モチベーションとは?
モチベーションとは行動を起こすときの原因、動機、意欲のことをさします。
節約へのモチベーションが続かないという方は、裏を返せば節約をしなくても大丈夫だからでもあります。
それなりに収入に余裕があったり、将来への不安が少ないと節約をしなければならない理由がないので、モチベーションも低くなるわけです。
それはそれで悪いことではありません。収入や環境は人それぞれですし、節約をしなくても生きていける人はたくさんいます。
一方で苦しみながら節約をしている方もいます。苦しい節約というのはモチベーションが低いのにも関わらず、節約を続けなければならないからでもあります。
そこで今回は楽しい節約と苦しい節約の違いを紹介します。苦しい節約の正体が見えてくると、意外な解決策が見えてくると思います。
楽しい節約とは
まず最初に楽しい節約を理解するとイメージしやすくなります。楽しい節約とはゴールがはっきりとしている状態です。
節約をするべき明確な理由があります。
住宅や車、旅行、学費など、節約をしてお金を貯める理由がはっきりとしていると、節約は楽しくなります。
また貯める金額や期間もはっきりしているので、必要以上に節約をする必要もありません。上手に節約の線引きが出来るので、必要以上に頑張ることがありません。
また貯める金額や期間が定まっているので、日々達成感が得られて節約が楽しくなります。
苦しい節約とは
一方で苦しい節約とは、ゴールが曖昧な状態で行っている節約です。
将来の不安や老後の不安の為に節約をしても、はっきりとした正解(明確な金額)などはありません。これは、やみくもに歩き続けているような状態です。
メディアでは「老後に安心して暮らす為には○千万円必要」などと煽っていますが、いったいどれだけの退職者が実際にそれほどの金額を貯めているのでしょうか。
さらに貯められなかった人が餓死したというニュースが報道されることはありません(稀に社会保障を拒否して亡くなるケースはありますが)。
メディアで老後の不安を煽っている専門家というのは、大抵は銀行や証券会社や保険会社に雇われているファイナンシャルプランナーです。
彼らの仕事は将来の不安を煽り、その解決策として金融商品を提案することです。
金融商品を販売する側は手数料で儲けが出ます。どんなにリスクがあっても関係ありませんので、どんどん不安を煽ってきます。
これは悪徳霊媒師がやっていることと非常によく似ています。将来の漠然とした不安(子や孫の代に不幸が訪れる等)を煽り、解決策として怪しげな水晶やネックレスを購入させます。
怪しげな健康食品も同様です。このままでは将来歩けなくなりますよ!と不安をさんざん煽ったあとに、これさえ飲めば大丈夫と解決策を提案してきます。
食品の場合は実際にプラシーボ効果で効くことがあるので判断が難しいのですが、金融商品の場合はプラスマイナス0でも手数料分は損をしてしまいます。販売する側は儲かりますが。
苦しい節約から少し話がそれてしまいましたが、不安の正体を曖昧なままにしておくと、どんなに節約をしても、どんなにお金を貯めても不安なままです。
これが苦しい節約の正体です。節約をしている意味を本人が理解できていない状態です。
苦しい節約からの脱却
苦しい節約を楽しい節約に変える為に必要なことは、ゴールを設定することです。
何となく将来が不安だから節約をしている状態というのは、ゴールがないのに走り続けているようなことです。
だからこそ、ゴールを自分で設定する必要があります。
それこそファイナンシャルプランナーが設定したゴールに惑わされてはいけません。
世の中には国民年金だけで暮らしているお年寄りも珍しくありません。そのような方が必ずしも不幸とも限りません。
子供たちが巣立ったあとの老後でも、大きな家に住みながら若い頃と同じようなライフスタイルを続けたいのであれば、それなりの金額が必要だとは思います。
一方で年齢に合わせてライフスタイルを変化させていくのであれば、それほど大きな家は必要ありません。家賃だけでなく光熱費も安くなります。食べる量だって少なくなるものです。
病院やスーパーに近いところに引っ越せば交通費も安くできるものです。必ずしもメディアが提唱している金額が必要なわけではありません。
この辺が曖昧なまま節約をしていると、いつまでたってもゴールに近づかないので達成感も何も感じられません。ただただ漠然とした将来の不安を和らげる為に節約をしているので、いつまでたっても苦しい節約になってしまいます。
これらの将来の不安としっかりと向き合うことで、解決策(ゴールの目安)が出てくるものです。
その解決策が、具体的な金額を貯めることなのか、保険で代用できるものなのか、または全く別の選択肢なのか、見えてくるようになります。
旅行をするにしても目的地によって貯める金額が違うはずです。何となく「旅行に行きたいなぁ」というゴールでは、いくら貯めればいいのか、いつまでに貯めればいいのか、わかるわけがありません。
たとえば富士山に登りたいというゴールが設定されれば、交通費だけではなく登山にベストな日程が見えてきますし、登山グッズや健康状態まで意識することになります。
明確なゴールが設定されると、日頃の行動が勝手に変わっていきます。健康状態を意識した食生活になり、一駅歩いたり、階段を選ぶようになります。またそれらの行為がゴールを達成するために役に立っていると実感できるので、それらの変化した行動そのものを楽しむことができます。
これが何となく「山登りしようかな~」ぐらいだと、登山グッズを揃えることもありません。登山に適した体重や健康状態を意識することもありません。当然日頃の行動も変わりません。
節約も同じです。
先に明確なゴールがある節約は、自然とモチベーションが上がって楽しくなります。ゴールを達成した時に楽しくなるのではなく、ゴール達成の為に役立っている日々の行動から楽しくなるということです。
営業とは洗脳
少し話がそれますが、基本的に営業とは相手を洗脳することです。
あらかじめ不安を抱えている方は自分で解決策を見つけて購入します。わざわざ営業マンに頼ることもなく、手っ取り早く自分で解決します。
一方で営業は相手が必要と感じていないモノを、必要と思わせて購入させる行為です。始めから相手が欲しがっている状態なのであれば、わざわざ営業をする必要はありません。
相手に必要だと思わせる手っ取り早い方法こそが、相手に不安を与えることです。その解決策を提案します。
昔はトイレットペーパーでお尻を拭くだけで、誰もが疑わずに綺麗な状態だと思っていましたが、ウォシュレットが登場した時、CMで手についた絵具を紙でふき取らせ、手に残った絵の具の拭き残りを見せて、
「お尻だって洗ってほしい」
と可愛らしい女の子が言いました。
これが不安を煽る営業の手法です。
それまで誰も疑問に思っていなかったところに、不安を与えて解決策を提案し、全く新たなマーケットを出現させたわけです。
ウォシュレットはトイレットペーパーだけで満足している人には売れないので、現状を否定するために、わざわざ絵の具を見せて不安(今のままでは汚い)を煽ってきました。
これが保険や金融商品だと、あらかじめ儲けたいと思っている人にしか売れません。現状に不安を抱えている人は手を出す可能性がありますが、現状に満足している方には必要ないわけです。
現状に満足している多くの人に売るために、新たな不安を創出するわけです。
たとえば癌の発生率や費用を説明して不安を煽ってきます。老後に必要な資金を掲示して不安を煽ってきます。
酷いものになると死後の世界の不安まで利用します(このままでは地獄に落ちるわよ!等)。
人は不安な状態になると冷静な判断がつかなくなります。普段なら買うはずもない商品でも、心が不安定になると手っ取り早く解決したくなります。
誰だって拳銃を突きつけられれば、相手の要求を呑むしかありません。思考停止状態になってしまいます。
そこで冷静に相手が拳銃を打つ可能性を計算したり、回避して逃げ通せるまでの道順を探すことなどは、よほど専門的な訓練を受けている人でもない限り無理です。
こうならない為にも過度な不安は持つべきではありません、冷静に不安の正体を見極める必要があります。
その為には相手が恐怖や不安を利用してきた瞬間に「怪しい!」と気づくことです。不安を強く植え付けられる前に、「あ、営業だな」と気がつくだけで冷静さを取り戻すことができるようになります。
まとめ
節約をするモチベーションが続かないということは、必ずしも悪いことではありません。
それはある意味、節約をしなくても大丈夫ということでもあるからです。
苦しみながら必要もない節約をしている方より、ずっと健全な状態です。
一方で節約をする目的が明確に設定されている方は、自然とモチベーションが上がるものです。
日々の様々な節約を行うことで、ゴールに近づいている実感が得られるので、ますます節約が楽しくなります。苦しいどころか快楽物資のドーパミンが出るようになります。
節約が苦しいと感じている方は、何の為に節約をしているか、しっかりと思い出してください。
とっくに当初の目的を達成している可能性もあります。必要以上に節約をする意味はありません。
また漠然とした将来の不安を解消する為には、頭を冷静にして判断するしかありません。不安に襲われている状態だと手っ取り早い解決策(ハイリスクな投資など)しか目に入ってきません。
お金が少なくても少ないなりの生活があります。頭を冷静に保つことで、様々な選択肢があることに気がつくはずです。
お金が少なくても活き活きとしている方がいる一方で、何千万円も貯めていながら不安におびえている方も多いです。
また高額な遺産があるばかりに、子供たちがもめる原因になる可能性もあります。
生きている内にお金をあげれば感謝もされますが、亡くなってからお金が原因でもめてしまうなんて悲しすぎます。
本当に必要なお金というのは、それほど多くないのではないでしょうか。
漠然とした不安から目をそむけていると、実際の不安よりも巨大に見えてしまうものです。
実際に不安と向き合うと案外小さなことかも知れません。大きく見えるようにメディアが洗脳しているだけで、実際にはペラペラかも知れません。
自分で判断して上手くいかないのであれば諦めもつきますが、誰かに洗脳された基準で失敗していると判断しないでください。
苦しいと感じる節約は間違っています。
きちんと何のために節約をしているのかを明確にしてください。ゴールが設定されると日々の節約が楽しくなるはずです。