椅子の座り方によるリスク
パソコンの普及に伴い、長時間椅子に座りっぱなしになるデスクワークの人が増えてきました。
現代人は昔の人よりも圧倒的に椅子に座っている時間が長いだけに、その事による弊害も増えてしまいました。
椅子の座り方について正しく習った事があったり、意識した事ががある人というのは、どれぐらいいるのでしょうか。
「背筋を伸ばしなさい!」
ぐらいは学校で習ったかも知れませんが、背筋を伸ばすことは結果論であり、本質ではありません。
正しく座った結果、自然と背筋が伸びた綺麗な座り姿勢になりますが、無理やり背筋を伸ばすことが正しい座り方ではありません。
誰でも一時的に姿勢を正す事はできますが、長続きしないのはそもそも間違っているからです。
間違った座り方をしていると、身体に様々な悪影響が出てしまいます。肩こりや首や腰の痛みが出る原因はデスクワークだけではありませんが、多くの現代人に当てはまる可能性が高いです。
そこで今回は正しい椅子の座り方について紹介します。またその正しい椅子の座り方をキープしやすい方法についても紹介します。
正しい椅子の座り方とは?
正しい椅子の座り方のポイントは、背筋を伸ばすことではなく骨盤を寝かせないことです。これを理解しない事には根本的な改善には向かいません。
無理やり胸を張ったり、背筋を伸ばしてしまうと腰や背中が痛くなってしまうのは、骨盤が起き上がっていないからであり、無理やり筋肉で姿勢を変えるので辛くなってしまいます。
この正しい座り方は言葉で説明するよりも、動画の方がわかりやすいので、おすすめの動画を紹介します。
骨盤が倒れたままで背筋を伸ばすと筋肉を使って身体を支えてしまうので、肩や首や背中周りの筋肉に力が入ったままになってしまいます。自然と胸を張って背筋が伸びた美しい座り姿勢というのは、骨盤を起こしてあげない事には成り立ちません。
いわゆる姿勢矯正グッズの中には、この骨盤が起き上がった状態へ促すものがあり、それも一定の効果はあるのですが、それらに頼らなくても正しい椅子の座り方を意識する方法があります。
正しい座り方を意識する方法
骨盤を立てた正しい椅子の座り方を頭で理解しても、なかなかその姿勢はキープ出来ません。これは長年崩れた姿勢に慣れ親しんでいた事で、正しい姿勢に必要な筋力が落ちてしまっているからなので、グッズに頼っても簡単に解決する問題ではありません。
ある程度慣れてくると正しい姿勢を保つのに必要な筋力もついてくるのですが、それなりに期間が必要なので、我慢できずにグッズを手放してしまう事があります。
実際に私も経験しているのですが、椅子の上に置いて骨盤の向きを整えるグッズ(⇒)を使用していると、しばらくは良い姿勢を保つ事ができるのですが、どうしても辛くなってしまい外したくなってしまいます。
それでも我慢して使い続けていると、このグッズに座りながらも猫背になる座り方を覚えてしまい、独特な座り方になってしましました。
このようなグッズが悪いわけではないのですが、頼り切っているだけだとなかなか座り方は改善してくれません。あくまでも補助的に用いるのであれば良いとは思いますが、意識を変えない事には難しいです。
そこでおすすめなのが、「周辺環境の調整」です。
正しい椅子の座り方をした上で、椅子の高さやデスクの高さを合わせ、さらにパソコンのモニターの角度やキーボードの位置を調節します。
これは車の座り姿勢で考えるとわかりやすいのですが、車のシートに座る姿勢も骨盤を倒して寝そべった座り方をしている人が多く、いわゆる猫背の状態で運転してしまいます。
だからこそ長時間のドライブだと腰や肩が痛くなってしまうのですが、こちらも動画を見ると正しい座り方が分かりやすいと思います。
車のシートはよく考えられているので、骨盤が起き上がった正しい姿勢で座れば、バランスよく体重がシートに乗り、肩や背中に無理な力も入らないので、長時間のドライブでも疲れません。
このような正しい座り方は教習所で教わるのですが、多くの人が骨盤を寝かせてシートと背もたれと腰の間に隙間ができるような座り方をしてしまうので、ちょっとした運転でも疲れてしまいます。
そしてその疲れやすい間違った座り方に合わせて、シートの前後や角度の調整をしてしまっています。さらに細かな事を言えばハンドルの高さや前後、ミラーの角度まで間違った座り方に合わせて調整してしまいます。
このような環境のままだと、正しく座るとズレてしまうので直ぐに元に戻ってしまいます。
動画で解説されているような正しいドライビングポジションを取ると、シートの前後から角度、ハンドルの前後や角度、ミラーの角度まで全て変わります。
すると寝そべった姿勢になると扱いづらくなってしまうので、座り姿勢が崩れたことを自覚する事ができます。
これは長時間のデスクワークでも同じことが当てはまります。
慣れ親しんだ間違った椅子の座り方に合わせて、パソコンのモニターの角度や椅子やデスクの高さになってしまっていると、一時的に正しい椅子の座り方に意識できても、見えにくかったり使いにくくなってしまうので、気を抜くと直ぐに元の姿勢に戻ってしまいます。
だからこそ正しい椅子の座り方をキープする為には、その正しい座り方に合わせた周辺環境の調整が重要なポイントになってきます。
気を抜いて姿勢が崩れてくるとモニターが見えにくくなったり、キーボードが遠くなったりするので、姿勢を正すきっかけになってくれます。これは意外と大事なポイントなので意識してみてください。
ちなみにモニターの高さや距離を変えられないノートパソコンを使用している人ほど、座り姿勢も乱れている傾向があります。長時間のデスクワークが多い場合は細かな調節ができるデスクトップパソコンが望ましいのですが、持ち運び事もある人だとノートパソコンの方が便利だと思うので、その場合は長時間のデスクワーク時だけでもスタンドを用意し、キーボードも別に用意すると正しい座り方を取りやすくなります。
モニターの位置が上になると目線も上がって姿勢が崩れにくくなりますし、前後の距離も調節できるので目の負担も少なくなります。
キーボードの間隔もノートパソコンより広がって使い勝手が良くなりますし、単独のキーボードだと高さや角度を変えられる物も多いので調節できる余地が増えます。
正しい座り方を維持しにくい周辺環境のままだと、なかなか改善できるものではないので、姿勢矯正グッズに頼っていても上手くいかない人ほど意識してみてください。
座り姿勢を意識する小技
基本的には正しい座り方をしっかりと理解し、周辺環境をその正しい座り方に合わせて調整することで、正しい座り方をキープしやすくなるのですが、他にもいくつか小技を紹介します。
一つ目は鏡を設置することです。
姿見のような大きな鏡を椅子の横に設置すると、常に自分のだらしのない姿勢が目に入ってくるようになります。
猫背でだらしのない姿勢で座っている自分が視線に入る度に、姿勢を正すきっかけになります。これはパン屋やそば職人が、オープンキッチンで製造している過程をお客さんに見えるようにして、緊張感をもたせるような事と似ているかも知れません。
自然と人目が気になるので、ダラダラとするような事も無くなります。
とはいえ、職場に大きな鏡を持ち込むことは難しいので、デスク周りに角度の調節ができる小さな鏡を置くことで代用できます。
正しい座り姿勢の時に、その小さな鏡にうつった自分と目が合うような角度に調節してください。その鏡を見た時に目が合わないと姿勢が崩れたことに気がつきます。
二つ目は他人の座り方を観察する方法です。
わざわざ他人の姿勢の崩れまで指摘する必要はありませんが、周りの人の座り方や姿勢を意識して観察するようになると、その度に自分の姿勢も意識できるようになります。
要するに反面教師になるような事です。これは立ち姿や歩き姿でも使えるテクニックなのですが、綺麗な座り方や歩き方をしている人ほど、綺麗なスタイルを維持しているものなので、モチベーションアップにもつながります。
三つ目は自宅限定ですが、裸で椅子に座る方法です。
裸といっても上半身だけでいいのですが、裸になると皮膚感覚が敏感になるので、背もたれに触れる度に意識に上がります。
椅子に肌が直接触れると、かなりの違和感があるので、「おっとっと!」といった感じで姿勢を正すきっかけになってくれます。
崩れた姿勢のデメリット
正しい座り方だけでなく、立ち姿や歩き方にも当てはまることですが、崩れた姿勢というのは見た目の印象が悪くなるだけでなく、様々な健康被害があるものです。
血流やリンパなどの体液の循環が悪くなったり、肺が縮こまって呼吸が浅くなったり、特定の筋肉に負担が偏ることで、お腹周りや太ももや二の腕が太くなってしまいます。
細かく分けて行けば、まだまだ弊害がありますが、これらのデメリットを理解しておくことも、正しい姿勢をキープするのに役立ちます。
実際にお腹に触れながら確認すると分かりやすいのですが、猫背のままお腹に触れるとブニューと指が入っていきますが、そのまま骨盤を立たせて良い姿勢にすると、腹筋に力が入って適度な張りを感じられます。
わざわざ腹筋に力を込めて硬くしなくても、自然と力が入っているので勝手に鍛えられていきます。中年太りの人ほど姿勢が悪いのは、普段から腹筋を使っていないからでもあります。
間違った歩き方になると靴底の減りが偏ってしまうので買い替えるペースも早まりますし、いつも肘をついて座っている人なら洋服の肘も穴が開いてしまいます。
健康への悪影響だけでなく、節約という意味でも崩れた姿勢というのはデメリットだらけなので、それらをしっかりと理解しておく事も姿勢を改善するモチベーションへつながると思います。
これらのデメリットを理解していないと、崩れた座り方に違和感を感じることが出来ないので、なかなか意識に上げることが出来ません。意識改善こそが姿勢を正すポイントなので、しっかりとデメリットも理解してください。
まとめ 正しく椅子に座るメリット!
マッサージや温泉でも身体の疲れや痛みを癒すことは出来ますが、それらはあくまでも対処療法であり、その効果も一時的にしかありません。
根本的な原因が解決されない限り、常にマッサージや温泉を求め続けることになってしまいます。
一方で正しく椅子に座ることが出来るようになると、わざわざマッサージや温泉を求めなくなるかも知れません。
全身の血流が良くなれば、その効果は絶大です。正しく椅子に座るだけで冷え性が改善してもおかしくありませんし、呼吸の質が上がれば肌ツヤにだって好影響があるかも知れません。
猫背で縮こまった姿勢で深呼吸などできないように、背中を丸めたまま椅子に座っていると、空気の通り道である喉もつぶれて効率が悪くなってしまうので、無意識が酸素を求めて口呼吸になってしまう事もあります。
逆に言えば、正しく椅子に座るようになるだけで、あらゆる事が好転する可能性があります。本当にメリットだらけです。
もちろん不健康の原因の全てが崩れた座り姿勢にあるわけではないのですが、全身の血流が良くなるのであれば、悪いことなどないはずです。
正しい椅子の座り方を理解し、崩れた座り方のデメリットも理解してください。自分の姿勢を意識に上げられると、正しく椅子に座り続けることは難しくありません。
ちなみに当ブログでは以前にビーズクッションという商品を紹介したことがあるのですが、
ビーズクッションは、いわゆるソファーに座っているような砕けた姿勢でも、骨盤を寝かせずに座れるので個人的にはおすすめです。
これは実際に試してみないとイメージしにくいと思いますが、ホームセンターや家具屋でビーズクッションが展示されている事もあるので、機会があれば座ってみてください。
正しい椅子の座り方をするポイントというのは、メリット、デメリットをしっかりと理解し、周辺環境を含めて正しい姿勢を取りやすい状況にする事です。
身体が健康な若い頃であれば、あまりデメリットを感じられないかも知れませんが、既に何かしらの痛みや疲れを感じている人であれば、改善する余地が多いにあると思います。
ちなみに骨盤を起き上がらせる感覚がわからない人は、おしりの筋肉に力を入れてみるのがおすすめです。それについても別のところで詳しく紹介した事があるのですが、
おしりの筋肉に力を込める度にグッと骨盤が起き上がるので、自然と上半身の姿勢も整ってくれます。
現在の骨盤の向きを意識できるようになると、姿勢を整えるのも簡単になりますよ。
世の中にはこれといった運動もせずに、綺麗なスタイルを維持している人がいるものですが、大抵は姿勢や歩き方が良いものです。
きちんとした姿勢であれば、普通に歩いたり座ったりしているだけで、全身の筋肉をバランスよく刺激できるので、わざわざ特別な運動をすることなく、綺麗なスタイルを維持できるのだと思います。
一方で背中を丸めて足の筋肉だけで歩いているような人ほど、太ももの前側ばかりに負担がかかり、どんどん足が太くなってしまいます。
猫背でいると常に首や背中の筋肉に力が入っているので、疲れや痛みが発生してしまいますし、逆にお腹周りの筋肉は緩んでしまうので、内蔵を支えられなくなって下がってしまい、体重が増えていなくてもお腹だけが出てしまいます。
筋トレを頑張って腹筋を鍛えることも効果的ではあるのですが、日頃からきちんとした姿勢をキープすることで、自然とお腹周りの筋肉に刺激が与えられ、背中や首の筋肉の負担が減り、肋骨も自由に動きやすくなって深い呼吸ができるようになり、内臓の位置も整ってスタイルが良くなっていくので意識してみてください。
正しい座り姿勢を覚える為に、一時的に専用の椅子やグッズに頼るのも悪くはないのですが、それだけだとなかなか意識改善には向かわないので、今回紹介した周辺環境を整える方法や、姿勢を正すメリット、姿勢が崩れている事のデメリットを理解してほしいと思います。
ダイエットなどでもそうなのですが、ダイエットグッズに頼ってばかりいる人ほど結果につながりません。意識改革がない事には難しいです。
そもそも良いスタイルを保っている人はそのような物など使っていませんし、普段の身体の使い方を意識に上げて改める事が本質なので、そこは間違えないでください。
正しい姿勢で椅子に座るようになったり、正しい立ち姿や歩き姿を意識して正すだけで健康になれるのですから、節約という意味でもおすすめの方法ですよ。
コメント
私もデスクワークですが,ちょっと良いキーボードに変えたら凄く肩が楽になりましたね.マウスも手の大きさに合わせて物だと負担が減り,パソコン用のメガネを作ったのも大きかったですかね.ブルーライトカットというよりも近距離に焦点を合わせやすい度数の低いメガネにすると楽になります.私もボディメイクシートスタイルを購入した事がありますが,正しい座り方を維持しやすい周辺環境を整えた方が効果的だという意見に同意します.
by 匿名