買い置きをしてしまう理由
節約家に限ったことではありませんが、多くの人が様々なモノを買い置きする傾向があります。
その理由は色々考えられますが、「安い時に購入しておけば節約になるから」と、つい買い置きをしている人も多いと思います。
ですが、本当の理由が節約とは限りません。
多くの人が漠然とした不安を抱えて買い置きしています。特に食料品は当てはまります。また防災という意味でも買い置きをしている人が多いのかも知れません。
これらの買い置きが必ずしも悪い事とは言いませんが、中には本来の目的から逸れてしまっているケースがあるものです。
そこで今回はこの漠然とした不安の正体と向き合うことで、買い置きを減らして節約につなげる方法を紹介します。安い時に買い置きしたからといって、必ずしも節約になるとは限りませんし、災害時の役に立つとも限りません。
漠然とした不安とは
何となく不安だからと食料品を買い置きしている状態というのは、そもそも必要な食料品の量が明確ではない可能性が高いです。
どれぐらい買い置きしておけば安心なのか理解していないので、そもそも正解がありません。
ここが曖昧なままだと、どんなに買い置きしても不安がなくなることはありません。膨らむ一方です。
常に冷蔵庫の中がいっぱいでないと不安になるような事です。買い置きが必要な基準値が収納スペースによって決められてしまっています。
また漠然とした不安の正体が、漠然とした災害(天災、人災)ということもあり、これまたはっきりと正解を決めることが出来ません。
自分なりのルールで「一週間分の食料を買い置きしておく」などと決めているのであればコントロールは可能ですが、そのような人も少数派です。
だからこそ、不安の正体と向き合う必要があります。
戦時中は食べる物が少なくて大変だったと言いますが、現在の日本でその状態を想定するのは現実的ではありません。
可能性があるとすれば、都心部や広い地域に大きな震災があった場合です。
それでも近年の災害で餓死者が出たというニュースは見たことがありません。
稀に山で遭難した人が救助されることがありますが、彼らは一週間ぐらい何も食べずに歩き回っていたりします。
そもそも身体についている脂肪は、緊急事態(食べられない状態)に備えて蓄えられているので、よほどガリガリの人でもない限り、一週間ぐらい食べなくても平気だということです。
もちろん水分は必要です。ある程度の水は確保しておいた方が良いとは思います。
ですが、食糧は災害時用にたっぷりと買い置きしておく必要は、必ずしもあるとは言えないのではないでしょうか。
そもそも私は冷蔵庫を手放しているのですが、そんな私のような生活でも多少の乾麺やお米はあるわけです。
これらは特別買い置きをしているのではなく、日ごろの食事の為に用意してあるものだけです。
それらだけでも一週間ぐらいは平気で持つ計算になります。よく考えればわかることですが、わざわざ買い置きしておかなくても、一週間ぐらい食料が持つのが普通なのではないでしょうか。
全く自炊をしないで外食だけの人であれば、防災に備えて保存食を用意しておく必要があるかも知れませんが、一般的な家庭であれば、それほど必要ではありません。
私が経験した胆振東部地震の時にも、直後にスーパーやコンビニのパンなどが無くなったのですが、食料を選ばなければクッキーやせんべいを食べたって、同じような栄養を取ることができます。
菓子パンなどの成分はクッキーとたいして変わりません。水分を増やして膨らませているだけです。
家族の多い家庭でも特別枠として食料品を買い置きしておかなくても、普段食べる量が普通にあれば、一週間ぐらいは持つのではないでしょうか。
漠然とした不安の正体は、実はそれほど恐れるものではありません。食べられなくて死ぬかも知れないという不安は間違いです。
自分の身体に脂肪という買い置きが、たくさん蓄えられていることを忘れないでください。
そもそも災害時に暖かくて美味しい料理を三食とらないといけないわけではありません。小さな子供や身体の弱いお年寄りがいる家庭であれば、少し事情が変わってきますが、普通の人であれば緊急時にそれほど多くの食料が必要になるわけではありません。
買い置きが節約にならない理由
また買い置きを控えると、節約につながるケースが多くなります。この事実をしっかりと理解しておく事も大切です。
まとめ買いや特大サイズを購入すると節約になるイメージがありますが、実はたくさんストックがあると使用量が増えてしまう傾向があります。
ついつい食べ過ぎてしまったり、洗剤の量を量らずに多めに使ってしまったり、大胆にティッシュを使ってしまうような事になってしまいます。
また食料品や調味料だと賞味期限が切れるリスクだけでなく、劣化の問題も生まれてしまいます。
良質な調味料がセールだったからと買い置きしてしまうと、どんどん劣化して価格の安い新鮮な調味料の質と逆転するかも知れません。
もちろん家族構成や使用環境によって違いますが、買い置きが少ないと残りの量を考えながら慎重に使うようになるので、多くのモノが節約につながる傾向があります。
実際に私も経験しているのですが、結婚していた頃にボックスティッシュをダンボールで買い置きをしていました。うる覚えですが、5個でワンセットのボックスティッシュが12セットぐらい入っていました。
当時は一軒家に住んでいたので収納スペースには困りませんでしたが、結婚前の一人暮らしをしていた頃のティッシュの使用量と比べると、かなり大胆に使うようになってしまいました。
逆に現在は五個パックのティッシュが残り一つにならないと購入しないので、慎重に使うようになりました。
トイレットペーパーなども同様です。買い置きしないので物置の中に置いておく必要がありません。
トイレットペーパーのホルダーの下と合わせて残り二つになった段階で買うようにしているので、新しく買ってきても全てトイレ内に収まるようになりました。
タバコやお酒を買い置きしてしまうと、際限なく消費してしまう人がいるように、その日の分だけ購入している人の方が、使い過ぎにならない傾向があります。
まとめ買いが節約になるケースがないとは言いませんが、それらの物を保管しておくスペースの為に余計な家賃を支払う事になるかも知れません。
レンタル物置のような分かりやすい出費がないとしても、買い置きする習慣を無くすだけで無理なく家賃を下げられるかも知れません。
買い置きしない勇気
買い置きをしない為には、まず初めに勇気が必要です。
目の前のセール品を見逃すとストレスを感じるかも知れません。
ですが、セールは必ずまたやってきます。
逆にもう二度と仕入れることがない現品限りのセール品というのは、それだけ見向きもされずに売れなかった二流の商品ということです。
本当に良い商品は何度となく生産されます。また類似品がライバル会社から発売されるものです。そちらの方が価格が安くて質も良いということが珍しくありません。
基本的に今しか手に入れられないモノなどありません。それは売り手の都合のいい言葉であり、「今だけの特別価格」はその後にも普通にやってきます。
いつでも手に入れられるモノを、わざわざ自宅のスペースを埋めてまで所有する必要はありません。必要な時に必要な分だけ購入すればいいことです。
たとえ購入のタイミングでセールが行われていなくても、お店が倉庫代わり保存しておいてくれたのだと思えば、ありがたいものです。
特に食料品であればスーパーは常に新鮮なモノを提供してくれる魔法の倉庫です。どんなに立派で大きな冷蔵庫を所有している金持ちでも、常に新鮮な状態をキープできるわけではありません。
スーパーでセールのお肉を購入して冷蔵庫に収納し、そして三日前に購入した古いお肉を調理している人が、どれだけ多いことでしょうか。わざわざ自宅で電気代を支払いながら劣化させている事になるので、何もお得ではありません。
また洋服選びといったものにも当てはまります。たくさんの洋服を抱えていると、あまり着ない洋服ほど流行遅れになってしまいますが、少ない洋服を着回している人の方が、その時々の体型や流行に合わせやすいものです。
結果的に買い置きをしない方が、その時々でベストなものを手に入れやすくなります。最安値で購入できない可能性はありますが、そもそもベストではないものを安く購入することは、上手な節約ではありません。
必要なモノを必要な時に必要な分だけ購入する事が、最も節約になるという事を忘れないでください。
買い置きのリスク
買い置きをすることで不安が解消されていると思っている人が多いのですが、実は買い置きそのものがリスクになることがあります。
かなり昔のことですが、実家に住んでいた頃に巨大台風の影響で12時間もの停電を経験したことがあります。
母親は冷蔵庫の中身を調べ、傷みやすい食材から調理してくれ、事なきを得ました。
一方でお金持ちのお隣さんの家は、大きな冷蔵庫の他にコンビニのアイスでも入っていそうな冷凍庫も別に所有していました。
その中に満載だった冷凍された食品の多くが溶けてしまい、ほとんど捨ててしまったそうです。
そして一部が我が家におすそ分けとしてやってきました。イタリアンジェラードという名の高級アイスを初めて食べたことを覚えています。ただかなり溶けていたので、それほど美味しくは感じませんでしたが。
これらのように、買い置きをすることで被害が大きくなるリスクもあります。
所有している物が多いほど部屋のスペースが奪われますし、大きなタンスや食器棚などがなければ、地震の二次被害のリスクも減らせます。
本当に必要な物を必要なだけ所有するのは構いませんが、不必要な物や必要以上の物を所有してしまうと、様々なリスクが増えてしまうという事です。
単純に探し物一つとっても手間が増えてしまいますし、同じ物を購入してしまうようなリスクも高まってしまいます。
風邪でもひいて寝込んで買い物に行けないときの不安があるなら、いくつか出前可能なお店のチラシや電話番号をチェックしておくことで、不安を少なくすることもできます。
一応、私も近所のラーメン屋と蕎麦屋とチラシがよく入るピザ屋の電話番号を控えていますが、今まで一度も頼んだことはありません。
地域によってはスーパーやコンビニの宅配も可能です。スマホちょっと調べれば自宅に食べ物を届けてもらう方法など簡単に見つかります。
大昔の物々交換の時代は食糧を保存することが出来ませんでした。だからこそ交換可能な貨幣が素晴らしい機能を果たすようになったわけです。
お金に賞味期限はありませんし、腐ることもありません。
ある程度のお金の蓄えさえあれば、いつでもモノと交換することができます。腐敗するモノ、風化するモノ、流行のモノを必要以上に抱える必要などありません。
必要な時に必要な分だけ交換すればいいだけです。その時々に最適なモノを選べるので、最も満足いく結果になるのではないでしょうか。
セールでお得な価格で購入できたバニラ味のアイスクリームでも、ストロベリー味を食べたい時には最適な選択にはなってくれないように、買い置きしているだけに求めているものから遠ざかってしまう事は珍しくありません。
まとめ ほとんどの不安はウソ
大抵の家庭にはそれなりに食料があるものです。それらをやりくりすれば一週間ぐらい持つのが普通ではないでしょうか。
健康な人であれば、お米と塩や醤油だけで一週間で栄養失調になることはありません。
災害時や緊急時に暖かいご飯を三食たべなければならない理由もありませんし、必要以上に買い置きして蓄えることはリスクにしかなりません。
国家レベルで緊張状態が高まり、戦争のリスクが高まったりすれば別かも知れませんが、普段の生活で買い置きしなければならないリスクなどありません。
むしろ買い置きしたことで部屋のスペースが圧迫されたり、必要以上に消費してしまったり、賞味期限にせまられて食べたくもないタイミングで食べることになったりしてしまうものです。
本当はお肉を食べたいタイミングなのに、買い置きしていた食品の賞味期限が切れそうだからと仕方がなく食べていると、美味しく感じられないどころか、身体が求めている栄養素も補給できなくなってしまいます。
買い置きした瞬間はそれなりに満足しているかも知れませんが、その買い置きしたものを消費するタイミングで後悔することが意外なほど多いので、気をつけてほしいと思います。
よほど田舎に住んでいるとか、離島に住んでいるのであれば、ある程度は買い置きをすることで節約につながるケースも考えられますが、そうでなければ節約どころかリスクばかりを抱えることになるので、買い置きしない勇気を持ってほしいと思います。
つい買い置きしてしまう不安の正体の多くが、いわれもない漠然とした不安ばかりです。モノを売りたい側は、その漠然とした不安を煽ってきますが、冷静に考えると大した不安ではないということに気がつけるはずです。
節約家ほど安い時に買わないと損と考えてしまうのですが、使いもしない時に買うほうが損があるという当たり前の事を、しっかりと理解してほしいと思います。
買い置きしない勇気をもってください。それだけで節約が加速していくはずです。
コメント
何かを購入するという行為は、
不安を解消したいからなのかも知れませんね。
ミニマリストの方が幸せそうな理由がわかって気がします。
勉強になりました。
by 緑
私も買い置きを止めてから自由になりました その時々に好きなものを選択できるのでストレスがたまりません
by 匿名
セールで買い置きした後にもっといいセールがあると悲しくなる・・・ほどほどがいいよね
by 匿名