健康の為の食事
日本人の病気になる原因の七割以上が食べ過ぎだと言われています。まさに成人病は栄養の取り過ぎが原因です。
自然界の動物が成人病になることはありません。基本的に食べ過ぎになることがないからです。
動物が食べ過ぎると逃げ足が遅くなって獲物になってしまいますが、人間だけは知恵で「弱肉強食」に打ち勝っているので、それでも生き続けられます。
医学が発達した先進国ほど「弱」の状態でも生きていられますが、生き物としては動きの鈍い不自然な状態であるわけです。
ここで食べる量をコントロールして減らせればいいのですが、多くの人が食べる量を減らすことをせずに、何か健康に良い食品を追加してしまいます。
これでは益々食べ過ぎることになります。何かしらの健康食品のおかげで、どこかの機能が向上したとしても身体全体からみるとリスクが増していることになります。
テレビや雑誌で健康に良いとされている様々な食材が紹介されていますが、それらも食べ過ぎればリスクになります。これを忘れないでください。
サプリメントも同様です。満ち足りている栄養を補給しても意味がないどころか、内臓の負担になってしまったり、毒になってしまうこともあります。
健康の為に何かを食べるという選択よりも、何を食べないかと意識することの方がずっと大切です。
食べてはいけない食品
人間の身体にとって食べてはいけない食品というと、何を思い浮かべるでしょうか。
保存料や添加物が身体によくないとイメージがあると思いますが、具体的な食品や食材はあまりイメージがないと思います。
もしテレビや新聞や雑誌が特定の食品に対して、「健康の為に良くない」と言ってしまうと大問題になってしまいます。その食品の業界や生産者から大バッシングを受けてしまい、大事なスポンサーが逃げてしまうことにもなります。
一方で「健康に良い」とされている栄養や食品の情報は次から次へと発表されます。海外から新しく入ってきた食材に対してだけではなく、既存の食品に対しても「新たな発見」として「健康に良い食べ物」と認定されていきます。
その食品の業界や生産者にとって喜ばしいことなので、むしろスポンサーになってくれることもあります。
チョコレートに含まれているポリフェノールが健康に良いと言われていますが、チョコレートに含まれている大部分を締めているのはカカオではなく砂糖です。健康の為に甘いチョコレートを追加して食べていると太るのは当然の結果です。
一方で砂糖も「砂糖は天然の甘味料なので安心、安全」というアピールをしてきます。人口的な低カロリーの甘味料が増えてきているので、それに対してのアピールではあるのですが、砂糖を取り過ぎることが安心、安全なわけではありません。
当たり前のことですが、どのような食品や食材でもわざわざ悪く言う理由などありません。メリットを全面に押し出してアピールしてくるので、大抵の物は「健康に良い食べ物」に分類されます。
「食べてはいけない食品」というものが、公になることは基本的にありません。
一方で特定の業界が消費を促す目的で、新しい健康効果を発表することは珍しくありません。科学的な根拠を示していたとしても、都合の良いところだけをクローズアップしてアピールしてきます。
なので一概に身体に悪い食品を定義することは出来ません。これをしっかりと理解することで、新たな選択肢が見えてくるものです。
避けるべき食品
食べてはいけない食品を分類することは難しいのですが、なるべくなら避けた方が良い食品ということであれば、いくつかの条件をあげることができます。
特に気をつけたいのが、「加工の度合い」です。
食品は加工の度合いが強くなるにつれ、様々な添加物や保存料が使用される傾向があります。
食品の安全や賞味期限の問題もあり、食品が腐らないような加工が施されています。
食品を腐らせない為には、水分、酸素、雑菌を抑えることがポイントになります。
同じような原料で構成されているケーキとクッキーで比べると、しっとりとしたケーキより水分の少ないパサパサのクッキーの方が腐りにくく、また真空パックなどで空気を減らすことでも腐りにくくなります。
また雑菌を殺菌する加工も多く見受けられます。加熱や薬品で消毒されます。これらのような腐らない工夫がされる度合いが高いのが「加工食品」ということです。
もちろん全ての加工食品を避けろと言いたいわけではありません。健康に良いと言われている発酵食品の多くは塩漬けにされています。塩分によって雑菌の繁殖を抑えているので、添加物といったもののリスクは少ないのですが、やはり食べ過ぎると塩分過多のリスクがあります。
甘酒やお菓子なども同様で。塩漬けと同様に砂糖漬けも雑菌の繁殖を抑えます。お菓子とは相性の良い加工法なので、多くのお土産品が甘いお菓子になっているのですが、やはり食べ過ぎには気をつけたいところです。
他にも高熱で殺菌するのも有効です。焼いたり揚げることは雑菌を死滅させるだけではなく、水分を蒸発させるので腐りにくくなります。
基本的に加工の度合いが強ければ強いほど、消費期限が長い傾向があります。
当たり前のことですが、自然界の食材は全て腐ります。腐りにくい加工というのは人間の文化や知恵ではあるのですが、それだけに不自然な食べものだということです。
加工食品だけで構成された料理はなるべく避けてください。インスタントラーメンだけ、カップラーメンだけ、冷凍食品だけのような食生活にならないことを意識してください。
カップラーメンそのものが悪いというのではなく、不自然な(加工度合いの高い)食品に偏ることがリスクになります。
食べるべき食材
一方で健康の為に食べるべき食材というのは、加工の度合いが少ないものです。
食材をより自然に近い形で摂取することがポイントです。余計な加工や添加物を避けることが出来ます。
シロップ漬けにされた缶詰の果物ではなく、生の果物を食べるようなことです。
これは調理法にも当てはまります。たとえば肉を調理するときに焼き過ぎて焦げてしまうと、健康に良くないというのはイメージできると思います。
流石に生肉をかじりつくことはできませんが、しっかりと焼くよりもサッとあぶった程度の方が加工の度合いが低くなります。さらに言えば焼くよりも煮る、蒸す、茹でる、の方が望ましいと言われています。
あまり難しく考えなくていいのですが、食材がなるべく自然に近い状態で頂くことが健康に良いと考えてください。全ての食材を生で食べるわけにはいきませんが、選択できる範囲で加工度合いの少ない食べ方を意識してほしいと思います。
保存食の意識
干物や発酵食品のように何かしらの加工をすることで、栄養が凝縮されたり変化するものもあるので、全ての加工品が悪いとは言いませんが、多くの食材は自然に近い方が望ましいということです。
人類は食材の取れない冬を越すために、様々な保存法や加工法が生み出されてきましたが、それらは一冬を越すためだけの工夫です。
一方で現代の加工食品は何年間も保存が可能です。防災や保存食として素晴らしい意味もあるのですが、極端な加工は自然な状態から遠ざかっていることを忘れないでください。
数年前から食材に含まれている酵素の力が注目されていますが、自然界の動物が食べる食材には全て酵素が含まれています。
人間だけが食材に加工をして酵素を失くしてしまっています。この状態が続くと消化吸収に悪影響を及ぼすのも理解できると思います。
酵素を簡単に取り入れるには、加工をしていない生野菜や果物を食べることですが、食べ過ぎの現代人が生野菜や果物を追加してしまうと、酵素によるメリットよりもカロリー過多のデメリットが増してしまいます。
理想は食べる量を増やさないように酵素が含まれている食材に変えることです。健康の為に何かを追加するのではなく、加工の度合いが低い食材に変えてください。
先進国の人達は飢餓から完全に解放されているので、極端な保存食や加工品は必要ありません。防災の為に少しあるのは構いませんが、いつでもスーパーで購入できる食材を、冷蔵庫の中に何週間分ものストックをする必要ないはずです。
冷蔵庫を一杯にしていないと不安になる人がいるのですが、決して不安になる必要はありません。お金があればいつでも自由に買えます。節約のためにまとめ買いをする人もいるとは思いますが、あまり極端になると食材が劣化してしまいます。
そして劣化しにくい(賞味期限が長い)食品ほど加工の度合いも高いので、気を付けてほしいと思います。
賞味期限内であれば安全かも知れませんが、必ずしも健康に良いということではありません。なるべくなら新鮮な状態で食べることの方が望ましいことを忘れないでください。
スーパーで買ってきた食材を冷蔵庫の奥に入れ、一週間前にスーパーで買ってきた食材を取り出して調理し、新鮮な食材をまた一週間冷蔵庫の中で劣化させるようなことにならないように意識してほしいと思います。
この感覚が当たり前になると、冷蔵庫を手放すことだってできるかも知れません。
まとめ 健康に良い食べ方とは
健康に良い食べ物、食材を定義することはできません。どんなに優れていると言われている栄養素も過剰に摂取すれば毒になります。
一日に必要な三十品目の野菜や一日に必要なたんぱく質の量などが紹介されていますが、それらを摂取していなくても健康な人は世の中にたくさんいます。目安にするのは構いませんが、妄信する必要もありません。
咽が渇いている人が水を飲むと、全身に水分がいきわたって美味しく感じられますが、咽が乾いていない人が水を飲んでも美味しいとは感じないものです。
そして過剰な水分はおしっことして排出されます。過剰に摂取しても内蔵の負担になるだけです。
水分は咽の渇きという現象でわかりやすいですが、そのほかの栄養素も同様にサインがあるものです。
「何だか久しぶりに○○を食べたいな~」など、それほど好きでもない食品を食べたくなるというのは、まさに脳が必要だと感じている栄養素を摂取させる為に促しているサインです。
このサインが出た時は咽の渇きを癒す水のように、物凄く美味しく感じられます。食事の満足度も非常に高くなります。
健康の為に良さそうだからと、そのような情報が紹介された食品を食べても、身体がその食品に含まれている栄養素を求めているとは限りません。
そもそもスタイルを維持している人というのは、わざわざ痩せる効果のある食品や特保のモノやサプリなど取りません。太っている人が、わざわざそのような食品を足して、栄養過多になってしまっています。
常に食べ過ぎで栄養過多でいると、身体は不足している栄養素がないので美味しさを感じられません。グルメな人ほど実は食事による満足度が低い傾向があります。
水分が極端に不足すると脱水症状で危険ですが、栄養は脂肪としてたくさん蓄えられているので、直ぐに動けなくなるほど不足することはありえません。
人は水がないと三日と生きられませんが、逆に水さえあれば一週間は生きられると言われています。ガリガリの方は食べる量を減らす必要はありませんが、適正体重よりも多い人は食べる量を減らしてください。それが一番健康に良い食事です。
健康に良い食生活というのは、「何を食べる」かではなく、「何を食べないか」ということです。
ビタミンが不足している人がリンゴを一つ食べると、みるみるビタミンが吸収されます。内臓が待ってましたとばかりにフル稼働して、リンゴの栄養を無駄なく吸収してくれます。
一方でビタミンが満ち足りている人がリンゴを一つ食べても、ビタミンはほとんど吸収されません。おしっこが黄色くなって外に放出されます。
必要のない栄養が全て体外に放出されれば病気にもならないのですが、一方でカロリーや脂肪は体内に蓄積してしまうので成人病のリスクが増してしまいます。
これはどんなに健康に良いと言われている食品にもあるリスクです。
身体に必要のない栄養素の食材を食べても美味しいと感じません。このような食べ方は食材を無駄にしていることにもなります。節約的にも無駄な行為です。
そして食材が加工されるほど、その食材が本来持っている栄養素と違う情報が付与されることになるので、脳が美味しいと感じるセンサーを狂わせてしまう可能性があります。脳がチョコレートのカカオに含まれているポリフェノールを欲しているのにも関わらず、ポリフェノールが含まれていないチョコレートに似たお菓子を食べてしまうようなズレを、生じさせてしまうことがあります。
カカオの含有量が多いブラックチョコレートを、ひとかけら食べるだけで十分に満たされる栄養量だとしても、薄いチョコレートが覆ってあるポッキーだと一袋必要になるかも知れません。さらにチョコレートの内側のビスケットまで食べることになります。
求めていない栄養素が無駄に脂肪として蓄積されてしまいます。
健康に良い食生活というのは、日ごろは食べ過ぎにならないように気をつけ、たまにくる「○○を食べたい」を大切にすることです。すると脳が欲している栄養を無駄なく吸収することができます。
この時に加工の度合いが低い食品を選んでください。シチューだと肉なのか野菜なのか塩分なのかわかりにくいようなことです。なるべくなら料理名よりもダイレクトに肉や野菜などの食材を思い浮かべるようにしてください。
さらに肉の中でも牛、豚、鶏、羊など、その時々に最も食べたい肉を見極めてください。レバーやホルモンなど部位まで思い浮かべるのが理想です。脳が過去の経験をもとに今必要としている栄養素が多く含まれている肉や部位を食べたいと選んでくれます。
私は昔からレバーが苦手だったのですが、ある時に無性にレバニラ炒めが食べたくなり、餃子の王将で注文したのですが、ものすごく美味しく感じました。
おそらく私の脳が現在不足している栄養素が含まれている食材を過去の経験から導き出し、それを摂取するように促したのだと思います。
ある本で紹介されていたのですが、無性にカレーが食べたくなる時というのは、風邪のひき始めなんだそうです。風邪のウイルスをやっつけるために免疫力を上げる必要があり、体温を上昇させる唐辛子や肝機能を向上させるウコンが含まれている食品(カレー)を食べるように脳が促すそうです。
これらのような食べたいものを選択することは、食材を最も美味しく食べる方法でもあります。喉が渇いている時に飲む水は水道水でも最高に美味しいですが、乾きが満たされている時に無理やり飲む水は、有名な炭酸水でも美味しく感じないものです。
健康のために何を食べるかと考えるより、その時々に欲している食べ物を選択する方が、美味しく食べられるだけではなく、健康にも役立ちます。
これといって食べたいモノがないときは、身体が必要な栄養素が十分にあるということなので、余計な栄養素を取り込まないように、加工の度合いの低い食材を少量いただくのが良いのではないでしょうか。
自然界の動物が太ることはありません。ゾウやサイのように個体を大きくすることに意味がある場合は別ですが、群の中で一匹だけ太っているようなことはありません。
加工食品を食べない自然界の動物は必要な栄養素がズレることがないので、食べ過ぎになることはありません。一方でペットの動物は加工食品で太ることがあります。
全ての加工食品を避けることは難しいですが、なるべく加工の度合いが少ない物を選ぶことを意識してほしいと思います。
また日ごろの食生活を粗食にすると、たまにやってくる「○○を食べたい」の満足度が上がります。日ごろから何となくカツ丼を食べている人と、心から「カツ丼を食べたい」と思って半年ぶりに食べる人では、間違いなく後者の方が満足度が上です。
美食家と呼ばれる人は、日頃から高級レストランで美味しい食事をしているのかも知れませんが、彼らが食事から得られる満足度は非常に低いはずです。脳内に蓄積されている膨大な過去のデーターと比較しながらの食事になるので、常に減点法で料理を評価します。
「ここがイマイチ」「もう少しこうした方が良い」など、常にマイナスでしか判断できません。過去の最高峰の料理を上回らない限り、食事で満足することができません。
一方で日頃から食べ過ぎを抑えて粗食にしている人は、たまにやってくる「○○が食べたい」で最高の満足度が得られます。三ツ星レストランでしか満足できない美食家よりも、ずっと美味しいと感じる頻度が多くなるものです。
この食べ方は健康に良いだけではなく、美食家のようにお金もかかりません。節約とも相性がバッチリです。
健康の為に「何かを食べる」という意識をするのではなく、「何を食べない」かを意識してください。そして日頃から食べる量を減らして粗食に努めてください。するとご褒美として最高に健康に良い美味しい食事にありつけますよ。
コメント
企業は商品を売りたいわけで、食べるなという情報が一般的になることはありません
そういう意味でも炭水化物抜きダイエットの情報は新しいと感じています
by 匿名
刑務所から出所した人の食事みたいだな
わからんでもないけど実践は厳しいな
by 経験者
牛肉もA5ランクの霜降り牛は不自然な感じがするよね
野菜や果物も最近のは甘いものが増えて糖質が気になるし
by 匿名