臭い対策
- 内側の掃除
- 消臭スプレー・消臭剤
- 十円玉を入れる
といった方法が一般的でしょうか。
ウェットティッシュや除菌シートで革靴の内側を掃除したり、靴用の収集スプレーや靴用の消臭剤を入れたり、裏技的に銅の10円玉を入れて化学反応を利用して雑菌の繁殖を抑えるといった方法があります。
他にも毎日同じ革靴を履かずに、きちんと乾燥させるといった事も大事なのですが、ここ数年私が愛用している革靴というのは、普通の革靴と違って内側がスニーカーのような構造になっているものです。
この革靴は安価にも関わらず、抜群に履き心地が良くて節約家にとってありがたい存在なのですが、内側にクッション性をもたせた布が張り巡らされている事もあり、ウェットティッシュで拭いても臭いが抑えられませんでした。
そこで革靴の洗い方を調べてみると、革靴専用の石鹸が見つかったのですが、
結構な価格であり、この為だけに購入するのもイヤだったので、他の方法を調べてみるとボディーソープで代用しているケースが見つかりました。
食器用洗剤や洗濯洗剤だと洗浄力が強過ぎて、革を傷めてしまうリスクがあるようで、人間の肌にも優しいボディーソープであれば問題ないようでした。
他にも重曹を使った洗い方も見つかったのですが、重曹の細かい粒子が研磨剤のような役割を果たして革が傷つくリスクがあり、スニーカーではOKでも革靴には向いていないようでした。
ボディーソープで代用できる理由は、単純に洗浄力がそれほど強くなく、泡立ちが良いという理由だったので、だったら手持ちの普通の石鹸でもしっかりと泡立てれば問題ないという結論になりました。
専用のサドルソープを使った革靴の洗い方については、ネットでたくさん情報が見つかるのですが、いかんせん高級な革靴(靴底も革)ばかりであり、私が愛用している内側がスニーカーのような革靴とは少し事情が違います。
布で出来ているスニーカーは普通の洗濯洗剤で洗ってもOKなのですが、革靴用のサドルソープには革を保護する油分が含まれています。その油分が内側の布に残ってしまうリスクがあるので、むしろボディーソープや普通の石鹸の方が相性が良いと感じました。
そこで、さっそく石鹸で革靴を洗ってみる事にしました。
普通の石鹸による革靴の洗い方
まずは靴紐や中敷きを外します。そして靴墨を落とすクリーナーで革靴の表面の靴墨を落とします。
これをしないと革の表面が靴墨で保護されたままなので、革の内部に水が上手く染み込まずにムラになってしまいます。
革靴の内側の臭い対策だけであれば、必ずしも必要な工程ではないのですが、普段から靴墨を塗ってメンテナンスをしている人であれば、クリーナーを用意しておくと良いかと思います。
こんな感じで靴墨が落ちてくれます。靴屋さんだけでなく、100円ショップなどでも売られています。
ついでに拭き取った布で靴底の汚れも拭いて、無駄なく使いきりましょう。
この下準備を済ませてたら、いよいよ革靴を洗っていきます。
まずはシャワー(ぬるま湯)で革靴全体の汚れを流していきます。特に内側の生地に雑菌が繁殖して臭くなっているので、手を突っ込みながら撫でるように内側の汚れを押し出してください(軽く揉む感じ)。
すると水が濁ってくるので、濁りが出なくなるまで繰り返します。
一般的な革靴の洗い方だとバケツや洗面台に水を張って、どっぷりと革靴を浸からせるのですが、シャワーで臭いの気になる内側を丁寧に洗っているだけでも、革靴全体に水が浸透してくれました。
おそらくこの段階で終了しても、イヤな臭いの元となる雑菌はかなり洗い流せているのですが、生地の奥深くに雑菌が染み込んでいる可能性があるので、スポンジに石鹸を擦りつけて十分に泡立ててから、優しく洗っていきます。
スポンジにも革専用の物があるのですが、サイズ的にも食器洗い用のスポンジで代用できます。ただゴシゴシ擦るのに向いている硬いスポンジの面で革は擦らないでください。
そもそも石鹸が汚れを落とすメカニズムというのは、界面活性剤が油分を浮かして水で洗い流せるようにしてくれるので、こびりついた汚れでもない限り、ゴシゴシと擦る必要はありません。
この界面活性剤の機能を引き出す為にも、しっかりと石鹸を泡立てる事がポイントです。泡で優しく革靴全体を撫でてください。内側のつま先の方にも泡が届くようにしましょう。
すると石鹸の泡が黒く濁って汚れを落としてくれます。
一般的な革靴の場合は、ここで十分にすすいで乾燥に入るのですが、内側がスニーカーのような構造の革靴は生地に厚みがあるので、内側だけでも二回ぐらい繰り返した方が、臭いを抑えるのに効果的です。
もう一足の方の革靴を洗っている間にでも、革靴の内側を泡だらけにして数分放置してください。界面活性剤が生地の奥深くまで浸透して汚れを落としてくれます。
そしてすすぎに入るのですが、これも生地に厚みがあるだけに石鹸の成分が残ってしまうかも知れないので、手を突っ込みながら軽く揉み洗いをするように泡が出なくなるまで行ってください。
十分に石鹸の成分をすすいだら、不要なタオルや雑巾で革靴の水分を拭き取ります。内側の水分もなるべく多く吸い取ってください。残っていた靴墨が付いたりするので、捨てても良い布で拭き取りましょう。
そしてここからの乾燥が少し大変です。一般的なスニーカーだと通気性が良いので、風通しのあるところに陰干しするだけで乾燥してくれるのですが、革靴は通気性が悪いので、積極的に水分を吸い取る必要があります。
特に私が愛用しているテクシーリュクスのように、表面が革で内側が布のような構造の革靴ほど、これが大事になります。
洗濯物から生乾き臭が発生してしまうのは、湿度の高い梅雨時などに乾燥に時間が掛かってしまった時です。
乾燥に6時間以上掛かると雑菌の繁殖が始まってしまうと言われているので、いかに素早く水分を抜きとるかがポイントになります。
その為には革靴の中に新聞紙を入れて何度も交換するのが有効です。
革靴の大きさにもよるのですが、一足に対して新聞紙を三枚ぐらい詰めてください。つま先の方まで隙間なく詰めるのがポイントです。
初めの新聞紙だと数分でビショビショになります。2回目からは少しずつ時間を延ばしながら、何度も繰り返して水分を吸い取ってください。
一般的な革靴であれば、3回ぐらいでも十分かも知れませんが、テクシーリュクスのように内側に生地がある革靴は5回以上は行いましょう。
何度か繰り返していると新聞紙にほとんど水分が付かなくなるので、後は自然乾燥に入ります。この時にも新聞紙を入れておいてください。革は乾燥する時に縮む特性があるので、形が整えられて型崩れを防ぐ事ができます。
自然乾燥でもただ床に置くのではなく、なるべく風通しのあるところで、つま先を上げて立て掛けてください。
自然乾燥し始めて3時間ぐらいまでは、1時間に一度ぐらいは新聞紙を取り換えてください。少しずつ時間を掛けて奥深くの水分を吸い取ってくれます。
このように新聞紙で水分を吸収しながら3時間ぐらい乾燥させると、革靴の内側でも手で触れて水分を感じなくなるので、あとは新聞紙を外して内側にも空気が触れるようにしてください。
自然乾燥するのに理想なのは、風通しのある屋外での陰干しなのですが、梅雨時のように天気が悪かったり湿度が高い場合は、自宅の中で空気の流れがあるところに置いてください。
換気扇を回したり、少し離れたところから扇風機の微風を当てるのも効果的です。風で強制的に乾かすというよりは、周辺の湿った空気を入れ替える事がポイントです。
ドライヤーの熱風で乾かしてしまうと革が縮んでしまうので気をつけてください。相当離して使うか冷風を利用しましょう。
6時間以内に完全に乾かす事が理想ではありますが、革の内部に沁み込んだ革が完全に乾燥するには一晩ぐらい掛かってしまうので、手で触れて乾いているからと直ぐに履くような事はしないでください。丸一日以上は放置してください。
そして最後に仕上げに靴墨を塗って革靴の表面を保護し、中敷きを戻して靴紐を通して完了です。私の革靴も全く臭いが気にならなくなりました。
まとめ 専用品もいいけど・・・
高級な革靴を所有している人は、革専用の石鹸やスポンジを用意するのも良いとは思いますが、多くの人はそうではないと思うので、今回紹介した普通の石鹸で洗う方法が良いのではないでしょうか。
世の中には様々な専用洗剤がありますが、基本的には界面活性剤が汚れを浮かして落とす仕組みなので、よほど頻繁に使用する人でもない限り、必ずしも使い勝手の良い専用品でなくても問題ないはずです。
トイレの尿石のような頑固な汚れを落とすのであれば、強力な専用洗剤で擦った方が効率的ですが、頑固になる前であれば食器用洗剤の一滴の泡だけでも簡単に落とせるものです。
革靴に使用されている革というのも元々は動物の皮なので、人間の肌に安心して使用できる普通の石鹸でも、十分に汚れを落とす事ができるのではないでしょうか。
洗浄力が強いシャンプーや洗濯洗剤だと革を傷めるかも知れませんが、優しく泡立てた石鹸であれば問題にはなりません。余計な香料や保存料も含まれていないので相性は悪くないはずです。
ちなみに革の質によっては水洗いと相性が悪いものもあります。エナメルのように光沢が出る加工がされている革を洗うと、革の表面が荒れて光沢が無くなってしまいますし、ヌメ革のように染められていない自然の色の革だと、色味が随分と変わってしまう可能性があります。
ただ多くの一般人が履いている革靴というのは、そのような高級な革ではないと思うので、革靴が臭くなってきたからと買い替えを考えている人であれば、今回紹介した普通の石鹸による洗い方を試してみる価値があるのではないでしょうか。
ただ乾燥に失敗するとさらなる悪臭が発生してしまう可能性があるので、十分に時間に余裕をもって行ってください。新聞紙も3日分ぐらい用意してガンガン交換してください。
あと革靴の水洗いは革にとっても負担になるので、頻繁に行うと寿命を縮めてしまいます。衣替えの前のように年に一回ぐらいの頻度に抑えてください。
定期的に靴磨きをして、年に一度ぐらいしっかりと洗う事で革靴の寿命は延びてくれるので、節約家ほど意識してほしいと思います。
あと意外なところでは靴下の生地の素材も臭いの原因となる事があります。化学繊維だけで出来ている安い靴下を履くと、直ぐに臭くなってしまう事があるので気をつけてください。
綿100%や消臭機能のある靴下を選ぶのも、革靴の臭い対策として有効ですよ。