無水調理鍋との出会い
数週間前に友達の家に遊びに行くと、奥さんお手製の凄く美味しいカレーをご馳走になりました。
その友人とは古い付き合いで結婚した当初に「うちの嫁の料理がヒドイ・・・」といった愚痴を聞いていたので、奥さんが席を外したタイミングで、
「随分と料理上手くなったんじゃない?」
と友達に告げると、
「ああ、カレーだけは少し前から美味しくなったんだよ」
と豪快に笑い、カレーを作った鍋を持ってくるように奥さんに伝え、照れ笑いを浮かべながら恥ずかしそうに、
「この鍋のおかげで本当に美味しくなったんですよー」
無水調理鍋の凄さを説明してくれました。
その無水調理鍋は有名なバーミキュラのもので、存在自体は私も知っていましたが、実際に食べてみると本当に野菜の旨味を強く感じられる美味しいカレーで驚いてしまいました。
そのカレーの作り方も特に変わったスパイスや隠し味を使っているわけでもないようで、味付けはカレーのルーのみとの事でした。
私はこの体験をきっかけに無水調理鍋が気になるようになり、ネットで調べるようになったのですが、やはり本家のバーミキュラの価格は高く、他のメーカーのものでも一般的な鍋よりはかなり高いので、無水調理を試してみたい気持ちと無駄な物を増やしたくない気持ちの間で揺れ動いていました。
さらに実際に使用している人の情報を調べていると、普通の鍋で無水調理に挑戦している人を見つけ、「これなら手持ちの鍋でも行ける!」と思って挑戦してみたのですが、明らかに友人の奥さんが作ってくれたバーミキュラのカレーほどは、野菜の旨味が感じらず、水分も少な過ぎて上手くいきませんでした。
ただカレーのルーが余っていたので、自分なりに試行錯誤しながら普通の鍋による無水調理に挑戦していると、「コレだ!」という満足のいく仕上がりになりました。
そこで今回は私なりに試行錯誤しながら成功した普通の鍋で作る無水カレーの作り方を紹介します。無水調理鍋に興味がある人や高級過ぎて手が出ないという人の参考になれば嬉しいです。
普通の鍋で無水カレーを作る方法
普通の鍋で無水カレーを作るポイントは、蓋の密閉率を高めて野菜から出た水分(蒸気)を逃がさない事です。
鍋の蓋に空いてる穴を塞ぐぐらいであれば簡単なのですが、どうしても普通の鍋の蓋では隙間から蒸気が漏れてしまうので、本家の無水調理鍋ほど野菜から出た水分が残ってくれません。
ホーローで出来ている本家のバーミキュラも鍋と蓋の精度を高める事に大変苦労したそうで、それを新技術で克服できたからこそ、今までにない密閉率の高いホーロー鍋になったのだそうです。
そこで私なりに普通の鍋と蓋の密閉率を高めようと考えたのが、鍋のフチにアルミホイルを挟む事です。
三枚ぐらいに折り重ねたアルミホイールを、鍋のフチに沿って軽く置き、そこに蓋を置いてからギュッと押し込む事で、蒸気がほぼ漏れなくなってくれました。もちろん蓋の穴もアルミホイルで塞いでいます。
普通の鍋といっても様々なタイプがあるので、乗せるだけの蓋だと難しいかも知れません。様々な鍋に対応した汎用性のある蓋ではなく、専用設計の蓋がセットの鍋であれば、アルミホイルを間に何枚か挟む事で密閉率を高める事ができます。
あと私が持っている鍋はテフロン加工されているもので、無水調理の初めに一時的に空焚き状態になってしまう恐れがあったので、大さじ1ぐらいの水を入れてから火にかけるようにしています。
これだと厳密には無水調理とは言えなくなってしまうので、空焚き状態を避ける為だけなら薄く油をひいても良いとは思うのですが、油を一切使わない事も無水調理のメリットでもあるので、私は少量の水で空焚きのリスクを避ける事にしました。
この大さじ1の水だけだと、鍋の大きさによっては鍋底全体を覆えないのですが、薄く切った玉ねぎなどの野菜を入れると広がってくれるので、大さじ1ぐらいの水でも十分でした。
また無水カレーならではの特徴として、水分が多く出る野菜をふんだんに入れる必要があり、多くの人は水分が多いトマトや缶詰のホールトマトを利用しているようなのですが、私は節約家という事もあって高価なトマトをカレーに使うのに抵抗があったので使用していません。
この水分が出やすいトマトがないだけに、大さじ1の水が丁度良くバランスを取ってくれているなと感じています。
後は普通のカレーの作り方と変わりません。他の野菜やお肉を入れて弱火で煮込むだけです。アク取りなども必要ありません。
弱火で5分ぐらい煮込むと蒸気が鍋の中一杯になってきます。蓋の密閉が甘いと隙間から蒸気が漏れてしまうので、グッと蓋を押し込んでアルミホイルにフィットさせてください。
煮込む時間は一般的なカレーの作り方よりも3倍ぐらい必要です。弱火で1時間ぐらい煮込む必要があります。節約的には少し光熱費が気になるポイントでもあります。
当ブログで以前に紹介した保温調理なら、水が沸騰したタイミングで鍋が冷めないように囲って放置するだけで良かったのですが、無水調理で試してみると野菜から水分が出る前に冷めてしまうので上手くいきませんでした。
一時間ぐらい弱火で煮込んでいると、鍋の中で盛り上がっていた具材が半分ぐらいの水位になっているので、そこに市販のルーを加えて軽く混ぜ合わせます。この時に下の野菜が鍋底に張り付いているかも知れないので、優しく全体をかき混ぜてください。
そして再び蓋をして弱火のまま20分ほど煮込んで完成です。このタイミングであれば保温調理でも良いかと思います。
普通の鍋でも蓋の密閉率を高める工夫を取り入れる事で、野菜の水分と旨味を引き出した美味しい無水カレーが作れました。
これは土鍋で炊いたご飯の上に無水カレーをのせた様子なのですが、ルーがドロッとしている様子が分かるでしょうか。ジャガイモもホクホクで凄く美味しいカレーライスになってくれました。
ちなみに私は節約家という事もあり、カレーには価格が安くて栄養価が豊富な鳥の胸肉を入れているのですが、火を通すと硬くなりがちな鳥の胸肉でも無水調理でゆっくりと煮込むと、凄く柔らかく仕上がってくれました。
無水調理は弱火とはいえ1時間以上も煮込む事になるので、光熱費が気になるところではあるのですが、価格の安い鶏むね肉と相性が良いので試してみてください。
普通の鍋で無水調理に失敗するポイント
普通の鍋で無水調理を行う為に試行錯誤していた時に、失敗してしまったポイントをいくつか紹介すると、いわゆる普通のカレーのような一口大のサイズに野菜をカットしてしまうと、なかなか水分が出てくれないので上手くいきませんでした。
これは煮込む時間次第ではありますが、初めての時は小さめに野菜をカットするように意識してみてください。玉ねぎならみじん切りにしても良いかも知れません。
また私はトマトを入れていないので、水分が出やすい薄くスライスした玉ねぎを多めに入れています。ジャガイモやニンジンもさいの目切りぐらいにカットした方が水分が出やすくなりました。
普段の私は栄養が豊富な野菜の皮を剥かない主義なのですが、これも水分が出にくくなるので無水調理では皮を剥きました。剥いた皮も入れて煮込んでいますが。
あとはやっぱり鍋と蓋の密閉率を高める事がポイントです。鍋のフチに巻くアルミホイルは一枚だけだと蒸気が漏れてしまいました。この辺は鍋と蓋との相性もあるのですが、三枚ぐらい重ねてふんわりと置き、蓋をした時にギュッと押し込む事で隙間が埋まってくれます。
何もしない状態で蓋をした鍋を軽く揺すると、ガタガタと蓋の隙間から音が出るものですが、密閉率が高くなると全く音がしなくなるので目安にしてみてください。
またテフロン加工の鍋でなければ空焚きの心配はしなくても良いとは思いますが、アルミの鍋だと野菜が焦げ付いてしまう事もあるようなので、トマトのような水分が出やすい野菜を入れない場合は、少しだけ水を入れた方がリスクを下げる事が出来ると思います。
あと弱火といっても火加減は人それぞれ違うのものですが、無水調理は時間を掛けてゆっくりと加熱する事がポイントなので、消えない程度の弱火、とろ火で煮込むのが良いと思います。私が初めて試した時は少し強めの弱火で煮込んでしまい、鍋底の野菜が少し焦げてしまいました。
本格的な無水調理鍋だとここまで気を使う必要はないと思いますが、無水調理を試してみたい人は普通の鍋でもやり方次第で出来るかも知れないので、高価な無水調理鍋を購入する前に試してみるのも良いのではないでしょうか。
まとめ 物を増やさないのも節約テクニック
普通の鍋で無水調理のカレーを作る為に、改めてカレーの作り方といったものに向き合う事になったのですが、カレールーの裏面の説明を見ると水を600ml入れて沸騰させた後に、鍋の蓋を少し開けたまま20分煮込むとあり、その後にルーを入れてからも混ぜながら5分程度煮込むとあるので、結構な水分が蒸発していたのだと気づく事になりました。
それだけに無水調理で野菜の水分や旨味を逃さずに活かす事が出来ると、美味しくなるのもイメージできました。
またカレーのルーの辛さは好みの問題ではありますが、無水調理は野菜からかなり甘みが出るので、普段よりも一つぐらい辛口のレベルのルーを選ぶと良いかも知れません。大抵のカレールーには5段階の辛さが表示されているので参考にしてみてください。
無水調理鍋に興味はあるけど高くて購入を悩んでいる人は、ぜひ今回紹介した普通の鍋で無水調理をする方法を試してみてほしいと思います。
本家のバーミキュラの無水調理鍋ほど完璧には仕上がらないのかも知れませんが、無水調理ならではの野菜の甘みといったものは感じられると思います。そこに価値を感じる事ができれば、高価な鍋を購入した後でも後悔せずに済むのではないでしょうか。
バーミキュラのような鍋が悪いわけではありませんし、上手く活用できれば食生活を豊かにしてくれる便利なアイテムだとは思いますが、同じようなサイズの鍋をたくさん所有してしまうと、お金が掛かるだけでなく、収納スペースや管理する手間が増えてしまうものです。
取っ手が取れて収納しやすい鍋やフライパンは、重ねられるだけにコーティングが傷みやすく、取っ手を取り付けた箇所のコーティングが剥がれてしまう事もあります。
重ねて収納すると取り出す手間も増えてしまうだけに、結局は同じ鍋に取っ手を付けたまま使用している人も多いので、意外と相性が良い家庭は多くないのかも知れません。
私は今回無水調理に使用した鍋と、土鍋とフライパンそれぞれ一つずつしか所有していませんが、無水調理や保温調理のようにアイデア次第で乗り切れる事もあるので、安易に便利そうな調理グッズを購入する前に一度考えてみてほしいと思います。
中華鍋は炒め物だけでなく揚げ物や蒸し料理までこなしてしまいますし、普通の鍋でも工夫次第で何とかなるケースがあるものですよ。
お米も鍋で炊いていますし、ネットで調べてみるとフライパンで炊いている人もいました。頻繁にご飯を炊く家庭にとっては炊飯器は便利な道具ですが、たまにしかご飯を炊かない家庭にとっては他の方法で十分かも知れません。
無水調理鍋も頻繁にカレーやシチューを作る家庭にとっては素晴らしい鍋だとは思いますが、たまにしか煮込む料理を作らない家庭にとっては、普通の鍋よりも光熱費が掛かるだけの重たい鍋になってしまいます。
これはあらゆる調理器具にも当てはまる事なのですが、たまにしか使わないような物まで専用品を用意していると、かえって片付ける手間が増えてしまったり、収納スペースが圧迫されてよく使う物にまで悪影響が出てしまいます。
ちょっとしたニンニクのみじん切りの為に専用チョッパーを使用してしまうと、洗うのが大変になるような事です。
もちろんたくさんのニンニクのみじん切りをする家庭や手に触れるのがイヤな人であれば、専用品に頼るのは良いと思いますが、安易に頼ってしまうと手間ばかりが増えてしまいます。
無水調理鍋に興味がある人も実際に普通の鍋で試してみて、無水調理の良さを実感してから購入した方が後悔がなくなると思うので、今回紹介した普通の鍋で無水調理をする方法を試してみてください。
ホーロー鍋は少し重たいので非力な人には向いていないかも知れませんし、食洗器と相性が悪い事もありますし、強い衝撃でヒビが入ってしまう事もあるので、家庭によっては扱いにくい鍋になるかも知れません。
インスタントラーメンを作るだけなら薄い鍋の方が熱伝導率が高くて短時間で済みますし、そほど煮込む必要がない味噌汁などをホーローの鍋で作ってしまうと、温めなおす度に余計な時間や光熱費も掛かってしまいます。
バーミキュラの無水調理鍋が悪いとは言いませんが、普通の鍋でも代用できたり、より適している鍋があるかも知れないので、節約家の皆さんは上手に見極めてほしいと思います。
コメント
さっそくアルミホイルで囲って試してみたらスゴく美味しいカレーになって家族も喜んでくれました♪我が家ではシチューも良く作るので楽しみです。大変為になる情報を公開していただきありがとうございます!
by 匿名