高級食材のリスク
先日、お世話になっている人がケガで入院したという情報を聞き、さっそく仕事終わりにお見舞いに行くと、たくさんのお見舞い品がありました。
私も病院近くの青果店でフルーツの詰め合わせを購入して持っていったのですが、全く同じ青果店で購入したであろう物が既にあり、苦笑いしてしまいました。
面会時間の間近だった事もあり、私と奥様しかいなかったのですが、お二人とも血糖値が高いとのことで、「糖質が高いものはあまり食べられないから、良かったら貰ってくれない?」と言われ、私が渡したフルーツ詰め合わせは置いて、ほぼ同じ物を貰う事になりました(笑)。
他にもお菓子や飲み物まで渡され、持っていたお見舞い品よりも多くの物を抱えて帰宅する不思議な展開となりました。
私は冷蔵庫を手放しているのでフルーツを晩御飯替わりに食べたのですが、どれもあまりにも甘くて驚いてしまいました。
私は普段購入する果物はスーパーで100円ぐらいで売られているバナナぐらいで、たまに旬で安いミカンやリンゴを選ぶぐらいなのですが、青果店のフルーツはどれも驚くほど甘く、なんだか気持ちが悪くなってしまいました。
最近はトマトのような野菜でも、糖度の高さをアピールしているものが売られていますが、全く同じトマト一つ食べるにしても、高価なものほど糖質が多くなっています。
ミカンも昔から比べると酸味が随分と少なくなってきましたが、青果店の高価なミカンは季節外れにも関わらず、随分と甘くて驚きました。
極端に糖質制限をするような健康法は、私はあまり好きではないのですが、このような甘いフルーツを日常的に食べる事にはリスクがあるなと感じる出来事となりました。
農家の人は少しでも喜んでもらおうと、甘くて美味しい野菜や果物を作ってくれているのだとは思いますが、その為に科学肥料といったものも多く使われているのかも知れません。
特にお見舞い品などに使われる果物は見た目も大事なので、農薬やワックスのような物もたくさん使われている可能性があります。
高級な食品だからといって、健康に良いとは限らないものです。
価格と質は別
旬の野菜や果物が安いのは、生産者にとっても作りやすいからであり、だからこそ大量に出回って価格も安くなります。
一方で旬ではないものはビニールハウスなどの工夫が必要になり、価格も高くなってしまいます。
価格が高いからといって栄養価が優れているとも限りませんし、健康に良いとも限りません。
夏野菜には体温を下げる効果があり、秋に取れる野菜には身体を温める効果があるように、全く同じ成分だとしても季節による身体との相性の問題もあります。
身近な地域で作られた野菜や果物ほど、運搬費用も少なくなるので価格が抑えられますが、離れた地域で作られたものほど価格が高くなる傾向があります。
沖縄と北海道では気候だけでなく水質や土壌といったものも違うので、そういった相性の問題もあるかも知れません。現地で食べると美味しい料理でも、他の地域で食べるとイマイチに感じる事があるのは、水質の影響が結構あるものです。
他にも東京の一等地にあるだけで価格が上がりますが、栄養価はなにも変化しません。
健康の為に少し高価で良さそうな野菜や果物を選ぶ人もいると思いますが、必ずしも価格なりの差があるとは限らないという事です。
土用の丑の日に食べられる事が多い鰻の旬は冬です。水温の低い冬場の方が身が引き締まって美味しいと言われています。
土用の丑の日に鰻が食べられるようになったのは、江戸時代に鰻が売れない夏場の為に考えられたキャッチコピーのような物であり、それが徐々に文化として根付いていき、現在では旬でもないのに一年を通して最も価格が上がる日になってしまいました。
もちろん安い野菜や果物よりも栄養価が高い高級なものもありますが、その価格ほどの差があるかというと、微妙な事が多いのではないでしょうか。
有機栽培や無農薬といった理由で高いのであれば分かりますが、高級感を出す為だけのパッケージや宣伝文句だけで、期待していたはずの栄養価アップにつながらないケースがあるものです。
高級食材ほど怪しい?
日本の高級食材の和牛で考えてみても分かりやすいと思います。高価なA5ランクの牛肉ほど細かいサシが入って脂肪分が多くなっています。
「健康の為にはたまに牛肉を食べた方が良い」
といった情報を参考にしたとしても、脂身の少ない輸入牛と国産の高価な和牛では随分と栄養価に違いがあります。
出荷前の和牛に栄養価が豊富な飼料を多く与え、放牧させずに太らせるような事は珍しくありません。生物として不自然な状態です。
フォアグラなども同じです。ガチョウやアヒルやカモに無理やりエサをねじ込んで太らせ、不自然なほどに肝臓を肥大させています。
食べる側にとっては美味しく感じられるのかも知れませんが、健康を害している生物を食べる事が健康に良いかというと微妙です。
価格の安い輸入食材だと、管理体制や保存料といった別の意味でのリスクがありますが、高級だからといって安全で健康的だとも限りません。
高級になった理由を見極めよう
高級食材が高価になった理由は様々です。それこそ鰻のように不漁で価格が上がることもありますし、売り手側がブランド価値を高める為に広告宣伝費を投入して上がることもあります。
私の住んでいる北海道では多くの川にシシャモが遡上してくるのですが、シシャモのブランド化に成功した地域だけが、ダントツで価格が高くなっています。
隣町のシシャモを選ぶだけで3割ぐらいは安く購入できます。だからといって味や栄養価が変わるわけではありません。
青森県の大間のマグロは有名ですが、津軽海峡を挟んで函館で取れるマグロとなると、随分と価格に差が出てしまいます。漁場などそれほど変わりません。
全く同じ品種のメロンでも有名な街の名前が付くだけで価格が跳ね上がります。野菜や果物は気候や土壌や生産方法によって差が出ますが、価格ほどの差があるかというと微妙なものが多いです。
お見舞い品のように相手が判断するものであれば、有名なものを選ぶ価値もあるのですが、自分で食べる食品となると、しっかりと見極める事で無駄に高い買い物にならないものです。
虫食いがある野菜ほどスーパーで売れ残るものですが、そのような野菜ほど農薬の散布が少なかったとも考えられるので、あえて選ぶという人もいます。
私の同級生が米農家をやっているのですが、仲間内でバーベキューをした時に畑で取れた野菜を持ってきてくれたのですが、プロの農家が作っているとは思えないほど不格好な野菜ばかりで盛り上がりました。
私も含めて多くの人が売り物にならないはね品を持ってきたと思ったのですが、そもそも彼は米農家なので野菜は卸していません。自宅で食べる用に完全無農薬で作った野菜との事でした。
彼曰く、
「ほったらかしで作った野菜が一番うまいよ」
との事で実際にバーベキューで焼いて食べてみると、スーパーで売られている野菜のような甘さはなく、苦味や酸味が強かったのですが、それぞれの野菜ならではの旨味が凄く感じれて美味しかったものです。
売り物にする野菜や果物は形の悪いものはさっさと間引いて、栄養を集中させる事で甘くなるそうです。農薬で守られている野菜や果物は、害虫を抑える為の抗酸化物質を蓄える事もなくなり、苦味や酸味も少なくなると教えてくれました。
和牛のサシやフォアグラと同じように、生物として少し不自然な状態なのではないでしょうか。
高級な食材の全てが不自然なわけではないですし、中には無農薬や有機栽培のような手間をかけて高価になっている食材もありますが、それらをしっかりと見極めて購入する事で、期待していた効果も引き出しやすくなると思います。
まとめ 求めている要素を明確に
健康の為に良かれと思って、少し高価な良さげな食材を選んでいる人がいますが、もしかしたら期待していた健康面と相容れない理由で高価になっているかも知れません。
夏バテする頃の土用の丑の日に、鰻を食べて栄養をつけようというのは構いませんが、本当に美味しい鰻を食べたいのであれば、最悪のタイミングです。
クリスマスケーキなども同様です。一年で最もケーキが売れる時期なので、ケーキ屋さんでは何日も前から仕込みが始まり、一年で最も新鮮ではない状態のケーキを割高な価格で購入する事になってしまいます。
クリスマスを楽しむ分には構いませんが、本当に美味しいケーキを食べたいのであれば、最悪なタイミングになってしまいます。
高級食材を選ぶのが悪いのではなく、期待している要素とのズレがないか、よくよく見極める事が大切です。
当ブログでは以前に高級食パンのリスクについて紹介した事があるのですが、
そのままでも美味しい高級食パンには、それだけ多くの糖分や乳成分や油分が含まれているので、一般の食パンにバターやジャムをつけたのと大差ありません。
「何もつけなくても美味しいから健康的だ」
という理由で選んでしまっていると、全く期待外れの結果となってしまいます。
「これは甘いスイーツと同じようなものだ」
と自覚した上でたまに楽しむ分には、それほど大きなリスクにはなりませんが、健康的な食パンだと勘違いしてしまうと、無駄に高価な金額を支払った上で求めていた効果も得られません。
これらのように高級食材が高級である理由は様々なので、それぞれの目的に合わせて選ぶようにしてみてください。求めていた要素が満たされるだけでなく、結果的に節約にもなる事も多くなります。
一つだけ目安を紹介しておくと、旬の食材から選ぶのがおすすめです。
不自然な育ち方をしていないので、余計なリスクや無駄に高くなる事もありません。旬の食材はスーパーで目立つ箇所にドンと置かれているので見つけるのも簡単です。
お金持ちの優越感を満たす為だけに豪華に装飾されているような食材というのは、無駄に高いだけでなく栄養といった面でも微妙な可能性があるので、安易には選ばない方が良いと思います。
これは食材に限った事ではないのですが、岡山県倉敷市の児島はジーンズの生産が有名な地域で、世界的に有名なファッションブランドの下請けになっているのですが、ブランドの名前が付くだけで価格が跳ね上がってしまいます。
日本人の体型に合わせて作って販売している地元メーカーの方が、多くの日本人に似合いやすく、お手頃価格で手に入れる事ができるものです。
このような事を自分で判断できない人ほど、ブランドの名前をありがたがってしまうのですが、しっかりと自分が求めている機能と向き合う事で、より相応しいものが安価に手に入る事は珍しくないので、日頃からしっかりと向き合ってみてください。
某高級羊羹のように、中身が同じでも入れ物の箱だけで価格が変わるものがあるように、自分で食べる羊羹なら箱代に何千円も支払わないはずです。むしろ木箱など邪魔で仕方がありません。
相手に持っていくお土産のような物だと、ブランドの名前が活きるケースがあるので、それを否定したいわけではないのですが、自分の事でもこの辺の基準が曖昧になっている人がいるものです。
日頃から物を購入する時に、自分が求めている要素が本当に満たされているのかと確認する事で、無駄に高い物に惑わされる事がなくなり、質の良い物をお得な価格で手に入れやすくなるので、節約家ほど意識してほしいと思います。
果物の一つ一つに白いカバーがついていなくても、その日に食べるのであれば多少の傷など問題ないような事です。意外と多くの人が自分で食べる果物のような物でも、カバーのような要素を気にして無駄に高く支払っている事があるので気をつけてほしいと思います。