唾液の役割
唾液には様々な役割があります。口の中の乾燥を防ぎ、雑菌を防ぎ、硬い歯や食べ物から粘膜や舌を守り、食べ物を飲みこみやすくし、さらに消化まで助けてくれます。
一方で唾液が少なくなると、口内環境を整えることが難しくなります。
細かく分けると唾液には他にも様々な役割があるのですが、要するに唾液が少なくなると不健康になっていきます。
また唾液は赤ちゃんの頃ほど多く、年を重ねるごとに唾液の量は少なくなっていきます。お年寄りほど食べ物を飲みこむのも辛くなってしまうのも、唾液の分泌が少なくなっているからでもあります。
また唾液の質も変化します。緊張状態が続くと唾液はネバネバになり、リラックスするとサラサラになります。
人間は一日に何リットルもの唾液を飲みこんでおり、唾液の質が人体に与える影響は少なくありません。
唾液の状態は身体の内面をよくあらわしています。日ごろから唾液の量が少なくなっていないか、健康的なサラサラの唾液がたっぷりと分泌されているのか、チェックするようにしましょう。
若い頃と比べて唾液が少なくなっている方は、気をつけてほしいと思います。
唾液が少なくなる原因
唾液が少なくなる最も大きな原因は口呼吸です。
赤ちゃんの頃は誰でも鼻呼吸なのですが、しゃべるようになると口で呼吸する機会が増えていき、睡眠中でも口呼吸になる人が増えていきます。
そもそも睡眠時には唾液の分泌が少なくなるので、呼吸による空気の流れだけで口の中が乾燥してしまいます。朝の口臭がひどくなる原因でもあります。
睡眠時だけでなく、日中でも口呼吸が中心だと口の中が乾燥してしまいます。最近では口呼吸を改善させる様々なグッズがあるので参考にしてみてください。
私がおすすめする方法は鏡を設置する方法です。日ごろよく過ごしている箇所に鏡を設置してください。デスクワークの人ならパソコンの横に置くようなことです。
ぼーっと口を開けている自分のまぬけな顔が見える度に口を閉じるようになります。すると他の人の口を見ても同じように意識することが出来るようになります。
要するに口呼吸になっている事に、自ら気づけるようになることが改善するポイントです。誰でも意識した瞬間には改善できるものですが、長続きするのは難しいので、周りの人の口呼吸を反面教師の材料にする事で、意識する機会が格段に増えます。
そしてもう一つの唾液が少なくなる原因は加齢による衰えです。顎や舌を動かす筋肉が衰えてくると、咀嚼する回数も減り唾液が分泌しずらくなります。
また姿勢の悪さも関係しています。パソコンやスマホの普及で猫背の人が増えているのですが、首が前に出て落ちていると唾液の分泌腺が圧迫されてしまいます。
身体の衰えは仕方がないとも言えるのですが、何歳になっても脳や筋肉が鍛えられるように、唾液を増やす工夫をすることは可能です。
唾液を増やす方法
日頃から口の中を乾燥させない工夫、鼻呼吸を心がけることが前提ではあるのですが、ここからは積極的に唾液を増やす方法を紹介します。自分なりに相性の良い方法を見つけることがポイントです。
1 空想
物凄く簡単に唾液を出すのであれば、酸っぱい食べ物を思い浮かべることです。
レモンでも梅干しでもグレープフルーツでも構いません。あなたが酸っぱいと感じた食べ物を思い浮かべてください。もずく酢でもトムヤムクンでも構いません。
あまり想像できない人は、実際に一度レモンでもかじってください。実際に経験をすることで、想像だけでも唾液が分泌しやすくなります。
また酸っぱいものでなくても、ご馳走を思い浮かべてよだれが出るのであれば、もちろんそれでもOKです。これらの想像による生体反応を利用することができます。
人は頭の中で空想するだけで、実際に様々な生体的な反応をします。お腹が空いている時に、好きな食べ物を思い浮かべて唾液が出るのは正常なことです。
2 ガム
理想は食事をする時に噛む回数を増やすことですが、食事の前にガムを噛んでおくと唾液を分泌しやすい状態にしておくことができます。
また食後のガムで唾液を増やすと、食べ物で酸性に傾いた口の中を積極的に中和することができます。これは虫歯予防や歯周病予防にも効果的です。
特に食事中の水をよく飲む人には効果的です。水で食べた物を飲み込む事が習慣になっているので、後追いでも唾液を増やす事で消化にも役立ちます。
3 話す
話す機会が少ないと口の周辺の筋肉や舌の筋肉が衰えてしまいます。人と話す機会が少ないと唾液の量も少なくなってしまいます。
唾液を増やす為だけであれば相手がいなくても構いません。自宅で歌をうたったり、本を読む時に声に出すだけでもOKです。
話す機会が少なくなってきたお年寄りほど頬の筋肉が落ちて口角が下がっているものです。
見た目の印象が悪くなるだけでなく、唾液の分泌といったものにも影響があるので、独り言でも良いので積極的に話すようにして唾液の分泌を促しましょう。
習慣的にお経を読み上げているお年寄りというのは、こういった意味でも若々しさを保つ事につながっているのかも知れません。お釈迦様やご先祖様の加護があるのかも知れませんが、積極的に声を出す事も効果的です。
4 ストレッチ
唾液の分泌を促すためのストレッチというは、口の周辺の筋肉や舌を動かすことです。
別のところで「あいうべ体操」というものを紹介したことがあるのですが、
口の周りの筋肉を積極的に刺激することは、見た目の若返り効果(口角が上がる)だけではなく、唾液の分泌を促すことにもなります。
また鼻呼吸の人は口を閉じておく筋肉が衰えているからでもあるので、このようなストレッチは効果的です。いびき防止にも役立ちます。
「あいうべ体操」に限らず、口の中で舌を積極的に動かしたり、顔ヨガと呼ばれるエクササイズを行うことも効果的です。私がたまたま発見したものだと、力強くうがいを行うのもおすすめです。
少量の水を含んで力強くうがいをすると、顎や頬の筋肉が結構疲れます。表情筋を刺激して口角が上がるようなメリットだけでなく、唾液の分泌も凄く促されるのでおすすめです。
5 水分補給
身体の中の水分が不足すると汗が出にくいように、唾液の量も少なくなってしまうので、なるべくならこまめに水分は補給するべきなのですが、食事に限って言えば注意が必要です。
食事中にこまめに水分を取る習慣があると、食べ物が柔らかくなり噛む回数が激減します。
硬い食べ物、飲みこみにくい食べ物は、よく噛んで唾液を増やして対応する必要があります。水で補助してしまうと唾液の分泌が抑えられてしまいます。
こまめに水分補給をするのが大切ですが、食事中は別と考えてください。
まとめ 唾液は健康のバロメーター
ちなみに男性ホルモンは唾液から計測することができます。筋トレをした後や性的な興奮を覚えた後などに唾液を計測すると、男性ホルモンが増えています。
別のとこでパワーポーズの効果について紹介したことがあるのですが、
たかだか「やる気のあるポーズ」をするだけでも、この男性ホルモンに影響を与えます。
このような様々なホルモンが含まれている唾液を、我々は毎日数リットルも飲みこんでいるわけです。
質の良い唾液とそうではない唾液では、メンタル面においても影響力が少なくないのかも知れません。
もちろん口内環境を整える意味でも、唾液が正常に分泌されるように心がけてほしいのですが、それだけではないということを覚えておいてください。
今回紹介した唾液の分泌を促す方法をまとめると、
- 空想
- ガム
- 話す
- ストレッチ
- 水分補給
なのですが、どの方法でも構わないので相性の良い方法を見つけることがポイントです。どれが正解というものでもありません。
姿勢を良くする運動やストレッチが有効かも知れませんし、パソコンの横に鏡を置くだけで改善する人もいると思います。意識にあげることが大切なので、日頃から自分の口の中の状態に気を配りましょう。
歴史ある中国の気功の本にも紹介されていたのですが、気功のトレーニングを行うと唾液がたくさん出てくるようになり、それを飲み込む重要性について語られていました。
長い歴史の中で導き出された健康法でもあるので、唾液が少なくなってきている人ほど、意識するようにしてください。
ちなみに最近はこのような本も出版されています。唾液の重要性が注目され初めています。
まずは口呼吸を改善しながら、唾液を増やす工夫を取り入れてみてください。
ちなみに唾液の分泌が少ないと味覚も衰えると言われています。お年寄りの中には味付けが濃くなる方がいますが、これも唾液が少ない傾向があります。
若くても濃い味が好きな人は気をつけてください。唾液が少ないことによる味覚障害で、塩分の取り過ぎになるかも知れません。
また口の中がネバネバしたり乾燥しやすい人は、生活習慣を見直すきっかけにしてほしいと思います。唾液は健康状態をあらわすバロメーターだということを覚えておいてください。
健康診断や人間ドックを受けるのも大切ですが、日頃から自分の健康と向き合うことにお金は必要ありません。
僅かな異変を感じ取って対策できれば、結果的に医療費の節約になるかも知れません。
自分の唾液の状態をチェックする習慣も身につけてください。いつもより乾燥していたり、粘ついていた場合はリッラクスを心がけたり、水分を補給したり、ガムを噛むなり、酸っぱいモノを思い浮かべたり、何かしらの唾液を出す工夫を心がけてほしいと思います。
唾液は健康状態を表すバロメーターです。これだけでも覚えておいてください。
追記 唾液の分泌を阻害するもの
口臭や歯周病対策としてマウスウォッシュを取り入れている人がいるかも知れませんが、マウスウォッシュは唾液の分泌が阻害される事が分かってきました。
口内環境を整える為に取り入れていたものが、結果的に相反する結果を招いているケースがあるので意識してみてください。
歯科医の指導の下に取り入れているのであれば良いのですが、素人判断で安易に取り入れてしまうと、唾液が減って思わぬデメリットが出てしまうかも知れません。
コメント
新聞を声に出して読んでみると自分でもビックリするぐらいツバが出てきました。
とても参考になりました。ありがとうございます。
by 匿名
お経にそんな効果があったのねw
ボケ防止効果とかもあるだろうし
先祖の加護が無くてもメリットがあるんだな
by 匿名