エナジードリンクとは?
数年前からエナジードリンクと呼ばれるものが随分と増えてきました。
自動販売機やコンビニで気軽に購入できることもあり、若者を中心にエナジードリンクを飲む人が増えています。
昔から栄養ドリンクと呼ばれるものはありましたが、基本的にはエナジードリンクも同じようなものです。
ただエナジードリンクという言葉の通り、海外から輸入された概念なので、ちょっとオシャレなイメージがあるのかも知れません。
昔からある栄養ドリンクの多くは光を通さない茶色のビンに入っていますが、エナジードリンクは缶やペットボトルが中心です。
エナジードリンクや栄養ドリンク共に言えることなのですが、これらの飲料の効果を上手に引き出すには、飲むタイミングや頻度が重要になってきます。
これらを意識せずに何となくエナジードリンクを飲んでいても、効果を引き出せないばかりか、エネルギー不足になってしまうので気をつけてほしいと思います。
エナジードリンクの効果
エナジードリンクや栄養ドリンクといっても様々なメーカーのものがあり、それぞれ売り文句があるのですが、共通しているのがカフェインによる覚醒効果です。
エナジードリンクに含まれている様々な栄養成分で、不足しがちなビタミンやミネラルを補給できるのもメリットではありますが、そもそもこれらの栄養素が余程不足している状態でもない限り、エナジードリンクで摂取したからといって、即効性があるものではありません。
エナジードリンクを飲むと力が漲ってくる感じというのは、あくまでもカフェインによる覚醒効果です。
強い炭酸や刺激的な味や香りなどによって爽快感が得られることはありますが、エナジードリンクを飲んで間もなく訪れる身体の変化は、「カフェインによる覚醒効果」だけです。
カフェインには身体の疲労を回復させる効果はありません。あくまでも眠気覚ましや覚醒作用があるだけです。
エナジードリンクを飲むことで感じるエネルギーというのは、単純にエネルギーの前借りです。午前中にエナジードリンクを飲むと、夕方から使われるはずだったエネルギーを前借りして使うようなことです。
エナジードリンクを飲んだからといって、新たなエネルギーを吸収できたのではありません。これをしっかりと理解することがポイントです。
単純にエネルギーを前借りしただけなので、後からそのつけを払わなければなりません。
身体の疲労は休息や睡眠でしか癒されないので、覚醒していつもよりもたくさんエネルギーを使ってしまうと、その分の休息や睡眠が必要になります。
そこで素直に睡眠時間を増やすことができれば、エネルギーの前借りを清算することが出来ますが、いつもと同じ睡眠時間のままだと、身体の疲れが翌日に残ってしまうことになります。
そして翌日に疲れが残っているからと、再びエナジードリンクを飲むことになれば、益々疲労が蓄積していくことになります。
これは間違ったエナジードリンクを飲み方です。習慣的にエナジードリンクは飲むべきではありません。
毎日のようにエナジードリンクを飲んでエネルギーの前借りをしていると、休日に寝だめをするような生活になってしまいます。
本当に眠たい時に寝だめをすることが悪いわけではありませんが、毎日しっかりとエネルギーをフル回復させた方が、日頃のパフォーマンスが良くなるのはイメージ出来るのではないでしょうか。
エネルギー前借りのリスク
休日明けの月曜に100%のパフォーマンスを発揮出来ているのにも関わらず、エナジードリンクでエネルギーの前借りをして110%ものパフォーマンスを発揮してしまうと、翌日にはマックスで90%のパフォーマンスしか発揮できなくなります。
毎日エナジードリンクを飲んでエネルギーの前借りをしていると、土曜には50%のパフォーマンスしか発揮できなくなります。
この数値はあくまでも私が勝手に想像した目安ですが、しっかりと睡眠を取りながら一週間を通して100%のパフォーマンスを発揮できたとすると、月曜から日曜で700%発揮することになります。
一方で毎日エナジードリンクを飲んでエネルギーの前借りをしていると、
- 月曜110%(100→110)
- 火曜100%(90→100)
- 水曜90% (80→90)
- 木曜80%(70→80)
- 金曜70%(60→70)
- 土曜60%(50→60)
となり、合計で510%のパフォーマンスしか発揮出来ないことになります。さらに日曜の午前中を睡眠に充てて回復する必要があるので、日曜も100%を発揮することが出来ません。単純に時間がないので元気でも70%ぐらいです。
一週間を合計すると580%のパフォーマンスしか発揮出来ない計算になってしまいます。
この数値はあくまでも私の勝手なイメージですが、エナジードリンクを飲んでエネルギーの前借りをしていると、つけを清算するまで疲労が蓄積し続けてしまいます。
休みなく働き詰めだと急に大きな病気になるものですが、本当は体から様々な悲鳴のサインが上がっていたはずです。
眠気やだるさや関節の痛みなど、様々なサインを出して身体を休めようと促していたはずです。慢性的にエナジードリンクを飲んでいると、これらのサインを見逃すことになってしまいます。
風邪をひくと脳が身体を休めようと様々なサインを出します。節々を痛くして動かないように促したり、食欲を落として内蔵の負担を軽くしようとしたり、眠気を出して休めようとしてきます。
安易にこれらの症状を薬で抑えてしまうと、万全の状態で身体が風邪のウイルスと戦えなくなるので長引いてしまいます。
もちろん高熱などは別の意味で身体にリスクがあるので、お医者さんの管理の元に制御する必要がありますが、微熱にも関わらず市販の風邪薬や栄養ドリンクなどでごまかしていると、なかなか回復できなくなってしまいます。
エナジードリンクの上手な付き合い方
エナジードリンクや栄養ドリンクとの上手な付き合い方というのは、ここぞという時にだけ利用することです。
大事な会議や初めてのデートなど、ここぞという時にピンポイントで利用するのであれば、それほど問題にはなりません。
そしてしっかりとエネルギーの前借りをしたことを理解していれば、その日は早めに眠るなど対処できます。
一方で疲労を回復させるという目的でエナジードリンクを飲むのはおすすめできません。
よほど偏った食生活でビタミンやミネラルが不足している状態の人であれば、多少は疲労回復効果もあるかも知れませんが、どんなに素晴らしい栄養素を取っても疲労が回復するのは基本的に睡眠中です。
なのでエナジードリンクも夜に飲むのはおすすめできません。カフェインによって回復に重要な睡眠を妨げる事になってしまいます。
まとめ 疲労回復しないエナジードリンク
エナジードリンクや栄養ドリンクで疲労は回復しません。これだけでもしっかりと理解しておいてください。
一部の栄養ドリンクにはカフェインレスのものがあり、そのようなものであれば夜に飲んでも睡眠に影響を与えないのですが、そもそも栄養が不足していなければ意味はありません。
よほど偏った食生活でもしいない限り、日本人で栄養不足の人は少ないものです。大抵は栄養の取りすぎで病気になっています。
エナジードリンクも不足している栄養が補給されたから元気になるのではありません。カフェインによる効果と強い炭酸や香りなどの刺激で気分が高揚するだけです。
それらの効果でも一時的に回復したように感じるかも知れませんが、それはエネルギーを前借りしただけなので、必ずつけを払わなければなりません。
毎日のようにエナジードリンクを飲んでエネルギーの前借りをしていると、週末に寝だめをして無理やり回復するような生活になってしまいます。それだとせいぜい火曜日ぐらいまでしかベストなパフォーマンスを発揮できなくなってしまいます。
一週間通して考えると、大きなマイナスになることを理解してください。
疲労回復の為にエナジードリンクにお金をかけるぐらいなら、睡眠環境にお金をかけた方がよっぽど効果的です。
寝室の掃除をしたり、遮光カーテンを取り入れたり、耳栓をしたり、相性の良い寝具に替えた方が、ずっとコストパフォーマンスが高く、結果的に節約にもなるものです。
エナジードリンクに危険な成分が含まれていると言いたいのではなく、あくまでもエナジードリンクはエネルギーの前借りができる便利なアイテムなので、「ここぞという時にだけ」上手に取り入れてみてください。
どうしても仕事が忙しい時などに、短期的に取り入れる分には、それほど身体の負担にもならないと思います。
エナジードリンクに限らず、身体に良いと言われるサプリメントや食品も同様です。
それらに頼ることが悪いとは言いませんが、それらの成分が身体の修復に使われるのは睡眠中なので、しっかりと深い睡眠が得られるようにしてください。
追記 エナジードリンクのプラシーボ効果
世の中には栄養ドリンクやエナジードリンクを飲むと、元気になると感じる人がいますが、おそらくそれはプラシーボ効果によるものです。
プラシーボ効果(プラセボ効果)とは、
薬理作用に基づかない薬物の治癒効果、つまり投薬の形式に伴う心理効果(暗示作用)のことで、薬理学的にまったく不活性な薬物(プラシーボ)を薬と思わせて患者に与え、有効な作用が現れた場合をプラシーボ効果があったという
という意味で、要は「気のせい」の事です。
ただこの「気のせい」でも本人がそう感じるのであれば、狙った効果が出たとも言えます。実際に医療の現場でもプラシーボ効果を高める為に様々な行為が行われていますし、新薬開発時の治験でもプラシーボ効果が出ないように、効能を伏せて確認する作業が行われています。
「気のせい」でも実際に効果が出てしまう事があるので、栄養ドリンクやエナジードリンクといったものでも、実際にエネルギーが漲ってしまう人がいても不思議ではありません。
私の亡くなった祖母は、オロナミンCが大好きでした。ミスターこと長嶋監督が大好きだったようで、病院にお見舞いに行くときオロナミンCを持っていくと、とても喜んでくれました。
ある時に病院の自動販売機のオロナミンCが売り切れており、とりあえず似たようなリアルゴールドを買っていくと、祖母がものすごくガッカリした表情をした事があります。
おそらくどちらも似たような成分ですが、祖母にとっては大好きな長嶋茂雄さんのオロナミンCだから意味があったのであり、中身の成分は関係なかったのだと考えられます。
結局リアルゴールドの封を開ける事はなく、数日後に母親がお見舞いにいった時に「おばあちゃんから貰ってきたから飲む?」と私の元に戻ってきました。
これらのように当人が特定の銘柄のエナジードリンクを飲む事で、エネルギーが出ると信じ切っているのであれば、プラシーボ効果が発揮される可能性があります。
一流アスリートや有名人が「私の元気の源はコレ!」のようなアピールをしていると、その人のファンにとってはプラシーボ効果が発揮されるかも知れません。
特効薬がない病気でもプラシーボ効果によって回復する例もあるので、必ずしも悪い事ではありません。
世の中には科学的な根拠が全くない怪しげな治療法を紹介している人達がいますが、それらも心から信じる事ができた人にはプラシーボ効果が発揮されて、実際に効果が出てしまう事があります。
なかには現代科学ではまだ分かっていないだけの、有効な治療法が含まれているかも知れませんが、大抵はプラシーボ効果で説明出来てしまいます。
ある時に知り合ったお医者さんが、当時流行していたヒアルロン酸のサプリメントには全く科学的な根拠がないと熱く語っており、「マルチ商法よりもたちが悪い」とまで言っていたのですが、そのサプリメントは未だに人気で効果を実感している人達がいるものです。
そのサプリメントの広告には、年配の方に人気のある女優さんが出演していたので、おそらく私の祖母のようにファンの方々にとっては、プラシーボ効果が発揮されたのだと考えられます。
科学的な根拠が全くなくても、憧れのあの人が飲んでいる膝の軟骨に良いヒアルロン酸サプリを飲む事で、歩く事に億劫だったお年寄りが一歩を踏み出すきっかけとなり、その小さな一歩のおかげで膝の軟骨が回復していったのかも知れません。
このプラシーボ効果は当人の思い込みの強さによって効果が変わるので、信じ切っている人に対して、わざわざ否定するような事はしない方が良いと思います。
この記事にたどり着いてくれた人というのは、そもそもエナジードリンクに対して疑問があったから問題ありませんが、信じ切っている人はそのまま信じ続けさせてください。
詐欺まがいな高額なサプリメントにハマっている人の目を覚ましてあげたいのであれば別ですが、数百円のエナジードリンクでプラシーボ効果が出るのであれば、安いものではないでしょうか。
エナジードリンクの効果はカフェインによる覚醒効果だけであり、プラシーボ効果を高める(信用度を増す)為に、オシャレなパッケージしていたり、刺激的な炭酸や味にしていたり、人気のある有名人が広告が起用されているという事です。
カフェインの効果だけなら、コーヒーや紅茶を飲んだ方が効率的ですし、余計な保存料や添加物も少なく、糖分といったものも控えられます。
エナジードリンクの効果に疑問をもってこの記事にたどり着いた人は、上手くカフェインの覚醒効果を引き出す飲み物やタイミングを意識してみてください。
それだけで今まで飲んでいたエナジードリンクと同等の効果が得られるだけでなく、余計な成分を取り込まなくなり節約にもなるはずです。
一方でエナジードリンクの効果を信じ切っている人には、そのままにしておきましょう。その方がプラシーボ効果を失わずに済みます。
科学的な根拠がある薬でも、当人に疑いがあるとプラシーボ効果の逆のノーシーボ効果が発揮されてしまい、効果が薄まってしまう事があります。
藪医者だとか、金儲けの為に余計な薬ばかりを出す医者だとかの噂があると、患者側の信用が落ちてノーシーボ効果が発揮されてしまう事があります。
これぐらい思い込みによる効果はバカに出来ません。
当ブログではこの事が良く分かる本について紹介した事があるので、より詳しく知りたい人は参考にしてみてください。
人によっては数百円のエナジードリンクで素晴らしい効果があるケースもありますし、一杯10円もしないインスタントコーヒーよりも効果がないケースがあるので、それぞれの事情に合わせて選んでみてください。
ちなみにエナジードリンクに含まれているカフェインの量というのは、一般的なコーヒーよりも少ないですよ。