胆振東部地震で感じたこと
私は北海道に住んでおり、2018年(平成30年)9月6日に発生した胆振東部地震を経験しました。
私自身の被災状況は停電が二日ほど続いたのと、コップが破損した程度でした。
当ブログでは以前に節約の観点から防災対策を紹介したのですが、
日頃からモノを少なくしておいたことが、改めて震災の備えとして機能したと感じました。
モノが少ないメリット
当たり前のことですが、モノが少ないほど震災による被害も少なくなります。一方でゴミ屋敷のようにモノがあふれていると被害も大きくなります。
私の住んでいる地域では震度6強の地震があり、その後にも大きな余震が続いたのですが、私の実質的な被害はコップが一つ割れただけでした。
そのコップは少し前に購入したもので、インテリアとして飾っていたこともあり、棚から落ちてしまいました。
私は極力無駄なモノを所有しないタイプなのですが、少し前に料理の器の知識が凄い人と知り合ったことがきっかけで興味をもち、ある陶芸市を覗いてみた時に一目惚れして購入してしまいました。
この割れたコップは私の中でも珍しい部類のモノ(趣味)ではあったのですが、このようなモノをたくさん所有していると、それだけ震災時のリスクが高まるのだと勉強になりました。
普段使っている食器は食器棚の中で倒れていたり、ズレてはいましたが、これといった破損はありませんでした。
他にも本棚から本が数冊落ちていたり、物置の中のモノが倒れていたりしましたが、どれも目立った破損はありませんでした。
生活に必要なモノだけをしっかりと収納していれば、震災時の被害も少なくすることができます。一方で便利な収納グッズに頼ってモノを増やし続けていると、より大きな被害になっていたかも知れません。
大きな地震で家の中がめちゃくちゃになると、倒れてきた家具の下敷きになったり、割れた食器などを踏んでケガをするリスクがあるので、家具に転倒防止グッズを取り付けたり、ベッドの近くにスニーカーなどを用意しておいて、散らかった部屋でも歩けるような防災対策が有効なのでしょうが、私にとってはそれらの対策は必要ではありませんでした。
そもそものモノが少なければ、そのようなリスクも下げられます。家の倒壊のリスクだって下がるはずです。
一方で収納しきれないほどのモノをたくさん所有していると、それだけ被害が大きくなる可能性が高まってしまいます。
趣味のモノは生活を豊かにしてくれるものなので、全てを手放せとは言いませんが、定期的に整理したり、収納する場所や位置などを考慮することも、震災の備えになると感じました。
家具などの転倒防止措置を設置することも大切ですが、そもそも大きな家具やモノがなければリスクになりません。
二度と読み返す事がないような本を入れておく大きな本棚など、部屋のスペースを圧迫するだけでなく、災害時のリスクになってしまいます。
震災の構え
日頃からモノを少なくしておくことが震災の備えになると言いましたが、一方で防災グッズを備えておくことも大切です。
私が日頃から用意しておいたのは、飲料水とロウソク(+ライター)だけでした。
一般的には少ないと思われるかも知れませんが、私の生活にとっては問題なく機能しました。
たまたま私の住んでいる地域では断水にならなかったので、飲料水の出番はなかったのですが、ロウソクはしっかりと停電の夜に役に立ってくれました。
特別な保存食を用意していたわけではないのですが、日頃からお米や乾麺(蕎麦、パスタ、インスタントラーメン)などを利用していたので、それらで十分だと判断しています。
私は一日一食といった食生活でも問題ないと知っているので、手元の食材の残りを計算してみると、余裕で一ヶ月以上は持つとわかりました。
また冷蔵庫を手放しているので、停電による食料の腐敗というリスクも避けることが出来ました。
ガスが使えたので全く問題にならなかったのですが、仮にガスが使えなかったとしても、いざとなればインスタントラーメンを水で戻して食べられることも知っていましたし、いよいよとなれば近所の人を集めて焚火で調理をする事だって可能です。
懐中電灯がなくてもスマホのライトで対応できますし、ワンセグ機能が搭載されているのでラジオも必要ないと判断していました。
スマホの充電方法さえ確保しておけば問題ありません。
移動時に役立つ充電用にモバイルバッテリーをもっていますが、車でスマホを充電することが出来るので、常にモバイルバッテリーをフル充電にするようなこともしていませんでした。
私のように飲料水とロウソクさえあれば防災グッズは十分と言いたいわけではなく、それぞれの生活に合わせて必要十分な防災グッズを揃えておくことが大切です。
車がないのであれば、乾電池式の充電器を用意しておくようなことです。
どの備えが正解というものではなく、それぞれの環境に合わせて用意しておくことが大切です。
一方で過剰に備える必要もありません。
既に所有しているモノで代用できるのであれば、わざわざ防災グッズとして所有しなくても問題になりません。
たとえば仏壇でロウソクを使用している家庭であれば、わざわざ別枠で防災グッズとしてロウソクを用意しておく必要がないようなことです。
節約という意味では極端なまとめ買いはおすすめしませんが、
日頃から使用する消耗品としてだけでなく、防災グッズとしても機能するものであれば、少し多めに蓄えておくことで無駄にせずに済みます。
乾電池なども同様です。防災グッズとして別枠で用意しておくのではなく、日頃からよく使う乾電池を少し多めに用意しておくことで、震災の備えとしても機能させることが出来ます。
震災時の備えとしてランタンや懐中電灯の乾電池を用意するのであれば、日頃からよく使う乾電池のサイズと合わせておくことで、防災グッズとして別枠で乾電池を備える必要がなくなります。
防災グッズの為だけの電池を用意しておくと、時間の経過で電池の容量も少なくなってしまいますが、普段から使用している電池であれば、極端に古くなることも避けられますし、それこそテレビのリモコンや目覚まし時計の電池を外して使うことも出来ます。
これらのように日頃から使用しているモノでも防災グッズとして機能するものがあるので、それらをしっかりと頭に入れておくことも、震災の備えとして大切です。
どのような電池でも使える便利なライトも売られていますが、わざわざこのような高価な専用品を備えなくても、電池のサイズを揃えるといったちょっとした心掛けで対応できるかも知れません。
このような防災グッズが悪いというわけではなく、必ずしも必要ではないケースもあるので、普段からしっかりと考えておくような事です。
例えば普段からテーブルを囲んで鍋をする家庭であれば、ポータブルのIHではなく、あえてカセットコンロを利用するといったものも、震災時の備えにつながるような事です。
新たに防災グッズを用意することだけが備えではありません。身近なモノをしっかりと理解しておくことも大切です。
防災時にしか役に立たないモノよりも、防災時にも役に立つといった視点を持つのが大切です。結果的に余計なモノが少なくなり、防災時の被害を抑える事にもつながるのではないでしょうか。
震災時の心構え
そして震災時の心構えも、予め知っておいてほしいと思います。
私はこの事を苫米地英人さんの「イヤな気持ち消す技術」という本で学んでいました。
私なりに簡単に本の内容を要約すると、人は何かしらの要因で恐怖や不安を感じると、冷静な判断が出来なくなるので、その対処法を事前に知っておこうといった内容です。
要は「落ち着けよ」ということなのですが、それだけで解決できるのであれば、誰も取り乱したりしないはずです。
深呼吸をして「おちつけー、おつつけー」と頭で唱えても、直ぐに落ち着けるものではありません。
普段の私たちの脳というのは、脳の外側(前側)にある前頭葉という新しく進化した箇所を利用して物事を考えられるのですが、恐怖や不安を感じると脳の内側にある偏桃体という、より本能的な判断を司る古い箇所が優位になります。
この状態というのは、極端なことを言うと「生きるか、死ぬか」のような二者択一のような判断しかできなくなります。
恐怖で怯えている人や激怒している人をイメージするとわかりやすいと思います。車の運転中にカッとなる人や酔っぱらった人も同じです。冷静な判断が出来なくなってしまい餡巣。
これ自体が悪いということではなく、震災直後の対処としては素早く行動させる為に大切なのですが、その偏桃体優位の状態が続いていると、冷静に物事を判断をすることが出来なくなります。
私は「イヤな気持ちを消す技術」のおかげで、これらの恐怖を感じた時の脳の仕組みや対処法を学んでいたので、自分でも驚くほど冷静に対処することが出来ました。
私の震災後の対処
私は恐怖を感じたまま無理やり落ち着けることなど出来ないと知っていたので、まずは安全を確保の為に家の外に出て、周囲の被害状況を確認しました。
幸い建物が崩壊するような大きな被害もなかったのですが、間もなくして停電になったので、それからスマホで情報を集めました。
「イヤな気持ちを消す技術」で紹介されていた偏桃体優位の時の対処法というのが、文脈情報に触れることだったからです。
文章を理解するには、偏桃体優位の本能的な脳だけでは無理なので、自然と前頭葉が使われることになります。
震災直後なので詳細な情報があるわけではないのですが、わりと近くで直下型の地震が起きたこと、津波の心配がないことを知ることができ、今すぐどこかに避難する必要がないと判断できました。
私はアパートに住んでいるので周囲の住民と情報を交換し、ガスや水道は無事だということもわかりました。
周囲の住民の中には慌てふためいている人も多かったのですが、冷静に今わかっている状況を伝え、「津波はないので大丈夫ですよ」と声をかけることが出来ました。
そして街中が停電している夜空をふと見上げると、見事な星空が広がっていました。9月でも夜中の3時には冬の正座の代名詞でもあるオリオン座が輝いていることを知りました。
「真夏のオリオンって映画があったなぁ」
と思い出し時に、
「あ、もう私の脳は偏桃体優位ではないな」
と判断することが出来ました。目の前の恐怖に支配されている時に、何かを思い出すことなどできないと知っていたからです。
そして自宅の中に戻り、スマホのライトを照らしながら冷静に被害状況を確認しました。余震に備えて他に落ちそうなモノがないか確認し、断水に備えてお風呂に水を貯めました。
お米や乾麺の量を確認し、一日一食にすれば余裕で一ヶ月は持つことがわかりました。備えていたロウソクの本数と燃焼時間を確認し、ライターの着火も確認しました。
そして夜が明けてきたので、自家用車でスマホとモバイルバッテリーの充電をしながら再び情報収集を始めました。
この時は車のエンジンをかけていません。早朝だったこともありますが、車のバッテリーはスマホの充電ぐらいであれば半日ぐらいは余裕で耐えられます。
もちろん車のバッテリーの状態にもよるのですが、しっかりと充電されている新しいバッテリーであれば、ヘッドライトを消し忘れた車でも3時間ぐらい耐えられるものです。
幸い私は車のバッテリーを交換して一年も経っていなかったので、バッテリー上りの心配はしませんでした。
そして停電が完全に復旧するには一週間かかるということがわかり、車に残っているガソリンの量でスマホの充電に十分に対処できると判断できました。
一週間ぐらいお風呂に入らなくても死ぬわけではありませんし、タオルを濡らして身体を拭くことも出来ますし、夏場なので水のシャワーで我慢することもできます。これも大きな問題ではありません。
これらのように冷静に考えられたこともあり、慌てることなく震災後に対処できました。
事前に震災への備え、そして心構えがあったこともあり、自分でも驚くほど冷静に状況を判断することが出来ました。
私は一人暮らしで自分の事だけ考えれば良いので、ロウソクと飲料水ぐらいの備えで対応できました。
家族が多かったり、小さな子供や身体の弱いお年寄りがいる家庭であれば、それなりに充実した防災グッズなどが必要だとは思いますが、日頃から震災に備えて頭を整理しておく事も、改めて大事な事だと感じる出来事となりました。
まとめ 知識も備えよう
震災の備えというと、防災グッズばかりが注目されますが、心構えや知識も大切だと思います。
私の住んでいる街でもスーパーやコンビニ、ガソリンスタンドなどに行列ができてパンや飲み物が売り切れていたのですが、しっかりと状況を判断できれば、必ずしもそれらの行動が必要だったとは限りません。
全く食料の蓄えがない家庭など多くありませんし、一日三食しっかりと食べないと生きられないわけでもありません。
二歳の男の子ですら三日間遭難していても無事だったニュースがあったように、人間の身体には脂肪という栄養が蓄えられています。
山や海で一週間以上遭難しても、僅かな食糧で生き長らえていたことも珍しくありません。
飲料水さえ確保できていれば、それほどたくさんの食料を備える必要はないのではないでしょうか。
塩分だってどの家庭にも塩や醤油ぐらいはあるでしょうし、極端に食料を買い占めなければならないわけではありません。
「保存食を備える必要はない」と言いたいわけではありませんが、どの家庭でも普通の食材(お米や乾麺や缶詰など)は数日分はあるはずです。
これらのように少し冷静に考えればわかることでも、不安な状態のままだと冷静に判断することが出来なくなります。
もちろん介護が必要な家族のいる方や新生児のいる家庭とは分けて考える必要がありますが、健康な人だけであれば、それほど焦る必要はないはずです。
ですが、実際には我先にと必要以上に食料を買い占めたり、ガソリンスタンドの前で何時間も並んで無駄にガソリンを消費してしまうことになっていました。まさに冷静さを失った偏桃体優位の行動です。
停電中は信号も止まっていたので、あちこちでクラクションが鳴り響き、さらに事故も発生していたようで、救急車や消防車のサイレンが鳴り響いていました。
以前に車の運転中のイライラを抑える方法を紹介したことがあるのですが、
車に乗っている時というのは、人力の何倍もの力を簡単に発揮できるので、ちょっとしたイライラでも何倍にも膨れ上がると紹介しました。
普段は温和な人でも車に乗ると人が変わることがあるように、運転中のイライラは大変なリスクになります。
目の前に割り込んできた車に対してのイライラであれば簡単に抑える方法がありますが、震災の不安を引きずったまま運転してしまうと、その不安まで膨らんでしまいます。
私は震災後の停電中に車を運転をしませんでしたが、近所を歩いてみると信号が機能していないのにも関わらず、驚くほど飛ばしている車をたくさん見かけました。
これも偏桃体優位の人の特徴です。冷静さが失われています。
連絡のつかない家族の安否を確かめる為に、不安なまま必死で運転している人に冷静さを求めるのは酷かも知れませんが、本人だけではなく周囲にも大変なリスクがあるのはイメージできると思います。
震災直後の回避行動ということであれば、周りの事を考えずに我先にと行動することが悪いわけではありませんが、その後の行動は冷静さを取り戻して適格な判断をする必要があります。
その為にも日頃から震災への心構えを持っておく事が大切です。事前にしっかりと理解しておかなければなりません。
震災への備えというのは、防災グッズを用意しておくことだけではなく、日頃から部屋を整理整頓をして所有しているモノを把握しておくことも大切ですし、不安なままだとバカな行動をとってしまうことがあることを自覚しておくことも大切です。
自分自身が冷静さを取り戻せていないことに気がつけないと、不安なまま間違った行動をしてしまいます。不安で緊張しているとベストなパフォーマンスを発揮することなど出来ません。
サッカーでもアウェーのチームがいつもの力を発揮できないように、身体が緊張していると簡単な行動でもミスしやすくなってしまいます。しかもその理由が本人にはわかりません。
震災直後というのは誰もが不安で身体が緊張しているものですが、そのような精神状態が続くと危険だということを、しっかりと理解しておいてください。
この事を知っているだけで、自分の緊張状態を把握しやすくなり、気持ちを落ち着けやすくなります。
事前にしっかりと心構えをしておくことで、素早く冷静さを取り戻すことができ、正しい行動が取れるようになります。
防災対策だけに当てはまる事ではないですが、日頃からしっかりとした心構えをする為にも、「イヤな気持ちを消す技術」は参考になると思います。
他にも日頃から避難場所の確認をしておくことや、防災グッズの状況を確認をしておくことも大切です。食品や飲料水の消費期限や電池の確認などもしておきましょう。
他にもキャンプやバーベキューの知識なども役に立つかも知れません。オール電化の家庭であれば、カセットコンロを用意しておいたり、バーベキューのグリルに使用する炭の有無も備えになるかも知れません。
豪華な防災グッズセットを購入するのが悪いとは言いませんが、モノが増えれば増えるほどリスクも高まるので、日頃から使用しているモノと上手に組み合わせられないか考えてみてください。
そういうものを頭の中でシミュレーションすることも、震災の心構えの一つです。
豪華な防災セットを購入したからと安心しきっていると、いざという時に何が入っているか理解できていないので、上手く活用できないかも知れません。
ここまで偉そうに語ってしまいましたが、私自身も今回の震災で学ぶことが多かったです。
私がロウソク用に持っていたライターは中身の量が確認できないタイプだったので、いざ火をつけようとすると不安がよぎりました。
中身が見えるライターやマッチの方が、震災の備えとしては有効なのかも知れません。
これも普段からタバコを吸っている人や仏壇のロウソクに火を付けている家庭であれば、わざわざ別に用意する必要はないですが。
車でスマホの充電をするときも、シガーソケットのUSB変換器具が高速充電に対応していなかったので、かなり時間がかかりました。
ネットで調べてみると高速充電に対応しながらも二股のタイプが見つかったので、今後はそちらを備えておこうと思います。
またサイズの違う乾電池の変換アダプターなるものがあることも知りました。これらも震災の備えとして機能すると思います。
防災グッズとしての電池は時間の経過と共に劣化してしまいますが、普段からよく使っている電池を活用できれば、極端に古い電池にはなりません。
私自身もまだまだ勉強不足ですが、しっかりとこの先の震災に備えておこうと思います。みなさんも防災グッズを購入したからと安心せずに、日頃から心構えも備えておいてほしいと思います。
追記
胆振東部地震で被害の大きかった厚真町に「ふるさと納税」をしました。
厚真町は「厚真ジンギスカン」が有名な街です。震災の影響もあり、発送が遅れるかも知れないとのことですが、私は気長に待とうと思います。
ジンギスカンの他にも様々な商品があるので、「ふるさと納税」の枠に余裕がある人は、良かったら検討してみてください。
追記2
その後、無事に厚真町からふるさと納税の返礼品(じゃがいも)が届きました。
大変な被害ということもあり、一部の返礼品は年内に用意することが難しく、代替品の提案などがあったのですが、「返礼品の辞退はしないでください」と連絡がありました。
ふるさと納税の返礼品は地元企業への貢献になるので、厚真町としても寄付という形だけで受け取るのではなく、地元企業へ還元したいとのことでした。
コメント
厚真町のふるさと納税させてもらいました。
田んぼの被害が大きいようなので干物セットを選びました。
少しでも役に立てれば嬉しいです。
by 匿名