スピーカーユニットのエッジ?
当ブログでは以前に簡単に自作できる純セレブスピーカーについて紹介した事があるのですが、
あまりにも素直で綺麗な音に感動した事もあり、節約ブログではありますが、度々純セレブスピーカーについて向き合ってきた経緯を紹介してきました。
すると、純セレブスピーカーの発案者である安冨歩さんがツイッター上でアドバイスをくださり、スピーカーユニットそのものとの相性について考える事になりました。
基本的に純セレブスピーカーは高価なスピーカーユニットである必要はなく、余計な個性のないシンプルな物の方が相性が良いと考えられているのですが、ミニコンポから取り外したものを使ってみると、1500円ぐらいの安物のUSBスピーカーの物より劣った音質になってしまいました。
そのミニコンポについて詳しく調べてみると2003年に発売されていたので、既に18年ぐらい前のものでした。
単純に経年劣化で音質が悪かったのかとも思ったのですが、「T10-1226-05」で検索してみると、YouTubeに動画が見つかりました。
かなりダイナミックに動いており、それなりに良さげな印象を受けました。
安冨歩さんにアドバイスをしてもらっていたので、この動画を紹介すると、
これなら、絶対、鳴るはずですね。ツイータ、いらない。
と教えてもらえたので、何か改善策がないのかと思い、自分なりにスピーカーユニットについて調べていると、エッジがカチカチになっていたことに気がつきました。
私のは動画のように滑らかに動く気配が全くなく、指先で押してみるとペリペリと音を立てるほどカチカチでした。
そこでもう一つの純セレブスピーカーに使用しているダイソーのスピーカーのエッジを調べてみると、フニャフニャで驚きました。全く硬さが違います。
過去の安冨歩さんの動画でエッジがダメになっている場合は削り取ってテープで修復すると良くなると紹介しており、ツイッター上でもそのようにアドバイスを受けたので、それを実践しみようかと考えていたのですが、取りあえず指先でカチカチになっているエッジをマッサージをしていると、徐々に柔らかくなってきました。
そこで改めて何か方法がないのかと調べてみると、オーディオマニアの方々が色々向き合ってくれており、様々な方法があると知りました。
理想はエッジを交換してしまえばいいのですが、そこに費用を掛けてしまうと純セレブスピーカーらしくないなぁ~とも感じたので、今回はこの硬化して動かなくなったエッジを軟化する方法を試してみました。
スピーカーのエッジを軟化させる方法
スピーカーのエッジを大きく分けると、ゴムとウレタンと布製があるようでした。
布製といっても洋服に使われているようなものではなく、布にダンプ剤と呼ばれる有機溶剤が塗り込まれており、適度に張りをもたせる仕組みになっているようです。
ゴムやウレタンのエッジが劣化してしまうと、ボロボロに剥がれてしまうので交換するしかないようなのですが、布製のエッジの場合は経年劣化によって硬化して音質が下がる傾向があるようでした。
私のもこちらに当てはまっていたので、布エッジを軟化する方法を調べていると、驚くべきことに自動車のブレーキオイルを塗ると効果的だという情報がたくさん見つかりました。
昔の私は結構な車好きでガソリンスタンドでアルバイトもしていたので、ブレーキオイルの交換をしたことがあり、ブレーキオイルを車の塗装面に少しこぼしてしまい、見事に塗装が溶けて鉄板がむき出しになったことを思い出しました。
布エッジの固まった有機溶剤を溶かす事で改善するのであれば、ブレーキオイルで柔らかくする方法にも納得できます。
ただこの為だけにブレーキオイルを購入するのもバカらしく、手持ちのもので何か出来ないかと調べていると、「うすめ液」が見つかりました。
これは車の細かなキズを補修する時に使用するタッチペン用に購入していました。
開封して空気に触れたタッチペンは、どうしても徐々に固まって使えなくなっていくので、この「うすめ液」が活躍してくれます。
塗料を溶かして軟化させるという意味では、ブレーキオイルの代わりになるのではないかと調べてみると、まさに「うすめ液」を布エッジの軟化に使用している人が見つかりました。
さっそく硬化しているエッジ(左側)にうすめ液を塗り込んでみると、数分でフニャフニャのエッジに戻り、上に軽い物を乗せても凹むほど軟化してくれました。
「おおー!やったぁ~」
と布エッジの軟化の成功に喜んでいたのですが、よくよく見ると・・・
本体からも剥がれてしまいました。
適当な刷毛がなかったので、割り箸の先にティッシュを巻き付けて塗っていたのですが、どうも塗り過ぎだったようです。
内心かなり焦ったのですが、そもそもスピーカーユニットのエッジは交換できるものなので、どのように接着しているのか調べてみると、単純に接着剤のようでした。
瞬間接着剤なら過去に100円ショップで購入したものがあったので、しばらく放置して「うすめ液」が完全に乾燥したところで無事に接着できました。
接着剤もタッチペン同様に開封後に固まってしまいますが、最近のは小分けパックになっているので最高です。本当に100円ショップは素晴らしいですね!
そしてもう一つの方の布エッジも軟化させ、半日ぐらい放置すると「うすめ液」の匂い(シンナー臭)がしなくなりました。
手で触れてみるとフニャフニャな状態ではなく、少し硬く戻っていたのですが、以前のようなカチカチに戻ったわけではなく、手で押してもペリペリといった硬さがあるわけでもなく、ほどよく弾力がある理想的な状態に戻す事に成功しました。
そして実際に音を出して確認してみると、
・・・
残念ながら微動だにしませんでした。
私はアパートに住んでいるので、音量をマックスにするわけにはいかないのですが、隣の住民が出かけたタイミングを見計らってマックスにしてみたのですが、動画ほどは動きませんでした。
軽く手で触れてみるとかなりの振動を感じるようになったのですが、そもそもアンプの容量が小さ過ぎるのかも知れません。
私は専門家でもないので微妙な音質の違いを聞き分けられる耳があるわけではないのですが、若干良くなったようには感じました。
軟化した布エッジのエージング
私はオーディオ初心者ではありますが、純セレブスピーカーと向き合うようなった事もあり、エージングという情報を度々目にしていました。
エージングを簡単に説明すると、使い続ける事で馴染んで良くなるといった感じなのですが、ただ音楽業界で用いられるエージングの情報は玉石混交であり、売る側が都合よく利用している事もあるようで、特にケーブルのエージングについては賛否両論あります。
ただスピーカーユニットのように物理的に動く箇所に限っていえば、使い方によって柔らかくなったり硬くなったりするのはイメージできるので、軟化させたエッジが馴染む事で動くがよくなる可能性があるのかも知れません。
エッジだけでなくダンパーと呼ばれている下側の布も固まって動きが悪くなっているのかも知れないので、下側の布も軽く手でマッサージをしてみたりしました。
ただ隙間が狭くて指先しか届かず、何か方法はないかと調べてみたのですが、こちらは交換する方法ぐらいしか見つかりませんでした。
そこで私になりにエージングを考えてみました。
それはスピーカーユニットを下に向けて大音量で動かしてみる方法です。
下に向けて使用する事で今まで動かなかった方向に重力が働き、適度にダンパーもほぐれるのではないかと考えたからです。オーディオマニアの方には鼻で笑わてしまうかも知れませんが(苦笑)、動きやすい状態で積極的に動かしてみました。
ただ自宅で大音量で流すわけにはいきません。そこで純セレブスピーカーの理論を逆向きに考え、穴を空けていない箱の中に音を閉じ込めてしまう方法を思いつきました。
とにかく外に音を漏らさないことが重要なので、ギュウギュウに紙を詰め、しっかりと箱を閉じます。
その箱を袋で密封して音が漏れないようにし、大きなダンボールで同じ事をしました。
これでも音量をマックスにすると低音がズンズンと響いてきたので、さらに毛布でくるんでベッドの布団の中に突っ込みました。
するとかなり音量が抑えられたので、音楽を流しているウォークマンのカスタム設定で低音を増強し、うるさい系のロックをしばらく流してみました。
もしかしたら火事になるんじゃないかなと不安になり、途中で開封して確かめてみたのですが、大音量でも特に熱をもつようなことはありませんでした。
ただアンプの方は熱くなっていたので、時々休ませながら半日ほど逆向きのエージングをしてみました。
そしてスピーカーを取り出し、そのままで一瞬だけ大音量で流してみると、
・・・
残念ながら動きませんでした。やはりアンプのパワーが足りないのかも知れません。
それについても調べてみると、一般的なスピーカーでもかなりハイパワーのアンプで低音を響かせないと、目視で確認できるほど動かないという情報があったので、取りあえずは良しとしました。
そんなアンプを手に入れたところで、自宅アパートでは役に立てそうもありません。
まぁ、多少は軟化させた布エッジやダンパーがほぐれて馴染んだはずだと信じ、上向きの純セレブスピーカーに再装着して音を出してみると、
・・・
物足りなかった高音域がグッと鳴り響くようになりました。取りあえずは成功です!
てっきり低音が良くなるのかと思っていたのですが、むしろ高音が自然な感じになりました。ただ高音域が良くなったせいもあり、低音域のこもった音が気になるようになりました。
箱に設置する前にスピーカーユニットを両手で持って耳の近くで聞いてみると、とてもバランスの良い綺麗な音がするのですが、箱に入れた途端に低音がこもってしまいます。
こうやって外して聞いてみると、低音が響かないだけにバランスは悪くありません。
これはダンボール箱との相性なのかと思い、音を出しながら箱の中の紙の量を減らしていくと、「キター!」という瞬間が訪れました。
だいたい箱の半分下ぐらいの紙の量です。上半分はスカスカな状態です。
スピーカーユニットとの相性なのか、上向きだからなのか、箱の大きさなのか、これといった理由は見当がつかないのですが、「コレコレ♪」といった感じの純セレブスピーカーらしい生々しい澄んだ音質になってくれました。
純セレブスピーカーには、これらのような調節の楽しみがあります。一般的なオーディオマニアだと様々な器具を試す事になるのかも知れませんが、純セレブスピーカーは構造がシンプルなだけに、本当に些細な事で音質が変化してくれるので楽しいです。
まとめ やっぱり楽しい純セレブスピーカー!
硬化した布エッジを軟化する為に色々と調べているうちに、オーディオマニアの方にも様々なタイプの方がいるのだなと感じました。
エッジの軟化作業そのものを否定している人もいましたし、私のようにお金を掛けずともアイディアで乗り切ろうとしている人もたくさんいて嬉しくなりました。
それこそ安冨さん流のテープで補修する方法だって悪くないのかも知れません。ボロボロに剥がれたゴムやウレタンのエッジでも、工夫次第でお金を掛けずに補修できるのかも知れません。
純セレブスピーカーと出会う前の私は無知だったこともあり、オーディオの世界は湯水のようにお金が必要なのだと思っていたのですが、どうもそのような人ばかりではないようで、なんだか嬉しく感じました。
アンプについても調べていると、中華アンプと呼ばれている中国製の安価なアンプが高く評価されていたりして、思っていたよりも金銭的な敷居が高くない世界なんだなと感じるようになりました。
このamazonで売られているアンプはコメントの数が凄く、数年前からオーディオマニアの方々の中で話題になっているようでした。
中には辛辣なコメントがあったり、権威を振りかざした決めつけをしている人もいるのですが、それほどお金を掛けずとも音楽を楽しんでいる人が、たくさんいるようです。
そのようなタイプの人こそ、純セレブスピーカーの存在を知ってもらいたいものです。ちょっとしたアレンジでどんどん音質が変化していくので、オーディオマニアのような自分好みの音質に合わせることを、気軽に楽しむことが出来ると思います。
ちなみに最近はネットの雑誌読み放題でもオーディオ雑誌が見られるようになった事もあり、私もよく見ているのですが、あまりにも広告が多くて驚きました。
「これでは本音は書けないだろな~」
と感じました。これはオーディオ業界に限った事ではありませんが、専門雑誌ほど部数を稼げないので広告収入がメインになり、広告主を喜ばす内容になるものです。
自動車雑誌でも新型車両をボロクソに評価することは滅多にありません。前のモデルと比較して向上している機能ばかりを褒めちぎるのが常です。オーディオ雑誌にもこの傾向が強いような印象を受けました。
どの雑誌でもそうなのですが、表紙の裏と背表紙の広告主がメインなので、持ち上げていることを加味しながら読み進めることで、記者の本音がチラチラと見えてくるものですよ。
結局は自分のフィルターに通して判断するしかありません。専門家や雑誌を参考にするのは構いませんが、盲目的に鵜吞みにしてしまうと思わぬ落とし穴にハマるかも知れないので気をつけてほしいと思います。
節約情報などもそうなのですが、情報を発信している人の背景を調べてみると、特定の方向(その人が儲かる)へ促している事があるので、そのまま鵜吞みにするのではなく、きちんと自分との相性を見極めてほしいと思います。
布エッジの軟化作業も同じです。ブレーキオイルを用いる方法と相性が良いケースもあるかも知れませんし、私のようにうすめ液で何とかなるケースもあるかも知れません。
一方でそれらの方法に警報を鳴らし、専用商品を売り込もうとする人もおり、その警報も間違っているとも限りませんが、もしかしたら売りたいだけなのかも知れません。
電気ケトル専用の洗剤は三回分で280円ぐらいで売られているのですが、成分を調べてみるとクエン酸100%で45g(15g×3袋)だったりするので、100円ショップで200g入りのクエン酸を購入した方がずっとコスパが良かったりします。
オーディオは嗜好品なだけに、やたらと見た目だけを豪華にして暴利をむさぼっている商品もあるようなので、しっかりと本質を見極めてほしいと思います。
純セレブスピーカーと戯れていると、この本質と向き合う作業が凄く研ぎ澄まされるとでもいいましょうか、とても良い機会になるので、オーディオに興味のある人はぜひチャレンジしてみてください。見た目がチープなだけに、惑わされる事が少ないものですよ。