五感は意外と曖昧?
当ブログは主に節約情報を紹介しているのですが、純セレブスピーカーというものを何度も紹介しており、
音楽の素人の私でも簡単に上質な音楽に触れられるようになり、この経験が節約にとっても大いに役立っていると感じているので、何度も形を変えながら純セレブスピーカーについて紹介してきました。
純セレブスピーカーは箱で作る変わった発想の物なので、一般的なスピーカーの概念とは全く違うだけに様々な気づきが得られ、物事の本質を見極める上でとても良い経験となりました。
人は誰もが様々な情報に影響を受けるものですが、それも行き過ぎると自分の感覚で判断する能力が失われてしまいます。
料理の美味しさというのは単純に料理の味だけで決まるものではなく、器や盛り付け方やお店の雰囲気や接客サービスの質によっても左右されますし、自分の体調や機嫌によっても左右されるので、冷静に味覚だけで判断するのは簡単ではありません。
それらを理解した上で自分の好みで判断するのであれば良いのですが、この辺がごっちゃになってしまうと自分の感覚よりもその他の情報の方が重要になってしまい、本音では美味しくないと感じる料理まで、美味しいと思い込むようになってしまいます。
スピーカーやイヤホンの音質といった物も同じで、見た目の豪華さや価格や専門家の意見など、音質以外の情報によっても判断が狂わされてしまいます。
味覚や聴覚だけでなく五感全てがそうです。私は以前にバスの中で後方から良い香りを感じ、振り返ってみると素敵な女性がいたので「ああ、彼女の匂いか」と嬉しくなったのですが、次のバス停で彼女が降り、それでも同じ匂いが残っていたので再び振り返ってみると、彼女がいた後ろにケバい化粧のご婦人がおり、急に不快な匂いという認識になってしまいました。
全く同じ匂いでも印象(その他の情報)によって感じ方が変わります。
愛する子供のおならの匂いを不快に感じる親は少ないですが、大嫌いな人が目の前でブッとおならをすると匂いを感じる前から不快になってしまうように、その他の情報の方が影響が大きい事は珍しくありません。
さらに五感以外の文字情報ですら影響を受けます。美味しいカレーを食べ終えた後に、
「実はそのカレーの肉は○○(ゲテモノ)なんだよ」
と言われてしまうと、急に気持ち悪くなって吐いてしまうかも知れません。味覚や嗅覚や視覚や触覚(歯応え)では美味しいと判断していたカレーでも、文字情報によって印象が変わってしまう事もあります。
味気のない美味しくない料理でも、シェフに「オーガニックな自然療法で作られた身体に優しい食材で丁寧につくりました」と説明されると、急にありがたみが増して美味しく感じるかも知れません。
お店の雰囲気に合ったBGMだって影響します。海鮮居酒屋なら市場っぽい雰囲気の明るい曲が良いかも知れませんし、落ち着いた雰囲気のレストランで流行りのJポップが流れていても違和感があります。
これらのように様々な情報によって五感は影響を受けてしまうので、自分の気持ちだけで判断する事は意外と簡単ではありません。
特に自分が詳しくない分野の事ほど判断基準が少ないで、その他の情報に影響を受けてしまいます。自分が感じたままの情報を素直に受け入れた方が気持ちが良いのに、周りの人の意見に合わせてしまうと、その内に自分が感じた気持ちまで失われてしまいます。
この自分の感覚を取り戻す為には、きちんと自分の気持ちと向き合って判断するしかないのですが、その為には自分の中に判断基準を構築するしかありません。
要は経験を重ねる事しかないのですが、この経験を重ねる方法には大きく分けて二つあり、より質の高い物を選ぶ方法と、質の低い物を選ぶ方法があります。
どちらも現状のレベルから離れるほど違いが分かりやすいのですが、基本的に質を上げる方法にはお金が掛かるので、誰もが積極的に経験を積み重ねていけるとは限りません。
一方で質の低い物を選ぶのであれば経済的な負担も少なくなりますし、同じ物でもあえて質が低くなるような方法を試してみる事で、同じような経験をする事ができます。
元に戻せないような極端な方法はお勧めしませんが、あえて質が下がるような事を試して違いを感じられるようになると、自分の中に多くのデーターが蓄積されていき、自分なりの判断基準が構築しやすくなります。
質を下げると分かる事
私が純セレブスピーカーと向き合っている中で面白いなと感じたのは、ちょっとした事で音質が良くも悪くも変化する点でした。ダンボールの中に詰める紙の量や材質によっても音質が変わり、ちょっとした向きの違いや蓋の閉め方やダンボールの下に敷く物によっても音質が変わり、良くも悪くも音質が簡単に上下してくれます。
点数で例えてみると80点の音質が82点に向上しても、よほど耳が良い人でもない限り違いが感じられないのですが、私のような素人でも80点から78点に下がると違和感が感じられるので、その違いを体験できるような事です。
人間の五感というのはどうしても慣れてしまうものなので、質が上がって80点から85点になってもそれが当たり前になってしまうと、初めの頃のような感動は得られなくなってしまいます。
純セレブスピーカーは予算を掛けずとも音質が上下するだけに学びが多いのですが、多くの物は質を上げる為には高価な物に頼らないと難しくなるので、誰もが取り入れられる方法ではありません。
ただ判断基準を構築する為の経験を重ねるだけなら、あえてコストが掛からない質を下げる方法の方が、たくさんの経験を短期間で積む事ができます。
オーディオ業界の情報は玉石混交で曖昧なものが凄く多く、中には明らかに音質が悪化しているのに、高額な価格設定や専門家の意見だからと、本音に蓋をして受け入れてしまっている人が珍しくないのだそうです。
これはあらゆる業界にも当てはまる事なのですが、特に高額で大きな物ほど比較が難しいだけに、専門家の意見を鵜吞みにしてしまう人が多い傾向があります。
自動車などが特に分かりやすいでしょうか。よほどのお金持ちでもない限り、頻繁に買い替える事や複数所有する事など出来ないので比較など出来ません。
車は何万ものパーツが組み合わさって出来ているので、かなり個体差が大きい物です。同時期に購入した新車でも当たり外れがあり、車雑誌の企画で同じ新車の馬力を計ってみると、カタログ数値よりも低い車が結構あったり、稀にカタログ数値よりも良い車があったりします。
モータージャーナリストのような専門家の意見が正しかったとしても、自分の車に当てはまっているとは限りませんし、全く同じ運転の仕方をするわけでもないので、必ずしも相性が良いとは限りません。
オーディオの世界も高額な物は何百万もする世界なので、背伸びしてそのような物に手を出してしまうと、あまり自分好みの音質でなかったとしても受け入れざる負えなくなってしまいます。
「音楽雑誌が紹介しているのだから良いのだろう」
「きちんと分析したデーターだから間違いない」
「最新モデルだから悪いわけがない」
といった感じで納得してしまうと、どんどん自分の感覚がズレて(狂って)いってしまいます。それこそ食べログで4点以上だから美味しいのだろうと思い込んでしまうような事です。
この狂ってしまった自分の感覚を取り戻す為には自分で判断をするしかないのですが、この時により良い物を求めて判断基準を増やす方法と、あえて質を下げる判断基準を増やす方法があり、お金が掛けずに質を下げる方法の方が、素早くたくさんの経験を積む事ができます。
あえて不味くしてみよう
純セレブスピーカーはお金を掛けずにこれが可能なので凄くお勧めなのですが、私がこの質を下げる方法を試してみるようになったのは、「コーヒーの美味しい淹れ方」と向き合った時です。
美味しいコーヒーを淹れるのに手っ取り早いのは、質の良い高価なコーヒー豆を購入してくる事ですが、それだと常にその高価なコーヒー豆でないと満足できなくなってしまいます。
なのでネットや書籍でコーヒーの美味しい淹れ方について調べて色々と試していたのですが、ハッキリ言って大した違いが分かりませんでした。言われてみれば確かに美味しくなったような気もするのですが、今までの淹れ方の味と大きく違うかというと微妙であり、その必要性をあまり感じられませんでした。
そこであえて美味しくなる方法と逆の事を試してみると、その違いが大きく反映されて意味が理解できるようになりました。
あえてコーヒー豆の分量を増やしたり減らしたり、ぬるま湯で淹れてみたり、ドリップでお湯を注ぐ時にご法度とされている縁側ばかりから注いだりと、あえて美味しくなる淹れ方と違う方法を試してみると、「確かに雑味が混ざるな」とか「香りが弱いな」といったデメリットを理解できるようになりました。
特にコーヒーペーパーは面白かったです。以前の私は適当に縫い目(繋ぎ目)にそって折り曲げていたのですが、美味しいコーヒーの淹れ方だと縫い目よりも少し手前で折り曲げる事で、縫い目から漏れ出てしまうコーヒーが減って均等に抽出されるとあり、さっそく試してみても大した味の違いは分からなかったのですが、あえてペーパーを畳まずに淹れてみると、明らかに早くドボドボとコーヒーが落ちてしまい、コクや風味の薄い味になってしまいました。
コーヒーカップも色々と試してみると面白かったです。
私は普段はマグカップでコーヒーを飲んでいるのですが、あえて味噌汁用のお茶椀に入れて飲んでみると、口当たりが全く変わって不味くなったり、ワイングラスに入れてみると香りが立つ一方で、少量ずつしか飲めないので不思議な感じがしました。
コーヒーカップについて調べてみると、似たような形状のティーカップですら明確な違いがあり、熱湯で抽出した方が美味しくなる紅茶というのは、カップも薄めで冷めやすくなっており、さらに飲み口が広くて外に広がっており、飲む時に空気を含みやすいという特徴がありました。
一方でコーヒーは熱湯よりも少し冷ました温度で抽出した方が良いので、コーヒー用のカップは厚めで冷めにくい構造になっており、飲み口もティーカップのように広がっておらず寸胴型になっていました。コーヒーそのものの温度が低いからこそ、カップを温める意味があるのだと納得できました。
同じメーカーから販売されているコーヒーカップとティーカップを比べると分かりやすいのですが、同じようなデザインなのにそれぞれに特化した構造になっていて驚きました。さらに中間ぐらいの兼用カップという物もあり、ファミレスなどに行くとそれが多い事にも気がつくようになりました。
あえて合わない物を選んでみる事で、その違いが明確に理解できたり、その意味が分かるような事があるものです。おそらくお酒が好きな人であれば、グラスにもこだわっているのではないでしょうか。
料理などもあえて正解ではない方法を試してみる事で、新たな気づきが得られる事があります。カレーに使用する一口大のジャガイモの大きさも、色々な大きさを試してみる事で煮込み時間による違いが理解できるようになります。
ジャガイモの種類によっても煮崩れの具合が変わりますし、必ずしも同じ大きさがベストだとは限りません。煮込む時間がない時と二日目のカレーも想定している場合でも変わりますし、圧力鍋で煮込む場合でもベストな大きさが変わるものです。
今まで80点だった料理が82点に向上しても、味覚や嗅覚が鋭い人でないと違いがハッキリとと感じられないものですが、あえて逆の事を試して78点になると、私のような素人でも違いがハッキリと感じられ、その意味が理解できるようになります。
人の五感というのは曖昧で直ぐに慣れてしまうので、良いと思っていたものでも当たり前になると感動が薄れてしまうのですが、一方でその慣れたラインから少しでも下がってしまうと、急に違和感が出てしまいます。
こちらの方が判断基準が少ない人にとては大きな経験となるので、自分の感覚を取り戻す良いきっかけとなってくれるのではないでしょうか。
わざわざ食品を不味くなるような事を頻繁に行わなくても良いのですが、一時的にでもあえて試してみると学べる事があるので意識してみてください。
まとめ あえて逆を試してみよう
ちょっとした違いで質が良くなる方法を試してみる人は多いと思いますが、あえて逆を試してみる事で違いが感じられて学びになる事があるものです。
バランスを取る為に足りない方にプラスする事が悪いとは言いませんが、あえてマイナスにする事で簡単につり合いが取れる事があるように、意外と簡単な方法で解決する事があるかも知れません。
質を下げる方法といっても、元に戻せない方法は試すべきではありませんが、コーヒーの淹れ方やカップのようにその場限りのものであれば、あえて質を下げたり相性が悪い方法を試してみる事で経験を積む事ができます。
安易に生活レベルを下げると辛い思いをしてしまうかも知れませんが、いつでも元に戻せるような対象であればリスクはないはずです。
オーディオの音質といったものも純セレブスピーカーでなければ、本体をいじると取り返しがつかなくなるかも知れないのでお勧めしませんが、イコライザーのようなセッティングを調節するであれば、色々と試してみる事で自分好みの音質が分かるようになります。
あえて不快な音質に調節してみたり、高温や低音を強調してみる事で、自分の中で様々な経験が積み重なっていき、自分好みのバランスを見極められるようになります。
パソコンで音楽を管理している人であれば、音源の圧縮加減も色々と調節して違いを試してみてください。自分の再生機器にとっては容量の大きい低圧縮でなくても十分と判断できるかも知れませんし、これ以上圧縮すると音質が下がるといった基準が分かるようになります。
YouTubeにも圧縮比の違いによる音質の違いを判断する動画があったので紹介しておきます。
容量が大きいハイレゾでなくても十分なのであれば、無駄に保存媒体の容量も奪われないので、大容量のSDカードを購入しなくても済むかも知れません。安易に専門家の意見を真に受けて取り入れても、必要以上の性能や機能は意味がありませんし、違いが分からなければ無駄になってしまいます。
自分にとって必要十分なラインを見つける為にも、あえて質を下げてみたり、相性が悪い方法を試してみる事で学びがあるので、節約家の皆さんはぜひ試してみてほしいと思います。
何かしらの意味や機能が理解できると、次回の購入時に役立ってくれますし、必要以上の機能に余計なお金を掛ける事もなくなります。
もちろん買い替えが難しい物や取り返しの付かない物は別なので、そこはしっかりと分けて考えてください。直ぐに元に戻せるような物であれば、あえて質を下げてみる事で気づきがあるものですよ。
洗濯機の洗剤の量なども分かりやすいかも知れません。大した汚れでなければ水だけでも綺麗になるかも知れませんし、洗剤を少なめにしてすすぎを一回にしても十分かも知れませんし、スピードコースでも十分かも知れません。
私は腋臭体質なので肌着やTシャツに限っていえば、ガッチリと洗濯をする必要があるのですが、その他の衣類を洗濯する時は調節しています。
常に通常コースだけで洗濯をするのが悪いわけでもないのですが、衣類の傷みは着用時だけでなく洗濯(強力過ぎる洗剤や擦れ)によっても影響を受けるので、必要以上に洗う必要はありません。
炊飯器も通常コースはお米の浸水時間も考えられている物が多く、自分でお米の浸水時間を設けているのであれば、スピードコースで炊いた方が余計な電気代が奪われるだけでなく、素早く美味しく炊けるかも知れません。
テレビの画質も天気予報やニュースしか見ない人にとっては、電気代が大きくなる高画質な設定にする必要はありませんし、部屋の照明だって適度に落とした方が目が休まって睡眠の質も良くなるかも知れません。
あえて質を下げる方法というのは意外と多くのもので試せるものなので、ぜひ節約家の皆さんは色々と試してみてください。
調理方法といったものでも味にそれほど影響がないラインが分かれば、手抜きも出来るようになりますし、掃除なども必要十分なラインや頻度が分かるとグッと手間が減ってくれます。
必要以上の機能や高品質は購入時に余計にお金が掛かるだけでなく、故障の原因となったり、使い勝手が悪くなったり、スペースが奪われる事も多いので、しっかりと自分が求めているラインを見極める為にも、簡単に元に戻せるような対象であれば、あえて質を下げたり相性が悪い方法を試してみてください。
スマホの画面の明るさを少し落とすだけでもバッテリーの持ちが随分と変わるように、意外なほど様々な事で当てはまるものですよ。