冷たい飲み物のリスク
東洋医学系の本を読むと「冷たい飲み物」のリスクについて語られている事が多いものです。
アイスのような冷たい食べ物というのは、少量ずつ口の中で温められてゆっくりと胃の中に入っていくのですが、ゴクゴク飲めてしまう冷たい飲み物は温度が低いまま胃の中に到達してしまい、身体の内側から冷やす事になってしまいます。
おしっこが体温ぐらいに温かいように、冷たい飲み物を取ると余計にエネルギーを消費してしまう事になります。
東洋医学では冷えは万病のもとといった考え方なので、飲み物だけではなく食べ物でも火を入れて温めた方が良いと考えられているので、中華料理では生で食す料理や冷たい料理は多くありません。
体温が上がっている暑い夏場に冷たい飲み物を飲むと気持ちが良いですし、それほど身体の負担になるわけでもないのですが、日常的に冷たい飲み物をたくさんとっていると、それだけ体温が奪われてしまう機会が増えてしまいます。
よく健康の為に水をたくさん飲む健康法がありますが、それも度が過ぎるとおしっこの回数が増えて体温が奪われてしまいます。
それこそ東洋医学では水毒という考え方もあり、水分ですら取り過ぎると身体のバランスを崩してしまうので、必要以上に水を飲むような事はご法度とされています。
これらは一般的に言われている冷たい飲み物のリスクなのですが、実はもう一つのリスクがあります。それは糖分の摂取量の増加です。こちらの方が多くの日本人に当てはまる可能性が高いので意識してください。
冷たい飲み物は甘い?
味覚は食べ物や飲み物の温度が体温に近いほど正常に機能します。
極端な事をいうと、冷たい飲み物というのは味覚が麻痺したような状態になるので、甘さが感じにくくなります。
これは甘い缶コーヒーでイメージすると分かりやすいのですが、程よい甘さで美味しく感じる缶コーヒーでも、常温で飲んでみると甘ったるく感じるような事です。
その甘ったるい状態がその飲み物の本来の味であり、冷たくすると甘さが感じにくくなるので、冷たくして飲む事を前提としている清涼飲料水(炭酸ジュース等)ほど、糖分が多い傾向があります。
ケーキやアイスクリームなどでもそうなのですが、冷たい状態で食べる事を前提としているものほど、甘みが強い傾向があります。
これが冷たい飲み物のもう一つのリスクです。身体の内側から冷えて体温が奪われるだけでなく、余計な糖分やカロリーを摂取する事になってしまいます。
ちょっと目を離したすきに溶けてしまったアイスを飲むと、もの凄く甘ったるく感じた経験がある人もいるのではないでしょうか。
ぬるくなったスポーツ飲料も凄く甘く感じられます。それが本来の味です。冷たい状態で美味しく飲めるように調整されている清涼飲料水というのは、かなり糖分が多い傾向があります。
この温度による味覚の麻痺は熱いものにも当てはまるのですが、熱々のコーヒーをゴクゴクと飲める人はいません。火傷しないように少量のコーヒーを少しずつ飲み込むので影響が少なくなります。
ブラックコーヒーの苦味も常温の方が強く感じられるのですが、熱いコーヒーだと少しずつしか飲まないだけに、程よい苦味として美味しく感じられます。
ちなみにアイスコーヒーが苦いと感じるのには別の理由もあります。氷で薄まる事を前提としているので、ホットコーヒーよりも深煎りで焙煎されている事が多く、濃い目に味が調整されています。
そしてその濃さに合わせて甘さが加えられる事になるので、冷たくても混ざりやすいガムシロップの糖分は、角砂糖の3個分に相当すると言われています。ホットコーヒーに角砂糖を3個も入れると相当甘ったるくなるものですが、アイスコーヒーだと程良い甘さに感じられます。
これらのように冷たい状態で飲み事を前提しているものというのは、かなり糖分が多くなるという事を覚えておいてください。意外とこのリスクが見落とされているように感じます。
太っている人ほど冷たい飲み物を好む傾向がありますが、その度に余計なカロリーを摂取する事になっているのかも知れません。
温度による味の変化
飲み物が温度によって味が変わるのは、日本酒で考えてみてもと分かりやすいかも知れません。
日本酒の温度は「冷や(常温)」「ぬる燗」「熱燗」といった感じで様々な温度で飲まれています。
銘柄によっても相性の良い温度がありますし、もちろん個人の好みで温度が選ばれる事もあります。
香りの弱い日本酒の風味を活かす為に、あえて熱燗にした方が美味しく感じられるものもあれば、冷酒(冷たい)のように冷やして飲む事を前提として作られる日本酒は香りが強い傾向があります。
温度によって飲み物の味の感じた方が変化するのは珍しい事ではありません。味覚だけでなく嗅覚(香りの強さ)にも影響があります。
日本は自動販売機の普及率が高く、冷蔵庫が普及し始めた時期も早いだけに、飲み物を冷やして飲む事を当然のように受け入れている人が多いのですが、そのせいで冷え性になってしまったり、太っていなくても糖尿病になってしまう人が珍しくありません。
清涼飲料水のように冷たくして飲む事を前提としている飲み物ほど、必要以上に糖分が多い傾向があるので気をつけてください。
冷たい飲み物を避けるようになると、自然と甘ったるい飲み物を選ばなくなりますよ。
ぬるくても良い飲料
暑い夏場に冷たい飲み物を飲みたくなる気持ちもわかりますが、乾いた喉を潤す為だけであれば常温の水や体温に近い温度の白湯の方が身体の負担にはなりません。
赤ちゃんのミルクを人肌ぐらいの温度に温めてあげるように、身体に負担のない温度で飲むのが理想です。
運動直後のように身体が火照っている状態であれば、キンキンに冷やしたスポーツ飲料を飲んでも良いとは思いますが、何となく習慣だけで冷たい飲み物ばかりを選んでいると、必要以上に糖分を摂取する事になり、身体も内側から冷えて疲れてしまいます。
あらゆる冷たい飲み物を徹底的に避けろとは言いませんが、のどの渇きをいやす為の飲料だけでも、なるべくなら冷たい状態を避けてみてください。
飲食店でも冷たい水と温かいお茶を選べるような事があるように、ちょっとした意識の差で冷たい飲料を避ける機会があるものですよ。
まとめ 飲料の温度も選択しよう
体温よりも低い温度の飲み物を日常的に摂取していると、その度に身体の内側から冷えて温めなおす為に余計なエネルギーを使う事になってしまいます。
夏バテの原因の一つとして冷たい飲み物の取り過ぎがあるように、ただでさえ暑さで身体がバテている時に冷たい飲み物ばかりを選んでいると、益々疲労が蓄積していってしまいます。
食事やおやつタイムに冷たい食べ物や飲み物を少しぐらい楽しむのであれば、それほど身体の負担にはなりませんが、何となく習慣だけで冷たい飲み物をゴクゴクと飲んでしまっている人は意識してみてください。
冷たい飲み物を減らすだけ疲労が減る可能性がありますし、糖分の摂取量も少なくなる可能性が高いです。常温の缶コーヒーでもブラックなら美味しく飲めるものですが、ロング缶の甘いコーヒーは甘すぎて飲めたものではありません。
ビールのような飲み物でも必ずしもキンキンに冷えていないと美味しくないとは限りません。国によっては常温のビールが飲まれますし、日本ほどキンキンにこだわる国は多くありません。
ぬるいビールが不味く感じるのは炭酸が抜けてしまった事も関係しているので、常温の缶ビールでも開けて間もないタイミングであれば、意外と美味しく飲めるものがあるものですよ。特に甘みの強い黒ビールなどは温度による味の違いが感じられるはずです。
飲み物の温度を意識するようになると、自然とお茶や水のように甘みがなくても美味しい飲料を選ぶようになるので一石二鳥です。
ただそのような水やお茶でも健康の為にと極端に飲むような事も避けてください。身体の中の塩分濃度が薄まって不調をきたすケースがあります。
塩っ辛いものを食べると水を飲みたくなるように、身体が求める分の水分を摂取するのであれば、自然と体内で塩分濃度のバランスも取れるのですが、健康の為にと必要以上に水を飲んでいると、味付けの濃い高カロリーな料理を選ぶようになるかも知れません。
たくさんの水を飲んで身体の老廃物を積極的に排出する健康法もありますが、そもそも身体に老廃物を貯め込まない食生活の改善の方が大事なのはイメージできるのではないでしょうか。
海外セレブでも水を飲んで痩せたような人がいますが、今までがぶがぶコーラを飲んでいたアメリカ人が、たくさんの水を飲むようになれば痩せるのは当たり前であり、老廃物を出せたというよりも、単純に余計なカロリーや糖分を摂取しなくなって痩せただけかも知れません。
気候も人種も違う海外の健康法がそのまま日本人に当てはまるとは限りませんし、有名大学の研究結果だとしても、一年を通して温暖な気候で湿度も低い地域の研究結果が、四季のある日本では肌から蒸発していく水分量が違うので当てはまらないかも知れません。
最新の研究結果といった健康常識を参考にするのが悪いとは言いませんが、人それぞれ体重も身長も筋肉量も内臓の強さも違いますし、人種や食文化による違いもあるので自分の体感も大切にしてください。
飲み物の温度も若くて身体が健康な頃は負担にならなくても、加齢に伴う衰えによって負担になっていく事もあるので、飲み物の温度も意識してみてください。
水分補給の為であれば常温の水や白湯を少しずつ飲むのが理想なのですが、何となく習慣だけで冷たい水をゴクゴクと飲んでしまうと、身体の内側から疲れてしまうので気をつけてください。
自宅であれば飲み物の温度も選択できるのですが、飲食店で提供される印象だと氷が入っている事が多いので気をつけてください。水に入っている氷は開いたお皿にでも移してしまっても良いかも知れません。
何となく習慣だけで冷たい飲み物を飲んでいた人ほど、余計な疲労の原因となってしまっているかも知れないので、飲み物を温度も意識するようにしてみてください。
もちろん暑い夏場や運動で汗をかいたような場合は別なので、そこは分けて考えてください。身体が火照っている時に少しぐらい冷たい飲み物を飲むのが悪いわけではありません。
ただそれが落ち着いてきたら、キンキンに冷えた飲み物を避けるように意識してください。冷た過ぎる飲み物のせいで損してしまっている人が意外と多いので気をつけてほしいと思います。
コメント
僕は夏でも冷たい飲み物を飲むと一発でお腹をくだします。みんなそうならないのが不思議です。常温か温かいものしか選べないので、清涼飲料水はほとんど飲んだことがありません。
by 匿名