収納アイディアのリスク
世の中には様々な収納アイディアやグッズがあり、家の中のデットスペースを上手く有効活用していて感心することも多いのですが、収納スペースが増えることが必ずしも良いことだとは限りません。
収納に余裕が生まれると、収納しきれなくなった時点で整理する機会が失われてしまいます。
片付けるなり捨てるなりする判断が、先延ばしになってしまうリスクがあります。
本当に必要な物を大切に収納しておくのは構いませんが、二度と読むことがないであろうつまらない本や着なくなった洋服を、無意味に収納しておくことになってしまいます。
最近は様々な物がネットオークションで売られていますし、リサイクルショップで買い取ってもらうことができるのですが、倉庫の中で眠らせておくと買取価格も下がってしまいます。
希少性の高い物であれば、きちんと保管しておく事で価値が上がるような事があるのかも知れませんが、多くの物はそうではありません。
新刊の本であれば、いち早く手放す事で定価の2~3割ぐらいで買い取ってもらえますが、半年も経つと1割を切ってしまい、1年も経つと数十円になってしまい、3年も経つと価値が無くなってしまいます。
洋服も流行が残っているうちであれば、数百円で買い取ってもらえる事がありますが、クローゼットやタンスの中で長年眠って色褪せてしまうと、買取不可となってしまいます。
洋服を小さく畳む収納テクニックだったり、便利な収納グッズを購入してしまう事というのは、必ずしもベストな選択肢ではありません。
むしろ収納を減らした方が管理がしやすくなったり、無駄にする事が無くなるかも知れません。
収納に困っているからと安易に収納を増やすのではなく、現在の収納力に相応しい物の量に整える事が大切です。
使いにくさもデメリット
よくキッチン下の収納スペースを有効活用する為に、空間を上手く活用できるグッズが売られていますが、このような物によって取り出しにくくなるといったデメリットもあります。
頻繁に使う物まで取り出しにくくなってしまうと、たまにしか使わない物のせいで手間が増えてしまいます。
十特ナイフのようなもので考えると分かりやすいのですが、たまにしか栓抜きや缶切りを使わない家庭にとっては便利な道具ではありますが、飲食店のように頻繁にビールの栓を抜くようなところだと、ただただ使いにくいだけの代物になってしまうような事です。
便利な収納グッズといったものも似ています。頻繁に取り出すものに限っていうと、むしろ煩わしさが増えてしまう可能性が高まります。
取っ手がとれて大小さまざまな鍋を重ねて収納できると便利なように感じるかも知れませんが、鍋を使う度に全てを取り出して取っ手を付けるとなると、一手間増えて面倒になるので、結局はよく使う鍋に取っ手をつけっぱなしになるかも知れません。
重ねて収納できるだけにコーティングが剥がれてしまったり、鍋底に残っていた汚れが他の鍋に移ってしまうリスクも高まります。
また頻繁に利用する鍋ほど寿命が短くなるので、結局はそのサイズの鍋だけ別に購入する事になるかも知れません。
そもそも頻繁に使用する鍋やフライパンならコンロの上に置いていても邪魔になりません。毎回取っ手を外して綺麗に重ね直して収納するのは大変です。
これは三色ボールペンなどで考えてみても分かりやすいかも知れません。一本のボールペンで三色つかい分けられる機能は便利そうですが、頻繁に三色を使い分ける必要があるのかと考えると、そうそう当てはまる人は多くないはずです。
普通のボールペンより太くて書きにくくなるかも知れませんし、一番使う黒のボールペンのインクだけが減ってしまい、残りの色のインクが無駄になってしまうかも知れません。
頻繁に使う黒のボールペンは書きやすい物を選び、たまにしか使わないその他の色のボールペンだけが三色のような便利グッズであれば、収納スペースを減らすことに役立ちますが、頻繁に使う黒のボールペンまでそこに含めてしまうと、使いにくくなってしまいます。
洋服の畳み方なども同様です。小さく畳むアイディアで収納スペースを有効活用することが出来ても、畳む手間が増えてしまいますし、余計な皺も増える事になってしまいます。下着や靴下を丸めて小さくして収納してしまうと、ゴムが伸びて寿命が短くなってしまうかも知れません。
収納を増やすテクニックやグッズが悪いとは言いませんが、そのせいで余計な手間が増えている事は珍しくありません。
大は小を兼ねるが・・・
大きな旅行鞄を購入してしまうと、収納に余裕があるだけに一泊二日の旅行でも余計な物まで持っていくようになり、持ち運ぶ手間が増えて煩わしくなってしまいます。
肝心の旅行の質が下がってしまうかも知れません。
大きな車に乗っている人ほど、趣味の物を積みっぱなしにして燃費が悪くなってしまったり、駐車場選びで困ったり、洗車が煩わしくなってしまうように、必ずしも大きい事や収納が多い事が良いとは限りません。
スマホやパソコンのハードディスクの容量といったものだって、余裕があるほど不要なファイルやアプリが放置される事になり、動作を重たくしたり、必要なファイルの管理まで大変になってしまいます。
大は小を兼ねると言いますが、必要以上の大きさや収納力というのは、必ずしもメリットばかりではありませんし、むしろそのせいで手間が増えてしまう事は珍しくありません。その辺の事については別のところでも紹介した事があるのですが、
便利そうな収納グッズにも同じようなリスクがあり、不要なものまで所有し続けるリスクが増したり、使い勝手が悪くなってしまう事があります。
シンプルな栓抜きが壊れるような事はありませんが、十得ナイフのような物ほど壊れやすく、品質の良いものだと高価になってしまいます。
収納グッズも空間を有効活用するような物ほど強度がなかったり、震災時に崩れてしまうような可能性も高まります。
掃除がしにくくなる事もあるので、安易に収納を増やすのではなく、まずは現在の収納で収まる適量を見極めるのが大切なのだと思います。
収納を減らすのもアイディア
収納にとって重要なポイントというのは、使いやすさや管理のしやすさを考えることです。
物置に隙間なく物が収納されていると取り出すのが面倒になって行動が制限されてしまいます。掃除機を取り出すのに一苦労してしまうと、掃除が億劫になってしまいます。
本当に必要な物を効率よく収納する事に異論はありませんが、安易に収納スペースを増やしてしまうと、どうでも良い物を捨てる判断を先延ばしする事になってしまいます。
たっぷりと収納できる大きな本棚があると、二度と読む事がないような本でも取り敢えず置いてしまうように、スカスカの本棚をキープ出来る人は多くありません。
人は収納に余裕があると埋めたくなってしまうものなので、むしろ収納を減らす事でスッキリするようなケースだって考えられます。
わざわざ部屋をリフォームしてまで収納を減らす必要はありませんが、何となく便利そうだからと購入した収納グッズを手放して整理したり、冷蔵庫の買い替えの時にサイズダウンできないか考えてみてください。
子供たちが巣立っていって夫婦二人だけになったのに、大きな冷蔵庫を所有し続けていると無駄な電気代が掛かるだけでなく、必要以上に買い置きをして食材を無駄にしてしまうかも知れません。
この収納を減らすという視点を取り入れると、物を選ぶ際の基準も変わっていきます。
使い勝手や取り出しやすさや掃除のしやすさなどの優先順位が上がり、自分なりのアイディアがどんどん生まれてくるかも知れません。
お客さん用のオシャレなティーカップが食器棚の奥にあると、いざお客さんがきた時に取り出すのに一苦労ですし、しばらく放置していると頑固な汚れがこびりついているかも知れませんが、普段から自分達でも使っている食器を少しオシャレなものに統一すれば、わざわざ別に用意しなくても良くなるかも知れません。
するとそのオシャレな要素の基準も変わっていきます。見た目だけを重視した洗いにくい複雑な造形の食器だと使いにくいので、シンプルなデザインで使い勝手の良いオシャレな食器を考えるようになります。
また収納を減らして物が少なくなると、同じ物を使う頻度も高くなります。これも凄く大切なポイントになるのですが、使用頻度が上がるとその物が劣化してしまう前に使い切れる事が増えていきます。
どんな物でも自然劣化は避けられないので、大切に保管していても使いきれなくなってしまう事があります。
洋服のデザインやカラーには流行がありますし、虫食いや色褪せのリスクもあります。プラスチック製品だって徐々に油分が抜けて劣化してしまいますし、金属も錆びてしまいます。
絵画のように資産価値が上がる可能性があるものであれば別かも知れませんが、私も含めて多くの一般人には関係ないと思います。
肌着や下着を一週間分の7着用意するより、2~3日分でローテーションさせた方が早く寿命を迎えることになり、流行や体型の変化に合わせて最適な物を選びやすくなります。
収納が多いほど所有する物も増えてしまうので、結果的に一つの物を使う頻度も減ってしまい、その物が持っている役割や機能を活かす事なく寿命を迎えてしまう可能性が高まってしまいます。
これも収納を増やすリスクです。むしろ収納を減らした方が所有している物を使い切りやすくなり、無駄な事も少なくなっていくのではないでしょうか。
洋服を小さく畳むテクニックで上手く収納できたとしても、次のシーズンに取り出した時に折り目が色褪せていたり、アイロンでも取れない頑固なシワが出来ていたり、洗濯しても落ちない黄ばみが残っていたり、虫食いの被害があると結局は無駄になってしまいます。
洋服の数が少なければハンガーに干したまま保管できるようになるので、型崩れの心配もなくなり、畳む手間もなくなります。
毎晩洗濯をするような家庭であれば、翌朝に前日と同じ靴下を履くことだって出来るはずです。
これらのように収納が限られている家庭ほど、結果的に同じ物を頻繁に使うことになり、流行遅れや時間経過による劣化の影響も受けにくくなります。
その物の役割、寿命を全うしやすくなるので、結果的に節約にもつながるのではないでしょうか。
私は冷蔵庫を手放してから食材を無駄にすることが一切なくなりました。その時々に食べたい物を食べたい分だけ購入するので、賞味期限に追われて食べたくもないタイミングで食べることもなくなり、食生活が格段に豊かになりました。
逆に大きな冷蔵庫を所有している家庭ほど、管理が難しくなって食材を無駄にしているものです。掃除をするのも大変なので衛生的にも良くないかも知れません。
気づいたら賞味期限が大幅に切れていたという経験は、多くの人にあるのではないでしょうか。
わざわざ電気代とスペース(家賃)を使ってまで、無駄にしてしまうわけです。
収納を増やしてしまうと、このようなリスクを抱えるだけでなく、自分なりのアイディアが生まれてこなくなるので、安易に収納アイディアやグッズに頼る前に無駄な物がないかといった、本質的な問題と向き合ってほしいと思います。
まとめ あえて収納を減らしてみよう!
引き出しに小分けの仕切りをつけて整理するアイディアがありますが、そもそもの物の数が少ないと仕切る必要すらないものです。
いつでもネットで調べられる情報が載っている本など、ずっと所有し続ける必要はありません。
その知識を知った時点で十分に元は取れているので、細かな数値などはその都度調べれば問題ないはずです。
単純に物が少なくなると部屋も広くなりますし、不要な物の為に余計な家賃を支払う必要もなくなるかも知れません。無理なく家賃を下げられたり、より良い立地を選んで通勤時間を短くする事も出来るかも知れません。
さらに所有する物が少なくなるほど、地震による転倒や防犯のリスクも下げることに繋がります。
本当に大切な物を効率よく収納するのは良いと思いますが、安易に収納を増やしてしまうと不要な物まで手放しにくくなってしまうので気をつけてください。
一番の収納アイディアというのは、物理的な収納スペースを増やすことではなく、この考え方を身につけることではないでしょうか。
むしろ収納を減らすぐらいに考えられるようになると、どんどん現在の自分にとって最適なライフスタイルといったものが見えてくるので、新しいアイディアが浮かんでくるものです。
背負う物が少なくなるほどフットワークも軽くなるので、本当に必要な行動や選択を取りやすくなります。逆に背負う物が増えてしまうほど、足取りが重たくなって躊躇しやすくなってしまいます。
本当に大切な物を守る為にも不要な物を手放して、身軽になりましょう。
収納を減らした方が本当に好きな物や必要な物だけを厳選するようになるので、むしろ質が上がって快適になっていくものですよ!
コメント
嫁が昔使っていた布団乾燥機を実家から持ってくることになって正月に家族で車で行くと、結構な田舎で家や倉庫がバカでかい事もあり、探すだけで一苦労した事がある。探している間に「コレも持っていこう」と古い加湿器も出てきて貰ってきたけど、どっちも使ってみると悪臭が発生して使い物にならなかった。新年早々散々でした。
物を大切にする事は素晴らしい事だとは思うけど、使える物を使わずにとって置いても意味がないどころか、手間や不幸を招く事になるだけ。収納を増やすどころか減らすという発想は良いと思う。
by 匿名
まさに私がハマっていた流れをズバっと切ってくださいました涙
長年収納グッズやテクニックばかり求めていました
こちらで紹介されているリスク?が見事に当てはまっていて
目から鱗が何枚も落ちました笑
収納が凄いグッズほどよく壊れるんですよね~
もっと良い物ばかりを探していましたが
これからは収納を減らすことも考えてみます♪
その前に余計な物を捨てなくちゃですが苦笑
by ミカ☆彡