節約は貧乏への道?
しばしばネットニュースなどで「節約は貧乏への道です。節約をするよりも投資をしてお金を稼ぐ力を身につけましょう!」と言った意見を目にします。
「節約をしても月収が変わらなければ、どんなに節約をしたところで使えるお金はそれほど変わらない」など、それっぽい意見を目にするものですが、私はこれらの意見に賛同しかねます。
月収30万円の人が投資や副業をして毎月5万円の収入が増えたとしても、自由に使える時間が少なくなると、外食や移動に余計な費用が発生するかも知れません。
仕事を終えた後に深夜のコンビニでアルバイトをしていると、電車ではなくタクシーで移動することになるかも知れませんし、どんどん疲労も蓄積していきます。それに本業に支障をきたすかも知れません。
副業をすると確定申告などの手間も増えますし、忙しいばかりでお金が残るとは限りません。
そもそも有り金を全て使ってしまうような人であれば、少し収入が増えたところで使うお金が増えるだけです。
一方で節約の習慣を身につけられるようになると、月収が増えなくても毎月貯金をすることが出来るようになります。ローンの支払いの為に無駄に残業をするようなこともなくなり、自由な時間も増えるかも知れません。
時間に余裕が出来れば、何か物を購入する時にしっかりと検討できるので、どんどん節約も進んでいき、お金が貯まりやすくなっていきます。
「節約=貧乏への道」
と声高に叫んでいる人というのは、大抵は投資をさせたい側の人ばかりであり、それで実際に儲かるのはその人達です。これらの意見に惑わされる必要はありません。
むしろ節約は金持ちへの道!
そもそも金持ちや貧乏を正確に定義できるものではありませんが、当ブログで以前に紹介した「苫米地英人の金持ち脳」の内容にそって考えると、収入額で金持ちと決めることはできません。
収入の範囲内で上手く支出をコントロールできている人は金持ち脳の持ち主であり、収入を超えた支払い(ローンなど)をしている人が貧乏脳の持ち主です。
この貧乏脳のまま収入が増えたところで、金持ちになることは出来ません。
節約と向き合うことで無駄な支出を減らすことこそが、金持ち脳の持ち主になる道です。
金持ち脳を簡単にいうと、お金への不安がない状態のことです。
どんな支出が無駄なのかは人それぞれ違いますが、世間の常識(みんなが持っている)や見得などで必要もないモノばかりを購入していると、どんなに収入が増えたところで金持ち脳の持ち主にはなれません。
一方で収入の範囲内で上手に支出をコントロールできている金持ち脳の持ち主であれば、自然と貯金が増えていきますし、その余裕のある貯金から本当に必要なモノへ投資することができます。
ここでの投資は、いわゆる金融商品のようなものではなく、家事を軽減してくれる家電製品だったり、職場の近くに引っ越す費用など、自分の生活を豊かにする為に支払うものです。
ロボット掃除機を購入するのでも、みんなが持っているから、流行っているからと購入しても役立つとは限りません。モノだらけのゴミ屋敷では機能しませんし、部屋ごとに段差があったり、厚手の絨毯がある家庭だと一部の掃除しかできません。
一方で節約と向き合いながら余計なモノを所有しなくなったり、段差のない家に引っ越した人であれば、毎日の掃除を軽減してくれる便利な家電になってくれるかも知れません。
ロボット掃除機そのものに正解も不正解もありませんが、それぞれの人の環境にとっては向き不向きがあります。
これはあらゆるモノに当てはまります。子供が離れたのにも関わらず、大きな家に住んでいたり、大きなワンボックスカーに乗っていたり、大きな冷蔵庫を所有していても意味がありません。余計な光熱費が掛かるだけの代物です。
同じ家賃だとしても、より便利なところ(職場や買い物や病院など)に引っ越す事で、移動費や移動時間を節約できますし、日当たりの良い部屋や階段がない部屋など、より適したか条件で選べます。
車も夫婦二人で乗る事が多いのであれば、燃費や税金が安いコンパクトカーの方が向いています。運転もしやすくなりますし、洗車だって楽になるかも知れません。
少しコンパクトな冷蔵庫の方が使い勝手が良かったり、電気代が安かったり、掃除がしやすかったり、冷蔵庫の上のスペースも有効活用できるかも知れません。
日頃から節約を心掛けて時間に余裕がある人というのは、このような無駄に気がつきやすくなるので、その時々の状態に合わせて身に回りのモノをアップデートしていく事が出来ます。
自分だけでなく周りの環境も変化していきますし、年齢によっても向き不向きは変わっていきます。これらの変化に的確に合わせられるので、結果的に無駄な支出が減り、自然とお金が貯まりやすくなっていきます。
腕時計が大好きな人が高級腕時計を集めるのは自由ですが、中途半端な見栄でそのようなモノを取り入れてしまうと、維持費(オーバーホール等)ばかりが積みあがってしまいます。
上手い投資話に騙されるな!
世の中には様々な投資話があるものです。最近だと仮想通貨などでしょうか。
少し前まではFXなどが話題になっていましたが、これらの投資話を真に受けてはいけません。
リスクの高い手法で短期的に莫大な利益を出すことがないとは言いませんが、それを継続することは不可能です。
財閥のようなところが投資を託すプロのトレーダーでも、年間の投資利回りが15%もあれば超一流と呼ばれます。そのような超一流の投資家でも毎年確実に15%もの利回りを達成することは出来ません。
20年以上勝ち続けていた伝説のトレーダーと呼ばれたような人が、世界中の誰もが知っているような資産家に雇われても、一年でクビになったりするような世界です。
素人が一流の結果である15%もの利益を出せたとしても、10万円預けても11万5千円にしかなりません。実際には税金や手数料が引かれるのでもっと少なくなります。
この1万5千円の利益の為に投資の勉強をし、日々リスク管理をし続ける事になるので膨大な時間が奪われてしまいます。
アパート経営などの不動産投資でも、確実に安定した収益を上げられるわけがありません。
そもそも確実に儲かる試算が出るなら、わざわざ一般の人からお金を集めなくても銀行から無担保で融資してもらえます。というか銀行が自ら経営に乗り出すでしょう。大手銀行がサラ金やカードローンに手を出しているのが良い例です。
誰もが知ることが出来る情報の中に、上手い投資話などありえません。
本当に確率の高い投資話は真っ先にお金持ちの資産家に伝わりますし、銀行に持ち掛ければ融資してもらえます。
一般の人が知りうる上手い儲け話というのは、それらの人が鼻にもかけないようなリスクの低い(ギャンブル性の高い)ものばかりです。
誰がやっても本当に簡単に儲かるのであれば、わざわざ広告費をかけてみんなに知らせる必要はなく、自分たちで儲ければいいだけです。
超一流のプロでも15%の利回りを出すのが大変な投資の世界で、投資額が何倍にもなる美味しい話などありえません。
それらはただのギャンブルと同じです。たまに上手くいく人がいても、それは万馬券を当てたような稀なケースであり、万馬券を立て続けに当てられるわけがありません。
ちなみに競馬の神様と言われた故大川慶次郎さんは、生涯で三億円以上もの損を出していたそうです。
競馬の予想師や投資のアドバイザーというのは、競馬や投資で儲けているわけではありません。予想やアドバイスが仕事です。
たまに大きな利益が出ると盛大にアピールしますが、それで生活できるのであれば、わざわざライバルが増えるようなアドバイスなどするわけがありません。
自信のある万馬券を教えて他の人も買ってしまうと、どんどんオッズが下がって利益率が悪くなってしまいます。
アパート経営といったものも同じです。近くに雇用がたくさん生まれる大型ショッピングモールなどの建設が始まっており、近々アパートの需要が増えることが目に見えているのであれば、わざわざ一般に売り出す必要がありません。
売り出されているものは、多くの会社を経由して高額な価格になっているものだけです。彼らはその仲介料で利益が出ていますが、リスクを背負うのは最後に割高で購入した人だけです。
もちろんショッピングモールの計画段階で、誰よりも早く建設されることに気がつくことが出来れば、空いている土地を確保したり、まだ気がついていないアパートのオーナーに話を持ち掛けることが出来るかも知れませんが、それこそ素人ができることではありません。
真っ先にそれらの情報を知り得るのは、内通者(ブローカー)が話を持ち掛けるお金持ちだけです。ブローカーにお金を支払える一部の特別な人達だけが、旨味を吸い取ってしまいます。
基本的に広告費をかけて募集している投資話に、良いものなどあるわけがありません。
一般の人が投資に手を出すのは大変なリスクがあるので、よほどの覚悟と余裕資金がなければ上手くいくはずがありません。
たまたまギャンブル的な手法で、一時的に成功した事例に騙されないでください。
100人中1人ぐらいしか成功しない方法は金持への道ではありません。99人が貧乏への道を辿る事になってしまいます。
一方で節約というのは100人中99人が貧乏への道を進む事になりません。大金持ちになれるとは言いませんが、月々の支払額が減り、自然と貯まっていく金額が増えていくので、金持ちへの道へ少しずつ歩む事になります。
節約は金持ちへの道を駆け抜ける事は出来ませんが、後退するリスクもありません。どちらが良いのか考えるまでもありません。
まとめ 節約経由で自己投資
全ての投資話が悪いと言いたいわけではありませんが、副業感覚で安易に投資をするべきではありません。
有名大学の経済学部を卒業しているような人達が必死に戦っている舞台に、素人が参加してもカモにされるだけです。
経済雑誌や新聞で公開される有益そうな情報というのは、お金持ち側が仕掛けている事であり、素人が参加してくるころには旨味は無くなっています。ネズミ講の最下層のような状態なので、よほど運が良くないと成功しません。
一方で全く節約を意識してこなかった人が、月に3万円の節約をするのは難しくありません。固定費を見直すだけで簡単に達成できるかも知れません。
たった一度の固定費の見直しだけでも、毎月3万円もの貯金ができるようになります。年間で36万円です。
副業のアルバイトで3万円稼ぐとなると、時給1,000円だとすると30時間必要になります。休日がほとんど潰れてしまうかも知れませんし、仕事終わりだと週に3回2時間ぐらい働く事になるので、本業に支障をきたす可能性が高くなります。
副業で疲れて帰宅して自炊ではなく外食やお弁当に頼る事になると、出費が増えて3万円を下回ってしまうかも知れません。
投資で毎月3万円もの利益を出すのであれば年間で36万円です。超一流のプロのように15%もの利回りを達成できたとしても、元手で240万円必要です(手数料は別)。
もちろん毎年安定して15%もの利回りを達成できるとは限りません。元手を減らしてしまうリスクも当然あるので、そのリスクに怯えながら日々を生活する事になってしまします。
投資には必ずリスクがありますが、節約には必ずしもリスクがあるとは限りません。
節約もなんでもかんでも自分でやってしまうと膨大な時間が失われてしまいますが、生活の質を変えずに行える固定費の見直しであれば、一度向き合うだけで良いですし、自分の得意な分野や好きな分野の事であれば、時間が掛かったとしてもストレス発散が出来る趣味として機能します。
車の洗車をガソリンスタンドにお願いすると、安いところでも400円ぐらいはしますが、自分で行うならバケツの水道代ぐらいで済みますし、プロに本格的なワックスを掛けてもらうとなると数千円コースになりますが、これも自分で行うなら数百円で済みます。
車が大好きな人にとっては、時間を掛けても楽しい事なので無駄な時間にはなりません。
料理が好きな人でも同じです。手間暇かけて自炊するのが楽しい人であれば、ストレスを感じる事なく食費を節約する事が出来ます。
一方で苦手な分野であれば、上手にお金を使って時間を節約することも可能です。
節約の為に苦手な事まで自分で行ってしまうと、余計なストレスが溜まる辛い時間になってしまいますが、得意な分野を自分で行って節約したお金で、苦手な分野にお金をかけて解決する事で、時間を有益に使えるようになります。
これを投資と呼ぶのであれば、投資は素晴らしい節約効果をもたらします。
全く同じ1時間でも好きな事をやる1時間と、嫌いな事をやる1時間では全く質が違います。好きな事はストレス解消になりますが、嫌いな事はストレスや疲労が溜まってしまいます。
節約をすることが貧乏への道になる人というのは、この苦手な分野まで自分で行ってしまう節約にだけに当てはまります。
このような間違った節約とは混同しないでください。
正しい節約というのは、生活に必要のモノや行動を見極め、しっかりと必要十分な機能を満たす事です。不必要な行動を増やす事ではありません。
お風呂上りにバスローブを着て、ゆったりとお酒を飲む事が何よりも好きな人にとっては、全くの無駄なものではありませんが、何となく習慣でバスローブを着ているような人にとっては、洗濯物を増やすだけの無駄な行為のような事です。
私の例だとバスタオルですら必要ありませんでした。手で身体の水分を切るだけで普通のタオルでもお風呂上りの水分を拭き取る事ができたので、バスタオルを干す為のスペースやかさばる洗濯物が無くなり、家事が格段と楽になりました。
バスローブやバスタオルを手放す事が正しい節約という事ではなく、現在の自分にとって必要な事なのかしっかりと考える事が大切です。
この習慣がないと、どんなに収入が増えても生活は変わりません。
副業をしたり投資の勉強をする事になると、この考える時間まで失われてしまいます。忙しさにかまけて割高なモノを選びやすくなり、益々お金が失われてしまいます。
副業や投資が上手くいって様々なモノが増えていったとしても、ろくに考えずに購入したモノばかりなので、心から満足するような事もなく、メンテナンスの手間やスペースが奪われるだけの不要なモノになってしまいます。
テレビドラマや映画で金持ちの部屋を演出する時というのは、余計なモノを置かないでスッキリとさせます。一方で貧乏な人の部屋を演出する時にはモノを溢れさせます。
モノを増やす事が金持ちへの道ではありません。不要なモノを排除する事こそ金持ちへの道です。
貧乏脳から抜け出したいのであれば、安易に投資話に乗るのではなく、まずは節約と向き合ってみてください。
本当に必要なモノを手放す必要はありませんが、ろくに使用しないモノや情報にまでお金を掛ける必要はありません。
ギャンブル的な要素でお金持ちになった人ほど、部屋に金持ちっぽい豪華なモノを置きたがり、そのような人ほどSNSでアピールするのですが、本当のお金持ちはわざわざ自宅や顔をさらすような事はしません。
自ら個人情報をさらけ出すとリスクが高まりますし、いかにも高級品を身につけていると強盗に狙われるリスクも高まります。
メディアに登場するお金持ちというのは、それらのリスクを覚悟の上で、それ以上に儲けにつなげられるからです。広告宣伝費として利用しているだけであり、そのようなメリットがない立場の多くのお金持ちは、わざわざ目立つ高級外車などに乗っていません。
メディアに登場する羽振りの良い目立つお金持ちを目指したいのであれば、ギャンブル性の高い投資で一攫千金を狙うのも良いのかも知れませんが、自分の力でお金持ちになっていった人の多くは、無駄な経費を節約して堅実に貯めていった人ばかりです。
税金対策の為に必要もない高級品を購入し、それらを所有する為に広い部屋に住み、どんどん余計な経費が積みあがっていくので、ちょっと収益が落ち込むだけで転げ落ちていきます。
一方でメディアに登場しない多くのお金持ちは、ちょっとやそっとじゃ足元をすくわれません。収入が減ったところでマイナスになるわけではないので、じっくりとチャンスを待つ事ができます。
これは多くの一般人にも当てはまる事です。
給料が増える度に生活レベルを引き上げていると、ちょっとした出費や少し給料が下がっただけで生活が回らなくなってしまいます。
そこで焦って副業したり投資をしてしまうと、じっくりと選ぶ余裕もないので悪条件のものでも飛びついてしまいます。
コンビニでアルバイトをする副業といっても、余計な通勤費が掛からないところや、職場の人や知り合いに合わないところを選べないので、余計なリスクを背負う事になってしまいます。
投資や副業が悪いという事ではなく、それらに頼らなくとも生活できる基盤を築いた上で、条件の良いものに挑戦するのであれば、しっかりとリスク管理もする事が出来ますが、そうではない人が安易に挑戦してしまうと、リスクばかりを背負ってしまうわけです。
節約だけでお金持ちになれるとは言いませんが、投資や副業といったものに頼る前にやるべき事があるので、そこは間違えないでください。
通信費の高い大手スマホや価格の高いiPhoneが本当に必要な人など多くないはずです。海外でも使いやすかったり、最新の機能に必要性を感じている人であれば別ですが、多くの人は何となく選んでいるだけなので、自分のライフスタイルに適している格安スマホに買い替えるだけで、年間に何万円も節約する事ができます。
必要十分な生活を見極め、無駄な費用を節約し、自然と溜まってきたお金で苦手な分野にお金を掛けてストレスと時間の無駄を軽減し、ある程度のお金や時間に余裕が生まれてから、じっくりと投資といったものに向き合うのであれば、かなりのリスクが避けられるはずです。
「節約に時間を掛けるより、増やす事に時間を掛けろ!」
といった意見を真に受けないでください。「節約=貧乏」への道ではないという事を理解していただけたでしょうか。