世の中は身体に良い食べ物だらけ
テレビや雑誌などで「身体に良い食べ物」といったものはたくさん紹介されていますが、一方で「身体に悪い食べ物」となると、大っぴらに公開される事はありません。
この理由は単純で特定の食材や料理に対して「身体に悪い」と紹介してしまうと、その業界や生産者から猛反発を受けるからです。
その情報を紹介したテレビや雑誌のスポンサーから降りてしまうかも知れませんし、特定のスポンサーがいないNHKですら、大っぴらには言えないものです。
一方で「身体に良い食べ物」として紹介すると、逆の現象が起こります。喜んでスポンサーになる企業が現れたり、さらにスポンサーへの忖度として、わざわざ身体に良い成分だけをアピールしてくることもあります。
少し前にあるテレビ番組を見ていて驚いたのですが、ジャガイモの栄養素が見直されているらしく、様々な角度から素晴らしさをアピールしていたのですが、何とポテトチップスにもそれらが含まれていると紹介していました。
どんなにジャガイモの栄養素が素晴らしかろうと、たっぷりと油を吸ってから時間も経って酸化しているポテトチップスが、身体に良いわけがないだろうと私は思っていたのですが、CMで大手ポテチチップスが流れてくるのを見て、「あ~そういう事か」と納得しました。
このように身体に良い食べ物と紹介されていても、裏側を推察する事で真意が見えてくるものです。
十年ぐらい前から牛乳の脂肪分のリスクについてネット上で指摘する人が増えてきたのですが、テレビのような大きなメディアでこの事が大々的に取り上げられる事はありません。
むしろ健康に良いと紹介された上で「脂肪分が少し多いので飲み過ぎには注意してください」といった感じでオブラートに包んでいます。
察しの良い人なら、これらの情報の真意が分かるのですが、実際にはテレビで健康に良いと紹介されると、スーパーで売り切れるほどの人気になるものです。
「身体に良い食べ物」が次から次へと紹介される一方で、「身体に悪い食べ物」が大々的に紹介される事はありません。
どんなに「身体に良い食べ物」でも過剰摂取にはリスクがありますし、その身体に良いと言われている成分が、全ての人に不足している栄養とも限りません。
一般的な野菜やフルーツから十分に栄養が摂取できているのに、わざわざビタミンが豊富なフルーツやサプリメントを取り入れても、健康に良いどころか内臓の負担になったり、脂肪として蓄えられるだけです。
このように「身体に良い食べ物」に正解はありません。その時々に身体に不足している栄養が含まれている食べ物が良いだけであり、正解はその都度変わります。
この事が理解できると、「身体に悪い食べ物の目安」も見えてくるのではないでしょうか。
身体に悪い食べ物の正体
最も「身体に悪い食べ物」というのは過剰に摂取する事につきます。特定の食べ物という事ではなく、必要以上に食べる事が最も身体に悪い事です。
脂肪分が多い牛乳でも、それほど食料事情が良くなかった戦後の人にとっては健康に良い食べ物だったのかも知れませんし、現在よりも肉体労働が多かった時代にも適していたのかも知れません。
現代でもたくさんの栄養を必要とする成長期の子供にとっても良いのかも知れません。
一方でデスクワークが多い現代人にとっては、栄養分よりも脂肪分の方がリスクになる可能性があります。健康に良いと信じて毎日飲み続けてしまうと、むしろ身体が悪くなってしまうかも知れません。
昔は「ビタミンCは水溶性ビタミンで取り過ぎても体外に排出されるので問題ありません」といった情報が主流だったのですが、現代では過剰摂取のリスクについて指摘する専門家が増えてきました。
食べた物の栄養を吸収する為に、内臓が活発に働いて分解してくれた成分を、必要ないからと排出してしまう事が身体に良いわけがありません。無駄に内蔵の機能を使って負担になっています。
水だって飲み過ぎると血液中の塩分濃度が薄まって身体に悪いですし、どんな食べ物でも過剰に摂取して良い事などありません。
あえて身体に悪い食べ物をあげるのであれば、この過剰摂取を促すものです。
食べ過ぎで消化が追い付かなくて胃がもたれているのに、胃薬を飲んで食べ続けるなど最悪です。身体から「もう食べないでよー」というサインが発せられているのに、それを抑え込む事が身体に良いわけがありません。
風邪をひくと食欲が落ちるのは、身体中のエネルギーが回復に集中するからです。余計な物を食べてしまうと消化吸収にエネルギーが奪われてしまうので、回復が遅くなってしまいます。
余計な行動にもエネルギーを使われたくないので、身体中が重たくなります。無理に動かすと節々に痛みを出して「動くなよ!」というサインを発してきます。
このような症状(サイン)を安易に薬で抑えてしまうと、回復が遅くなってしまうわけです。
もちろんお医者さんの管理の元に適切に処置してもらうのは問題ありませんが、素人判断で安易に市販薬に頼って風邪が長引いている人は珍しくありません。
普段の食事で身体が求めている栄養が十分に吸収できると、お腹がいっぱいになって食べるのをやめられるのですが、この判断を鈍らせる食品というものが存在します。
それは加工度の高い食品です。
大きなバナナなら2~3本も食べればお腹がいっぱいになるものですが、同じ分だけのカロリーや糖分があるお菓子となると、まだまだ食べられてしまいます。
砂糖のように特定の成分だけを抽出して作られる加工品ほど、このズレが生じてしまいます。
バナナのような自然の食材には、糖分やカロリーの他にも様々な栄養が含まれていますが、お菓子のように特定の成分に偏った食べ物だと、いつまで経っても必要な栄養素(ビタミンなど)が入ってこないので、身体から「もういいよー」といった満腹感のサインが発せられにくくなります。
料理の味付け程度に使われる調味料であれば、それほどこのサインがズレる事はありませんが、加工度の高いお菓子のような食べ物ほど、このズレが生じて過剰摂取になりやすい傾向があります。
脂肪の吸収を抑える特保なども危険です。栄養を吸収するために食べた物の消化を邪魔するような事をしていると、サインを発する為のセンサーが狂ってしまいます。
スマートな体型を維持している人は、特保やダイエット食品に頼っていません。しっかりと自分の身体の反応を感じて食べ過ぎないだけです。
身体に悪い食べ物というのは、特定の食材や料理に当てはまるものではなく、過剰摂取を促してしまう物という事です。
身体が資本のアスリートの食事
ここまでは「食べ過ぎを促す食べ物が身体に悪い」と紹介してきましたが、あえて「身体に悪い食べ物」をあげるとすると、身体が資本のアスリートが避けている食べ物が参考になるかと思います。
胃もたれするようではベストパフォーマンスが発揮できませんし、アスリートは日々の体調の僅かな変化が結果として数値化されるので、日頃の食事による変化を敏感に察知しています。
もちろん一般の人はアスリートほどのカロリーや栄養は必要としないので、そっくりそのまま真似る必要はないのですが、彼らがパフォーマンスが下がると避けている食べ物こそが、身体に悪い食べ物と考えて良いのではないでしょうか。
代表的なものをあげると、
- 揚げ物
- お菓子
- アイスクリーム(冷たい物)
- アルコール
- 消化に悪い物
といったところでしょうか。お肉のような物でも脂身の多い部位は避ける事が多いですね。
アスリートが身体の為に積極的に食べている物というのは、競技によっても違いますし、体重制限があると炭水化物を控えるといった事もあるので、必ずしも一般の人の参考になるわけではないのですが、避けている食べ物は参考になるはずです。
衣がたっぷりと油を吸収する唐揚げよりも、鶏肉を焼いたり蒸した方が余計な油を吸収せずに済みます。
お菓子も油で揚げてある事が多いですし、砂糖がたっぷりと加えられているので、満腹感(血糖値の上昇スピードなど)にズレが生じてしまいます。
アイスクリームや冷たい飲み物といったものは、身体の内側から冷やしてしまうので代謝が落ちてしまいます。
アルコールは睡眠の質を下げて回復を妨げてしまいます。現役アスリートでお酒を飲んで通用するのは、運動量が少ない野球選手ぐらいでしょうか。それでも最近のプロ野球選手は昔の選手ほど飲む人は少なくなっています。
消化が悪い食べ物も内蔵の負担になり、速やかにエネルギーに変換できません。胃もたれしながらベストパフォーマンスなど発揮出来るわけがありません。
これらのような体調の変化に敏感なアスリートが避けている食べ物は、一般の人でも「身体に悪い食べ物」として考えて良いかと思います。
まとめ 裏側を推察しよう
アスリートが積極的に食べている物が、一般の人にとっても身体に良いとは限りません。大きな筋肉を維持する為のたくさんのタンパク質など、一般の人にとっては脂肪になるだけの過剰摂取です。
一方でアスリートが避けている食べ物というのは、身体の不調をきたす物が多いので、一般の人にも参考になるのではないでしょうか。
メディアが積極的に身体に悪い食べ物を紹介する事はありませんが、身体が資本の人達が避けている食べ物という視点で考えると、ある程度の目安が見えてくるはずです。
消化に悪い食べ物といっても、内臓の強さは人それぞれですし、年齢によっても変わってきます。
内臓も元気な成長期の子供であれば、唐揚げに含まれている油分の余計なカロリーなど問題にならないかも知れませんし、胃もたれもしないのかも知れません。
お酒のアルコールも肝臓が強い人にとっては、大した負担にならないのかも知れませんし、消化に悪い食べ物といっても唾液の質や量によって違いますし、噛む回数の習慣などによっても随分と個人差があります。
流動食のような消化に良い物ばかりを食べていると、顎の筋力や歯茎の衰えにつながるかも知れません。
アイスクリームや冷たい飲み物の影響といったものでも、沖縄の人と北海道の人では負担が違いますし、季節によっても違います。
私の住んでいる北海道では暖房器具や住宅環境が充実している事もあり、冬場の部屋の温度は東京よりもずっと高く、冬場のアイスの売り上げが日本一だったりします。
これらのように「身体に悪い食べ物」といっても、必ずしも全ての人に当てはまるとは限りません。ここも意識してほしいと思います。
健康オタクのような人が、徹底的に身体に悪い食べ物を避けていても病気になる時はなりますし、不摂生な食生活をしていても健康な人がいます。
内臓の強さといったものにも個人差がありますし、職種によっても求められるカロリーや栄養素は違います。一概に正解も不正解も決められるものではありません。
その時々に身体か求めている栄養が含まれている食べ物が身体に良いだけであり、求めていない栄養を過剰に摂取してしまう事が身体に悪いというだけです。
テレビで紹介されていた「身体に良い食べ物」でも、人によっては無駄に内蔵を働かせるだけの身体に悪い食べ物になってしまうかも知れませんし、唐揚げでもたくさんのカロリーを消費している肉体労働者にとっては、効率よくエネルギーを摂取できる良い食べ物かも知れません。
自分の身体から発せられているサイン(なんだか今日は○○を食べたいなぁ)を見逃さないでください。
それほど好きな物でもないのに、久しぶりに食べたくなった物というのは、その時に身体が求めている栄養素が含まれている可能性が高いです。
「○○は身体に悪い」からと無視して、不足していない栄養ばかりの身体に良い食べ物を選んでしまうと、むしろ悪くなってしまうかも知れません。
私自身も数年に一度ぐらいのペースで無性にコーラを飲みたくなります。普段から甘いモノをあまり取らないのですが、取らなさ過ぎて身体が強烈の求めると、このようなサインとして現れるのだと思います。
そんなときは我慢せずにコーラを飲んでいます。ただ特保やダイエットや0カロリーといったコーラは選びません。そのような物を選ぶと求めている栄養が得られないかも知れないからです。
習慣的にコーラを飲んでいる人であれば、そのような健康的(?)なコーラを選ぶのも良いのかも知れませんが、それが身体に良い事だと勘違いしないでください。
習慣的に身体が求めていない栄養を摂取してしまう事の方がリスクになります。
当ブログでも安くて節約に役立つ健康的な食品などを紹介していますが、
それらだって過剰に摂取してしまうと身体の負担になってしまいます。納豆が身体に良いと思っている人も多いと思いますが、肉や魚から十分なタンパク質を取れている人にとっては、それほど必要のない栄養かも知れませんし、漬物などから乳酸菌を取れているのであれば、納豆菌も不要かも知れません。
あくまでも自分の身体と向き合う事こそが、身体に良い食べ物を見つける秘訣なので、それを邪魔する中途半端な健康食品や加工食品とは、なるべく距離を置いた方が良いかと思います。
身体に悪い食べ物というのは必要以上に食べてしまう事であり、それを促してしまう物の事です。身体に良い物ばかりに頼るのではなく、その裏側も推察しながら、上手く食生活に取り入れてほしいと思います。