
逆に諦めずに頑張って急いでしまうと、ろくに準備も出来ずに息を切らしたまま臨んで失敗してしまうかも知れませんし、走って転んでしまったり、車の運転中なら事故の確率も跳ね上がってしまいます。
諦めるというのは必ずしもネガティブな事ではないですし、明らかになるという語源があるように、より良い状況を素早く見つけるのに役立つ事もあります。
あえて頭の中で諦めてみるという考え方ができるようになると、失敗した時のダメージが少なくなるだけでなく、より良い選択肢が見えやすくなるので、諦め上手になってみてください。
もちろん何事にも無気力で直ぐに諦めるような人物になれという事ではないので、そこは間違えないでください。
愛する人の死など人生には諦めきれない辛い状況に陥ってしまう事もありますが、逆の立場で考えると、いつまで経ってもそこに執着して苦しんでいる姿は、あまり見たくないのではないでしょうか。
サスペンスドラマの悲劇の犯人のように復讐の為に人生を棒に振ってしまうような姿は、愛する人が望んでいたとは思えません。
こればっかりは当事者にならないと分からない事なので、あまり偉そうな事は言えないのですが、多くの事柄はそのような重い理由で諦められないものばかりではないので、あえてさっさと諦めてみる事で執着から逃れやすくなるものですよ。
心からやり遂げたい事に諦めずに頑張るのは構いませんが、世の中の多くの物は売る側が執着させるような仕掛けがされています。様々なマーケティング手法がありますが、いかに多くの人に購入させるかがポイントであり、必要のない人にまで売る方法が確立されています。
最新の高機能な冷蔵庫だと、急速冷凍ができるような魅力がアピールされていますが、誰もが急速冷凍が必要なわけではないですし、急速冷凍のスペースがあると肝心の本体のスペースが狭くなってしまいます。
たくさん作り置きをして冷凍しておく家庭にとっては便利な機能かも知れませんが、それだけだと一部の層にしか売れないので、わざわざ普通の冷凍のデメリットを植え付けてくるような仕掛けをしてきます。
除菌グッズなども分かりやすいのですが、誰も困っていなかった事に大して、わざわざCGで身体に悪そうな雑菌を過剰にアピールして恐怖を植え付けてきます。
行き過ぎた除菌が身体の免疫力を衰えさせる事もありますし、急速冷凍のような必要のない機能のせいで冷蔵庫のスペースが奪われたり、掃除や管理の手間が増えて生活が苦しくなってしまっているケースは珍しくありません。
取っ手が取れて重ねて収納できる鍋のせいで、取っ手を取り付ける手間が増えたり、重ねた事でコーティングが傷ついて寿命が短くなる事もあります。結局は良く使う鍋に取っ手を付けっぱなしになってしまうと、その鍋だけ購入した方が安上がりで余計な手間からも解放されます。
あえて諦めて考えてみると、この誰かに植え付けられた執着から逃れられるので、意外とダメージが少ないと分かったり、それほど諦めなければならない事ではなかったと気がつけるようになります。
これは世間一般の常識といった要素にも当てはまる事が多いです。結婚や子供や持ち家や車など、誰もが手に入れなければならないわけでもないですし、もっと大切なものがある人にとっては足かせになってしまいます。
LGBTの人にとっては一般的な結婚など苦痛でしかないですし、人それぞれやりたい事や譲れないポイントがあるものですが、世間一般の常識に縛られていると苦しくなってしまいます。
もちろん家族や職場との関係もあるので、何から何まで好き勝手に選択する事が良いとは言いませんが、意外と簡単に諦めても問題がないケースも多いので、諦めても良い要素はどんどん手放す事で肩の荷が下ろしましょう。
日頃からあえて頭の中で諦めるという選択も考えてみてください。実際に行動に移さないにしても、新たな選択肢が見えてくるので、より良い選択をしやすくなります。
想像以上に他人から仕掛けられた偽の執着に縛られているものなので、諦め上手になってヒョイヒョイとかわせるようになりましょう。偽の執着から解放されると節約も加速していきますよ!